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2016/09/02

1978年10月の京都の朝は爽やかだった。関根一郎が京都に着任したのは先週の木曜日だ。木金の2日間は、営業所の運営に関する説明や他部門のマネジャー挨拶まわりであっという間に過ぎていった。週末の2日間は、引越しの片付けですぐ終わってしまった。
今週からいよいよ自分の担当地区での営業活動の開始だ。法人を対象にした新規開拓営業だから、関根の役割は、担当地区の企業に対して飛び込み営業を行い、新たな顧客開拓を行うことだ。関根は、営業所でカバンに地図とコピーのカタログ・名刺を詰め込んで元気に外に出た。営業所の周りの人たちからは、颯爽と出かけたように見えたかもしれない。でも関根の心の中は不安だらけだった。
まずは、烏丸通を四条から北に向かって歩き出した。実は新規訪問でお客様に飛び込むことが怖かったのだ。歩きながら、関根は就職活動の初日から今日までの日々を思い出していた。
ヤマトビジネスマシン株式会社は国内シェアトップの事務機メーカーのせいか、就職活動で会社訪問しても洗練されている感じで、かつフレンドリーだった。ヤマトビジネスマシンを選んだのは、単純な理由だ。会社訪問解禁日の訪問先としてアポイントが取れたのがたまたまヤマトビジネスマシン株式会社だったからだ。どうしてもヤマトビジネスマシンに入りたかったわけではないが、会社のパンフレットを見て、かっこいい会社だなと思い、アポイントを取ったのだった。その後、なぜかトントン拍子で面接が進み、内定となり入社に至った。他の企業も受けていたが、毎日のようにヤマトビジネスマシンから呼び出されるので、他社の訪問がしづらくなり自然にヤマトビジネスマシンに決まっていった。入社式も洗練されていて、関根は、大手町のビジネス街を颯爽と闊歩する未来の自分の姿が見えるようだった。
入社直後にそのまま研修所にバスで連れていかれ、午後からすぐ研修が開始になった。研修内容は入社前と様変わりして思いの外厳しかったが、もともと体育会系の関根にとっては、それほど辛いものではなかった。しかし、現場実習の辛さにはまいった。入社式からの1週間で、1機種の商品教育を叩き込まれ、一応カタログを持って翌週初めから東京の四谷の企業を飛び込み訪問させられた。目標は名刺回収だ。1日20枚以上。これが結構大変だった。飛び込み営業マンに名刺をくれる人はそういない。行けども行けども1日数枚程度の回収だ。この実習は1週間、実習しながら関根は、入社した会社を間違ったと思った。辛い1週間が終わった。名刺回収枚数は、30人のクラスの下から5番目。同期の中にはパチンコ屋に行って名刺を集めた奴もいた。ここまでするかと思った。

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著作:渡邊茂一郎

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