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2018/01/09

中井は、早速翌日に総務・人事課の緊急会議を開催した。幸いなことに、出張や休暇中のメンバーがいなかったため、中井も入れて6名全員が集合した。
ベテランでリーダーの富永が、「中井課長、どうしたんですか、急に会議なんて。珍しいじゃないですか」と話しかけて来た。
「実は、先日長崎会長から呼び出しがありましてね。例の『管理経費の20%削減』への取り組みがまったくできていないとの大目玉を食らいました。うちのメンバーはいつも遅くまで業務してくれているから、オーバーワークだって思ってたんで、なんとか自分だけでと思っていたんだけど、俺だけの知恵じゃ、今回はとても無理だってことがわかりました。
これからは皆からも知恵を出してもらって、長崎会長や河瀬取締役が驚くような経費削減をやりとげたいと思いまして」
若手の新庄からは「課長、その話を我々はみんな待っていたんです。俺たちにも取り組ませてください。業務は多いけど、みんなで分かち合えば、大丈夫ですよ」と声をあげてくれた。他のメンバーも皆頷いてくれていた。
中井は嬉しかった。いつも夜遅くまで頑張っていてくれているメンバーからこんな積極的な声が上がるとは思ってもみなかったからだ。
メンバーは中井が自分たちのオーバーワークをなんとかしようと努力していること、いつも上司より自分たちメンバーを見て仕事している中井の姿勢を評価していたのだ。
「じゃあ、早速『管理経費の20%削減』とその背景を説明するよ」と中井は、メンバーに会社の置かれた状況を詳しく説明した。現状の厳しい環境を売上の予測数字を示して率直に説明した。その上で、今後の京都染工の生き残り策の説明にそれ以上に時間を費やした。
中井の話が終わるとリーダーの富永から「中井課長、会社の置かれた厳しい状況はよくわかりました。でも『管理経費の20%削減』をやりきる中で、未来への投資と展望も見えてくるわけですね。これだったら総務・人事課が一丸となって取り組みましょうよ」と言ってくれた。
中井は「人は、明るい未来がイメージできると、今の厳しいことを乗り越える力が湧いてくるんだな」と心の中でつぶやいた。
「じゃあ、ここに付箋を用意したから、『管理経費の20%削減』に向けて取り組みたいことを付箋に記入してくれるか。法律や会社のルール違反。倫理に外れている。この2点を除いて、まずは、制限なしで考えて付箋に記入してくれ」と6名全員での検討が始まった。
規制を外して考えてみると、メンバーから自由な発想のアイディアが次々と出てきた。当然、総務・人事管轄以外の部門での取り組みも含まれる。模造紙の上に、付箋がグルーピングされて、まとまってきた。
意外なことに、総務・人事課の管轄外の部門での経費削減アイディアが多く出てきた。総務・人事課のメンバーは、他部門との接触も多く、いつも感じていた効率化のアイディアを出してくれていたのだった。
最終的には、総務・人事課の中を、次のようなグループに分けた。
ベテランの富永を中心にして営業部の管理経費削減に取り組むチーム、若手新庄を中心とした染色管理部の管理経費削減に取り組むチーム、中井を中心とした購買経費削減に取り組むチームの3つのチームで、『管理経費の20%削減』に取り組むことになった。
一人で悩んでいた中井にとっては、力強い体制が整ったのである。

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著作:渡邊茂一郎

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