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2017/02/19
先日、営業マンが自身の成功事例を分析しつつ未来に向けた自己変革のポジティブな気づきを醸成する研修を実施し、とても前向きな参加者の方々との有意義で充実した時間を過ごすことができました。その研修で、思わぬ気づきを得ることができましたのでご紹介したいと思います。
気づきは、受講者が各グループで話し合った内容を発表するときに起きました。
話し合いのテーマは「お客様が営業に期待すること」でした。各グループとも抽象的な表現が中心で、当初は、質問も出ず、平板な発表だなと少しがっかりしていました。
ところが、簡単な質問例を提示すると、これがきっかけとなって他グループから質問がどんどん出始めました。
例えば、お客様の経営層からの期待で「人として信頼できること」という発表内容があり、これに対して他グループから、具体的な内容とこれが出てきた背景を教えて欲しいという質問が出てきました。
私は、約束を守るなどの一般的な答えが出てくるかと思っていましたが、回答は違っていました。お客様の担当者が、業務が集中して超多忙になった時に、業務を少しでも軽減できるような情報提供を行い、この活動をお客様の経営層が見ていてくれ、その後の機器の切り替え時に自社が優先されたという事例でした。
この事例で、相手の立場に立って考え行動することの重要性が、クラス全員に伝わったのです。その後も次から次へと質問が出て、この発表はとても気づきの多い有意義なものとなりました。
さて、この瞬間私の頭の中には、営業面談のシーンが浮かんできました。
実際の面談でもお客様が言ったニーズの言葉をそのまま受け流して、突っ込んだ質問をしない時があります。例えば、「コストを削減したい」などのように、至極当たり前のニーズをお客様が発した時です。通常ですと、営業マンの頭に浮かぶのは、値引きです。
しかし、お客様が「コストを削減したい」と言った時は、その背景には特別な状況があるかもしれません。維持費や管理にかかる人件費を減らしたいのかもしれません。あるいは、従業員にコスト削減の重要性を知らしめたいのかもしれません。
このような場合は、値引きで対応できることではなくなります。結局、お客様の発言の背景を聞いてみないとわからないのです。
このことをその場で受講者に対して話すと、彼らもそうだと賛同してくれ、営業活動における質問の重要性が、実感を持った気づきとしてクラス全体に広がった瞬間でした。
では、お客様のニーズを深掘りする効果的な質問とは、どのようなものでしょうか。
Why What Howの3種ではないでしょか。
Whyはお客様が発したニーズの言葉の背景や理由を問いかけることです。3つのうち最も重要な問いかけです。なぜなら、背景や理由がわかるとお客様が真に意図することがわかり、提案内容が広がる可能性が高まるからです。
具体的なトークとしては「○○の背景を教えていただけますか?」や「どうして○○とお考えなのでしょうか?」のような問いかけになるでしょう。
Whatはお客様が発したニーズの言葉の詳細を聞くことです。このことで具体的な状況や実際の出来事がイメージできます。
具体的なトークとしては「具体的にどのようなことでしょうか?」や「もう少し詳しく教えていただけますか?」のような問いかけになるでしょう。
Howは、お客様がニーズに対してどのように取り組もうとしているか、手段を問いかけます。既に他社を検討しているのか、どのような解決策を考えているのかがわかり、我々からの提案に直結するかもしれません。
具体的なトークとしては「どのようにして達成しようとされておられるのでしょうか?」や「実行手段はどのようなことをお考えなのでしょうか?」のような問いかけになるでしょう。
この3つの質問を駆使することで、お客様とのコミュニケーションは深く広くなり、みなさんからの提案内容はお客様のニーズの本質を満たすものとなるでしょう。
そして、営業が作り出すことができる競争優位性につながります。
みなさん、勇気を持ってお客様に3種の質問をしてみませんか。
(シェルパ・弥左衛門)