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2016/10/15
先週、自宅の一部リフォームを行うことになり、リフォーム会社の営業マンに自宅に2回にわたって来てもらい、いろいろと話しました。この過程で聞くことの意味を再認識しました。我が家を訪問してきた営業マンと部屋のサイズを測ったり、壁紙をチェックしたりしながら、リフォームの内容を詰めていきました。誠実な好青年で、好感が持てましたので、このまま契約しようと思っていたところ、自宅の配管の位置のせいで予定していた器具が取りつけられない可能性があることがわかりました。
この器具はセール価格の商品だったので、他社(ブランド上位のメーカー)に変えると、見積り金額が数万円上がってしまうのです。
実は、配管の位置でそうなるのなら、価格が上がってもしょうがないかと内心思っていましたが、営業マンの方で、「なんとかならないか、帰社して確認してきます」と言ってきたので、「それじゃ、調べてください」とお願いし、1週間後に再度見積書を持ってくることになりました。
1週間後、この営業マンが見積書を持ってきました。「残念ながら、当初予定したメーカーはやはり取りつけられませんでした。でも見積りは、ご満足いただける金額になりました」との回答です。
「へー、そうなの」と思いつつ、見積りを確認すると、オプションで付ける予定の器具が入っていませんでした。「あれっ、この見積りには頼んでいたオプションが入っていないんじゃない?」と問いかけると、この営業マンはびっくりして慌てた様子で「すみません。ミスしました」と平謝りになり、私と目を合わせることもできなくなりました。
通常、このような状況になるとお客様は嫌気がさしてきて、この契約がキャンセルになる可能性が高まります。
結局、私は、このオプション品は今使っているものを継続使用することにして、リフォームを行うことにしました。一連のやりとりでもこの営業マンの誠実な姿勢が感じられ、不信感を持たなかったからです。
さて、この営業マンの誠実さは大きな強みでした。多少のミスも乗り越えることができます。しかし、商談での課題は何でしょうか?
私に何一つ問いかけてこなかったことです。
最初に見積り金額が数万円上がってしまう状況になった時に、「ブランド上位のメーカーに変えると、見積り金額が数万円上がってしまいますが、構いませんか?」と一言問いかけていれば、この後のややこしい事態は回避でき、すんなり契約できていたでしょう。
この営業マンは、価格が上がってしまうことが、まずいと思い込んでいたのかと思いますが、まずは相手がどう持っているのか問いかけてみることが必要でした。
営業活動も一種の交渉ですので、相手と自分の考えの一致点を見つけて合意を積み重ねていくことが重要です。問いかけることで相手の考えが見えてきます。見えてきた相手の考えに対応していくことで、交渉は進みやすくなります。
問いかけることができない営業マンはネガティブな回答が返ってくることを恐れ、問いかけることに躊躇するのでしょうか。しかし、お客様がネガティブな考えを持っているのであれば、早く知った方がいいのです。早く知った分だけ、早く対応できるからです。
また、問いかけること自体が失礼な行為であると思い込んでいる営業マンもいます。しかし人間の脳は問いかけられること自体は、嫌ではなく、むしろ好きであると言ってもいいかと思います。失礼かどうかは、問いかけ方で決まります。連続的に畳み掛けるような問いかけや誘導するような問いかけは、尋問のようになり、相手は不快感を感じます。売らんかなの姿勢での問いかけも同様です。
誠実な姿勢で、お客様の真意にしっかり対応しようという気持ちで問いかければ、失礼なことにはなりません。
心がこもった問いかけの大切さに改めて気づいた出来事でした。
(シェルパ・弥左衛門)