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2016/11/06

先日、所属するNPOの戦略合宿で友人たちと島根県出雲と松江に出張しました。
飛行機が苦手な私は、一人だけ早朝出発して、新幹線・JR伯備線・一畑電鉄と乗り継いで、出雲大社前まで8時間40分かけて移動しました。これだけ電車に乗ると、お尻も痛くなりうんざりするところです。

しかし、長い旅の最後にご褒美が待っていました。一畑電鉄の川跡(かわと)駅から出雲大社前までの区間だけは、観光客向けに若い女性の車掌さんが、沿線の観光地をガイドしていました。ぼんやりと聞いていると、この一畑電鉄は映画「RAILWAYS_49歳で電車の運転手になった男の物語」のロケ地だと言うのです。私は「えっ、そうなの」と色めき立ちました。

今から7年前に31年間勤めた会社を退職して個人事業主として活動を始めたころ、この映画を見て、涙した思い出が一瞬で蘇りました。

終点の出雲大社前駅には、当時のポスターや撮影時の写真も掲示してあり、おまけに、映画のなかで主人公が運転した電車(通称バタデン)が展示してあり、運転席での記念撮影もできたのです。すっかり主人公になった私はおもわずはしゃいで、「出発進行」と掛け声までかけてしまいました。
きつい長旅が、最後で心癒される1日へと豹変しました。

あらかじめ予想していて、その通りになる場合もうれしいですが、この日のように予想しなかった出来事がもたらす喜びは、より一層の価値を感じさせるものです。

さて、営業活動でも同じことが言えるかと思います。お客様が期待していることをその通り提供することも喜ばれますが、お客様の期待以上のこと(予測を超えること)を提供することでお客様の喜びと満足度はより大きく高まります。

お客様が期待していることをその通り提供することを当たり前価値、期待以上のことを提供することを魅力価値と呼びます。当たり前価値は商品の品質・コスト・納期・安全を中心に構成されます。魅力価値は、販売のしかた・クレーム対応・保守メンテナンスなどの付加的なサービスが中心となります。

では、お客様の継続的な購買の意思決定は、どちらが大きな影響力を持っているでしょうか。まず、当たり前価値が不十分だと、意思決定の土俵に乗れなくなります。
しかし、いま私たちが活動している成熟社会では、商品の品質・コスト・納期・安全に差が付きづらい時代でもあります。優れた商品もあっという間に真似をされ、自社も競争相手も当たり前価値には大きな差がないことが多くなってしまいます。

このような時にモノを言うのが、魅力価値です。結局、付加的な要素である魅力価値が購買の意思決定を大きく左右します。ちょっとした接客の差やアフターサービスでの心配りで購買が決まってしまうかもしれません。

皆さんは、お客様の期待以上のこと(予測を超えること)を提供するためにどのような行動をとりますか。一度考えてみてください。

(シェルパ・弥左衛門)

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