お客様導入事例

Usercase

属人的な営業から脱却し、組織で成果を出す仕組みへ
~再現性ある営業プロセス構築で、自走型組織への転換を図る~

浅間商事株式会社

柳沢 太一様(代表取締役社長)
塚田 義尉様(マネジャー)
大岡 拓也様(東京本店 ITアドバイザーチーム)

1962年6月に設立された浅間商事株式会社様(以下、浅間商事様)は、東京都台東区に本社を置き、パソコン・複合機・ネットワーク機器・セキュリティ対策・クラウドサービスなど、オフィスに必要なITインフラをトータルに提供する総合ITソリューション商社です。
「中小企業のITアドバイザー」として、約3,000社の顧客企業を支援しながら、単なる機器販売ではなく、業務課題の解決や働き方改革を見据えた提案型営業を強みとし、地域密着で信頼を築いています。この「課題解決」や「働き方改革」に向き合う姿勢は、取引先の“現在”だけでなく、企業が目指す“これからの姿”まで伴走するという価値観につながっています。いわば“未来提案型”と呼べる営業スタイルで、これは長年の事業変遷の中で自然に培われてきた浅間商事様らしさでもあります。

近年では特に中小企業へのMicrosoft365の導入・活用支援に力を入れています。

まずは柳沢様(代表取締役社長)にプロジェクト実施に至った背景についてうかがいました。

 

~ 好調な業績の陰にある“属人化のリスク” ~

 

取締役本部長 細田 次男 様
代表取締役社長 柳沢 太一 様

─ 今回のプロジェクトを立ち上げた背景について教えてください。

浅間商事では、おかげさまで、当社の営業活動における案件数や売上は近年安定して伸長を続けています。特に、Microsoft365やセキュリティ対策、 IT機器や複合機などの自社パッケージ製品が中小企業のニーズに合致し、高い引き合いをいただいてきました。
しかしその一方で、営業成果の実態を詳しく見ていくと、特定のベテラン営業やマネジャーの経験値に依存している部分が大きく、今後さらなる成長を実現するためには、成功パターンを組織全体で共有・展開できる仕組みづくりが必要であると明確になりました。

特に大きかったのは、営業プロセスが担当者ごとに異なり、判断基準や成功要因が十分に可視化されていないことでした。そのため、若手や新任担当者が自信を持って取り組める共通の行動基準づくりが必要だと感じていました。

─ 営業担当者が行動するための基準が必要だったのですね。

そうですね。マネジャー層もプレイング中心の体制であり、育成やマネジメントに十分な時間を割くことが難しく、より体系的な評価・指導の仕組みが必要な状態でした。
さらには、市場や顧客のニーズが変化し続ける中で、営業スタイルも「商品提案型」から顧客が目指す会社像や働き方に向けた「未来提案型」への進化が求められていました。
こうした状況の中で、私たちは「今のうちに手を打つことで、成長を支えてきた提案力をさらに発展させられる」と考えました。

─ 最初から何をするかが明確だったのでしょうか?

当初は「マネジャーが基準に基づいてマネジメントできるようにしたい」と考えており、営業力強化を専門とする外部企業に相談していました。
そのうちの1社がシェルパワークスさんでした。当社の現状や目指す姿を共有する中で、様々な視点で解決の方向性を提示してもらい、当社の課題がより明確になっていきました。
結果、まずは、成果につながっている営業活動を整理し、「勝ちパターン」言語化することで、社内共通の「売れる営業プロセス」を構築することから着手することとしました。
それがマネジメントの基準にもつながると考えたのです。

─ 面談を重ねるたびに社長の言葉が明確になっていきました。

そうですね。そのやり取りの中で、「この会社は成果に向けて伴走してくれる」と感じたことがシェルパワークスさんを選択した大きな決め手となりました。
これまで何度か社内で仕組み化に挑戦してきたものの、途中で頓挫してしまったこともあり、外部のノウハウは必要だと感じていました。とはいえ、コンサルティング会社が持っているノウハウを当てはめるだけでは上手くいかないこともわかっていました。
そこで、営業現場に寄り添いながら、体系的なノウハウやプロセスで整理してくれると感じたシェルパワークスさんに支援を依頼することにしました。
プロジェクトを進めるにあたっては、私自身も現場の議論に入り、役職や役割に関係なく意見を交わす進め方を大切にしてきました。私は日頃から、「何をやるか以上に、誰と一緒に働くかが大事だ」と考えています。そのうえで、みんなでどんな山(目指す姿)を登りたいのかを確認し合い、それを共通の目標にして進んでいくことが、組織として最も力を発揮できる状態だと思っています。
だから今回のプロジェクトでも、トップダウンで“やらせる”のではなく、現場と一緒に創り上げる変革にしたいという思いがありました。

~ PDCAサイクルを意識した施策 ~

─ 今回のプロジェクトに対して、どのような期待をされていましたか?

営業部長のマネジメントを仕組みとして実現したい。また、より持続的な成長を目指すため、単なる研修や制度設計ではなく、営業組織としての“在り方”そのものや従来の営業スタイルを問い直す変革の取り組みにしたいと考えていました。

─ 具体的にどのような課題を感じていましたか?

当初は「マネジャーが現場をしっかりマネジメントできる基準を整えたい」という漠然とした課題感がありました。弊社には、これまでの歴史の中で築いた顧客基盤がありましたが、一方で、成長するためにチームで戦略を立てて、マネジャーがマネジメントをする、PDCAの基準については言語化や実施が不十分だと感じていました。

─ プロセスだけではなく、運用も必要だったのですね。

はい。構築したプロセスを単なる“型”や “口伝” にとどめず、SFA・CRMと連携させて日々の活動に落とし込む必要があると考えていました。これにより、部下指導や活動と実績のリアルタイムでの可視化、PDCAが進み、営業現場の支援と育成の仕組みが土台として整うからです。

─ お打合せ当初から「PDCA運用を徹底させたい」とおっしゃっていましたね。

そうですね。成果を出している一部の人に頼るのではなく、組織として成果を出し続けるためには、会社の方針や営業戦略を現場で実行管理することが重要です。そのためにも、一過性の施策では効果が出ないと考えていました。

~ 全員参加型でつくる「売れる営業の型」~

営業マネジャー 塚田 義尉 様

ここからはプロジェクトに参加された営業マネジャー 塚田 義尉 様に話をうかがいました。

─ プロジェクトではまず、どんなことから着手されたのですか?

第一ステップは、営業活動プロセスを見直すことから始めました。これまでも当社では、SFA・CRMを使い営業プロセスをマネジメントしていましたが、フェイズの内容が10年ほど前から変わっていませんでした。
その間当社の主要商材は複合機からMicrosoft365の導入活用支援サービスやセキュリティ対策製品やサービスなどに代わり、「物の販売」から「クラウドサービスやノウハウの販売」、さらにはお客様の働き方の「未来提案」に変化しました。

物の販売の場合、実物を見て頂き使って頂くことでお客様に情報が伝わりますが、クラウドやサービス、未来提案の場合今まで違うアプローチが必要になります。

営業活動の進め方は担当者ごとの経験や感覚に委ねられており、「なぜ成果が出たのか」「次にどう動くべきか」といった判断が属人的になっていました。私自身も長年営業に携わってきましたが、日々の活動を改めて言語化する機会はほとんどありませんでした。

─ 言語化にはどのような工夫をされたのですか?

営業活動全体を7つのフェイズ(顧客理解/仮説構築/提案合意/最終調整/受注/納品設置/導入後フォロー)に分解し、それぞれのフェイズで「定義」「ゴール」「必要な行動(KSF)」を全員で議論しました。参加者同士で経験を持ち寄り、言葉にして確認し合うプロセスは非常に新鮮で、学びの連続でした。

 

─ 進める中での気づきはありましたか?

「普段やっているつもりのこと」と「再現性ある行動として設計されていること」の間には大きな差があると痛感しました。ワークショップの中で、自分のやり方が“たまたまの成功”だったと気づくことも多く、他のメンバーの経験からも多くのヒントを得られました。結果として、意思決定基準が明確になり、案件の停滞や曖昧な進行に対して、これまで以上に明確に判断できるようになりました。

~行動の裏にある意図を可視化する~

─ プロジェクトを通じて、どのような変化がありましたか?

営業プロセスを“構造として捉える”視点が加わったことが大きな変化です。私のチームはバックグラウンドが異なる3名を担当しており、これまでは感覚的な指導が多かったのですが、フェイズごとの行動指標が定義されたことで指導の軸が明確になり、レビューや同行支援に活用できると感じています。

─ 具体的にどんな場面で活きていますか?

たとえば「仮説構築フェイズ」では、課題を聞くだけでなく、―仮説を提示して顧客の言葉で確認する―行動基準として定義したことで、レビューや同行支援のときに「ここができていたか」を具体的に指摘できるようになります。以前は「もう少し深く聞こう」ぐらいの曖昧なアドバイスで終わっていたように思います。

─ プロジェクトの中で印象的だったことは?

誰かの成功事例を深掘りする中で「どうやってやっているの?」と聞き合うと、行動の裏にある意図や判断基準が見えてくるんです。そこにシェルパワークスさんの質問が加わって、「あ、それ大事にしていたことだ」と気づく瞬間が何度もありました。

 

~商談の流れをデザインする~

─今回のプロジェクトに参加する前はどんな状況でしたか?

ベテランが多く、それぞれが自分のやり方で独立して動いているのが特徴でした。一方で、若手や中堅への引き継ぎや育成となると、共通の型がないために「どう伝えるか」が難しいという課題がありました。

例えば、新しい担当者が重点顧客に入っても、「この順番で進めれば大丈夫」という共通の手順がないので、どうしても経験や勘に頼ってしまう。結果として、提案の切り口や進め方にバラつきが出てしまっていました。

─ プロジェクトで何が一番大きく変わりましたか?

「商談の流れを設計する」という共通の枠組みができたことですね。特に仮説構築フェイズでは、顧客の業界動向や組織構造、抱えていそうな課題を事前に洗い出し、それに基づいた質問の投げ方までシミュレーションする――この準備の重要性を再確認しました。
商談での会話の深さが変わりました。以前は雑談から自然に課題が出てくるのを待つことが多かったのですが、今は意図を持って質問できるので、短時間で本質的な情報にたどり着けるようになっています。

 

~現場で困っているリアルを共有する~

東京本店 ITアドバイザーチーム 大岡 拓也様

─ 今回は唯一、マネジャーではない立場として参加されたわけですが、どんな役割を意識していましたか?

現場で動く立場から、「実際に困っていること」を率直に出すことです。率直に意見を出せたのは、プロジェクト内に役職を越えて意見を受け止める空気があったからだと思います。
「その視点は重要ですね」と必ず会話が続くため、現場の感覚もプロセスに反映されやすい環境がありました。こうした後押しもあり、普段はあえて言語化されない違和感も、この場ではあえて口にするようにしました。
「フェイズの区切りが曖昧で、自分が今どこにいるのか分かりにくい」とか、「提案書を作る前に誰に相談するかが属人的になっている」などですね。これらは小さなことのようですが、日常では意外とストレスやムダにつながっています。

─ そうした声はプロセス設計にどう活かされましたか?

フェイズの定義や移行条件を明確にするきっかけになりました。また、提案書作成前のレビューの流れも整理され、「誰に」「どの段階で」相談するのかが明確になりました。
以前はSFA入力が“報告用の作業”になっていましたが、今後は「次に何をすべきかが分かる」「フェイズが進まない理由を言語化できる」ツールになると期待しています。入力の意味が変わったことで、自然と入力精度も上がっていくと考えています。

~浅間商事らしい提案スタイルを未来へ継承する~

─ 今後について聞かせてください。

柳沢様
今回のプロジェクトは、単に営業プロセスを整えることが目的ではありませんでした。私たちが本当に目指したのは、「浅間商事らしい提案スタイル」を言語化し、誰もが再現できる形にして次の世代につなぐことです。

当社は中途採用を中心に組織を形づくってきましたが、今回の取り組みを通じて、“未来提案型”のスタイルを誰もが再現できる基盤が整い始めています。前職で培った経験を活かしながら、新しいやり方を一緒に磨いていく仲間と、この文化を次の世代に受け継いでいければと考えています。

属人的な強みを“組織の力”へと昇華させることは簡単ではありません。しかし、マネジャーも現場メンバーも一丸となって経験を出し合い、議論を重ねる中で、生きたプロセスが形になりました。

これからは、このプロセスを現場で使い込み、さらに磨き上げていくフェイズに入ります。営業一人ひとりが自ら考え、行動し、成長できる環境をつくること――それが私たち経営陣の使命です。

浅間商事はこれからも、お客様にとって最良のパートナーであり続けるために、組織としての提案力を進化させ続けます。そして、この文化を次の世代へと確実に引き継いでいく。それが、今回の取り組みの本当のゴールであり、私たちの挑戦の始まりだと考えています。

─ 最後に、シェルパワークスへの今後の期待をお聞かせください。

柳沢様
私たちは今回、営業のプロセスをつくるだけでなく、それを現場で活かし続けるための文化の芽を育てることができました。しかし、仕組みは作って終わりではなく、使いながら進化させてこそ意味があります。

シェルパワークスさんには、これからも私たちの伴走者として、現場の変化や成長のスピードに合わせたサポートをお願いしたいと考えています。ときには外部の視点で新しい刺激を与え、時には私たち自身が気づいていない課題を引き出していただきたい。

営業組織が自走し、次の世代へと文化を継承していくためには、まだまだ磨き込むべき部分があります。そこに一緒に取り組んでいただけることを強く期待しています。

 

【シェルパワークス事業概要】 BtoB企業の営業コンサルティング事業 ―メインサービス― SHERPING|シェルピング、新規顧客づくり(MA支援サービス、マーケティングオートメーション支援サービス、Webマーケティング)、営業組織づくり ―個別サービス― 営業活動コンサルティング、営業マネジメントコンサルティング、営業スキルトレーニング、営業マネジメントトレーニング、SFA定着支援、リサーチ&サーベイ、アセスメント、セールスコーチング、映像化プログラム、伝道師育成プログラム、営業ガイド・ツール制作

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