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2016/09/26

翌日、岩田専務を訪ねて行くと、「ええ値段出してもらったか」と嬉しそうに言ってくれた。「はい、頑張ってもらいました」と言って見積書を出した。
途端に岩田専務の顔が曇った。「ヤマトさんはうちの会社なめとんのかいな。いつも、うちによく来る京都OAの営業マンなんか、『西山銘木損保さんでしたら30%は引けまっせ』と言うてるで」
関根は「岩田専務、うちはそんなに値引きできないのです。品質で勝負してますから」というと、岩田専務は「確かにあんたんとこは高いらしいな。その分頑丈で故障しないとは聞いてる。30%とは言わへん、20%値引きでどうや。そこまでやってくれたら、買うたる」
ついに松原からの問いかけの答えが出た。関根は、「交渉してみると、落とし所が見えて来るもんだなぁ」と思った。しかし、その場で電話を借りて、松原係長に説明して、20%値引きの相談をしたが、全く取り合ってもらえなかった。関根は「岩田専務、一度社に帰って説得してきます」と言って帰社した。
松原は、待っていてくれ、もう一度経緯を聞いてくれた。「お前が訴求しているのは、特別に安くします、ということだけじゃないのか。お前の元気を気に入ってもらったのは良かったけど。通常は値段だけではすんなり決まらないぞ。今回は赤字だけど、まあー、お前の1号機(ヤマトビジネスマシンでは、初めて販売を1号機と呼んでいた)がかかっているからな。20%値引きで見積作って、決めてこい。契約書忘れるなよ」と言って、送り出してくれた。
関根はすぐさま見積書を作成して、西山銘木損保の岩田専務のところへ駆けつけた。
岩田専務は、「よう気張りはったな。それじゃ、これで決まりや」と言ってくれた。「ありがとうございます。それじゃ持込みデモ用から、新品に切り替えますので、3日ほどで入れ替えに上がります」、こう伝えて帰社の道についた。契約書のことはすっかり飛んでいた。気がつくと5時だった。肌寒くなってきた京都の街を歩きながら、「これでやっと1号機が売れた。売れる時は意外とあっけないもんだなー」と関根は、嬉しい反面拍子抜けしながら心の中でつぶやいた。
営業所に戻ると、係のメンバー全員が待っていてくれ、「1号機おめでとう」とみんなが祝福してくれた。ひとしきりの歓声が収まった後、松原から「契約書はもらってきたか?」と聞かれた。関根はハッとして「いえ、まだです」と答えると、「営業研修で教わらなかったか? 契約書にハンコついてもらうまで、どう転ぶかわからないもんだぞ」と指摘された。
「明日早めに訪問して、もらってこいよ」。
「はい、午前中に行ってきます」と関根は答えたが、不安の雲が心の中にモクモクと浮かび上がってきた。
松原係長から、「今日はみんなで関根の1号機のお祝いだ」と声をかけられ、関根は「みんな、何も言わなかったけど、こんなに心配してくれていたんだ」とみんなの優しさが心に沁みた。この晩は、河原町に繰り出し餃子を食べ、2次会はカラオケに行き、散々騒いだ。
翌日は8時に出社し、訪問準備をしていると西山銘木損保の岩田専務から電話がかかってきた。嫌な予感がした。

著作:渡邊茂一郎

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