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2017/03/14

その後、予定通り3社への引き継ぎ訪問を済まし、帰社してから関根と横山は、提案書作成に取りかかった。横山が今まで確認した山本チェーン京都工場でのコピー機の利用の仕方と総務部長からの要望を盛り込んで、新しく追加された機能やより強化された機能が山本チェーン京都工場の生産性向上にどう繋がるかをアピールした。もちろんコピーカードの無駄防止システムも盛り込んだ。
その上で、競争相手との違いは、機械の機能だけではなく、アフターサービスや企業姿勢も強調した内容とした。アフターサービスは、サービス部門に協力してもらいお客様の電話からサービスマンが訪問するまでの流れと裏付けとなるデータ(訪問までの平均時間、メンテナンスが完了するまでの平均時間など)も添付した。
「関根、この提案書でどうだ。後は補足資料を整えれば完成だな」。
「うん、これなら大丈夫かな。あとは京都OAの提案次第だしな」。
「じゃ、残りは頼むよ。次回は同行できないけどよろしく頼むよ。山本チェーン様はいいお客様だからな」。
「任せておいてくれ。明日総務の富山部長と箕輪課長にアポイントをとって早めに提案してくるよ」
3日後、関根は1人で山本チェーン京都工場の総務の富山部長と箕輪課長を訪ねた。訪問すると早速、箕輪課長から「関根さん、先日京都OAさんが来られて、御社のロイヤリティの話をしていきました。」と言ってきた。
「京都OAさんから『ヤマトビジネスマシンさんはアメリカ企業と技術提携して高額のロイヤリティを支払っているため、その分コスト高なのです』と言ってきました。横山さんが言った通りでしたので、びっくりしました。ヤマトビジネスマシンさんへの対抗策として、京都OAさんはみなさんが言っているようですね。こちらから、『ヤマトビジネスマシンさんのロイヤリティのことは知っています。ただしその分、カストマイジングや保守サービスは充実していますよ』と話したら、目を白黒させてました」と笑いながら箕輪課長が教えてくれた。
「そうでしたか」と関根はあっさりと答えたが、内心は「やったー」だった。
この布石は見事に当たったのだ。富山部長と箕輪課長からの信頼はより深まり、この商談はヤマトビジネスマシンが主導する形で終始進んだ。関根が提示した提案書も前向きに受け入れてくれた。コスト差も、「このくらいまで埋めてくれないか」と富山部長より内々の相談があり、社内をなんとか説得することで、乗り越えることができた。最終結果は言うまでもなく、ヤマトビジネスマシンの勝利となった。
この商談は、関根にとって大きな転機となった。
上京区担当の頃は、アプローチ段階で信頼を得ることはできるようになったが、いざ検討となったときは、コピー機のスペックの優劣で、競合との差をつけようとしていた。しかし、それは重箱の隅をつつくようなものだった。自分でもわかっていながら、それ以外にやることが見えていなかったのだ。結果として、ヤマトビジネスマシンというブランドの力があった上で、受注率は、やっと半分を維持したレベルだった。
それが、今回の横山との同行で、会社の総合力や方向性という要素も含めて、競争に立ち向かえることがわかったのだ。さらに、相手の考えを予測し布石を打つような「考える営業のしかた」も競争力の一つとなりうることも見えてきた。
ここまでできると、「営業はゲームだ」という横山の言うことが納得できた。
苦しく汚く嫌われる3Kと思っていた営業という仕事は、予測してその結果を楽しむ「おもしろくワクワクする仕事かもしれない」と関根の心の中で変わってきていた。「この仕事をもっと極めてみたい」という気持ちが心の中に渦巻いてきたのだった。
これ以降、関根の出勤前の気持ちが変わった。意を決して辛い仕事に臨むスタンスから、「今日は狙った通りになるかな」、「今日はどんな布石を打とうかな」と期待する気持ちになったのだ。

第5話 完 第6話「ライバルとの戦い」へ続く

著作:渡邊茂一郎

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