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2017/05/29

関根は「やはり木村課長はかなり気分を害していたのか」と思った。
関根は早速、「木村課長、失礼なことしてしまって申し訳ありませんでした」と
謝った。「出張でお留守の時に大和田社長を訪問して、あれこれお話してしまいました」と言って、頭を下げた。
しかし、木村課長の反応は意外と穏やかなものだった。「関根さん、出張から帰って社長から話を聞いた時には、私も腹が立ちました。しかし、社長から関根さんの提案内容とその時の状況を聞かされてからは、腹立ちは治まりました。社長からは、『あんたに任せたのだから、まずあんたの考えで、事務用コピー機の選択をしてほしい』と言ってもらえましたので」
一呼吸置いて、木村課長は続けた「だから、事務用コピー機は出張前に決めた通り、京都OAさんで決めさせてもらいました」
「そうだったんですかー」、てっきり怒りの言葉を浴びせられるものと思い込んでいた関根は、半ば安心、半ば驚きながら、聞き入っていた。
「しかし、関根さんの提案書を見たときは、私も驚きました。『ここまで当社のことを考えて提案してくれているとは・・・』と思いました。『この内容だったら、社長に直接話したくなるだろう』とも思いました。ですから、社長からもう1台デザイン部用としてヤマトさんからコピー機を検討したいと相談された時には、私も賛成しました。もともとヤマトさんの保守サービスや営業姿勢は私も評価していましたので」
関根は「ありがとうございます」と改めて頭を下げた。
「先ほど、素っ気なくしたのは、私のほんのちょっとした腹いせです」と木村課長は、笑いながら言ってくれた。
「我が社の友禅染業界はこれから厳しい状況が続くと思います。その中で生き残っていくことに必死なのです。関根さん、これからもヤマトビジネスマシンさんの力も貸してください。こちらこそよろしくお願いします」、木村課長は真摯な表情で手を差し出した。
「ありがとうございます。弊社こそよろしくお願いします」と関根も手を出し、握手した。
木村課長から「これからは、事業に関することでも、まずは私に話してください。その上で、私は社長との面談をセッティングしますので」と念を押された。
「もちろんです。これからも木村課長に情報提供や提案をさせていただきます。ただし、御社の中をうろちょろすることもありますが、構いませんでしょうか」と答えると、「構いませんよ。我が社の事業の役に立つことにつながるのでしたら、あちこちで話を聞いてください。その代わり、その内容を私に教えてください。我々も見えてないことは多々ありますから」と木村課長は答えてくれた。
この後、木村課長と搬入・設置と契約上の手続きに関する打合せを行い、面談は終了した。
緊張した面談が終わり、関根は車の中で一息ついた。洛西染工の商談を振り返った。
「いろいろあったが、勉強になったなー。しかし、何が重要かと言って、結局は、お客様の事業の役に立つことだということを改めて認識したな。図書館で調べたり、同業他社から聞いたことが役に立った。社長との面談で社長があんなに語ってくれるとは思いもよらなかった。まあ、社長の立場で考えれば当然だったけど」

著作:渡邊茂一郎

その12「京都OA山本」へ続く

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