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2017/07/11

課のミーティングが終わり、年度がスタートすると、さっそく販売3課のやりかたとして、リーダー同行の上、ユーザーでのコピー機増設を狙った活動をするようにと、田島課長からお達しがでた。このやり方は、セットリース作戦と名付けられた。
チームリーダー勝田主催のミーティングがあり、ユーザーリストを提出し、勝田との同行の予定が決められていった。3年間のレンタル契約でコピー機の使用期間が2年以上のユーザーに対して、リースに切り替えて1台増設するという提案を行うのだ。
さて、ここでレンタルとリースの違いを説明しよう。レンタル、リースとも企業が所有するのではなく、有期で借りることは同じだ。企業とってレンタル料、リース料とも経費処理がしやすいことも同じだ。違うことは、レンタルは販売する側が直接ユーザーに貸すが、リースは販売側が一度リース会社に売却して、リース会社からユーザーに貸すことになる。レンタルは、契約期間中に機種変更が可能だが、リースは、一度契約した機種を期間中使わなければならない(途中で解約する場合は、残期間のリース料をリース会社に全額支払う)。だからリースだと、販売側は機種代金を契約時に一括で回収できるが、レンタルは契約期間を通じて回収することになる。当然、同じ契約期間だったらリース料に比べてレンタル料は割高となる。また期間はいろいろだが、レンタルは3年が中心、リースは、コピーの経理上の償却期間と同じ5年契約になることが多かった。
ヤマトビジネスマシンは元々レンタル契約でコピー機を普及させてきたが、このころは、リース契約も対応していた。しかし、多くのヤマトユーザーはレンタル契約の方が多かった。3課のやり方は、ここに着目したのだった。
関根の順番が来て、勝田とのユーザーへの同行が始まった。勝田は、複数台数のコピー機を使っている規模の大きいユーザーではなく、1台だけ使用してくれている規模の小さなユーザーを選んだ。和装小物を扱う大森商事だ。
関根が事前に総務課長にアポイントを取り、訪問した。
勝田が挨拶し名刺交換すると「関根さん、今日は偉いさんとご一緒ですか」と高田課長は機嫌よく話しれくれた。
勝田が「今日は日頃のご愛顧に報わせていただきたく、いい話を持って来ました」と応じる。事前に用意した現在の1台使用と2台使用との比較資料を持ち出して、勝田が説明を始めた。関根は黙って横に座っていた。
「現状から1台増やして、2台体制のご提案です。2台になってもコストは全く同じです。たまですが故障してご迷惑をかけているかと思いますが、その時にご不便かけることも、もうありません」
高田課長は「へーそうですか。なんでこんなうまい話になるのですかね」と不思議そうに尋ねてきた。
勝田は慣れた感じで答え出した。
「私どもは、お客様に長く使っていただけることが大切だと思っています。お客様の複写印刷環境を向上していただくことを最優先にすることがヤマトビジネスマシンの方針なのです。ただし、どの企業様にもご提案しているわけではありません。長く使っていただいているお客様にのみ、この様なご提案をさせていただいています」
人の良さそうな高田課長は、「さすがヤマトさんですなー。オタクは優良企業だからね」と言って納得した。
「もしもご了解いただける様でしたら、今のレンタル契約から5年リース契約に変わりますので、よろしくお願いいたします。今回のご提案では、皆様リースで契約いただいていますので」と勝田は答えて、商談は終わった。
さて、翌日になると、大森商事の高田課長から電話が勝田宛にかかってきた。社長に話すと、そんないい話だったらすぐに契約しろとの指示だったとのことだ。
関根は今までとのあまりの違いに拍子抜けし、「今まで苦労して1台1台と積み上げてきた活動はなんだったんだ」と思った。
このようなパターンで、3課の比較的小規模のユーザーでの増設活動が進んでいった。目先の契約が決まるため課全体は盛り上がった。
しかし、関根は沈鬱だった。「結局は、タコが自分の足を食っているようなもんだ。それにユーザーに十分な情報を伝えずに増設して行くことは、お客様からのヤマトビジネスマシンへの信頼を裏切っている気がする」という言葉が心の中で反響しあっていた。

著作:渡邊茂一郎
その3 「ムチ」へ続く

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