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2016/09/26
思い込み
先日、夕方の涼しさに誘われて、自宅付近をウォーキングした時の話です。
新しく建てられた区画の家並みや、古くからある町並みを見ながら歩いていると、どこからともなく教会の鐘のような音色が聞こえてきました。
自宅付近では夕方になると、学童達の下校のお知らせや17時の時報が街頭のスピーカーから流されるので、てっきりその類のお知らせかと思い、音の鳴る方へ足を向けました。実は、「あの交差点にスピーカーがあったな」と思ったとたん、音がその方向から聞こえてきたのです。
しかし、そちらの方角に進んでいっても一向に音の元にはたどり着けません。こんなに長い間一体どこから鳴っているんだろうと改めて周囲を眺め、音の方向を見定めてみましたが、とうとうどこから鳴っているのか方向がわからなくなってしまいました。
そのうち「この音、なんか聞き覚えがあるぞ」と思い出しました。「いつも使っているスマートフォンのタイマーと同じだ」と考えたとたん、自分のポケットが音源だったと気づきました。
なんと、ウォーキング開始時に歩いた時間を計るためにストップウォッチをセットしたのですが、その際に間違ってタイマーもセットしてしまったようで、設定した時間が経って、鳴り出したのでした。
自分の間抜け加減に驚くとともに、遠くで鳴っていると自ら思い込んだ結果、自分のスマートフォンからの音だとは、全く思いが至らないことに愕然としました。
「人って思い込むと、自分のポケットから発している音さえも、別の場所から聞こえてくるようになるんだな」と思いました。自分は客観的に物事を見ることができると思っていたのですが、いやはやまったく違っていたことに驚きました。強く思い込むと、意外なほど事実を客観視することができないものなんですね。
ひょっとしたら、日々の仕事の中で同様な思い込みと事実誤認を繰り返しているかもしれないと気づいた出来事でした。
自分を客観視できる冷静な目(これをメタ認知と言います)を持ちたいものです。
尚、メタ認知とは、自分と自分の周りを別の自分が上の方から客観的に眺め、自分の感情や考えから離れて、その場で起こっていることや自分の心の有り様を冷静に把握できる認知能力のことです。営業に従事する方やマネジャー職の方にとても役立つ力です。
(シェルパ・弥左衛門)