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2017/05/01

京都OAの山本は、今までの持ち込みデモで聞き取った利用者の意見を元に提案書を作っていった。コピー使用の大半を占める事務系業務にフォーカスして、京都OAが販売するムサシOAの最新機種ムサシ5の機能と利用者にもたらすメリットをまとめていった。
山本には、総務課の木村課長が京都OAに傾いている確信があった。利用者も京都OAに傾いていると感じていた。特別販促費の投入も木村課長に評価されていた。
翌日、この提案書で決めてしまうつもりで、山本は木村課長に面談した。
「木村課長、そろそろ結論出す頃合いかと思いますが、いかがでしょうか?」
「そうだね、もう2台並べて1週間経つからね。いつもまでもこのままではいけないと私も思っていました」
「利用者のみなさんの声もまとめて提案書を作ってきました。ちょっとご説明してもいいですか」
「そうですか。まずは提案書を見ましょうか」
山本が熱く説明しだすと、木村課長は、時折質問を挟みながら、熱心に聞いてくれた。
説明しながら心の中で「このパターンだと、決まりだな」とつぶやきながら、山本はクロージング(契約への決断を迫ること)にかかっていった。
「木村課長、最終的には、どなたが決められるのですか」
「一応、決定は社長だけど、社長から『コピー機のことはあんたに任す』と言われているから、私で決められますよ」
「それじゃ、どうですか。決断していただけませんか」
「うーん、そうだねー。まあヤマトさんも熱心だからねー。私の方でも利用者の意見を改めて聞いて見てから、結論出しますから、それまで待っていてください。今回は京都OAさんに分がいいですし」
「よろしくお願いします。いつごろには、結論いただけますか?」
「後、1週間くらいでいい返事ができると思いますよ」
「ありがとうございます。楽しみにしています。よろしくお願いします」
こんなやり取りの後、山本は洛西染工を後にした。
「関根もかわいそうだけど、まあしょうがないな。気になるのは、社長とまともに話してないことかな。木村課長も任されているっていることだし、大丈夫か」と独り言を言いながら、社用車を運転して、オフィスに戻っていった。
オフィスでは、課長の佐々木が待っていて、洛西染工の状況を説明して、今後の進め方を検討した。山本と同じく佐々木も洛西染工の社長とまともに話してないことが気になっていた。
「山本、早めに同行して社長に挨拶するか。社長からも『コピー機のことは木村課長に任している』と言質取っておいた方が良さそうだしな」
「はい、お願いします。早速、木村課長にアポイントを頼んでおきます」

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著作:渡邊茂一郎

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