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2016/09/05

さて、次の実習地は東京だった。いよいよコピー機を販売してくるのが目的だ。関根は気が遠くなる思いだった。売れる気はしない。飛び込むと結構叱られることもある。「すみませんでした」と謝って出てくるのもうんざりしていた時だ。
ある病院の事務室に飛び込んで挨拶し、名刺を出すと、前にいた総務の担当者は、下を向いて書類に何かを書き込んでいた。もう「一度ヤマトビジネスマシンの関根と申します」と名乗ったが、全くの無視。カーと頭に血が上った。一度出して担当者の机の上に置いた名刺をむんずと回収し、黙ってその事務所から出てきた。突然後ろから「ちょっと待て、何て失礼な奴だ。その名刺を戻せ、会社に連絡してやる」と担当者が追いかけてきた。こちらも必死だ。慌てて走り出し、「お前に渡す名刺なんてねーよ」と捨て台詞を残し遁走した。まだ学生気分が抜けていない関根だった。帰社後に実習先営業所のマネジャーに相談すると、「明日謝りに行って来い」と言われたが、マネジャーからはその後フォローもなくそれっきりだった。もちろん謝りにも行かなかった。
この出来事以来、実習には身が入らなくなった。関根は早くもサボリを覚えたのである。朝営業所を出発すると、すぐ喫茶店に直行する。ちょうど長編の船乗り冒険小説を読みかけていたので、よく本を読んだ。1日で喫茶店のはしごをするから意外とお金もかかる。夕方疲れたふりをして、営業所に帰り、簡単な日報を作成する。ほとんど創作だ。この創作も毎日となるとネタがなくなり、同じような内容が続く。実習先のマネジャーはわかっていたはずだが、こいつは見込みがないと烙印を押したようで、ほったらかしだった。 この頃から関根には漠然とした不安感が頭を覆っていた。同期との競争は、この時点でもう大きな差がついているんじゃないか。実習の中で、まともな商談は経験できていない。だから基本的な営業活動の仕方もよく分からないし、営業をしていく自信も全くないのだ。
関根は、この状態で、京都営業所へと配属されたのだ。

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著作:渡邊茂一郎

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