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2016/09/20

配属後2ヶ月が過ぎると、横山は、4台目を決めていた。全国の同期でもトップクラスの成績だ。さすがに関根も焦りだした。まずは訪問量を増やすことと思い、毎日の行動量を増やし、50件くらいの初回飛び込み訪問と10件ほどのリピート訪問をこなしだした。下手な鉄砲でも数撃ちゃあたるというが、訪問量が増えると、いい話がポツポツと出始め、商談機会も増えた。しかし関根に初めての販売の機会(1号機)はまだ訪れていなかった。
ちょうどその頃である。千本通り沿いの雑居ビルの一室の西山銘木損保株式会社という会社に飛び込んだ。京都の西山の森林組合が経営する損害保険会社だった。
「まいどー。ヤマトビジネスマシンの関根と申します。事務機の担当の方にご挨拶に参りました」と大きな声をかける。関根の大声は、地声と体の大きさのせいだが、係の松原から、「関根の強みは、声の大きくて元気のいいことだな」と褒められてから、大きな声で元気良く笑顔で挨拶するよう心掛けていたのだ。
「えらい元気のええ営業マンやな。こっちへお入り」と奥の席の責任者らしき人がにこやかに声をかけてくれた。「実はな、今うちで使っているコピー機、調子悪いんや。あんたんとこは大手やし、いいコピー機あるか?」西山銘木損保の専務の岩田さんだった。
こんなホットな話は初めてだ。関根は、待ってましたとばかり、カタログを見せながら持込みデモの話を切り出した。
「ほー、1週間ただで使わしてくれんのかいな。それやったら使ってみて検討するから、はよもっといで」
関根は、舞い上がった。今使っているコピー機がどのような状態なのか、なぜ替えようとしているのかを確認もせずに帰社して、搬入の手続きをした。2日後、小型のコピー機を持ち込むと、西山銘木損保の事務員の方が集まってきた。使い方を説明すると、「新しいコピーは写りが綺麗やなー。これやったら仕事に支障をきたすこともないなー」とみんな喜んでくれた。
説明の後、岩田専務に挨拶に行くと、「みんなの評判も上々やな。明日にでも見積書持ってきてよ。気張って値引きしてやー」と言われた。とうとう1号機販売の機会がやってきたのだ。関根は舞い上がった。岩田専務に「頑張ってきます」と言い残して、急いで帰社して、係長の松原に報告し、値引きの相談をした。
松原からは「で、お客さんはいくらにしたら買うって言ってるんや」と一言。関根は返事に窮した。そんなこと岩田専務に確認していなかったからだ。松原からは「しょうがないな。じゃ、5%までだったら、値引きしてもいいからその線で一度交渉してみろ」と指示された。

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著作:渡邊茂一郎

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