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2016/10/11
翌日、気持ちを切り替えて西山銘木損保を訪問した。幸い、持込デモのコピー機があるので、行きやすい。元気に挨拶して事務室に入ると、事務員の方々はちょっと驚いた様子だった。
「昨日は大変だったようだけど、元気に来てくれてほっとしたわ」と声をかけてくれた。関根は、「もう大丈夫です。気持ちを切り替えて、皆さんの仕事にお役に立てるようにこれからも頑張ってきます。つきましては少しコピー機の使用状況を教えてもらえますか」と問いかけた。
事務員の方々は「いいわよ」と快諾してくれた。
「さっそくですが、こちらのコピー機はどんなものをとっているんですか」
「一般的な書類も多いけど、損害保険関連の契約書のコピーをよくとるわね。契約書だからできるだけきれいにとっておきたいの。だけど今のコピー機は、字がかすれてしまうことが多いのよ。だから濃度を濃くしてとるんだけど、そうすると白い部分が黒ずんでしまって汚らしくなってしまうの」
「今デモさせてもらっているうちのコピー機はどうですか?」
「とてもきれいにとれるから助かるのよ。いつも濃度調整には苦労していたから」
「契約書ってそんなにきれいにコピーしておかなくてはならないのですか?」
「保管しておいて次の契約のときに確認することが多いのだけど、文字がかすれていると数字とか間違いやすいでしょう。間違えたら大変だからね。かといって、全体的に黒ずんでいるのも困りもので、見にくいと間違いのもとだからね」
「あとほかにもお困りのことありますか?」と関根は丁寧に聞いていった。
「まだまだあるわよ」とそれから困りごとをいろいろと教えてくれた。
関根は、一度営業所に戻り、先ほど聞いた問題点を整理した。その上で今デモ中の自社のコピー機で、どのように改善できるのか、提案書にまとめてみた。
「松原係長、西山銘木損保さんの提案書を作ってみたんですが、ちょっと見ていただけますか?」と松原に頼んだ。松原は「おー、やっと提案書を作ったか、どれどれ・・・」と言って見てくれ、数か所の修正ポイントをアドバイスしてくれた。松原からのアドバイスは、改善効果が次期の契約書作成にどう反映し、西山銘木損保のお客様の満足度と再購買の向上につながることまで、提案書に盛り込んだ方がいいというものだった。
関根がちゃんとした提案書を作ったのは初めてだった。西山銘木損保の岩田専務に明日伺う旨のアポイントをとり、関根は家路に着いた。激動の1日だったが、不思議と落ち着いた気分だった。
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著作:渡邊茂一郎