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2017/05/21

翌週早々、洛西染工の木村課長から関根に電話があった。
「いろいろと頑張ってくれましたが、社長と話して結論が出ました。お会いしてお伝えしますので、今日来れますか」
「はい。もちろんです。これからすぐ伺っても構いませんか」
「早い方がいいですね。ではお待ちしています」
「結論は、まるですか、ばつですか」
「まあ、おいでいただいてから話しますから」
このようなやりとりがあって、関根は移動した。
社長には、関根の思いは伝えたが、木村課長は京都OAで決めていたようなそぶりだったので、結果は予想できなかったが、今の電話で関根は悲観的な気持ちになった。
関根は「もったいぶらずにダメならダメって電話で言ってくれればいいのに」とつぶやきながら、車を運転して洛西染工に向かった。
洛西染工に着くと、珍しくいつもの商談コーナーではなく、応接室に案内された。関根は嫌な予感がした。しばらくして木村課長がやって来た。顔の表情は厳しい。関根は、ますます暗い気持ちになった。
「この度は、いろいろとお手を煩わせてしまい、申し訳ありませんでした」と関根はまず深々と頭を下げた。
「まあ、どうぞ、お掛けください」と木村課長はよそよそしい。
「早速ですが、今回のコピーの選定結果を伝えます。ヤマトさんには申し訳ないが、事務室のコピー機は京都OAさんに変えさせていただきます」と冷たく伝えられた。
あらかじめ予想したこととは言え、関根は目の前が真っ暗になる気持ちだった。横山から預かった大切な大口ユーザーを早くも失ったのだ。また、洛西染工でのガチンコ勝負には、多大な時間とパワーを注ぎ込んだのだから。
「どうして京都OAさんに決められたのでしょうか」関根は思わず問いかけた。
「そうですね。やはり1枚目の排出時間が早いのが、事務職のメンバーから高く評価されたのが大きかったです。これ以外は大きな差はなく、ヤマトさんがいいという声も多かったのです。僅差の勝負でした。うちの使い方に合っていたということです」
関根は、力なく「そうでしたか」と返事をした。
木村課長は「まだ先の話があります」と言ってさらに続けた。「事務作業用としては京都OAさんを評価しましたが、この度デザイン部用に新たに1台コピー機を増設することにしました。そちらはヤマトさんにお願いします」
うなだれていた関根は「えっと」と声をだし、顔を上げた。
「こちらの増設は、社長からの指示です。関根さん、私の出張中に大和田社長に直接営業したみたいですね。その時点では、今回の選定の結論は出ていましたが、社長からデザイン部用にもう1台増設するようにと指示がありました」
「木村課長、ありがとうございます」と関根がほっとしながらお礼を言うと「礼なら、社長に言ってください。私はこちらには関わっていませんので」とそっけなく木村課長は答えた。

著作:渡邊茂一郎

その11「商談の顛末」へ続く

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