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2019/07/01

2.営業現場の実態(改革の必要性を実感する)

入社早々、同僚から拒絶されていることを実感しながら、この状況から抜け出すためにはどうすべきかを考えた。まずは、この状況から目をそらさず直視しなければならない。この状況を招いたのは誰のせいでもなく自分自身である。そのこと自体は理解できるが、なぜこのような状況になっているのか、その原因がわからない。誰も私のことを深く知らないのに、社長以外の経営幹部には拒絶されていることは事実である。幹部以外の社員からは露骨に拒絶されるようなことはなかったが、歓迎されていない空気が社内に流れていることは感じていた。重い空気、よそよそしい目線、ぎこちない会話。私は皆の敵ではないのに、まるで敵が乗り込んできたかのうに思われているのだろう。

 

しかし、私にとって今が最悪な状態であると考えれば、これ以上悪くなることはないから逆に気が楽である。自分にそう言い聞かせつつ、時間はかかるかもしれないが空気を変えるためにまず、自分を理解してもらうことから取り組んでいこう、そう思っていた矢先に絶好のチャンスが舞い込んできた。全ての営業所を回る仕事に恵まれたのである。全国に点在する営業所の所長、営業担当者と接点が持てる。私は皆の敵ではないことを理解してもらうきっかけ、自分自身を少しでもわかってもらうきっかけが得られたことに少しホッとした気持ちを持ちつつ期待と不安に包まれていた。

本社の重い空気から解放される安堵感と全国各地の社員に自分を理解してもらうチャンスを得たことの嬉しさを胸に私の全国行脚が始まった。お客様、業界の慣例、競合会社、協業会社、社員などいろいろなことを知り、学び、気づくことができ、私自身とても貴重な時間を過ごすことができた。全国どこの営業所に行っても基本的には1日、1名の営業担当者と同行する。その繰り返しであった。ほぼすべての営業担当者と同行した。私が感じていた重い空気、敵のように見られている感覚が大きく変わることはなかったものの、空気が重くなっている原因、敵のように見られている背景に何があったのか、それらがこの2ヶ月間で私なりに掴めた。それは私にとって大きな収穫であった。

 

ある営業所の社員A君が宿泊するホテルに迎えに来てくれた。おはようございます!はじめまして!とお互い挨拶を交わし、社用車で営業所に向かう。その道中A君とたわいもない会話をする。私はA君に好印象を持った。営業所に着いて、まず所長の席まで行き挨拶をする。しかし、反応がぎこちなく様子がおかしい。所長がまともに目を合わせてくれないことが気になった。しかし、ここで怯んではいけない、そんな時こそ明るく振舞おうと思い、営業所の社員に対して精一杯明るく挨拶をしたが、やはり反応がぎこちない。本社と同じ空気だ!そう感じた。しかし、A君と外に出ると様子が一変する。営業所の重い空気などみじんも感じない。

A君は純粋に「なぜ、夢野に入られたのですか?」

「夢野に入られるまでは何をしていたのですか?だいたい聞いてはいますけどね」と色々聞いてくる。

「え、どう聞いているの?」と尋ねるとそこはお茶を濁されたが、A君は私の質問にも素直に答えてくれた。A君はお客様にも好感を持たれているという印象を持った。

全国行脚初日、朝はどうなることかと思ったが、幸先のいいスタートが切れた。そう思いつつ、営業所に戻ると同行してくれたA君は早速、所長に呼ばれ会議室に入った。しばらくして出てきたA君の様子がおかしかった。1日を振り返るために声をかけるが、その反応は外に出ている時とは明らかに違っていた。翌日から週末まで別々の社員と営業同行をしたが、私からの問いかけには答えてくれるものの、彼ら彼女らからは私に対して話かけてくることはあまりなかった。

 

また別の営業所を訪問した時である。月曜日の朝、私が宿泊するホテルにB君が迎えに来てくれた。7時半である。この営業所も月曜日だから朝から会議があるのだろうと思っていた。しかし、B君は会社には向かわず、しばらく走るとコンビニの駐車場に営業車を停めた。「すみません。お客様とのアポイントまで2時間ほどあるので、ここで時間をつぶします」と言い、寝てしまった。その日の夕方17時過ぎ、また別のコンビニの駐車場に入った。

電話で所長に「今から、〇〇様を訪問してから帰社します」と連絡を入れた。しかし、1時間余りコンビニの駐車場から出ることはなかった。やっと駐車場から出てしばらく走った先は営業所であった。営業所に着くとB君は私に「すみません、朝のこと、今のことは所長には言わないでください」と言ってきた。B君はお客様先でもまともに会話ができる状態ではなかった。営業としての能力が欠如しているのか、やる気がないのか、1日では判断することはできないが、何かに怯えているように感じたことは今でもはっきり覚えている。

 

翌日、同じ営業所のC君と終日行動を共にした。明るく元気な雰囲気を持つC君の行動が気になった。一言でいうと軽い。お客様先でも調子のいいことばかり言っている。ある商談後、そのことについてふり返って話し合った。一方的かつ金額の話しか話題にしないことが気になった。

ところが、「所詮、客は値段で決めるんですよ」とさらっと言ってのけた。お客様はC君から買うそぶりを漂わせる。しかし、ちゃっかり競合他社の値段を引き合いに出して値引き交渉を仕掛けてくる。競合の値段が本当かどうかもわからない。それでも、お客様が言ってきた値段の下の価格を提示し商談成立。お客様は「Cさん、ありがとう!助かるよ」と言う。C君はまんざらでもない顔をしている。お客様はC君を掌に載せて操っているだけなのに、C君がそれに気づいていないことが気になった。しかし、そんなC君から私は貴重な情報を得ることができた。C君に対する懸念点が私にとっては功を奏することになろうとは皮肉なものである。

『あいつには気をつけろという』情報が行き来しているというのだ。

『全営業に出向き同行する目的は、所長、営業担当者の評価をすること、その評価が全て社長に伝えられる』というのである。

所長から『余計なことはしゃべるな』と釘を刺されていることもC君は話してくれた。C君にはそんなことは一切ないことを伝えた。C君だけではなく、皆に言いたかったが、それをしてしまうとC君が責められることは明らかだ。ここは知らんふりを通した。

 

営業幹部から営業所長に、そして営業所長を通じてメンバーへ、私に対して『気をつけろ』、『余計なことはしゃべるな』という話がなされている。やっと原因がわかった。誤った情報でこのような仕打ちを受けることが腹立たしかった。こんなに次元が低く、余計なことに気を回せるほどの余裕があるのであれば、その時間をお客様に向けろ!と言いたかった。心の中で、営業のレベルが低すぎると自分の会社を罵る感情を抱いた、そして、この時ばかりは夢野に来たことを後悔した。

しかし、この誤解を解くのも自分でしかできないことは理解していた。何よりも、この営業組織は本当に改革が必要であることを実感したのもこの瞬間だった。そんな時、私の気持ちを後押しする出来事があった。全国行脚の後半、ある営業所に出向いた時である。

 

そこの所長は今まで私が訪問してきた営業所の所長とは明らかに違った。私が宿泊するホテルに初日の朝、自ら迎えに来てくれて、いろいろな話をしてくれた。その中で今でも私の心の支えになっている言葉がある。『いい会社に変わるために力を貸してください』と言ってくれたのだ。

その所長は私に『他の業界から来ていただいたことに大きな期待をしています。私たちのことを客観的に見て、どこに問題があるのか、何を変えなければならないのか、変えるためにどうしたらいいのかを教えてください』、

『皆、変化を恐れているように思います。競合各社がどんどん攻めてきているにも関わらず、そこから目を背けようとしているように思えてなりません。このままでは夢野はダメになります』。

 

彼の中から『いい会社に変わるために力を貸してください』という一言が出たのである。私は救われた。その所長は、私が影で批判されていること、なぜ批判されているのか、ということも全て率直に話してくれた。ただ、この批判を嘆き悲しんでも何も変わらない、批判をした人たちに批判をしたことを後悔させるくらいにしなければ自分の存在価値はないことがわかった。その時、自分が夢野に来た理由がここにあると強く思った。

 

著作:厚樹 重茂

 

続きは

3.それでも売れるのは何故?(忍び寄る競合の脅威)

 

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