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2019/08/28

4.いよいよ配属(管轄営業所に入れてもらえない仕打ち)

夢野株式会社へ入社してからの4ヶ月間、この間における多くの時間を全国の営業所巡回に充当させていただけたことは、私にとって夢野という会社を理解する上でとても役にたった。4ヶ月間で私が感じた夢野の営業実態についてはこれまでにも書いてきたが再度、整理しておきたいと思う。

・誰も商談のクロージングをしない

・そもそも、お客様を訪問する目的が曖昧(営業もお客様も曖昧にしたまま)

・商談は価格の話が中心で定価の7掛・6掛は当たり前、あとは雑談

・製品の紹介はカタログのみ

・カタログに記載されている製品の特徴を説明することに終始

・お客様(案件)ごとの提案書を用意している営業担当者は皆無、提案書が存在しない

・お客様のウォンツはわかっているがニーズは不明、ニーズを理解しようともしない

・プレゼンテーション力が著しく低い

・親しげに会話するお客様であるにも関わらず、多くのお客様が競合他社の話題や価格を引き合いに出す

・営業が『売ったのではなく、売れてきた』という環境に下にある

・お客様が夢野の製品に対する絶対的な優位性を認めているようには感じられない

私が抱いた危機感を誰にも確認できないまま時が流れ、配属まで半月余りとなり、いよいよ配属先との引き継ぎに入った。私が引き継ぐエリアは6つの営業所があるブロックで、6名の営業所長と共に管轄のエリアをマネジメントしていくことが決まっていた。

私の前任者は大ベテラン。定年による現役引退に伴い私が引き継ぐことになっていたが、実際には引き継ぎらしい引き継ぎはなく、6営業所を回り、所長はじめ各営業所のメンバーに挨拶する程度であった。正式配属間近のある日、6名の所長と私、そして前任者の8名で会議を開いた。私が発言する機会はほとんどなかったが皆の話をしっかり聞こうと思い、各所長の顔を見ながらそれぞれの声に耳を傾けていた。休憩時間にある所長が私のところに寄ってきて『じろじろ人の顔を見ないでくれ、気分が悪くなる』と言われた。今までこのようなことを言われた経験がなかっただけにこの言葉に違和感を覚えたが、ここは下手に出る方が得策だと考えて彼の言い分を受け入れ、顔を直視することはやめた。

私のデスクは本社にある。私が担当するブロックの6営業所はそれぞれ別々のエリアに点在するため、日々のレポートをどうするか、それぞれの営業所の状況をいかにして把握していくか、どのように営業所・所長をマネジメントしていくのか、前任者に確認しても明確な回答は得られない。5ヶ月もの研修期間を与えていただいたにも関わらず、私が配属された後の実務も手探りでスタートせざるを得ない状態で私の本格稼働がスタートした。

入社後、5ヶ月間の研修で自分が周りからどう見られているかは概ね理解できていたため、6名の所長としっかりとコミュニケーションをとることが何よりも重要だと考えた。まず、所長6名と個々に対話することから始めようと、6営業所への単独巡回を決めた。

巡回計画を立て各所長に連絡。各営業所の重要なお客様への訪問と所長との面談、更には各メンバーとも面談したい旨、目的も伝えて日程調整を依頼した。5名の所長からは比較的早いタイミングで返事が返ってきた。しかし、会議で『顔を見ないでくれ』と言ってきた所長からは返事がない。ここはしばらく静観しよう。まずは5営業所の巡回計画を固めて順番に巡回することにした。

5ヶ月前に入社したばかり、見も知らぬ者がある日を境に自分の上司になるのだから最初は所長の方が混乱していることは明らかであった。しかし、5名の所長は私のことを理解しようと努力してくれていることがわかった。多少、時間が掛かっても彼らとなら上手くやっていけそうな手応えを感じられたことが嬉しかった。特に、その中の一人の所長とはかなり深い話をすることができた。4ヶ月間の全国巡回で感じたこと、夢野に対する私の危機感についても話ができた。彼は私の話をしっかり受け止めて、同じ危機感を持っていると言う。しかし、一方でその危機感について声を発することもできないもどかしさについても語ってくれた。

彼は明らかに私に気を遣っていた。私が周りからどのように見られているか言葉を選びながら話してくれた。それが何を物語っているのかは明確だった。それは、夢野に変化をもたらすこと、夢野を変えることは容易なことではないということであった。

しかし、彼は最後には『厚樹さんがそこにメスを入れてくれることを期待しています。このままでは夢野は競合のA社にやられてしまいます。私も一緒に頑張ります!』と言ってくれた。私はそのひと言にとても勇気づけられ、彼の存在に感謝せずにはいられなかった。

一方で、営業所巡回に対する返事をもらえていなかった所長からはその後しばらくしてから連絡があった。一安心である。しかし、今回お客様への訪問はなしで、自分との面談だけにしてほしいと要請された。まだスタートしたばかり、焦ることはない。私はその要請に従い5営業所を巡回した後、最後にその営業所に出向くことにした。

いよいよ最後の営業所を訪問する時が訪れた。前日、その所長から連絡があった。『面談場所は営業所ではなく、近隣のショッピングモールのフードコートにしてほしい』と言うのである。研修中の巡回でその営業所を訪問したことはあるが、確かにその営業所は狭い。そんな営業所では込み入った話をすることができないため、面談場所を外に指定してきたのだろう。私はそう解釈していた。

当日、指定された時間にショッピングモールのフードコートに向かった。わざわざ営業所外に面談場所を指定するくらいだから何か重要な話があるのだろとうと思っていた。

コーヒーを手に席に着くや否や所長から開口一番『私はあなたを認めていません。何であなたが私の上司になるのかわかりません。あなたが何をしてくれるのですか、あなたに何ができるのですか。訳が分かりません。だから、あなたに営業所に来てもらうわけにはいきません』その所長はそう言ってその場を立ち去った。

人の顔を見ないでくれ、営業所には来ないでくれ。今まで私の周りにはいなかったタイプである。戸惑い、不安、恐怖、腹立たしさ、整理もつかない複雑な思いでいっぱいになった。陰でこそこそ言われるよりも、はっきり言われる方がましかな、そう自分に言い聞かせようとしたが、さすがにショックは大きく、自分の気持ちを整理するのに時間がかかった。

その所長とのわずか1分足らずの会話を終え、そのまま本社に戻ることも考えたが、私はあえて営業所に出向いた。そこにその所長がいないことを確認した上で、営業所にいたサポートメンバーに挨拶して『今日はこれで失礼します、また来ます』とだけ言って彼女たちの様子を伺った。彼女たちも何があったのかは知っていたようである。しかし、誰も何も言わない。ただし、彼女たちはその所長のように私を敬遠しているわけではない、ということは何となく実感できた。それが救いではあった。

私の目から見た夢野株式会社の営業実態。その上で私が感じた危機感。おおよそ営業とはいい難い現状を放置するわけにはいかない。この実態を認識させ、いかにして改革していくか。これが私に課せられたミッションである。ここで怯むわけにはいかないと頭では理解している。また、実際に私と同じような危機感をもっている所長が存在していることも事実である。一方、変化を拒む人が多く存在していることもまた、事実である。

私のような新参者が変化を巻き起こすことは容易ではないが、新参者だからできることもある。しかし、『できることと思い込んでいる』だけでは不十分、『できることを理解してもらうこと』が重要である。どうしたらできることを理解してもらえるか、前途多難。いよいよ営業改革に向けた苦難の道が始まる。

著作:厚樹 重茂

続きは…

5.無力感にさいなまれる(私を救ってくれた部下の言葉)

 

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