お客様導入事例
Usercase
真の「価値共創実現営業」へ!
お客様とともに課題に向き合う深掘力スキルの強化に向けて
ハウス食品株式会社
大阪支店 支店長 嶋谷 寛 様
営業部 部長 池辺 隆雄 様
営業推進課 主席 仲谷 知也 様
1913年11月創業、ハウス食品株式会社様(ハウス食品様)は、東京都千代田区に東京本社を、大阪府東大阪市に大阪本社を置く、言わずと知れた日本の大手食品メーカー。ルウカレーやルウシチューなどを主力とした香辛・調味加工食品事業のほか、健康食品事業、外食事業、また大豆関連食品を始めとする海外食品事業と、日本のみならず世界の食を支えるグローバルリーダー企業です。
(写真左から嶋谷支店長、営業部の池辺部長、営業推進課の仲谷主席)
コロナ禍は外食産業をはじめ消費活動への影響も大きい中、DX化やリモートワークが促進されたという意味では、食品メーカーにおける営業活動においての転換点ともなりました。対面での営業からリモートでの営業活動への移行が起こり、コロナ禍が収束に向かった後もその習慣に慣れた状態のまま、訪問しない営業スタイルが良くも悪くも維持されてしまいました。これは、現在においても当てはまる企業も多いのではないでしょうか。
これらの状況の中で、ハウス食品様は「価値共創実現営業」を掲げており、お客様の“真の課題”を深掘り、自社が貢献できる価値をお客様と共に創り上げていくことを考え続けています。メーカーは単に商品を供給する存在としてだけではなく、お客様である小売業がその先のお客様である消費者に対してどのような感動を与えていくのか、さらには地域でどのような存在になろうとされているのかを深く理解し、そこに寄り添って、時にはお客様が気づいていないインサイトにも働きかけ、一緒に価値を創造していく存在であるべきと考え、日々そういった取り組みを模索し続けています。それにより、お客様からは“なくてはならないパートナーとしての存在”を確立することがハウス食品様の狙いです。
ただ、こういった活動は通常の営業活動と比べて難易度が高く、お客様と直接接点を持つ営業担当者の成熟度が高まらないと、なかなか狙った通りの成果に繋がりません。
そこで、法人営業領域に特化したコンサルティングサービスを提供しているシェルパワークスと一緒に施策を検討し、課題深掘り力強化プログラムを取り入れていただきました。
ここからは大阪支店長の嶋谷さんに、この取り組みについて話をうかがいました。
大阪支店長の嶋谷 寛様
今回のプログラムを実施した背景としては、根本的に営業を立て直す必要性を感じていたことが最も大きいです。当社の中での営業組織の変更や、コロナ禍における得意先との営業の仕方の変更などもあり、当社が掲げる、「価値共創実現営業」ということをメンバーが狙った通りに実践できていない、そもそも体感できていないメンバーもいると感じていました。
当社は、2021年にハウスウェルネスフーズとの営業統合があって、その翌年にはマロニーの事業譲渡により家庭用事業を引き継ぐ形となり、組織が大きく変わりました。企業文化の違う人たちと一緒になるという状況がコロナ禍においてあった訳です。加えて、コロナ禍においては、営業としてお客様との接点の持ち方も変わり、当社の中でもメンバーの入れ替わり等もあって、コロナ前まで出来ていた組織営業が機能しなくなってきていると感じていました。
当社の営業先である、小売業の現場の方だけの接点しかとらない営業になっているケースも散見されていました。当然、価値の提案や共創ではなく、価格が中心の商談になっていました。お客様の社長や役員の方との接点も乏しくなり、関係性が希薄化し、場当たり的な営業になってきているとの危機感が非常に強かったです。これらの状況から、「価値共創実現営業」の実践に向けた根本的な立て直しを感じていた所でした。
ハウス食品には「5STEP研修」と呼ばれる営業研修があり、入社5年以内に営業の基本的スキルを学んでいます。ただ、統合した他の2社にはそういった研修はありませんでした。この内容をマネジャーが学んでいないとメンバーがやっていることに対する理解が進まなかったり、メンバーが学んできたことと違う方向性の指示をするといった問題が起きていました。また、大阪支店の固有の課題としては若手が多く、この「5STEP研修」を実践してきたマネジャーやメンバーが少ないということで、得意先との関係性の希薄化につながっているという課題がありました。
コロナが5類に移行し、人の流れが元の状況に戻って社会が正常化に向かう中で、これらの状況を根本的に立て直し、マネジャーが理解し、メンバーに「価値共創実現営業」を実践してもらうための取り組みが、シェルパワークスさんと一緒に考えた、課題深掘り強化でした。
~ 最大の課題は人材育成 ~
大阪支店においての最大の課題は人材育成でした。
支店の営業メンバーは、ハウス食品の営業経験がある者の8割が5年未満、マネジャーも若返りがありました。そして、ハウス食品として実現したい内容の研修を過去に受けたメンバーも入れ替わりで少なくなってしまったので、先ほどもお伝えしたように、お客様との関係性が希薄化していました。
そのため、今回シェルパワークスさんと一緒に考えた内容は、営業担当者がお客様と価値を共創できるようになる実践的なプログラムでした。3回実施する内容にしましたが、机上で学ぶだけでなく、実践しながら、ハウス食品として実現したい営業スタイルを体感し行動定着を図る、そこを最大の目的としました。
実践後の印象としては、めちゃめちゃ効果がありましたね(笑)。
実際に、変化を感じましたね。それぞれの回の終了後に課題があって、1回目は顧客のトップにヒヤリングにいくという内容でしたけど、実際に訪問すると、色々話してもらうことができ、メンバーの新たな発見につながっていました。その内容を2回目のプログラムで参加者と共有も行うことで、業務に直結する内容になってくるとみんなが理解し、動きが加速したように思います。
■事後課題 1回目
1回目のトレーニング終了後の事後実践課題は、実際に担当する重点顧客について、下記を実施しました。
- 重点顧客の“PEST分析”を作成する
- 重点顧客の“3C分析”を作成する
- 重点顧客の“重点課題”を作成する
実際に担当している重点顧客の環境分析をして、お客様の重点課題を特定します。
お客様を取り巻く外部環境をマクロとミクロで分析し、お客様の市場に対する戦略の方向性について仮説を立案します。
■事後課題 2回目
2回目のトレーニング終了後の事後実践課題は、実際に担当する重点顧客について、下記を実施しました。
- “対話のベースづくり”を実施する
- その流れで“お客様課題の対話”を実施する
- 面談直後に振り返りレポートを作成する
1回目の事後課題で作成した重点顧客の環境分析をお客様との面談で提示し、お客様の課題認識を確認する作業を進めました。
結果として、担当者自身が見えていないお客様の課題や方向性、今後戦略的に取り組もうとしていることなど新たな発見がありました。逆に、お客様があまり認識されていなかったインサイト情報も喜んでいただきました。
参加者からも下記のようなコメントが多数出てきました。
「普段の商談の中では入手しにくい情報を聞き出せた点、●●部長の胸の内を多く知ることができた点から大変貴重な機会となりました。WEB応募の現状など今後の販促提案に生かすことができる情報も多く手に入れることができました。■■の新たなヘビーユーザーの確保という最大の課題にアプローチしていけるように、今回で得た情報を日々の提案に生かしていく所存です」
「新製品やスパイスが伸び悩むことが多く、商圏的に難しいのではないかと感じていたが、実は展開が上手く落とし込みが出来ておらずチャンスロスが多くあったのではないかと感じた。それを踏まえて改めて具現化の方法の見直しが必要だと感じた」
■事後課題3回目
2回目のトレーニング終了後の事後実践課題は、実際に担当する重点顧客について、下記を実施しました。
- 重点顧客の“顧客戦略シート”を作成する
- 顧客戦略シート、ロジックツリーを活用し、重点顧客の営業活動において、価値共創実現営業の5ステップを実践展開する
- 価値共創実現営業の5ステップを実践展開後、面談レポートを作成する
2回目で共有したお客様の重点課題を踏まえて、ハウス食品としてどのように価値共創営業を実現するか戦略的に検討し、お客様への働きかけを進めました。
ゴールから逆算したマイルストーンを設定しますが、お客様の役員の方に工場見学に来てもらうなどの設定もみられたように、俯瞰的に営業できるようになってきたようにも感じています。特定のバイヤーのみとの面談だけでなく、上層部の方との関わりは、ハウス食品にとっての価値創出に直結しますので、非常に重要です。
行動は確実に変わって、良い方向に動きだしているのを実感しています。
今後は、これを定着させるために、マネジャーが今回のプログラムで学び実践してきた内容にメンバーと共に日々こだわることができるかが定着のポイントだと思います。
顧客の上層部に対してのキーマンヒヤリングとか、普段の会話の中でどこまで出てくるようになるかですね。社内の会議の在り方等も含めて、定着させていけるように考えている所です。
~ 現場からの声で効果を実感、多面的な会話の糸口へ ~
ここからは事務局の営業推進課の仲谷さんに、実施内容と効果について話をうかがいました。
営業推進課の仲谷知也様
~ 自社の管理ツールとの連動による納得感の醸成 ~
この研修では顧客理解を深め、お客様の課題を理解し、取組パートナーとしての関係を深めていくことが目的になります。嶋谷からもあった「5STEP研修」の中に“取組シナリオ”という弊社独自の項目で作ったフレームワークがあります。作った当初は活用が盛んでしたが、今では大阪支店のほとんどのメンバーが活用しきれていないという状況にあり、なんとかしたいという想いがありました。そこで、シェルパワークスさんには自前のフレームワークツールをお持ちなのですが、今回は当社の取組シナリオとどう紐づくのかを検証いただきました。研修中にも、今学んでいることが取組シナリオのどこの箇所にあたるのか、なぜその情報が必要なのかを懇切丁寧にお伝えいただきました。その結果、本研修を経て取組シナリオの活用が増えたことは勿論ですが、記載してくる内容、入手してくる情報の質が大きく変化しました。又、マネジャー層も一緒に研修に参加をしているので組織内での共通認識が出来、今後の定着に向けて非常に良い取組だったと感じます。
~ 取組シナリオの本質理解から“効果の実感”へ ~
実際に現場で効果として現れたことに手応えを感じましたね。ある取引先とのやり取りの中で、今回シェルパワークスさんにご協力いただいた内容を実践し、準備していた取組シナリオをベースに対話したところ、これまで以上に先方がよく話をしてくださるようになりました。
これまでにない切り口でのインサイト情報や、お客様の考えている事業戦略などを知ることができ、効果を体感したと聞いています。やはり(当事者がそう思っているかは別として、)漠然と商談に向かっていた頃に比べ、自社の特徴、競合への対策、市場へのアプローチの観点でまとめている資料になる為、会話の糸口が多面的になりますね。ヒヤリングした内容を基に改善策を提案する為、取引先も内容を前向きに聞いていただけます。有効な商談の手法として実感しています。
~ 他者の視点を学ぶことでシナジーを発揮~
また、その準備段階や実施している様子を受講者同志で共有することで、他者視点も取り入れてブラッシュアップされていくのが良いですね。個人で考えて課題を整理するよりも、より中長期的な提案が出来るイメージを持てた受講者が多かったようです。
これは当社のナレッジの共有にもつながったと思います。
~ すべてのステークホルダーに感動を与えるハウスでありたい ~
シェルパワークスさんとの協働は、改めて顧客やその先にいる、当社製品を手に取るお客様のことを本気で考え抜けるかを再確認する場になりました。関わる全ての方々を笑顔にする最前線の集団として、今後も一層邁進していきたいと思います。(了)
マネジメントや営業力を高めるには営業情報サイト「Sherpa~営業を元気にするメディア~」をご覧ください。
【シェルパワークス事業概要】 BtoB企業の営業コンサルティング事業 ―メインサービス― SHERPING|シェルピング、新規顧客づくり(MA支援サービス、マーケティングオートメーション支援サービス、Webマーケティング)、営業組織づくり ―個別サービス― 営業活動コンサルティング、営業マネジメントコンサルティング、営業スキルトレーニング、営業マネジメントトレーニング、SFA定着支援、リサーチ&サーベイ、アセスメント、セールスコーチング、映像化プログラム、伝道師育成プログラム、営業ガイド・ツール制作