お客様導入事例

Usercase

中堅企業の業績向上に向けたパートナーとしての使命感! サービスマインドを土台とした“聴く力” “伝える力”の強化

株式会社アイ・ピー・エス

執行役員 お客様サポートセンター 事業部長 勝岡 雅也

1997年に創業したSAP ERP(基幹系情報システム)の導入・保守サービスを専業とする株式会社アイ・ピー・エス(以下、IPS)は、大阪のビジネス中心街のシンボルともいえるグランフロント大阪タワーに本社を構える。

同社は準大手・中堅企業へのSAP ERP導入においてトップクラスの実績を誇り、創業以来21年間お客様の基幹業務における業務品質を追求し、これまで150社を超えるお客様にSAP ERPを採用され、そのうち約80社のお客様には元請けとしてSAP ERP導入を支援してきた。
一方で、急速な進歩を続けるIT(情報技術)への対応、他方では働き方改革を通じた生産性向上の必要性など、中堅・中小企業を取り巻く情勢は大きな変革期を迎えている。その中でも特に重要性を増しているのが、今までは大手企業固有のシステムと思われることが多かったERPである。

同社の渡辺代表取締役社長は、日本の中堅企業では残念ながら、システム導入に対して充分な投資効果を実感している経営者が少なく、また、IT業界において真にお客様の業務や経営に資するシステムやサービスが不十分なことについて大きな課題認識を持っている。それ故、単にシステムを構築することがゴールではなく、お客様の業務品質が向上すること、お客様の業務改革や改善が成功することこそがゴールであると考え、その為の情報インフラを提供し、システム活用を支援するサービスを通してお客様と一緒にゴールに向けて取り組むことを自社のミッションとしている。

それを実現する為の三つのポイント-“製品・導入サービス・保守サービス”-について、全社を挙げて開発・改善・研鑽する活動に日々取り組んでいる。また、お客様の事業活動や日々の業務上の問題を共有し、それらの課題がシステムを通じてどのように解決できるのか、具体的なイメージをつかんでいただけるようなハイレベルのコミュニケーションができる人材づくりが今後ますます重要であると感じていた。
そこで、渡辺社長の意向を受ける形で、シェルパワークスが全社員に対して1年間かけてコミュニケーション強化の取り組みにかかわりを持たせていただいた。

今回は、事業部門の一翼を担っているお客様サポートセンター 事業部長の勝岡雅也さんに、同社のコミュニケーション変革の軌跡について話をうかがった。

〜コミュニケーションという漠然としたテーマにどう取り組むか〜

コミュニケーション上の課題

私はこの取り組みがスタートした際は、企画側ではなくどちらかというと受講者という立場でした。もちろん、当時から事業部のマネジャーをしていましたので、参加目的は部下のコミュニケーションをハイレベルにしていくための指導者としてのスタンスでした。
ワークショップの冒頭、社長の渡辺が感じている自社のコミュニケーション上の課題について、率直なフィードバックを受けました。要約すると、以下のようなものでした。

① サービス業として、相手にストレスを感じさせず気持ちよくさせることが十分にできていない
② お客様の経営課題や業務上の課題を正確に理解したうえでの対話が不十分である
③ 相手がどう感じているのかを把握するセンサーが足りない
④ 自分都合で話をしようとしているから相手と話がかみ合わない
⑤ こちらの伝えたいことを相手が正しく理解するまでの説明が画一的になっている
⑥ 相手の想いをつかみ取り、適切に評価して、IPSのミッションに基づき対応することが重要
⑦ そのために、まず相手が話しやすいように応対し、そのうえで相手に示唆を与えるようにする

これを聞いたとき、以前はなんとなくしか持てていなかった問題意識が明確になった様な気がしました。
お客様の要求に対応するのに精一杯になるあまり、どうしてもお客様の業務課題よりもシステムの詳細の話になってしまい、お客様の事業を理解して、業務まで踏み込んで課題を創造していくという発想が不足していました。年次の浅い社員ほど、その傾向が顕著でした。

将来的にIPSの全社員がお客様から信頼され、選ばれ続けるためには、お客様の事業や業務を通じた課題をいかに形成していけるかがポイントになりますので、あらためてシステム以上にお客様とのコミュニケーションが重要だと気づきました。
また、当社はコンサルティング、開発、保守などの様々な機能がありますが、お客様の事業を中心にこれらの機能がシームレスに連携しあいながら価値提供していかなければならないため、社内でのコミュニケーションのありかたも非常に重要なポイントでした。
シェルパワークスさんの支援を受けて、まずは『コミュニケーション』とはそもそもどういった構造になっているのか共通の視点を持つところから入りました。

『コミュニケーション』というテーマは、普段からある程度の重要性を認識しつつも、非常に漠然としているので何をどう変えていけばいいのかわかりにくいものでした。
ところが、このように要素分解していくことで具体的に何をどう変えていけばよいのかが次第にイメージできるようになってきました。

また、研修を1回だけやってもなかなか行動変容につながらないところを、シェルパワークスさんの提案では集合してのワークショップを計3回とその間の現場実践および1on1コーチングを反復するため、なかなか大変でしたが、今思えば、しっかりと定着につながるような設計になっていたと思います。

展開するなかで、プロジェクト案件が佳境に入っていると前回決めた実行計画が疎かになりがちです。また、実践してもなかなかうまくいかない場合、次第にモチベーションが低下していきます。そこで、シェルパワークスさんには定期的に1on1コーチングをしてもらうことでリマインドとモチベーションアップにつながりました。

さらに、今回はコミュニケーションというテーマのため全社員が対象となっており、マネジャーである我々が受けた内容とほぼ同じ内容をメンバーも受けるので、ワークショップで学んだ内容を実践できているかという目でメンバーから見られるのはかなりプレッシャーにもなりましたね(笑)。

気づきによる行動変容

まず初めに自他認知を共有したうえで、メンバー一人ひとりに応じた伝え方、聴き方を意識して、主体的な行動を促進するという考え方やコミュニケーションスキルを学ぶことできました。自身の変化としては、経験則から自身の要望を押しつけていましたが、本質を見る目やノウハウ、セオリーを考え、実践するようになりました。

特にグループコーチングという「質問」だけで他者の本質的な課題を明確にするというセッションがありましたが、いかにフラットな問いかけができるかが大切だと思いました。はじめは、多少ぎこちなかったですが、これを意識していくと本質的な問題に辿り着くことに気づきました。
普段から、いかに自分が知りたいことを誘導的に確認しようとする“心理バイアス”がかかっているかを実感することもできました。

こういった気づきから、現場でもメンバーに考えさせる「質問」を活用し、プロジェクト案件における解決策の本質を具体的に引き出すことができました。それが、お客様とのコミュニケーションの質を向上させることになり、ひいては、プロジェクトを進めていくうえでとても効果的であることをメンバーも徐々に感じてきたようです。

保守という職種柄、正常で当たり前、クレーム(マイナス評価)はあっても、達成感(プラス評価)が持ちにくい中、「いつも助かっていて、頼りにしている」と言ってもらい、真っ先に相談されるような関係性を築くことが重要と思いました。
また、もう一つ印象に残っているのは動画です。プレゼンテーションなどでシェルパワークスさんから客観的評価を聞くことができましたが、さらに、それを意識して自身の動画をふり返ることで、無意識な言動や口癖などについても気づくことができ、「やっているつもりだが、できていないこと」に納得できました。

全体の変化

こうした施策展開によって徐々にではありますが、参加メンバー全体の傾向として良い変化を感じます。コミュニケーションという性質のため定量的に効果を測ることが難しいですが、例えば、ミーティングの中でロジックツリーや議論の見える化を活用したり、会議でも本質的な質問を用いた発言が飛び交ったりしています。

研修で使用した相手に合わせたコミュニケーション方法を記載したカードを、自分の目につく所に貼って仕事をしている社員も見かけるようになりました。
そして、お客様とのコミュニケーションでもバイアスに気をつけながら、意識して”本質を探る質問“を投げかけていくと、お客様も新たな発見をされるようで、お客様からの信頼感が一段高まります。

その結果、お客様から言われたことを実現する段階から、お客様の発言の本質を知ることで要望以上の提案を行い、よりお客様の事業課題に適合したシステムを実現できる段階へレベルアップしたケースも出てきました。
また、職場風土としても明日につながる良い変化が徐々に出てきました。具体的には、今回のプロジェクトメンバー間でのコミュニケーションの質と量が格段によくなりました。部門を超えるコミュニケーションもマネジャー間では以前よりも活発になっています。当然ながら、人によって変化は様々ですが、全体としては社内だけでなく、お客様の対応も変わってきて成功体験を重ねるという、よい循環になってきました。

統括の立場から

シェルパワークスさんには、この取り組みを約1年間にわたりかかわっていただきました。ただ、最終的には自分たちが自走化できるようにしなければならないので、各マネジャーがシェルパワークスさんに代わってできるようにならなければなりません。
私自身も事業部の会議とは別に時間を設けて「本質を追求する」グループコーチングを3チーム編成にして実施しましたが、参加メンバーの反応としては、部門内の問題という共通テーマについて初めて深く話し合えたことは好評でした。

新たな気づきとして、うちは中途入社のメンバーが多いため、前述した部門内グループコーチングなど場づくりをすることで、刺激や収穫があると認識した人が意外に多かったことです。今後も月に1回のペースで継続的に開催することによって、少しずつ改善していこうと計画しています。
一方で課題としては、まだまだバイアスが取れずに自分都合でやり取りをしてしまう社員も多いですし、最近は若手の採用を増やしているため、若手のコミュニケーション力を早期に向上させなければなりません。

そのためには、業績とプロセスの同時達成を図るマネジメント力の向上が不可欠です。そして、あるべき組織に貢献するため、コミュニケーションスキルの向上によって部門間連携を意識しながら本質(未来の問題)を追求していくリーダーシップを発揮できるマネジャーを育てていかなければなりません。
それらを通じて、お客様の業務品質が向上すること、お客様の業務改革や改善が成功するというゴールに向けて一緒に取り組めるハイレベルのコミュニケーションができる人材をどんどん増やしていき、結果としてお客様から必要とされる存在であり続けたいと思います。(了)


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