2022.07.15 (更新日:2024.09.09)
リーダーシップを発揮する方法とは?リーダーに求められる8つの行動とリーダーシップを高めるポイントを解説
企業において適切なリーダーシップを発揮することは欠かせない要素です。組織として活動するためは、メンバー全員が一つの方向を向いて努力を傾けるために必要だからです。そこで、そもそもリーダーシップとは何か、どのように発揮したら良いのかを考えましょう。
目次
リーダーシップとは
リーダーシップとは、「統率力」を意味し、組織をけん引する資質や能力のことを表します。リーダーシップを、上に立つ人が部下に対して指示を出し評価を下すイメージを持つ人もいます。しかし、組織を効率よくまとめ、部下たちが働きやすい環境を作るためには適切なリーダーシップを発揮しなくてはなりません。
PM理論とは
リーダーシップについて考えるのに役立つのが、「PM理論」と呼ばれるものです。
「P:Performance」というのは「目標達成機能」であり、チームとして達成したい成果に到達するためにすべき行動を指します。たとえば、業務プロセスの検討とそれぞれのメンバーへの仕事の割り当てや、具体的な業務の指示といったものがあります。また、業務の分析と改善、進捗管理といったものも含まれます。さらに、部下の指導や教育といった側面もあります。
「M:Maintenannce」は「集団機能維持」と呼ばれるもので、チームをまとめるためにすべき行動を指します。メンバー1人1人に声をかけたり褒めたりする、全体でのコミュニケーションを促進するといった人間関係を良好にするためのものです。また、組織内に問題が発生した場合に、人間関係に緊張が生じないように介入するといった行動も含まれます。
こうしたPMの両方をバランスよく考えて、それぞれ適切な行動をしていくというのが、PM理論で重視されるリーダーシップのあり方なのです。また、どの傾向が強いのか、もしくは弱いのかを知ることで、リーダーとして伸ばしていくべき部分を把握するのにも役立ちます。
なぜリーダーシップが重要か
リーダーシップは企業などの組織では非常に重要です。それは、組織の統制を取るために欠かせないものだからです。リーダーは組織が向かうべき目標設定を行う役割を果たします。つまり組織として進むべき方向を決め、それに進向かっていくためにメンバーの行動を促すのです。
闇雲に成果を出せばよいというわけではありません。様々な業務の中で、特にどのプロジェクトや手法を重視して作業を進めていくのか優先順位を定める役割も果たします。こうして、より働きやすい環境作り、もしくは仕組みを定めるのもリーダーがすべきことなのです。こうした働きがないと、メンバーはバラバラに、自分の考えるままに働くことになります。まとまりがないだけでなく効率も悪くなってしまいます。
リーダーシップとマネジメントの違い
リーダーシップと似た表現にマネジメントがあります。これらのどちらも、組織の中でまとめる役割を果たします。しかし、マネジメントはより管理的な部分が強くなります。定められた目標や業務プロセスに精通し、それをメンバー皆が正しく履行しているかどうかを確かめる働きをするのです。マネジメントはより現場の中で実務的な役割を果たすと言うこともできます。
チームの中で部下と共に働くため、メンバーの指導をしたり、業務上の細かな指示を出して修正を促したりするのもマネジメントの目的です。さらに、それぞれの人員の評価をしていくのもマネージャーとして求められる職務となります。
ドラッカーが定義するリーダーシップの3要素
経営学の分野で多大な影響を与えたピーター・ドラッカーは、「リーダーシップとは何か?」ということに関して、明確な考えを提唱しています。これは多くの人が抱くリーダーについての見方と異なるところがあります。ドラッカーは「リーダーは持って生まれた性格や能力によって力を発揮するのではなく、努力や教育によってその役目を果たせるようになる」としています。どんな人でも正しい努力をすることによってリーダーシップを身につけ発揮できるようになるのです。
1:仕事
ドラッカーによると、リーダーシップに必要な要素の1つ目として「仕事」であること挙げています。リーダーというと、指導力とかカリスマ性といった先天的な資質をイメージする人も多いですが、実際にはそうではなく後天的に身に着けられるものであることを示しています。
そのため、リーダーとなるための勉強をすると共に、必要なスキルや資質を磨くための努力をする重要性を学ぶことができます。また、自分はリーダーには向いていない、と諦める必要がないことも理解できます。何かの資格を取得するのと同じように、リーダーシップについて学びスキルを向上させれば誰でも必要な役割を果たせるようになるのです。
2:責任
ドラッカーは2つ目の要素として「責任」を挙げています。部下の行動や働きに対してリーダーは責任を取る必要があるということです。それにより部下が安心感を持って働くことができ、リーダーもしくは会社からの十分な支援があるということを信じて行動できるようになります。
そのため、部下に接する際にも、就いている役職を振りかざしたり特権意識を持ったりすることはありません。仕事上の失敗があっても、それを人のせいにすることなく、むしろ部下の失敗の責任を自分自身で背負うという認識を持ちます。
3:役割
3つ目の要素は信頼される存在として「役割」を果たすべきであると述べています。ドラッカーは「リーダーに関する唯一の定義」として「『つき従う者』がいるということを挙げています。これは、リーダーは部下を無理やり従わせるのではなく、信頼される存在となる必要があることを意味しています。単に組織をまとめられるということだけでなく、部下から慕われ信頼を集める人にならないといけないわけです。
これは人間的な性格によって、部下から慕われるということのみを示すものではありません。また、リーダーの意見に、ただ従っていく部下を集めるというものでもありません。それよりも、リーダーの説明や激励に心が動かされ納得できるため、その人の下であれば働きやすいという気持ちを持つことです。そして、部下は自分の意思と思考力を働かせて自主的に働けるようにするのが、正しいリーダーシップの発揮の仕方です。
リーダーシップに必要な能力
リーダーシップは仕事であるという定義がありますが、単にその役目に就けば自動的にリーダーとしてうまくやっていけるというわけではありません。チームをまとめるための能力、成果を出すためのスキルを身につけていないといけないのです。具体的にどんな能力が求められるのかをチェックしておきましょう。
目標を設定する
リーダーの大事な役割の一つは、目標設定をすることです。会社や事業部門として大きな目標が決まっているとしても、実行部隊であるチームの中でも、さらに細かく目標を設定する必要があるからです。会社として持つ目標は、あくまでも大まかな方向性ですが、チームでは明確な道筋、そして具体的な達成方法を定めて指示しなくてはなりません。
良いリーダーは、この目標設定が非常に上手です。メンバーの特性や能力を把握した上で、簡単には達成できないものの、努力すれば成し遂げられるレベルで目標設定するのです。これにより部下は努力する必要を感じますし、達成した時の大きなやりがいにつながっていくのです。
メンバーの規範となる
リーダーは単に指示を出す存在であってはなりません。率先して目標達成のために動くべきなのです。口でやり方を示すだけでなく、自ら模範を示すことで理解してもらえるようにします。こうした努力をすることで、メンバーの士気は高まりますし信頼感がアップします。同時に、リーダー自らが動くことで、現場における問題点を含めた様々な発見ができます。これを活かすことで、より質の高い業務ができるよう改善計画を作れるのです。
また、問題が生じた時に迅速に対応できます。より早く問題に気付けますし、トラブルの根本原因をより良く理解できるからです。また、関係するメンバーが行っていることが把握しやすいので、すぐに関係するすべての要素を把握できて解決策を見つけやすくなるのです。
組織の環境を整える
メンバーが働きやすい環境を作ることも、リーダーの果たすべき役割です。成果が出るプロセスを共有しメンバーが成果を生み出しやすい状況にすることも一つです。メンバー全員がより良い仕事ができるように道筋を示すことで、チームとしての効率が高まっていきます。
トラブルや何らかの障害があるようなら、それを取り除くという意味でも環境作りをします。そのためには、部下から上がってくる観察や意見を取り入れることが求められます。もしくは、成果向上を阻んでいる要因を様々なデータを分析して突き止める能力が求められます。
メンバーの主体性を高める
リーダーシップは、強制力を持ってチームを動かすわけではありません。メンバーが自発的に動き、それぞれの能力を最大限発揮できるようにするのです。そのためには、主体性を高めることが重要です。よくコミュニケーションを取り、それぞれが行っていることを評価し褒めます。また、新しいことにチャレンジしている場合、破綻が生じない程度にサポートし、やる気を育てます。
同時に、一人一人のスキルを高めるための教育指導をすることも重要です。やる気だけあっても成果が出ないと長続きしないからです。一人一人を観察し、身に着けると良いスキルを見極め助けてあげます。こうすることで、より自信を持って上手に仕事を進められるようになります。これはさらに主体性を高めるために大きな役割を果たします。
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リーダーに求められる8つの行動
理論や姿勢についての理解があっても、実際の行動が伴わなければリーダーとしての役割を十分に果たすことはできません。そのため、業務を進めていく中で具体的にどんな行動を取ったら良いのかを考えていきましょう。
<明確にする>
リーダーは目標や業務プロセス、具体的な手法を定めますが、それを誰もが分かるように言語化すること、もしくは見える化することが求められます。目標であれば数値を挙げること、プロセスであれば具体的に何をするのかをはっきりとさせることが関係しています。可能な限り、決めたことはリストや文章にし、筋道立っていて具現化された状態にしておきましょう。
<計画する>
何をどの程度まですべきかが分かっても、いつ何を誰がするのかが分かっていないと、チームとしては混乱してしまいます。そこで、現実的な計画を立てることが求められます。これには時間軸と、具体的な作業内容、行うメンバーの割り当てなどの要素が含まれています。ある程度長い期間にわたる計画であれば、1か月ごとなど把握しやすいスパンに区切って、短期目標や具体的な行動を含めることも重要です。
<説明する>
こうしてでき上がった目標やプロセス、業務手法、時間軸での計画などをチームに説明します。その際には、すでに表やカレンダーなどにして視覚化しておいた資料を提示しながら、目で見て確認できるようにしておきます。特に、作業内容については、手順や注意点、期日などについての詳細を分かりやすく示すことが肝心です。どの情報にしても、あいまいに取れる内容ではなく、明確で分かりやすい説明の仕方をしなければなりません。その上で、メンバー全員が正しく把握できているかを確認して、共通の認識を持てるようにします。そのためには、メンバーに聞き取りをするなどして、リーダーとしての考えとメンバーの理解が合っているかどうかを確かめることが重要です。
<統制する>
自主性を重んじますが、チームとしての一体性を維持することは大事です。そのため、決められたやり方を皆が守っているか、メンバー同士でのコミュニケーションが取れているかなどを定期的にチェックします。そのためには、営業管理システムを有効に活用することがカギとなります。それぞれのプロセスで順調に目標を達成しているのか、メンバーがどんなコメントを出しているかを見て、全員が同じ方向に向かって努力をしているかを管理するのです。この場面では、マネジメントの能力が求められることになります。
<評価する>
メンバーと業務の両方を正しく評価する必要もあります。メンバー1人1人が求められる成果を出せているか、コンプライアンス順守も含めて正しい手法で作業をしているかを見て、修正すべき点がないかを確認します。もし、非常に優れた成果を出しているのであれば、その秘訣を聞き取り共有できるようにするのも評価の目的の一つです。業務自体の評価も重要です。実施した手法で確かな成果が出たのか、競合も含めて他との比較をして効率の良い業務ができているのかを確かめます。
<動機付けする>
士気を高めるために、業務の重要性を説明したり、それぞれの働きに目を止めて褒めたりします。コミュニケーションを丁寧に取ることや、無理のない範囲で責任の伴う仕事を割り当てることもモチベーションアップのために有効です。
<組織化する>
個の力が生きてくるように、組織としてのシステムや情報共有を円滑に進めます。特にそれぞれの特性や能力を把握して、適切な業務を割り当て、お互いに長所を活用してチームとして働けるようにすることが重要です。適材適所は効率の良い組織化には欠かせないのです。
<模範となる>
リーダーとして現場に出て共に働く姿勢を示しましょう。自らが模範となることで、メンバーの士気を高められますし、実地訓練をすることもできます。信頼を勝ち得るためにも大事な点ですので、指示するだけのリーダーとならないようにしましょう。
リーダーシップを発揮するための4つのポイント
リーダーシップを身につけるために効果的なポイントがあります。普段から努力すれば身につけられる資質ですので、リーダー湿布を高めるために意識して取り組みましょう。
コミュニケーション力を高める
上から押し付ける意見型の人間になるのではなく、部下とスムーズなコミュニケーションを取れるリーダーになる必要があります。そのためには、高圧的ではない質問力と傾聴力を磨くことが重要です。コーチング手法を学ぶことも一つの方法ですが、やはり普段から心の通った会話を仲間と行うように心がけることが最も重要です。
思考力・発想力を養う
目標達成のために必要なプロセス、部下が動くための導き方などを論理的に考える力は絶対に欠かせません。同時に、把握したデータに基づいて新しい手法を発想する能力も大事です。最初は成功事例からその秘訣を学び、それを自分のものとできるように思考を深めていく努力をしましょう。
行動力・決断力を鍛える
リーダーの仕事は決断することでもありますので、選択肢の中からより良いものを見つけ出せるよう、分析し結果を想像する癖をつけることが大事です。また、率先して自ら動くこと、新しいことにチャレンジする行動力を示せるように意識しましょう。
信頼を得る努力をする
感情的にならないこと、ミスを人に押し付けないなど責任感のある言動をすることを心がけます。また、パワハラなど、役職や特権を笠に着る行動を取らないように気を付けましょう。
【まとめ】リーダーシップは周囲に与える影響力
会社やチームをまとめて、組織として向上していくためにはリーダーシップを発揮することがとても重要です。リーダーシップとは周囲に与える影響力であることを意識して、単に指示を出す存在になるのではなく、働きやすい環境を作りメンバーの主体性とやる気を高める努力を払っていきましょう。そうすれば、充実した仕事を楽しめる環境が醸成され、成果が高まっていくに違いありません。
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