2024.04.05 (更新日:2024.04.15)

人材育成

報連相(ほうれんそう)とは?できない人の特徴やビジネスでの重要性を徹底解説!

社会人として会社の中で仕事をスムーズに進めるために、いくつかの習慣を身に着ける必要があります。その一つが「報連相」と呼ばれるものです。そもとも報連相とは何のことなのか、どのように効果的に実践したら良いのかを考え、スムーズにビジネスを進める秘訣を押さえましょう。

報連相(ほうれんそう)とは?

上司から「ほうれんそうをしっかりとしろ」と注意されたことがあるかもしれません。会社員としては常識の一つとして見られることも多い習慣もしくは行動ですが、最初は「ほうれんそう」とは何かということも分からないものです。また、長年サラリーマンとして働いてきた人でも、ついつい忘れがちなビジネスの基本でもあります。そこで、この記事ではまず報連相の基本から確認していきます。

本来の意味

報連相とは、「報告」・「連絡」・「相談」の三つの行動の最初の文字を取ったものです。仕事上のコミュニケーションを取るために流れや必要な行為をまとめたものです。同じチームの中のメンバー同士でも行うものですが、特に部下が上司に対して取るべき行動として見られるケースが多いです。具体的にそれぞれのキーワードの目的で具体的にすべき点を知り、正しく実行することが重要です。

報連相(ほうれんそう)の目的

報連相は単に上司に情報を伝えるだけではりません。そこには、プロジェクトや依頼された業務についての進捗状況を確認したり、問題点がないかをチェックしたりする重要な目的があります。それぞれの行為によって、異なる目的がありますので、その目的を意識して行動することでより良いコミュニケーションが取れるようになります。そうすることで、上司と部下、そして仲間が一つのチームとなって業務を進めることができるのです。

過去を共有する【報告】

報告というのは、上司から依頼・命令された業務の遂行状況や実行していること、問題点などを上司に対して知らせることを意味します。通常、上司は部下に対して何の業務をするかを指示し、その後は部下に実際の業務を任せます。その業務が終了したのであれば、作業完了の報告を入れることになります。そして、次の指示を待ちます。このように、業務を受け入れ、進めるために報告は一つの業務上の義務として行うべきものです。

報告は単に業務終了の時だけでなく、業務遂行中にも行うことが多いです。特に仕事量が多いケースや、プロジェクトが長いスパンで続く場合には、ある程度のプロセスが進むごとに状況を報告します。こうすることにより、進捗状況を共有できるわけです。このように、すでに完了した業務について、全体であれ一部分であれ、その情報を共有するのが報告ということになります。

変化を共有する【連絡】

連絡は一見すると報告との違いが分かりづらいかもしれません。上記のように報告というのは、業務の終了など、依頼されたこと自体の進捗を告げるのが中心となります。一方で連絡というのは、業務をしている中で、何らかの変化が生じた時に行うものです。つまり、報告のように決まったタイミングで実施するのではなく、突発的な出来事が起きた時になされるものとも言えます。

たとえば、製造プロセスにおいて製造ロボットに不具合が生じた、商談を進めている見込み顧客から急なクレームが入ったとなどのケースが考えられます。もちろん、マイナスの出来事だけでなく、プラスの要因について連絡することもあるでしょう。たとえば、見込み顧客が予測していたよりも大量の注文見積もりを求めてきたといったこともありえます。

問題を共有する【相談】

相談は単に情報を共有する目的だけでなく、解決策についてのアドバイスを求めることを意味します。たいていは監督責任と経験を持つ上司に意見を聞いたり、解決策を教えてもらったりします。自分では判断できない問題や、経験したことがない事態が生じた場合に相談することで、解決の糸口を見出しスピード感を持って乗り越える助けを得られます。また、自分の権限のみで判断すると責任問題になるリスクが生じる時も、ある程度解決策が見えているとしても上司に相談した方が良いこともあります。

もちろん、相談することによって決定を相手にすべて委ねるとは限りません。あくまでも自分が判断するための材料を増やしたり、他の観点での発想を求めたりして、より正しい判断ができるようにする行為でもあるのです。こうして問題を共有し解決、もしくはより良い決定を下す助けを得るわけです。

報連相の重要性とメリット

報連相はビジネスの基本と言われるほど重要性の高いものです。しかし、これはチームを管理する上司にとっては実感しやすいものですが、報連相をする部下の立場からすると面倒に思えるだけと感じることもあります。そこで、改めて報連相にはどのようなメリットがあるのかを、この記事を通して確認し明日からの仕事に役立てましょう。

組織の潤滑油となる報連相

報連相の大きなメリットは、組織としてプロジェクトを進める潤滑油となることです。チームのメンバー個々が優秀でも、チームとしてまとまっていなければ最終的に良い結果を出すのは難しいです。チームのまとまりを得るには、皆が同じ位置に立ち共に進んでいるという意識を持つことです。

報連相はその点、上記のように過去や変化、問題などを共有することですので、チームの中で同じ情報と認識を持つよう促します。そして、問題が生じた場合、一人で解決するのではなくチーム、もしくは部下と上司で解決するよう努めますのでさらに一体感が強まります。

コミュニケーションを活性化させる

一人で仕事をしているのでない限り、ビジネスでは上司や同僚との協力関係が非常に重要です。緊密に協力してチームとして働くにはコミュニケーションが欠かせません。チーム全体に関わる重要な問題だけでなく、日頃からちょっとした点をお互いに話し合う習慣ができていれば、スムーズに様々な作業を実行することができます。作業効率という点だけでなく、お互いへの信頼や気遣いが深まりますのでチームの雰囲気が良くなり、働きやすい環境が生まれます。

こうしたコミュニケーションは自然とできることもありますが、やはり報連相を意識して実行することで、より意思疎通が頻繁に行われるようになります。小さなことでも情報共有し合う体制があると、そのチームはビジネスの質もスピードも向上する傾向があります。

トラブルが起こった時も迅速に対応

突発的なトラブルが生じた時、一人で抱え込むと解決に時間がかかるばかりか、さらに大きな問題に発展してしまうことがあります。その点、報連相が日頃からできていれば、すぐに上司に対して連絡し相談できます。より経験と責任を持つ上司からのアドバイスを受けたり、一緒に分析をしたりして迅速に対応できるようになるのです。お客様からのクレームが出てきた場合でも、担当者一人が対応するよりも、上司が加わることで相手の心が和らぐこともありますので、トラブルの発展を防ぎやすいという面もあります。

同僚との情報共有でも、同じような事例に直面した人からアドバイスをもらえることがあります。他の人に自分の抱えているトラブルを話したくないと感じることもあるかもしれませんが、お客様とチームのためにはトラブル解決を速やかに進めることが何よりも大事だという意識を持って相談することが重要です。

確度の高い目標設定ができる

報連相が確実になされていると、大きなビジネスでもそれぞれのフローにおける進捗状況や課題などを理解しやすくなります。その分、より確度の高い目標を設定するのが容易になります。大まかな時期や数値ではなく、詳細な日にちや明確な数字で現実的な目標を立てられるからです。

また、チームの中で一つのビジョンや目標を共有すると共に、達成のためのモチベーションを高められますので、より高い目標設定ができるというメリットも生まれます。上記のように報連相を徹底することで、チームの一体感が生まれますし、お互いに業務の進捗状況を話し合うことで次のステップに進むための士気を高められるからです。

報連相ができない理由や人の特徴

報連相はとても重要であることはどの組織や個人でも認識しているものです。しかし、実際には理想と違い、なかなか実行できていない、もしくはしているつもりでも意味のないコミュニケーションとなっていることも多いのです。改善策を探るに当たって、まずはどうしてコミュニケーションがうまく取れないのか、その理由を探ってみましょう。組織の体制としての環境的要因と、個人の考えや感情といった心理的要因の2つの面から考察します。

報連相ができていない理由(環境的要因)

組織として、単にメンバーに向かって報連相をしなさいと言うだけでなく、無理なく日頃から実行できる環境を整えるべきです。組織としてどんな点が欠けているとうまく行かないのか、具体的に考えてみましょう。

重要性が周知されていない

何事においても、すべきことを明示されてもその重要性を認識していないと、それが浸透しなかったり形だけの実行となってしまったりするものです。社員に対して、報連相をする目的とメリットをしっかりと周知することで重要性を理解してもらう必要があります。

そして、管理者のマインドを育てていないことが問題となっている可能性も考えられます。部下からの報告を軽くあしらったり、相談を受けても真剣に取り合わなかったりすると、部下としてはもう情報を上げるのを止めようと思ってしまうからです。真摯な対応を取らないと重要度が低く見られてしまうというわけです。

環境が整っていない

伝えるべき情報はあるものの、どのようにそれを伝えるか、コミュニケーションのためのツールやシステムがないと情報共有は難しくなります。それぞれ忙しく業務を行っていますので、対面でメンバー同士がゆっくりと話し合う時間はそうないものです。その中で、社内で使えるチャットツールや報告書などの実際的な環境が整っていない組織は失敗しやすいです。

また、連絡を取り合う時間を取り分けていないことも失敗の原因となります。目の前の作業に追われて、連絡する間もなく次の仕事に移る社員が多い会社はこうした傾向があります。朝一や終業間際など、報告書作成のためのスケジュールを作りを明示するなどの取り組みをする必要があるわけです。

マニュアル化されていない

単に口頭で報連相をしろと言われても、現場は混乱するばかりです。マニュアルがなく、何を誰に、どのような形で情報共有をしたら良いか社員が分からないからです。上司によって求める情報が違ったり、部署によって伝え方が異なったりすると結局必要な情報が入ってこない恐れが出てきます。

また、新入社員はそもそも報連相をする大切を知らずに会社に入ってくることも多いです。現場で慣れろという形では効果的なコミュニケーションはできません。まずは、マニュアル化して形からでも実践することで学んでいくべきなのに、そのマニュアルがなければ理解するのに時間がかかってしまうことでしょう。

報連相ができない人の特徴(心理的要因)

組織として環境作りをしっかりしたとしても、上手に報連相ができない人が出てくることがあります。これは、その人自身の心理的な面に何らかの支障が生じているからです。本人の問題ということもありますが、過去に上司との関係でトラブルが遭ったケースなどもあります。そのため、まずはどんな心理的要因が関係しているのかを知り、それに応じた適切なケアをすることが求められます。

失敗を恐れている人

極端にミスをしたくない、失敗したと思われるのが怖いと考えている人は上司への報連相が減る傾向が見られます。ビジネスを進めていく上では、全くミスが生じないという状況はまれで、いつも小さなミスや予想外のトラブルが生じるものです。大事なのは、チームで情報を共有しながら、うまく対処して結果を出すことです。しかし、失敗を恐れている人は小さなミスでさえ怖いため、それを他の人とりわけ上司に伝えられないのです。自分の中で処理すれば良いと考えて、何事もなかったように振る舞います。

上司に恐怖感を抱いている人

上司に報告すると、とにかく怒られるのではないかという意識や恐れがある人も報連相をすることができません。もちろん、これは部下の勝手な妄想でしかないこともありますし、実際に上司が怒ってばかりいるというケースも考えられます。どちらにしても、上司に何か伝えると嫌な気持ちにしかならないという潜在意識が強いため、それなら何も伝えない方が良いと考えてしまうのです。

上司と部下の関係性そのものが壊れていますので、チームの雰囲気が悪くなりますし信頼できなくなります。仕事上の重要なポイントだけでなく、日頃のコミュニケーションすらまともに取れなくなる恐れが出てきます。

上司に必要以上に気を使う人

恐怖とは別に、上司に気を使いすぎる人もコミュニケーション不足に陥りがちです。その動機は配慮の見られる、良いものであるケースが多いです。たとえば、上司が非常に忙しいので、こんな些細なことを伝えたら時間を奪って申し訳ないとか、自分で処理すべきことなのに上司の手を煩わせたくないと考える人がいます。もちろん、こうした気遣いはある程度は上司との関係をよくするのに役立ちます。

しかしそれも度を過ぎると、上司が知りたかった、もしくは知るべき点についてさえ伝えずに終わってしまうことがあります。もしくは、伝えるべきタイミングで報連相をせず、手遅れになってから情報を上げるしかなくなる事態に落ちることもあるでしょう。

面倒だと考えている人

毎日忙しく働いていると、上司への報告や同僚との情報共有が面倒な作業に思えることもあるものです。自分の本来業務とは別に報告書を作ったり、チャットツールで報告したりする時間がもったいなく感じる、単純に時間を取ることができないこともあるでしょう。または、特に上司に知らせる必要などないのではと考えて、手間をかけるのを嫌がる人もいます。そうした考えを持つ人は、報告をするにしても、毎日同じ内容の短い文章しか使わず、報告があっても無意味なものとなっている傾向が強いです。

報連相の重要性を理解していない、もしくは無視しているのが根本的な問題となっています。そのため、上司から報連相をしろと言われても、とりあえずその時だけしたり、手を抜いた報告しかしなかったりするケースも多く見られます。

タイミングがわからない人

一応、必要な報告や連絡はするのですが、いつもタイミングが遅い人もいます。しかも、たいていは問題が大きくなって、自分では対処しづらくなってから報告するのです。これは事の大きさを客観的に判断する能力や経験が欠けていること、自分のスキルに過度の自信を持っていることが原因となります。自分でできると思い対処を続けるのですが、結局うまく行かずに相談をする時には手遅れとなっているパターンです。

【報告】【連絡】【相談】を効果的にするコツ

組織としてのコミュニケーションを円滑に進めるためには、上司が強く勧めるだけでは不十分です。上記のような課題を取り除くという目的と共に、社員の報連相に関するスキルを伸ばしてあげることが重要なのです。具体的にどんな方法が良いかチェックしてみましょう。

報連相を実践しやすくする環境を整備する

自然と社員が報連相ができる職場になることが理想です。そのためには、環境作りがとても重要になります。簡単に報告や連絡ができる体制もしくはシステムと共に、気軽に上司と話せる機会を設ける努力を払うのです。

小さなことでも報告する文化を作る

心理的な障害をなくすためにも、小さなことでも報告する文化や習慣を作るべきです。その点で、上司に当たる人たちは部下からの報告を丁寧に聞く習慣を身に着けなければなりません。「そんなことをイチイチ上げてくるな」とは絶対に言わないようにします。こうした部下の意見をしっかりと聞く文化があると、気軽に何でも情報共有できるようになります。

また、すぐに連絡ができるコミュニケーション手段を作ることも大事です。作業が面倒な定型入力フォームよりも、SNS感覚でコメントできるチャットツールの方が適しています。こうしたツールはパソコンだけでなくスマホで操作できるようにしておくと、さらにハードルが下がりコミュニケーションが活発になります。

報連相を実施する共通タイミングを作る

忙しさは報連相の機会を減らす天敵です。部下と上司のタイミングが合わないと、話すことも聞くこともできなくなります。そこで、始業後すぐや昼休み後、終業直前など、決まった時間を取り分けて報連相を扱うことにします。こうすれば、本来業務で忙しいとしても、意識してコミュニケーションを取る習慣が身に着きます。また、一つの取り決めとしておくことで、上司が忙しいのではないかという、過度の配慮をしなくて済みます。

【報告】のコツ

報連相の中でも「報告」はより基本的な行動です。そのため、コミュニケーションが全く取れていないのであれば、まずはここから取り組む必要があります。単に事実を述べるだけでなく、この記事ではより効果的に行う方法を取り上げていきます。

適切なタイミングで伝える

報告は定期的に行うことが多いです。そのため、事前にどのタイミングで報告すべきかを取り決めておくのがポイントです。たとえば、その内容に応じて毎週水曜日に報告書を提出する、毎日5時までに伝えるといった形を採れるでしょう。

部下の側からすると、報告はできるだけ早く送るよう意識することが重要です。たいていの場合、上司は部下が考えるよりも早く情報を欲しがっているものです。そのため、自分ではまだ報告しなくても良いと考えるくらいのタイミングで報告すると、上司にとってはちょうど良い時期となります。

結論から先に伝える

報告に不必要な時間をかけないためにも、結論から先に伝える癖を着けましょう。作業が遅れているのであれば、理由をクドクドと述べるのではなく、まずは何がどのくらい遅れているのかを端的に伝えます。その後、その原因を伝えるのです。上司は先に結論を知ることですぐに状況を把握でき、次に出すべき指示について考えながら残りの話を聞けるようになります。

また、これはより論理的で客観的な話し方のコツでもあります。上手な情報伝達ができる人だという評価につながりますし、たとえトラブルが起きていても言い訳がましく聞こえることがないので、上司も冷静に対応してくれる可能性が高まります。

【連絡】のコツ

突発的な出来事、トラブルが生じた時にはできるだけ早く連絡をします。この際、内容の伝え方が非常に重要な要素となります。まずは、自分の気持ちを落ち着かせて、言うべき内容を準備してから連絡することを心がけます。その準備のポイントを押さえておきましょう。

内容の精査をして伝える

問題となっている事態とは何か、誰が当事者でどのようなダメージが考えられるか、なぜ起こっているのかなど、具体的な事実をまとめましょう。内容を考えずに話し始めると、時系列に起こったことをダラダラと話してしまいがちです。トラブルの連絡は時系列で語るのではなく、状況と背景、原因などの要素ごとに整理した方が効果的に伝わりやすいものです。

そして、伝える内容が正確かどうかの精査をしましょう。単に伝聞として入ってきた情報であれば、その出どころや信ぴょう性をある程度確かめる必要があるでしょう。少なくても、誰がその話をしていたかを一緒に伝えることで上司も判断しやすくなります。

わかりやすく正確に伝える

簡潔に伝えることを意識します。必要に応じて、数字や図などを簡単な資料にまとめて提出するのも良い方法です。また、何人もしくは何社もの当事者が関係している場合、実際に扱っている人でないとその関係性が分かりづらいことがあります。それぞれの名前やどのような状況になっているかを、やはり資料にまとめるなどして物事を整理してから伝えるのも一つの方法です。

数字を上げて説明する場合は、正確な数値や単位となっているかを確認します。国際ビジネスであれば、金額の通貨単位が日本円なのか米ドルなのかといった点も明確にします。ちょっとした情報の漏れや誤解で、事の重大さが変わってくることもあります。もちろん、緊急に伝達すべきことだと、そこまで正確さを確かめられないこともありますので、スピードと情報精査のバランスを上手に捕りましょう。

【相談】のコツ

上司や同僚に上手に相談できる人は、スムーズに問題解決ができますし、チームの雰囲気を良くする原動力となります。しかし、単に困った時に意見を聞くだけでは、良い相談とはなりません。具体的にどのような工夫ができるのかを考えてみましょう。

分かりやすいレポートを提出する

アドバイスを与える人は、様々な情報を突き合わせて総合的に判断したいと思っています。状況や原因といった課題の本質に迫ることができなければ、的確な助言ができないからです。こうした判断材料を持ってもらうために、相談するに当たって必要な情報を分かりやすく提供しなければなりません。

その際には、口頭で伝えるだけでなくレポートにして渡す方が良いです。そうすれば、資料を読みながらじっくりと考えることもできますし、様々な要素を関連付けながら解決策を探れるからです。相談する者の責任として、判断するのに必要な情報はできるだけ分かりやすく渡した上でアドバイスを求めるようにしましょう。

仮説をたてて提案する

相談するというのは、決定を相手に丸投げすることではありません。時には、相談するという形を採りながら上司や同僚に責任を負わせようとする人もいます。相談というのは、あくまでも自分が最終的に正しい決定をするために助けをもらうことです。そのため、トラブルそのものの情報と共に、自分なりに課題解決のための仮説と案をいくつか立てて伝えると良いでしょう。

「私としてはこうしたら良いと思っているのですが、いかがでしょうか?」と尋ねることで、相手も判断がしやすくなります。また、責任を持って自分の仕事をしている、思考力を働かせて業務に当たっていると評価してもらえます。

報連相で最も気を付けたい3つのこと

報連相の習慣ができているとしても、効果的なコミュニケーションとならないこともあります。特に重要なポイントを常に意識することで、報連相の質を向上させることができます。3つの注意点を取り上げるので、自分ができているかをセルフチェックしてみましょう。

タイミングに気を配る

伝えるべき情報に応じたタイミングというものがあります。突発的なトラブルでダメージが大きくなると考えられるものは緊急度が高いため、できるだけ早く伝える必要があります。その際には、情報があまり集まっていなくても、信頼できる情報かを確実にチェックできないとしてもスピードが重要です。

一方で、緊急度の低い報告もあります。いわゆる定期報告と呼ばれるもので、進捗状況を伝えるだけで良い情報であれば慌てて行う必要はありません。その種の報告であれば、上司が忙しくないタイミングを見計らった方が親切です。このように、報連相の質を上げるためには、それぞれの情報の緊急度を意識して適切なタイミングで行うことが重要なのです。

抜け漏れのないようにする

伝えるべき情報がすべて入っているかを確かめましょう。そのためにも、口頭で伝えるのではなく、文字にした方が確実です。まずは要点だけを箇条書きにして、重要な点が抜けていないかをチェックします。そして、関係する数字などを確認していくと共に、分かりやすい資料にしていきます。連絡をする前にその資料をもう一度読み返し抜け漏れがないかを確かめます。

わかりやすく説明する

シンプルな説明を心がけます。説明の初めの部分では、自分の意見や感想は挟まずに客観的な事実だけを述べます。その後、感じた点などを伝えるようにして、事実の説明と主観的な意見を分けるようにします。こうすることで、聞いている相手は物事を整理しやすくなり、理解度が上がります。

効果的な報連相を実践するための研修やトレーニング

報連相はビジネスの基本であり、チームとしての効率を向上させる重要な要素です。そのため、コミュニケーションの基礎から教える研修やトレーニングが、オフライン・オンライン問わず数多く実施されています。また、社内のコミュニケーションについてチェックを行い分析した後、改善点を示し、質向上のための訓練をしてくれるサービスもあります。こうしたトレーニングを利用することで、社員個人としても組織としてもより良いコミュニケーションスキルを身に着けられます。スキル向上の必要性を実感しているのであれば、こうしたサービスも活用してみましょう。

【まとめ】報連相を徹底し上司や周囲と良い関係を構築する   

報連相を徹底することで、上司や周囲からの信頼関係を構築できるようになります。それは自分自身のだめだけでなく、チームにとっても良い影響を与えることができます。報連相を通じ、広い視点で業務をとらえる習慣を身に着けることで、周囲からの期待も高まり成長を促進する機会を生み出すことができるはずです。

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