パイプライン管理とは?営業効率を高めるパイプライン管理の基本について詳しく解説!

パイプライン管理とは、初回のアポイントから受注までの流れを可視化し、営業活動における課題や問題を分析、改善を図っていくマネジメント手法のことです。

ここでは、パイプライン管理の概要をはじめ、パイプライン管理を行うポイントや注意点を詳しくご紹介します。営業成績の伸び悩みに悩んでいる方や、営業活動における非効率な動きを解消したいと考えているマネジメント層の方は、ぜひ参考にしてください。

パイプライン管理とは

パイプライン管理とは、営業活動における一連の業務フローのことで、営業部門をマネジメントするための手法の一つです。

パイプライン(Pipeline)とは、石油や天然ガス、水道などを運ぶ管を表す英単語ですが、営業分野における「パイプライン」とは、初回のアポイントから受注、成約に至るまでのプロセス全体を表します。

もちろん、業種や業態など取り扱う商材・サービスによって営業プロセスは大きく異なりますが、一般的な営業プロセスは以下の通りです。

・顧客からの問い合わせ
・ヒアリング
・アポイント
・提案
・合意
・受注、成約

パイプライン管理では、それぞれの営業プロセスを分解し、時系列に沿って状況を把握します。そうすることで、現状稼働している案件や営業活動の進捗具合を可視化できるのです。

これまでに収集した情報を元に分析を行うことによって、現場で活動する営業担当者に寄り添った目標設定やアドバイスができ、中長期的な売上予測を立てやすくなるという特徴があります。

パイプライン管理の目的

パイプライン管理を営業の現場に導入する目的は、ずばり営業活動における生産性向上のために営業プロセスを可視化することにあります。パイプラインを導入して営業活動を可視化し、営業プロセスのどのタイミングで問題が発生しているかを把握することで、組織全体の成長性を高められるでしょう。

それ以外にも、売上から逆算して必要な商談数や顧客数(KGI、KPI)などを指標として算出できることも、パイプライン管理を導入する重要な目的として挙げられます。例えば、商談から受注に至る確率は何%か、そして目標を達成するために必要な商談数は何件なのかなど具体的な数値で把握できるため、中長期的な売上計画を立てることにも役立つはずです。

パイプライン管理が必要とされる背景

営業活動においてパイプライン管理が必要とされる背景には、業務の効率化を求める世論の高まりが考えられます。近年では、国家を挙げて働き方改革や業務の効率化が強く叫ばれているように、営業活動においても限られた時間の中で売上目標を達成するために営業の効率化が求められているのです。

しかし、営業活動は営業担当者の個人のスキルや経験に依存している部分も多く、無駄なプロセスや営業活動を判断しづらいかもしれません。パイプライン管理を実践していない場合、営業プロセスのどの部分がボトルネックになっているかを把握しにくく、結果として無駄が多い営業活動から抜け出せなってしまいます。

このように、パイプライン管理は、無駄を省いて効率的な営業活動を実現するために必要なマネジメント方法なのです。

パイプライン管理のメリット

パイプライン管理の概要が理解できたところで、ここからはパイプライン管理を導入する3つのメリットについてご紹介します。

営業活動を可視化できる

現場で活躍する営業担当者は、売上目標を達成するために常に営業スタイルの見直し、改善が求められます。それを実現するためには、現状はもちろん、掲げた目標に対する達成度をリアルタイムで把握することが重要です。

自分の目標に対する達成度を把握することで、達成するための具体的な施策や対策を自ら考えられるようになります。自分のアクションに対する考察をすることで、次に取るべき行動を把握できるのです。自ら考える力を身につけることで、営業力はもちろん、ビジネスパーソンとして生き抜く力も向上できるでしょう。

営業一人一人の育成を可視化できる

パイプライン管理を導入することで、営業担当者一人ひとりの育成を可視化できます。これは、マネジメント層にとって大きなメリットです。

「営業は場数を踏んでなんぼ」という精神論で、営業担当者の成長ステップを考慮せずに若手の育成に取り組む組織も多いはずです。しかし、そのような闇雲な育成方法では、若手社員のポテンシャルに依存してしまうため、うまく成長しない社員が数多く出てきてしまいかねません。

しかし、パイプライン管理を導入して営業担当者の行動を可視化することによって、どのプロセスで躓いているかを明らかになります。さらに、どのプロセスを苦手としていて、得意としているのかなど、営業担当者の個性や特性も理解できるでしょう。

それぞれの営業担当者の行動に即して的確なアドバイスをすることで、受け取る側もより現実的な話として受け取れるはずです。それらのアドバイスをデータとして記録・蓄積することによって、若手社員の育成や営業研修などにも役立てられます。

中長期的における目標や課題を可視化できる

パイプライン管理を導入することで、中長期的な目標や課題を可視化できます。

それぞれの営業プロセスを分解することによって、プロセスごとにかかる時間や成功率を見出せるでしょう。この詳細なデータを用いることによって、現在稼働中の案件の成功率を簡単に予測できるようになります。この予測を元にして、営業活動の目標設定や戦略を練ることができるのです。

特にBtoB営業の場合は、初回のアポイントから受注まで長い時間を要するケースも少なくありません。そのように商談が長期に及ぶ場合であっても、過去のデータを用いながらどのくらい先に受注されるかをある程度予測できるはずです。

さらに、パイプライン管理を導入することで商談ステージにおける受注確立も可視化できることも大きなメリットです。現状維持のままでいいのか、それとも新規顧客を開拓しなければならないのかなどの営業戦略を立てる上でも重要な指標となります。

関連記事:パイプライン管理を容易にする営業フローのメリット、パターン別における営業フローを徹底解説!

パイプライン管理のデメリット

パイプライン管理を導入することで様々なメリットがもたらされるとわかりましたが、いくつかデメリットも存在します。メリットだけでなく、デメリットについても理解することでより効果的なパイプライン管理を実践できるでしょう。

入力作業の負担が増す

パイプライン管理を導入する最大のデメリットは、データ入力の手間がかかることです。パイプライン管理を実践する上で、マネジメント層と営業担当者との情報交換は必要不可欠のため、何かしらの形でデータ入力をして頻繁に情報共有をしなければなりません。

営業活動において本来必要でなかったタスクが加わることを、しっかりと認識しておくべきです。特に、現場社員にとって大きな負担としてのしかかる可能性がありますので、パイプライン管理の重要性をわかりやすく伝えていく必要があります。

パイプライン管理を行う上で重要なのが正確なデータを入力、収集することです。しかし、入力漏れや入力ミスなどのヒューマンエラーはどうしても起こってしまいます。間違ったデータによってかえって方向性を見誤ってしまうリスクがあることも理解すべきです。

このようなデータ入力ミスをなくすためにも、マネジメント層はデータ入力のマニュアルやシステムを構築する必要があります。これらのリスクや手間を最小限に抑えられるITツールの導入については後述します。

いたらない箇所も明確になりモチベーションが低下

パイプライン管理を導入することで営業担当者一人ひとりの進捗情報が把握できるため、売上の数値はもちろんのこと、それ以外の数字も数多く可視化されます。例えば、受注率や商談発生率、さらに提案率など、ステップごとの詳細な情報を元に、様々なデータが明らかとなるのです。

そのため、細かな数字や案件の動きに目がいってしまい、余計な口出しをするケースも出てきてしまうかもしれません。特に、未達成の目標に対しては厳しい目を、持ってしまいがちです。このように細かな部分までマネジメントを行おうとする「マイクロマネジメント」に陥ってしまうと、営業担当者のモチベーションの低下に繋がりかねないため注意してください。

営業担当者一人ひとりにフォーカスすることはとても重要なポイントですが、チームや組織全体で売上を向上させるというパイプライン管理の本来の目的を忘れてはいけません。社員一人ひとりの個性を伸ばすのに目を向けることで、高いモチベーションを保って業務に邁進できるはずです。

パイプライン管理におけるステップ

ここからは、パイプライン管理を導入する際に必要な準備をはじめ、具体的な手順についてご紹介します。ご紹介するのは、5つのステップに分けて考える初歩的なパイプライン管理です。

業種や業態によってパイプライン管理の方法は大きく異なります。自社の業務にマッチする方法は何かを考え、ご紹介する基本的な手順を参考にしながらより使いやすく進化させていきましょう。

営業プロセスを細分化し定義付ける

パイプライン管理を導入するにあたって、自社の商談プロセスを細分化させ、定義することが重要です。営業プロセスの細分化と定義を行うために、次の2つのポイントを意識してください。

1. 顧客視点でプロセスを分解する
2. それぞれのプロセスの定義を明確にする

まずは、組織内でどのような営業プロセスを辿っているかを棚卸しする作業から始めていきましょう。棚卸しをしたら顧客視点でプロセスを分解します。パイプライン管理を導入して間もない段階においては、顧客視点でプロセスを分解しておくとそれぞれのプロセスを理解しやすく、ミスも防げるはずです。

可能であれば、既存顧客へのインタビューを実施し、どのように自社の商品やサービスを認知し、比較し、購入に至ったかを把握してください。顧客の置かれている状況を把握することで、企業側が起こすべきアクションが明確になるでしょう。必ず顧客の行動を主軸にプロセスを分解してください。

その後は、分解したプロセスごとに定義付けをします。例えば「ヒアリング」と「初回訪問」の違いなどをしっかりと把握しておかないと、それぞれのプロセスで取るべきアクションや収集すべきデータも曖昧なまま営業活動が進んでしまいかねません。

ここでも、それぞれのプロセスにおいて顧客がどのような状況なのかを意識して定義を明確にすることが重要です。定義付けとその共有をしっかり行わないと個人によって微妙な差異が生じることはもちろん、理解が浅いまま知ったかぶりしてしまう社員が出てきてしまいます。

パイプライン管理をうまく導入するためにも、組織内で認識のズレを生じさせないことが重要です。

各プロセスのゴールを設定する

商談の定義付けが完了したら、プロセスごとのゴールやクリア条件を設定しましょう。

パイプライン管理で失敗する組織の中には、営業プロセスの細分化と定義付けで終わってしまっているケースが散見されます。

パイプライン管理を導入する目的は、あくまでも営業活動の生産性の向上です。プロセスを細分化したら、次のプロセスに進むために必要な条件を設定することで、正確なデータ収集が可能になるだけでなく、実際に取るべくアクションも自ずと明確になります。

ゴール設定は、誰が見ても誤解しないように具体的な数値や個人名を明記することが重要です。そのほかにも、役職名や顧客の行動、さらにはBtoB営業では欠かせないフレームワークである「BANT条件」も明記することでよりわかりやすくなるでしょう。

現状について各プロセスに当てはめる

細分化したプロセスに対して、チームや組織が現状抱えている案件を当てはめていきます。当てはめる際には、必ず現場の営業担当者にヒアリングを行いながら実施してください。

さらに、当てはめたそれぞれのプロセスの顧客数や次のプロセスへの転換率である「CVR」の数値を導き出すことも重要です。

この作業を実施することで、事前に定義付けしたプロセスやゴールなどの条件に不備や問題点などが浮き彫りとなり、不明確な部分が明確になります。その場合は、臨機応変に調整を行い、理想的なパイプライン管理へとブラッシュアップさせてください。

各プロセスの分析を行い課題抽出

現状抱えている案件がどのプロセスにあるかを把握できたら、早速プロセスごとに分析を行って課題を抽出します。この工程こそが、パイプライン管理を行う本当の目的です。課題を把握できたら、それに基づく業務改善策を具体的に考えてチームや組織内で共有することを意識してください。

課題ごとに改善策を実施

改善策が見出せたら、あとは実践あるのみです。マネージャーなどのマネジメント層は、それぞれの営業担当者の進捗情報はもちろん、チームや組織全体の状況を常に把握しながら、新たな課題や問題の早期発見、そして改善策について考えていきましょう。

課題を早期発見するためには、次のポイントを意識することが重要です。

・それぞれのプロセスにおける顧客数の変動やその原因
・それぞれのプロセスにおける顧客数の変動予測
・売上に対する達成状況
・達成状況からかけ離れている場合の対策方法

これらのチェックポイントは、マネジメント層だけでなく、チーム全体で意識すべき内容です。チーム全体で同じ目的意識を持つことで、組織全体の方向性を合わせられますし、営業活動の改善を実現できるでしょう。

パイプライン管理において気をつけるべきポイント

ここからは、パイプライン管理を導入する上で気をつけるべき注意点をご紹介します。

リアルタイムでの情報共有を行う

正しくパイプライン管理をするためには、リアルタイムでの情報交換が不可欠です。最新の営業の進捗状況を把握しなければ、刻一刻と変化する状況に応じた戦略を立てることもできません。

メールなどの連絡ツールのみで進捗状況を共有するのでは不十分です。双方が簡単にデータ入力し、リアルタイムで現状を把握できるようなシステムを整えてください。

チーム全体へ正確に情報を伝達する

パイプライン管理では、個人間で情報を共有するのではなく、チームや組織全体で正確な情報を伝達・共有することです。正確なデータや情報を伝達、蓄積することで、はじめてパイプライン管理が実践できます。

特に、プロセスごとの進捗状況は、非常に大きな価値があり、営業担当者だけでなく、組織内の様々な立場の人たちにとって様々な用途で活用できますので、正確に伝えていくよう心がけましょう。

入力や集計・分析に負担がかかりすぎないようにする

パイプライン管理を導入する際、入力や集計、分析するのが大きな負担となるのが大きなデメリットとして挙げられますが、それら負担を軽くすることがパイプライン管理を継続するコツと言っても過言ではありません。

特にデータ入力の環境を整えることが最重要課題と言えます。入力に時間も手間もかかると、どうしても億劫に感じてしまいます。そのため、入力項目を最小限に抑えたり、入力の手間がかからないシステムを導入したりするなどの対策をとることが大切です。

ITツールの導入など業務効率の改善を図っていく

パイプライン管理をスムーズに実践するためにおすすめなのが「ITツールの導入」です。情報を正確に入力すること、そしてリアルタイムで情報共有するためにも、ITルーツの活用は必須だと言えるでしょう。

ITツールを導入するメリットには次の4つがあります。

・作業効率の向上
・コスト削減
・多様な働き方ができる
・気軽に導入して試せる

次章では、パイプライン管理におすすめのツールをご紹介するのでぜひ参考にしてください。

パイプライン管理を可能にするツールを解説

スムーズなパイプライン管理を実現するためにおすすめするツールをご紹介します。

Excel

Excelシートを活用して営業プロセスごとの進捗状況や営業成果を可視化できます。

一般的なExcelですと入力シートを一から作り上げる必要があるため、とても大きな労力がかかるでしょう。そこでおすすめなのが、マイクロソフトからリリースされている「Dynamics 365 for Marketing」を活用する方法です。Excelのテンプレートを用いて分析ができるため、専用ツールに匹敵するほどのパイプライン管理を実現できます。

Dynamics 365 for MarketingはMicrosoft Teamsとの連携もできるので、よりスムーズなパイプライン管理が可能です。

Dynamics 365 for Marketingの詳細はこちら

SFA

Excelを用いたデータ管理は、データが散在してしまうことや自分で入力しなければならないという手間が生じるため、どうしても混乱を招きがちでした。このようなカスタマイズや管理の難しさを解消してくれるツールとして注目されているのがITツール・SFAの存在です。

SFAは、ヒアリングや提案、日報などの営業担当者の行動を入力・管理するのに適しています。さらに、リアルタイムに情報を収集できるだけでなく、レポート機能によるデータ分析もできるので、これまで不透明だった営業プロセスやフローをシステム上で可視化し、問題や課題を突き止めることもできます。

MA

マーケティング用ツールであるMA(Marketing Automation)も、パイプライン管理に活用できるITツールです。

見込み客の情報を管理するリード管理機能やフォーム作成機能、さらにはメール配信機能など、マーケティングを行う上で必要な様々な機能が搭載されています。

そのほかにも、スコアリング機能やシナリオ機能など、アプローチの省略化や自動化もできるため、生産性を向上させるためにも非常に役立つツールです。

営業プロセスに進む条件を設定することで見込み客と質を上手にコントロールすることもできるため、マーケティングと営業の連携を強化したいチームや組織にぴったりのツールです。

【まとめ】ひとりひとりから組織全体の営業活動を可視化

今回は、パイプライン管理の概要をはじめ、メリットやデメリット、そして導入する際の流れを詳しくご紹介しました。パイプライン管理を導入することで、中長期的における目標や課題や営業担当者一人ひとりの育成状況、さらには組織全体の営業活動を可視化できます。

パイプライン管理を導入する際の注意点をしっかりと把握した上で、自社の営業プロセスを把握・分析し、さらなる営業活動の向上を目指していきましょう。