2024.05.29 (更新日:2024.06.11)

マネジメントノウハウ

本当は怖い「営業の属人化」とは?そのリスクと原因、解消方法を詳しく解説!

営業組織の中でよくある問題の一つに「属人化」があります。属人化は様々な問題が複雑に絡み合うことで起こるため簡単には解消できません。しかし、営業活動におけるノウハウやナレッジをチームや組織全体で共有することで、新人への教育コストを削減はもちろん、組織的な営業活動を実践できるでしょう。

ここでは、営業の属人化が起こってしまう原因を紐解きながら、具体的な解決方法を詳しくご紹介します。チームのメンバー内の売上に大きな差が出てしまい頭を抱えているマネージャー陣はもちろん、営業成績を上げたいと考える営業担当者の方も、ぜひ参考にしてください。

営業の属人化とは

属人化とは、業務の進め方や状況を特定の担当者しか把握しておらず、担当者のみしか業務を進められない状況のことです。属人化はどの組織や部署でも起こり得る現象ですが、特に営業活動において起こりやすい傾向にあります。

営業活動における属人化とは、営業活動のプロセスやノウハウがチームや組織内でしっかりと共有されず、特定の営業担当者に依存した状態のことです。例えば、顧客情報を営業担当者のみが把握していたり、商談などの営業活動の進捗状況を周囲に周知していなかったりなどがこの属人化に該当します。

その他にも営業活動において特定の営業担当者が全体の売上の多くを独占していたり、特定の営業担当者が抜けてしまうことで営業活動が成り立たなくなったりする状況も、属人化した状態と言えます。

一方で、属人化していない状態とは、チームや組織に属するすべての営業担当者が組織的な営業活動を行えている状況のことです。それぞれの営業担当者が同じ水準で営業活動を行うことで、特定の営業担当者がいなくなったとしても、売上が大きく下がったり、立ち行かなくなったりするリスクを回避できます。

つまり、属人化していない状態で営業活動を行うことで組織全体の営業力が向上し、結果として売上アップに繋がるのです。

営業の属人化のリスク

営業の属人化にはいくつかのリスクが伴います。まず、ノウハウや顧客情報が特定の営業担当者に集中することで、その担当者が退職や異動した際に重要な知識や情報が失われる危険性があります。これにより、顧客関係の維持や営業活動の継続が難しくなる可能性があります。また、営業成績が担当者の能力やスキルに依存するため、業績のばらつきが生じやすくなります。優れた営業担当者は高い成績を上げることができますが、そうでない場合は成績が低迷するリスクがあります。

さらに、営業の属人化は新人の育成にも影響を与えます。ベテラン営業担当者の経験や技術が共有されないため、新しい担当者が同じレベルに達するまでに時間がかかり、効果的な育成が難しくなります。このような状況では、業務の標準化や効率化が進まず、組織全体のパフォーマンスが低下していく可能性が高くなります。特定の営業担当者が自分の方法で営業活動を行うことで、再現性が保たれず、また無駄な作業が発生しやすくなるのです。

顧客満足度の面でもリスクがあります。担当者個人に依存するため、その担当者が変わると顧客が不満を感じる可能性が高まります。特に、特定の営業担当者と深い関係を築いている顧客は、その担当者がいなくなるとサービスの質が低下したと感じることがあります。また、営業担当者が自分の裁量で契約や価格交渉を行っていると、リスク管理が難しくなります。過度な値引きや甘い契約条件が発生しやすく、企業全体の利益に悪影響を与える恐れがあります。

一定の成果をあげられている営業マン個人の視点からすると日々の活動が回っていれば属人化しても問題はないと思えるかもしれません。しかし、営業の組織経営、人材育成やリスクマネジメントの視点からするとこれらのリスクを避け、営業の属人化を解消することがどれほど重要であることが分かると思います。

これらのリスクを軽減するためには、営業プロセスの標準化、ナレッジ共有の仕組み構築、営業データの一元管理、チーム営業の推進などが重要です。これにより、特定の個人に依存しない強固な営業体制を築くことができ、組織全体のパフォーマンスを向上させることが可能になります。

営業の属人化が起きてしまう原因

営業の属人化を解消するためには、まず属人化する原因について理解することが重要です。営業の属人化が起こる原因には、大きく分けて「組織」によるものと「個人」によるものが存在します。

ここからは、営業属人化が起きてしまう4つの原因について詳しくご紹介します。

情報共有ができていない

チームや組織全体で情報共有する風土が整っていないと、営業の属人化が起こりやすくなります。

情報共有する仕組みがないまま営業活動を続けてしまうと、それぞれの営業担当者が各々のスタイルで顧客情報や業務の進捗状況を管理しがちです。その結果、特定の担当者のみが分かる内容が増えてしまい、営業の属人化が加速しかねません。

属人化を防ぐ体制や仕組みがない

属人化を防ぐためには、基本的な業務内容や行動を標準化させることが大切です。チームや組織として、属人化を肯定的に捉えている場合は、いつまで経っても属人化したままの状態から抜け出せないでしょう。

また、業務を仕組み化できていないことも、属人化を加速させる要因の一つです。マニュアルなど業務を体系化するものがないまま営業活動をし続けてしまうと、個々の営業担当者のスキルや力量への依存し続ける状態となってしまいます。

営業活動自体が回っていない

様々な部署の中でも、営業部門は新規顧客の開拓や営業アプローチ、さらには商談など、常にマルチタスクで動いています。さらに、顧客先に直接訪問するオフラインの営業活動をしている場合は、営業担当者が常に外回りをしているケースも少なくありません。

このように、単純に営業活動が忙しすぎることで情報共有する余裕がなかったり、必要な情報をまとめる時間さえも取れなかったりする場合があるのです。

ミスの発覚を恐れ、立場を守りたい意識が働く

個人の意思や考え方によって営業の属人化が進んでしまうケースも少なくありません。

特に、個人の成績や業績が物を言う営業活動においては、自分の営業成績を守るために有益な情報を独り占めしたいという意識が働きやすい環境になりがちです。給与やボーナスを相対評価で算出している場合は、他の社員よりも優位に立ちたいという意識が働き、情報を隠したいと考える社員が増えやすいでしょう。このように自分の立場を守りたいという考えを「ジョブセキュリティ」と言います。

そして、情報共有をすることで、営業に対する成果だけでなくミスも共有されます。そのため、営業活動において何か大きなミスや不正があった場合に、発覚を恐れて意図的に属人化されてしまうケースもあるのです。ミスや不正の発覚が遅れて手遅れになることも考えられます。

このように、ミスの発生を防ぐためにも属人化対策は重要です。情報共有することで特定の社員が損と感じないようにするための仕組みづくりが重要と言えるでしょう。


関連記事:属人化を防ぐマネジメント術について紹介しています。
営業プロセスマネジメントとは?課題を明確にし確実に目標を達成するマネジメント術を解説(図解あり)

営業の属人化によって引き起こされる課題

営業活動は他の業務に比べて属人化しやすいことが理解できたところで、ここからは営業の属人化によってどのような悪影響あるのかご紹介します。

営業活動の管理が難しくなる

営業の属人化が進んでしまうと、営業担当者がそれぞれに営業活動を行うことになり、結果としてマネージャーや管理者が管理しづらい状況になってしまいます。営業活動において、営業管理は非常に大切な要素です。

個々の営業担当者が抱える課題や問題を解決するためのフィードバックやノウハウを伝えていくことで、スキル向上に繋がりますが、営業活動が不透明なままでは、適切な指導やアドバイスができません。その結果、営業効率が悪くなり、業績悪化に繋がってしまうでしょう。

独自の営業対応になってしまう

営業が属人化すると、営業活動が統一化しにくくなります。それぞれの営業担当者が得意とするやり方ややりやすいスタイルで営業活動を行ってしまうため、同じチームであっても担当者によって対応にばらつきが生じてしまうのです。

担当者によって対応が異なることで、顧客は困惑してしまい、最終的には組織に対する不信感に繋がりかねません。組織で統一されたスタイルで営業を行わないことで、本来得られる成果を発揮できなくなってしまうでしょう。

営業担当の引き継ぎが難しくなる

営業が属人化してしまうと、営業担当が変わる際の引き継ぎが非常に難しくなってしまいます。例えば、ケガや病気などによる休職や転勤・転職によって担当者のポストが空く度に、引き継ぎをしなければなりません。

属人化した状態での担当者変更が難しいとされる最大の理由は、顧客とのコミュニケーション履歴や重要な情報を担当者が独自に管理しているケースが多いためです。

個人が管理していた閉鎖的な情報をヒアリングすることで、予想以上に時間がかかってしまうケースも少なくありません。引き継ぎがうまくいかないと顧客への対応も遅れてしまいますし、十分な情報を引き継ぎできないと、本来知っているはずの情報を顧客に質問してしまうなどのトラブルにも繋がるでしょう。

その結果、途中解約や契約更新されないなど、機会損失に繋がる可能性も高くなります。最近は人材の長期雇用が非常に難しい時代ですので、担当者変更が難しい状況は絶対に避けるべきだと考えてください。

クレームへの対応が困難になる

営業が属人化してしまうことで、顧客からのクレーム対応が困難になってしまいがちです。クレームへの対応は元々難しく、慎重に、そして正しく対処しなければなりません。しかし、属人化していると必要な情報が共有されていないため、クレームに至った背景や原因を探るのが非常難しくなってしまうのです。

原因を探ることに時間と手間をかけてしまい、対応が後手に回ってしまうケースも少なくありません。間違った対応を取ってしまい、問題がさらに深刻化するケースもありますので注意が必要です。

組織における営業ノウハウがたまらない

営業が属人化されてしまうと、組織内に営業ノウハウが蓄積されないままになりがちです。営業担当者は、顧客に対して様々な働きかけを行います。しかし、チームや組織内で属人化が進んでしまうと、資料作成やメールのやり取りなど、優秀な担当者の営業ノウハウをはじめ、失敗談なども他の営業担当者に共有されません。

新人や若手社員の育成においても、営業ノウハウの蓄積は重要なポイントです。組織全体の成長速度を上げていくだけでなく、組織としての営業力向上にも繋がるでしょう。

営業の属人化を解消するための方法

属人化した業務を解消することを「標準化」と言います。属人化した状況では、業務がどうしても不透明になりがちですが、標準化することによって属人化のデメリットを払拭するだけでなく、企業利益の向上など様々なメリットを生み出します。

ここからは、営業の属人化を解消するための具体策をご紹介します。

営業プロセスを整理して標準化する

営業の属人化を解消するためにまずやるべきなのが、営業プロセスを整理して標準化することです。標準化とは、一般的にルールやマニュアルを定めることを意味します。

ルールやマニュアルを決める前に、現時点での営業活動やプロセスを具体的に確認しましょう。それぞれの営業マンのアポイント取り方や顧客へのフォロー方法、商談の進め方などを細かくチェックします。現状の確認ができたら、営業活動の改善を図るためのルールやマニュアルを策定してください。

その上で、営業プロセスをすべての営業マンに普及し、そして改善を繰り返していくのです。PDCAサイクルをチームや組織全体で繰り返すことで、組織的な営業活動に繋がります。

このように、営業活動のプロセスごとの進め方を定義・共有するだけでも、属人化の解消の大きな一歩となるのです。


関連記事:営業プロセスを可視化するステップについてはこちらの記事で解説

明確な目的や目標を設定する

営業の属人化を解消するためには、チームや組織全体の明確な目的や目標を設定することが重要です。目的や目標を達成できているかを常に確認しながら業務にあたることで、業務効率の向上や売上高アップに繋がります。

組織としての目的を定めた上で、目指すべきゴールを設定することで、属人化解消に向けた取り組みが風化されなくなります。目的や目標を具体的な言葉にしてチーム全体に落とし込んでください。

情報共有の仕組みを定める

営業プロセスを標準化したとしても、情報共有の仕組みがないと組織的な営業活動は持続できません。営業活動に関する情報が共有されないと、標準化した営業プロセスを実践できているかを確認できませんし、ノウハウを共有したとしても継続して実践できているかも把握できないからです。

一般的に営業担当者は外出する機会も多いため、外出先などでも手軽にアクセスして情報共有できる環境を整えることが重要です。どのような手段で情報共有をするかはもちろんのこと、情報共有するデータ内容についても検討してください。

組織全体でのルールや評価制度を見直し整備する

属人化を解消するためには、個人プレーを避けて、組織としてのルールや体制を整備することが重要です。例えば、ノウハウを集めてルールやマニュアルを作成する担当者を設置したり、アプローチからクロージングまでのマニュアルを作成したりするなど、具体的で分かりやすいルールや体制を整えていきましょう。

さらに、数字や成績に重きを置いた人事評価の制度も、属人化を加速させている原因の一つです。社内の評価制度は、新しい文化を浸透させるために重要な役割を担います。そのため、社員の考え方や行動を変えるためには、営業の属人化を解消させるような人事制度や評価制度を見直すことが大切です。

給与やボーナスが業績によって決まる場合は、ノウハウの共有はされにくいかもしれません。社員同士が互いに報酬を送り合う「ピアボーナス」制度やチーム単位での業績を反映するなど工夫してください。結果だけでなくプロセスも評価の対象とする制度もおすすめです。

営業の属人化解消を後押しするポイント

営業の属人化の解消を後押しするために実践すべきポイントをご紹介します。

ツールを導入する

営業の属人化を解消するためには、「顧客情報」「案件情報」「活動情報」、そして「営業ノウハウ」の4つの情報を管理・共有する必要があります。これらの情報を紙ベースで管理したり、営業担当者がデジタルデータで個々に管理したりするのでは、非常に手間と時間がかかってしまいかねません。

そこでおすすめなのが、ITツールを活用した業務管理を徹底することです。営業支援システムであるSFAをはじめ、顧客情報を一元管理できる名刺管理アプリ、そして通話や会議の内容を手軽にレコーディングできるツールなどを活用しながら、営業活動を標準化させていきましょう。


関連記事:SFAについて解説した記事はこちら(SFA(営業支援システム・ツール)とは何か?基礎知識や導入メリット、CRMやMAとの違いを紹介)

情報共有の会議を実施する

属人化は、業務の進め方や進捗状況などが共有されていないことが原因でもたらされてしまいます。営業活動におけるノウハウやナレッジを共有することで、組織全体の営業力を底上げする効果が期待できます。

そのため、業務に支障のない範囲内で情報共有のための会議や勉強会を積極的に実施していきましょう。月に1回など定期的に開催し続けることで情報共有する仕組みを体系化できるはずです。CRMやSFAなどのITツールを活用することで簡単に共有できますので、ぜひ導入を検討してください。

【まとめ】営業プロセスを標準化して情報共有する仕組みを作る

営業の属人化について詳しくご紹介しました。営業活動は常に忙しく自己完結しやすいですし、営業担当者にとっては立場を守りたいという意識が働いてしまうことなどから、どうしても属人化しやすい特性があります。

営業プロセスを標準化して情報共有する仕組みを作ること、そして組織全体のルールや評価制度をしっかりと整備することで属人化の解消は十分可能です。この記事でご紹介した内容を参考にしていただき、自社の営業活動向上をより推進していくことをおすすめします。

関連資料:営業プロセスを標準化するステップは下記でダウンロード可能です↓