2022.04.16 (更新日:2024.03.25)
SFA(営業支援システム・ツール)とは何か?基礎知識や導入メリット、CRMやMAとの違いを紹介
営業の効果と効率を高めるためには、担当者の感覚や経験だけに頼らずに体系化された視点に基づいた活動をサポートするための優れたツールを使うことが重要になってきます。特に、組織として営業力を向上させるためには、共通して使えるシステムが求められます。そこで注目されているのがSFAです。その特徴を押さえておきましょう。
目次
SFAでできること(まとめ)
SFAとは「営業支援システム」の略で、営業活動全体をスムーズに進めていくためのまとまったツールを指します。アプローチから商談開始、成約に至るまでの一連の流れを視覚化して、それぞれのプロセスを明確にします。それぞれの担当者、そしてそれぞれのプロセスにおける進捗状況を見える形にすることによって、管理がしやすくなりますし、何らかの改善を図る手がかりを得るのも容易になります。
また、営業活動の中で自動化できるものについては、SFAによって自動化するというのも一つのポイントです。営業をしていく上で、見込み顧客のリスト作成や見積書の作成、定期的な顧客への情報提供といった活動をしていきますが、その多くは定型的な繰り返し作業です。その作業のうち自動化が可能なものに人力を使わないことによって、より営業担当者がお客様との関係づくりなどに時間を充てられるようになります。
営業生産性の向上
このように、SFAの目的は営業生産性の向上にあります。作業そのものの無駄を省き効率化することによって、より重要な活動に集中できるようになるからです。これはITシステムを使うことによって、書面作成や情報共有などの作業を素早く完了することで可能となります。同時に、営業活動そのものを効率化させることができます。プロセスの可視化によって、非効率な部分が見えてくるからです。たとえば、アポイントはとても多く取れているのに、商談のペースが遅いといったことが分かれば、その部分の何が悪いのかを分析します。その上で、具体的な対策を施すことで、一つのプロセスの詰まり、滞りをなくしてスムーズに営業プロセスを進行させられます。
SFAの基本的役割
SFAが営業組織の中で、そして、それぞれの営業担当者にとってどんな役割を果たしているかを見てみましょう。それにより、SFAがどれだけ営業活動の質を向上させるものなのかを理解しやすくなります。また、導入を検討するにあたって、どのような目標を立てるべきなのかを決められるようになります。
SFAとは?
SFAとは「Sales Force Automation」の略で、上記のように営業支援ツールを指します。ここで重要なのは、営業力をオートメーション、つまり自動化するという点が重視されていることです。従来の営業スタイルでは、営業担当者という人そのものの力と努力に頼りきりの側面が強いものがありました。しかし、SFAでは営業に必要な情報を自動的に集約、管理することで、どんな営業担当者でも成果の確率を高める営業活動ができるように支援します。こうしたデータを蓄積し、それを分析することによって、見込み顧客に訴求しやすいポイントを見極め、効率的な対応策を見つけられるようになります。
また、営業担当者の活動をマネジメントするのもSFAの特徴です。これは単に受注件数がいくらかという結果だけのことではありません。営業プロセスごとの訪問回数、案件の進捗状況、提案できた商材の種類といったものをデータ化し、それを受注率と比較していくというものです。これにより、より成功率の高い営業手法を見つけ、成果の出ていない人がその手法を適用しやすくなります。こうして、個人の能力に頼りきりにならず、組織として営業力を高度標準化できるのがポイントです。
SFAの機能
SFAでは、営業活動の管理と情報の管理が重要な柱となります。そのため、まず顧客管理の機能がSFAに含まれます。顧客の企業名や担当者、過去の受注、商談履歴といったものをデータにしていきます。そこから、どんな営業活動で成果が出ているのかを分析します。
2つ目の機能は、案件管理です。個別の案件について、担当者や顧客の担当者、プッシュしている商材などの情報をまとめます。その上で、商談の進み具合を可視化し、成約となる確率、提示できる見積もり限度額、売上個数などを検討します。案件が完了した後は、商談履歴として保存されます。
3つ目の機能は、営業担当者の行動管理です。期間ごと、もしくは案件ごとのアプローチの回数や商談回数、商材についての知識度といったものを集約します。そして、受注件数から効率の良い営業活動となっているかを検討することになります。
4つ目の機能は、予実管理があります。単純に商談回数や成約件数をまとめるだけでなく、プロモーションで使われた媒体や担当をした営業担当者などと比較できるようにします。また、提案した商材の選択肢や、見積金額などのデータとの比較も行い、成果の出やすい手法やアプローチの仕方を浮かび上がらせます。さらに、全体としてのコストや成約までの時間を確認して、予算組みや人員配置などをする際の検討材料に用いていきます。
5つ目の機能は、レポート管理機能があります。営業担当者が行う営業活動報告書などを、自動的に作成する機能です。スマホアプリなどで決まったフォームに入力していくだけで報告ができるようにします。これにより、書面作りの時間を省けますし、どの社員からも決まった形で報告を受けられるので解析しやすいデータを集約できます。
SFAの役割
このような機能を持つSFAは、様々なデータを誰が見ても分かるように集約、分析するという役割を果たします。こうした作業がないと、成約を多く取っている営業担当者とそうでない人との差が存在していることは明らかなものの、その原因となっているものは分からないままです。そこで、SFAを導入することによって、成果の出しやすい手法を把握しやすくなります。こうした情報の集約と可視化がSFAの重要な役割なのです。
こうして、今までブラックボックス状態だった営業活動を目に見える形にします。その上で、組織としての改善点を見つけて、営業担当者すべてに実践させるようにします。最終的には、営業の標準化を図り、組織としての営業効率の上昇をサポートするのがSFAの役割とも言えます。
SFAに求めること
これらの役割を考えると、SFAでは営業活動を便利にする単体の機能というよりも、営業活動全体を貫くサポートを与えることが求められます。つまり、顧客のデータを管理するだけの機能ではなく、それと営業担当者の行動管理、成約数などを連携、比較させる機能が組み合わさっている必要があります。そうしたそれぞれの異なるデータや営業プロセスをシームレス(継ぎ目なく)に管理することで、全体として必要な改善点や、担当者全員が適用できるコツなどをつかめるようになるわけです。
また、データの可視化が大きなポイントですので、見やすく分かりやすいグラフ、画面を持つというのもSFAに求められることです。部署の管理者だけでなく、それぞれの担当者が確認してすぐに把握できるよう、使いやすいシステムを選ぶことも成功の秘訣と言えます。
詳細について知りたい方は以下を参照ください。
SFAとCRMの違い
営業を支援するツールとしては、CRMもあります。CRMについては導入している企業も多く、SFAよりなじみが深いと感じることもあるでしょう。そこで、CRMとSFAにはどんな違いがあるのか、また、これらに近いMAというシステムについても特徴を比較してみましょう。
CRMとは?
CRMというのは、「Customer Relationship Management」の略で、「顧客関係管理」と呼ばれるシステムのことです。この名称からも分かるように、主に顧客に関係したデータをまとめて管理するためのものです。そして、その顧客データを基にして、ターゲット層や個別の顧客に適したマーケティング戦略を組んだり、フォローを実施したりするわけです。こうすることで、顧客に合った付き合いをしたり、サービスを提供したりして、顧客との間に良い関係性を構築することを目的とします。
CRMの機能
CRMでは、まず顧客についてのデータベースを主な機能としています。顧客の業種や企業規模、営業エリア、付き合いの年数などのデータを管理します。同時に、購買履歴や頻度、その用途などの情報もまとめて購買パターンを分析できるようにします。こうしたデータは個人情報が含まれているため、強固なセキュリティー機能を持たせる必要があるのは言うまでもありません。
カスタマーサポート機能もCRMの重要な側面です。顧客から問い合わせやクレームがあった際に、すぐにその顧客の購買状況や過去の問い合わせ事例などを検索できるようにします。それにより最短時間での問題解決や、最適な担当者の選定などが可能となります。
CRMの基本的役割
CRMでは、顧客についての情報を分かりやすく把握することを重視しています。顧客となる企業については、時に情報が分かりにくい状態になっていることがあります。単なる顧客リストと、購買履歴などの情報が結びついていないと、誰が何を買ってくれたのかといった分析がしにくくなってしまうのです。それを防ぎ、顧客についてのすべての情報を一元化するのがCRMの基本的な役割と言えるでしょう。
もう一つは顧客についての情報を、社内で共有することにあります。他の部署で顧客に対応することになった時、皆が同じ情報を持っていれば、迅速な対応が可能となります。
このように、CRMはあくまでも顧客に的を絞った管理ツールとなります。そのため、営業活動全体を管理するSFAと比べると範囲が狭いのが、二つの差と言えるでしょう。
CRMに求めること
こうした役割を考えると、多くの顧客データを分かりやすく表示してくれるシステムであると、使いやすいツールとなります。欲しい情報をすぐに検索して確認できることが求められるのです。そして、情報を共有しやすいシステムにすることも求められます。特定の部署だけで利用するものではなく、カスタマーサポートや商品開発などの部署でも、リアルタイムで顧客情報にアクセスできることが望ましいのです。
MAとは?
営業活動を支援するツールとしては、MAというものもあります。MAとは「Marketing Automation」の略で、マーケティングに特化した支援ツールです。マーケティングでは、見込み客の管理やメルマガ配信、オンラインメディアのデータ解析など、非常に多くの作業がなされています。それらの作業を自動化したり、情報管理を一元化したりすることによって効率化を図る必要があります。そこで活躍するのがMAというわけです。
MAの機能
MAではCRMと同じく、顧客についての情報を管理する機能があります。ターゲット層の属性や傾向を見極めるのが主な目的です。その上で、それぞれのリードのスコアリングをする機能も付いています。見込み顧客の自社や自社製品に対する関心度合いや行動の内容によって点数化するものです。具体的には、配信したメルマガを開封した、自社サイトを訪問した、資料を請求したといった行動について点数を決め、リードが特定の行動を取ると加算されます。よりスコアの高いリードほど関心が高いわけですから、営業担当がよりポジティブな行動を取るように促すものとなります。
キャンペーン設定機能も設けられています。割引やクーポンなどの紹介をするための機能で、自動的に実行できるのが特徴です。たとえば、自社サイトを訪問したリードにのみ割引クーポンを発行する、スコアが任意の点数に達したリードに割引を適用するといったキャンペーンを自動で判断してくれるのです。
アラート機能も効率的なマーケティングに役立ちます。これは、リードが特定の行動を取った時に通知をしてくれるというものです。たとえば、自社サイトにアクセスしたことのあるリードが、料金表ファイルをダウンロードした時に、自動的に営業担当者にアラームを送ります。こうすることで、単なる関心から行動に移ったタイミングで、すぐに担当者がアプローチをかけることができます。
MAの基本的役割
このように、MAはリードの情報を見るためのものですが、特にマーケティングという観点から情報を使います。どんな行動を取っているのか、どんな点に関心を持っているのかなどを把握するのが基本的な役割なのです。それにより、適切な対応をタイミングを逃すことなく、マーケティング担当者もしくは営業担当者が取れるようにするためのものです。
こうしてみると、MAは顧客の行動に焦点をあてたもので、SFAと比べるとその範囲が限定されるという違いがあります。そのため、SFAを全体の管理で用い、マーケティングという活動の中でMAを活用し、お互いを連携させることが成功のカギとなります。営業活動全体のプロセスを見るSFAの中では、MAが果たす役割はリードの分析とアプローチ開始にあたり、比較的初期の段階で利用されるものとなるわけです。
MAに求めること
CRMはあくまでも顧客情報を一元管理するものですが、MAはそれを活用することが求められます。そのため、集約された情報を条件によってフィルタリングすることや、それによって適切なアクションを自動的に実施してくれる機能がないといけません。マーケティングを自動化することがMAの本質ですので、最初の設定をしたら後は作業をあまりしなくても良いというシステムが望ましいと言えます。また、スピードも大事です。膨大なデータをスピーディーに分析し、リードが購買に動きそうなタイミングを逃さないことが、MAに求められることだからです。
SFA導入の失敗例
有用なSFAですが導入の仕方、使い方によって失敗してしまうこともあります。その事例から教訓を学んでみましょう。
SFAの一般的課題
SFAを導入したものの、うまく使いこなせない企業もあります。特にいくつかの点は、失敗する企業によく見られる間違いですので一般的な課題として覚えておくと良いでしょう。
売上予測を明確にできない
過去の受注率や購買履歴から売上予測するのですが、この予測にズレが常に生じる事例が見られます。その原因にあるのは、売上データの集積が不十分であることが多いです。予測を立てたい商材に類似するジャンルや価格帯のものを参考にしないと、明確に予測ができないのです。
ブラックボックスを見える化できない
SFAを導入しても今までのやり方で得ていた情報と大して変わらないという事例も見られます。これは、現場の担当者が入力してくれないことが原因です。アプリなどで簡単にいつでも入力しやすいシステムを選ぶこと、そもそも営業担当者が関係する入力項目が選ばれているかを検討するようにしましょう。
営業プロセス上の問題解決ができない
問題があることが分かっていても、一向に解決されないということもあります。これは、データを活かしきれていないことが原因です。データを集めて満足しており、分析する体制が整っていないのです。もしくは分析の仕方が間違っていることもあります。データ分析のスキルを持つ人を専属で担当者に据えるなどの策が求められます。
営業の情報資産を有効活用できない
情報を共有する体制ができていないと、それを利用する機会が失われてしまいます。そのため、リーダーが積極的にチームの中で、SFAから得られた情報を共有する取り組みをするのは良いことです。また、営業部からマーケティング部にデータから得られた知見などを提供して、社内での情報共有の流れを良くすることも大切です。
営業戦略の検討に役立つ分析ができない
データがあるものの、それをどう考えたら良いか分からないという企業もあります。まずは、明らかに受注率が高い商材や担当者、アプローチした媒体を見るようにします。そして、そこから効果が出た原因を探り、他の商材や社員にも適用します。まずは有効な手段を発見するという努力をすることで、分析力を高めていけます。
個人と組織の営業力を強化できない
情報があるのに受注率が高くならない、営業スキルが向上しないという事例も多いです。これは、組織としての研修、指導体制に問題があります。定期的に改善点をまとめて社員に共有したり、研修を実施したりします。また、SFAを社員が利用していないということもありますので、入力や利用をすることで人事評価のスコアが高くなるなどの制度を設けることもできます。
SFAを定着させるために必要な取り組みとは?
実際に利用しなければ意味のないツールですので、まずは情報入力をするようにインセンティブ制度を設ける取り組みを導入できます。成約件数だけでなくSFA入力を確実に行った社員に報酬があると分かれば、定着しやすくなります。
また、マネージャーがSFAを使っている様子を見せることも大事です。メンバーがSFAに登録したものをチェックして、それについてコメントしてあげるといった形です。こうした意識をすることで、自然と定着していくものです。
SFA活用ガイド
SFAを活用するためには、まず現場における入力作業が必須です。分かりやすい入力項目を設けて、気軽に情報集約ができるようにします。
登録されたデータはリーダーがチェックして、それを評価したり共有したりします。同時に重要な項目は商品開発やマーケティングにも通知し共有します。
効率の良い、もしくは悪いプロセスや担当者をツールで発見して、改善点を伝えたり他の人が見習える点を研修で使ったりします。