2024.03.10 (更新日:2024.03.29)

インサイドセールス

インサイドセールスとは?BtoB営業においてあるべき姿とポイントを紹介!

インサイドセールスとは、見込み顧客(リード)発掘から案件受注までの全プロセスの中で、特に見込み顧客に対して電話やEメールなどの非対面でコンタクトを取りながら案件化する可能性を見極めて、フィールドセールスに繋ぐ役割を指すものです。

顧客の購買傾向は時代の流れと共に大きく変化しています。企業もそれに合わせて、営業手法を柔軟に対応させる必要があります。その点で今注目されているのが、インサイドセールスという役割です。これが何を意味するのか、どうしてBtoBに有用なのかを探ってみましょう。

インサイドセールスとは

先に述べたようにインサイドセールスとは、特に見込み顧客に対して電話やEメールなどの非対面でコンタクトを取りながら案件化する可能性を見極めて、フィールドセールスに繋ぐ役割を指すものです。
また、見込みの低いリードを自社に関心を持ってもらうために定期的にコンタクトをとることもインサイドセールスの役割になります。
さらには、休眠先の掘り起こし、既存顧客のフォローなどを営業担当者に代わって実施することを役割にしている企業もあります。
扱う商材などによってインサイドセールスはその役割や守備範囲が異なりますが、いずれにしても上記の役割を集中的に効率よく担っていくことがインサイドセールスになります。

フィールドセールスとの違い

インサイドとは「内部」を意味し、従来メインとされてきた外回りの手法を使わないセールス方法を指します。具体的には、電話やEメール、SNS、Webシステムなどを用いて、見込み顧客にアプローチして商談を獲得することです。そのため、インサイドセールスはオフィス内で活動をするのが特徴です。

一方で、インサイドセールスに対する役割として、フィールドセールスがあります。これは、営業担当者が顧客企業を訪問をするなど、対面よって営業をする従来の手法です。こうした違いがあるものの、インサイドセールスとフィールドセールスは全く別のものというよりも、使い分けをすべきものとして捉えることが重要です。

営業プロセスにおいて、どこからどこまでの領域を、どのような手法で担当するかによって、呼称が異なることもあります。代表的には以下の3種類に分けられます。

BDR(Business Development Representative)
主にリストから手紙や電話(テレアポ)によって商談機会を創出する役割を担います。

SDR(Sales Development Representative)
主に問い合わせからお客様との商談機会を創出する役割を担います。反響型営業ともいえますね。

Online Sales
オンラインによって商談から受注、契約締結までを行う役割を担います。

つまり、顧客の購買プロセスの段階によってフィールドセールスをするか、インサイドセールスにするのかを明確に決める必要があります。

インサイドセールスが普及した背景

従来の対面での訪問営業ではなかなか効率が上がらない状況になり、インサイドセールスを採用する企業が多くなっています。そこには、顧客や営業を取り巻く環境の変化が大きく影響しています。

従来のBtoB営業が抱える課題

従来のBtoB営業では顧客と直接会い、ヒアリングや聞き取りをし、詳細を提示するために会社に持ち帰り、再度訪問するといった感じで、工程と時間がかかっていました。しかし、多くの企業は今やスピーディーに情報を集めて決定し、必要な資材やシステムを導入することを求めています。従来の方法では時間がかかるため、相手がしびれを切らしてしまうという課題がありました。また、人と会って話を聞かなくても、インターネットで調べればたいていのことが分かる時代となっています。そのため、訪問営業そのものが敬遠されていることも意識しておくべきです。

このような状況になってくると、企業も外部からの営業電話を以前にも増して受け付けなくなります。何かを購買する際は、自分たちで情報を収集し、必要な場合は自分たちから外部に連絡を取るという手段が取れるようになったからです。そうなると、企業側としては外部からの営業電話に関しては一切取り次がないように徹底するというのも頷けます。
このような状況下において、営業担当者がフィールドセールスをしながら空いた時間で新規のリスト名簿にアポイントをしかけていくという手法は、あまりにも非効率になってきました。

訪問数を重視した非効率な営業活動

営業効率、つまり自社側の利益という面でも、従来の営業活動にはデメリットが多くなっています。というのも、従来のスタイルの場合、訪問数を上げていかないと成約数も確保できないということで、いわゆる「足を使った」努力が必須だったからです。当然、会社訪問をするにはかなりの時間がかかりますし、人員の数も、個々の体力や士気も求められます。新規案件を獲得するための訪問営業は、労力と時間の割にはそれほど成果が出ないことも多いなかで、リードを獲得する従来になかったデジタルマーケティングの手法が確立してきたため、新規開拓手法の見直しが必要な時期となっているわけです。

そもそも、既存顧客との取引を維持・拡大する活動をしながら新規顧客の開拓をする場合、営業担当者はどうしても既存顧客への活動が優先的になり、新規開拓のためのTELアポイントなどは後回しになってしまうため、営業組織全体として新規開拓が向上していかないという状況がよくあります。
そのため、新規開拓につながるアポイント獲得だけを専任で進めるインサイドセールスという役割が有効になるということは頷けます。

インサイドセールスに求められる役割

インサイドセールスでは何を目的とするのかを理解しておくことで、その意義と実践の際に注力すべき点が分かります。いくつかの果たす役割をおさらいしておきましょう。

見込み顧客へのアプローチ(リードナーチャリング)

インサイドセールスで特に効果を挙げるのが、リードナーチャリングです。リードナーチャリングとは「見込み顧客の育成」のことで、展示会や資料ダウンロード、Web広告などで獲得したリードに対して働きかけ、さらに購入見込みを高める過程を指します。自社に対して少なからず関心を持っていただいた潜在的ニーズをもっている見込み顧客に対して、タイムリーに積極的に働きかけることによってニーズを顕在化していくことがインサイドセールスの重要な役割になります。

また、過去に取引が全くない新規先だけではなく、購買歴があるものの、最近はリピートが見られないとか、コンタクトがなされていないといった休眠顧客へのアプローチも重要です。こうした顧客は、すでに自社製品・サービスへの関心があることを示していますし、実際にサービスを体験しています。企業の情報や担当者、メールアドレス、電話番号といった、アプローチをするのに必要な情報も蓄積されています。コンタクトを取りやすく、なおかつ購買意欲が高い層として、リピーター復帰への確率が高い訴求ができるわけです。また、休眠顧客とまでいかないまでも、前回の購入から多少の期間が空いている顧客にアプローチすることで、顧客を放置せず、すぐにリピーターとして育成できるという側面もあります。これもインサイドセールスによって成し遂げることができます。

このようなリードを継続的にフォローできなった場合、その約80%は2年以内に自社以外の競合から何らかの製品・サービスを購入しているという調査結果もあります。

見込み顧客の見極め(リードクオリフィケーション)

リードナーチャリングでは、見込み顧客の関心度を高めることによって、育成することを重視します。しかし、すべてのリードが実際に購入へと進むわけではありません。また、対象となるリードが多いと、すべてに対して踏み込んだアプローチをする時間が取れないこともあります。そこで、リードクオリフィケーションが必要となってきます。リードクオリフィケーションとは、「見込み顧客の選別」のことです。つまり、より購買の可能性が高いリードの抽出と、案件化に向けたアプローチです。こうした直接成果につながるプロセスを、インサイドセールスによって完成させることができるのです。

ニーズの収集

リードを獲得するにあたっては、ターゲットを明確にすること、そもそもターゲットとなり得る層を見つけることが必要になります。そのためには、市場の中にあるニーズを知ることが第一歩です。自社が提供する製品・サービスに関連して、どのような一般的な課題や要望があるのかをリサーチします。これにより、見込み顧客となり得る、いわば顧客の種を見つけ出すのです。営業の対象先を見つけ出すことで、適切なアプローチが可能となります。インサイドセールスでは、かなり広い範囲にコンタクトが取れ、レスポンスによって解析がしやすいという特性を持ちます。広くデータを集めて分析をすることで、より良くニーズを見極められるのです。

BtoB企業にインサイドセールスが必要な理由

インサイドセールスは幅広いニーズに応えられる手法ですが、特にBtoB企業においては重要性の高いものです。なぜこの分野での効果が高いのかを考え、営業手法の転換を検討できます。

受注までの長いリードタイム

BtoBでは、ファーストコンタクトから受注まで、長い時間がかかるケースが多い傾向にあります。というのも、個人消費よりも、都度の受注数も金額も大きくなるからです。また、製品・サービスによっては、企業の業務や提供するサービスの質・効率にも大きな影響を与えることがあります。それだけに、慎重に取引先と製品・サービスの内容を精査するわけです。

そこで、リードを育成するために長い時間をかけることになります。インサイドセールスであれば、コミュニケーションを効率よく行えて、時間を短縮できます。また、質問や要望に対して迅速に回答できるといった点でも、リードタイムを短くするのに役立ちます。

見込み顧客の育成

BtoBでは、こまめにコミュニケーションを取る必要があります。訪問営業と比べてそれができるのが、インサイドセールスの利点の一つです。細かな点までリードに情報を提供できますし、様々な角度からデータを収集できる手法であるため、よりリードの関心事やニーズに合った提示が可能となります。他にも、インサイドセールスだと、Webサイトや動画、SNSなど異なるメディアから情報を提供できて、育成しやすい環境を作れるというのも利点として挙げられます。

フィールドセールスとの分業化

BtoBでは、取引規模や相手方の要望により、実際に対面での商談が多くなります。その点、インサイドセールスでは、アポイント獲得までや商談初期までといったタイミングで、フィールドセールスに切り替えることができます。手法を分けて行うことにより、スピーディーなアプローチと相手に合わせた丁寧な対応という両面を実現できるわけです。

BtoB企業がインサイドセールスを導入するメリット

こうした特徴を持つインサイドセールスには、いくつものメリットがあります。導入を検討しているのであれば、こうした点を考えて、方針転換を進められます。

商談機会を逃さない

インサイドセールスでは、訪問営業よりもはるかに効率の良い営業ができて、たくさんの企業にアプローチすることができます。そのため、訪問が追い付かなくて商談期間を逃してしまったということが発生しにくくなります。機会損失が課題となっている企業には、大きな助けとなることでしょう。

見込み顧客との関係構築ができる

訪問の機会を持てないとか、頻度が少なくてコミュニケーションが不足しているケースでも、インサイドセールスのメリットは大きいです。Eメールやチャットなどによって、こまめなレスポンスや情報提供ができますので、より緊密な関係を作れるのです。

営業活動を効率化できる

非訪問のスタイルですので、会社訪問に必要な移動時間や待ち時間といったものが削減できます。それだけアプローチできる母数が飛躍的に伸びます。さらに、ある程度定型化された内容で情報を提供できるため、社員ごとの能力の違いが生まれづらく、標準化をしやすいのも特徴です。こうして組織として営業効率をアップできるのです。

フィールドセールスの受注率が高まる

こうしたメリットは、最終的にフィールドセールスによる受注率の押し上げにつながります。契約を取りまとめる商談までに良い関係が育成できており、スムーズに受注へとつながるからです。

インサイドセールスを機能させる方法

インサイドセールスを効果的に進めるためには、いくつかのポイントを押さえておく必要があります。特に、導入初期に求められる点を確認しておきましょう。

リードの獲得(リードジェネレーション)

リードジェネレーションとは「見込み顧客の獲得」のことです。自社の製品・サービスに関心を持ってもらうために展開するマーケティング施策です。リードジェネレーションには、展示会などの従来型の手法もあれば、オウンドメディアによるSEO対策からの資料ダウンロード、Web上の広告などデジタルマーケティングという手法も発展しています。

インサイドセールスが機能するかどうかは、そもそものリードの母数がたくさんないといけません。そのためには、上記のようなデジタルマーケティング施策を強化していく必要があります。

リード情報の管理

見込み顧客や休眠顧客、自社サイトの登録会員といったリードの情報がないと、インサイドセールスはできません。企業情報と共に、電話番号やメールアドレス、担当者の氏名などを収集しておきます。その上で、関心度や購入履歴などによって、スコアリングしておくといった管理も重要です。

適切な目標設計

インサイドセールスの目標設定は、その役割から売り上げなどの結果ではなくプロセスの指標になります。ただし、アポイント獲得数は最低限の指標ですが、それだけではなく案件化や提案につながったのかを目標に設定することも重要です。同時に、受注までのプロセスごとのコンバージョン率(プロセスの移行率)なども決めておきましょう。それにより、後の解析からPDCAを回しやすくなります。

役割の明確化

Eメールでのアプローチ、電話によるアポイント獲得、サイト管理など、メディアやアプローチ法によって、役割を分けておきます。

また、フィールドセールスと分業するのであれば、その流れのそれぞれの役割も決めておき、情報共有をしやすい体制を作っておきます。特に、フィールドセールスとの分業を機能させるためには、リードクオリフィケーションの定義、つまり、何をもってこのリードをホットリードとして位置づけるか明確に共通認識を持つ必要があります。そうでなければ、インサイドセールスから毎回トスアップ(渡す)されるリードに対してフィールドセールスが訪問してよくよく話を聞いてみると全く案件化する可能性がなかったという状況になってしまいます。これらが続くと不信感になってしまい、トスアップされてもフィールドセールスがフォローしなくなるという悪循環になってしまいます。

セールステックの活用

Eメールや電話、チャット、SNS、場合によってはオンライン会議システム、といったツールを使いますので、効率的でセキュリティーに優れたシステムを選択する必要があります。大半のリードも使えて、自社スタッフもすぐに習熟できるものを選びましょう。

こうしたセールステックの詳細について知りたい方はこちらを参照ください。

インサイドセールスが目指す姿

インサイドセールスを導入することで、営業効率を上げることができます。しかし、導入するにとどまらず、プロセス全体、組織全体に巧みに組み込むことが求められます。その点で重視すべき連携体制を確認しておきましょう。

フィールドセールス、マーケティングとの連携

インサイドセールスは、商談を行って成約まで導くフィールドセールスとの連携、そしてブランド力を高めるマーケティング戦略との連携が欠かせません。複数の部署における緊密な打ち合わせをして、新しい営業スタイルに移行できるようにしましょう。そして、リードについての情報を共有できるシステムを作っておくことも、漏れがないスムーズな連携のカギとなります。

インサイドセールスの導入事例(富士通グループ)       

富士通グループでは外資系企業でインサイドセールスや関連部署を経験してきた3人が集結し、インサイドセールス組織を立ち上げました。このプロジェクトチームは、急拡大を遂げながらも、仕事の質にこだわりながら属人化を防ぎ、メンバーのエンゲージメントスコアが社内の平均値よりも高い組織をつくりあげてきました。この事例は、インサイドセールスの導入が企業の営業効率や成果にどのように貢献できるかを示しています。具体的な戦略や取り組みは企業ごとに異なりますが、共通しているのは顧客とのコミュニケーションを深化させ、営業プロセスを効率化することで成果を上げている点です。1日のスケジュールや導入教育やOJTなどの育成体系も参考URLに掲載されていますので、参考にすると良いでしょう。

(参考URL:https://www.fujitsu.com/jp/group/fiss/about/inside/

【まとめ】インサイドセールスを機能させることで営業組織を強化できる

この時代のBtoBにおいて、効率的にアプローチしてきめ細かな対応ができるインサイドセールスは欠かせない手法です。従来の営業スタイルから脱却し、ニーズに合ったインサイドセールスを機能させることで、営業組織の強化を図れるでしょう。

インサイドセールスの詳細については、以下の関連資料をご覧ください