2024.03.08 (更新日:2024.04.03)

フィールドセールス

新規開拓営業を成功させる5つのコツをご紹介。顧客の心をつかむ準備とその手法

新規開拓営業は、企業の成長と持続的な成功にとって不可欠です。新規の顧客を獲得することで、企業の市場シェアを拡大し、売上を増加させることが可能となります。また、新規顧客から得られるフィードバックは、商品やサービスの改善に役立ちます。また、企業経営を安定させるためには、既存顧客との関係を維持するのは最低限のラインであり、その上で新規顧客を獲得していく必要があります。そのため、常に新規開拓営業の効果・効率を組織として分析し、向上させていく努力が求められます。その成功の秘訣を探ってみましょう。

新規開拓営業とは?

営業においては、いくつかの種類の営業を行っていきます。それぞれにターゲットや手法、目標が異なってきますので、明確に違いを理解しておくべきです。特に、既存顧客への営業と新規開拓営業は何が異なるのかを押さえておきましょう。

既存顧客への営業活動との違い

既存顧客への営業は、すでにお客様のことを十分に知っていますし、お客様としても営業担当者のことを知っています。そのため、お互いの間に心理的な垣根がないことや、相手が何を求めているのかを把握しやすい状況にあります。他方、新規開拓営業の場合は、全くの初対面の状態でアプローチをします。そのため、まず情報収集や分析といった作業から始めなければなりません。また、相手からの信用が薄い可能性も高いですし、ある程度の警戒心を持っていることもあります。こうしたことから、新規開拓営業の方がずっと難度の高い作業であることが分かります。

新規顧客を獲得するには、既存顧客の5倍のコストがかかるという、いわゆる「1:5の法則」があるくらいです。

既存顧客もやがて離れていく

新規開拓営業にかける努力や手間は大きなものですし、高い効率を得るのは簡単ではありません。そのため、無理を避け既存顧客の対応に終始したいという思いに駆られます。しかし、それでは売り上げは先細りしてしまいます。コアなお客様も含めて既存顧客は自社のファンとして取引を続けていただいているかもしれませんが、競合会社の出現によってシェアを奪われてしまう可能性もあります。また、取引先の経営不振や業務システムの変更などによって、自社の製品・サービスが要らなくなったり出荷数が減ったりすることもあるわけです。そのため、既存顧客だけで現状維持を図ろうと考えるのは、長期的な観点からは無理があります。当然、既存顧客への営業活動は続けていくべきですが、同時に新規顧客を見つける努力を行っていく必要があるのです。

新規開拓営業を成功に導く準備と情報収集

困難が多い新規開拓営業は、無策のまま始めても費用対効果が極めて悪いですし、時間がかかってしまいます。そのため、いきなりアプローチをするなどの営業活動を始めるのではなく、事前に準備を進めておくことが求められます。営業を成功させるために前もって検討すべきポイントを確認しておきましょう。

Step1:ターゲット(見込み顧客)を明確にする

見込み顧客となるターゲット層を絞り込むことから始めます。それには、自社製品・サービスが実際にどの層において高いシェアを持っているのか、マーケットの中でどの層の購買意欲が高いのかといったリサーチをすることが求められます。ターゲティングをする際には、大まかなものとして、業種や企業規模、業務スタイルといったものを考えます。製品やサービスの種類によっては、さらに細かくターゲットの属性を狭めていくこともあるでしょう。営業地域や競合他社との関係性といったものから、より自社製品・サービスとマッチングするところを考えていきます。そして、該当する企業のリストを作ります。その際には、企業名と共に業種、連絡先などの情報も追記しておきます。

Step2:ターゲット(見込み顧客)の情報収集を行う

ある程度、ターゲットを絞り込むことができてリストを作ったら、大まかな企業情報だけでなく細かな情報を集めるようにします。プッシュしたい自社製品・サービスに関係する、もしくは置き換えられるどんな製品やシステムを使用しているかをリサーチします。また、業務プロセスを確認して、どこに自社製品・サービスを提案できるスペースがあるかを検討します。他にも、競合他社がすでに類似品を提供しているのであれば、その製品・サービスの詳細や自社の優位性などもチェックしておきます。アプローチをする上で取っ掛かりになる情報や、自社製品・サービスの強みを強調できるポイントを探るために、必要と思われる情報はできるだけ多く、詳しく集めておくことが肝心です。

Step3:仮説を立てる

それぞれの企業でどんなことを求めているのか、どんな点が事業の課題点となっているのかを予測します。そして、その課題を解決するために、自社製品・サービスがどのように役立つのかを当てはめていきます。こうした課題については、実際に相手先の担当者と話をする時に浮き彫りになることもありますが、新規のお客様からはなかなかそういった情報は簡単に出てきません。したがって、事前に仮説を立てて臨むことでより意義のある商談につながります。

Step4:面談のシミュレーションをする

仮説を立てた後は、それを検証する面談の内容を事前にシミュレーションします。面談のシミュレーションとは、こういう質問をすると相手からどういうことが返ってくるのか、さらに、どんな反論が返ってくるのか、どんな不満を持たれるのかといった想定をして面談を頭の中で体験することです。それにより、いざ実際の面談で相手から難題を投げかけられてもすぐに応じることができ、信頼を勝ち得るのが容易になります。

新規開拓営業を成功させる5つのコツ

事前準備と同じく、新規開拓営業を成功させるのに大事なのが営業手法そのものの効率化です。営業担当者の勘や経験だけに頼る手法を取るのではなく、営業組織として標準化されたプロセスを持つことがカギとなります。どんな点を分析し、それを営業の中に活かしていくのかを明確にしておくことで、効果的なアプローチからクロージングまで持っていけるようになります。

自社製品・サービスの強みと弱みを理解する

何よりも、自社が提供したい製品やサービスについて熟知しているべきです。これは単にカタログ上の性能や機能といったことだけではありません。一見、当たり前のようですが、同じ自社の製品・サービスであっても営業担当者によってその知識の差は相当な開きがある企業が多いです。実際に使う現場や、導入する企業の目線で自社の製品・サービスがどのようなものかを把握することが大事です。特に、他社の類似品とはどんな点が異なり優れているのか、そもそもマーケットの中に自社製品のようなものが存在するのかといった点を理解しておくべきです。それを強みとして強調することで、相手の心をつかみやすくなります。同時に、デメリットとなり得る点も知っておくべきです。顧客が他社や既存のシステムと比較して指摘する可能性があるからです。事前に弱みを理解しておくことで、すぐにその対処策を伝えることができます。

顧客の課題にフォーカスする

営業では顧客が抱えている課題に対して、自社製品・サービスが解決策となるという形で話を進めていくことが多いです。漫然と自社が優れている点を述べても、それが顧客にとってメリットとなると理解してもらえなければ意味がないからです。課題を解決して業務プロセスが効率化されたり、商品の質が向上したりというメリットを強調できるようにしましょう。そのためにも、見込み顧客がどんな課題を持っているかを把握することは非常に重要です。場合によっては、顧客自身が気付いていない課題を、自社で洗い出して分析するという作業も求められるでしょう。

面談を振り返り修正する

商談をしたら、その成否に関わらず内容を振り返ってみましょう。こちらの提案に対してどんな反応を示したのか、相手がどんな疑問や心配を抱えているのかといったことを考えます。また、営業担当者のアプローチの仕方や会話の内容といったものもチェックします。もし、商談がうまく行ったのであれば、その良かった点をピックアップしてさらなる商談に生かします。もしうまく行っていないようであれば、どの点に問題があったのか、きちんと顧客の課題にアプローチできるのかを調べて、足りない点を修正します。

顧客の状況を見極め、リストを精査する

すでに作成している顧客リストは、あくまでもアプローチ対象というだけです。実際にアプローチをしてみて、その反応や行動から動態的な評価をスコアリングすることは大事です。それにより、実際に購買まで動く見込みが強い企業を見極めやすくなります。たとえば、見積書や詳細なスペックカタログを請求してきたとか、キーパーソンに面談できている、相手から後日連絡が来たなどのアクションがあれば高いスコアを付けられます。こうした高スコアの企業に対しては、より営業努力を集中していくなど、さらなるターゲットの絞り込みをしていくことで効率の良い営業ができます。逆に、反応が悪い企業についても精査して、何か共通する傾向がないかを分析して、対応策を考えるというプロセスも求められます。

目標(KPI)を設定しPDCAサイクルを回す

アポイント獲得件数、案件化数、提案件数、見積書提出件数、受注件数、売上金額などの明確なKPIつまり目標を立てるようにします。ここでの重要な点は、最終的な売上金額の目標だけでなく、その途中のプロセスにおいても目標値を設定することです。そうすれば、どの段階で営業がつまずいているのかが可視化されて、問題解決に取り組みやすくなります。たとえば、アポイントはたくさん取れているものの、提案まで行かないということであれば、商談の進め方に問題があると判断できるといった形です。こうした目標設定からの、データ収集と分析、改善点の発見、修正作業というPDCAを回していくことで徐々に営業効率が上がっていきます。

新規開拓営業に必要な能力

新規開拓営業を成功させるには、優れた手法だけでなく営業担当者のスキル向上も欠かせません。どんな能力が求められるのかを知り、スキル向上に取り組む助けとすることができます。

行動力

慎重に物事を考えることは大事ですが、考え過ぎて行動に出られないようでは意味がありません。特に、新規開拓営業では、見込み顧客の反応がみられたり、アプローチの機会があるとみられたりしたらすぐに行動に出る姿勢を持っているべきです。また、改善が必要と判断したら、潔く方向転換して新しい手法や考え方に移せる切り替えの早さというのも強みとなります。

聴く力

傾聴は営業には欠かせない能力です。特に、新規開拓営業では相手の課題を聞き出して、それに対して自社製品・サービスを解決策として提案する過程が求められます。付き合いのない企業、担当者にはすぐに課題を話してくれることはありませんので、いかに聞き取りができるかが勝負となってきます。相手にとって話しやすい人物となることが営業力を向上させるカギです。

コミュニケーション能力

WebサイトやSNSで情報収集をしたり連絡を取ったりすることが多い時代となっていますが、BtoBではやはり対面での話をすることで商談は進んでいくものです。そこには、単なる商品のメリットだけでなく、人との付き合いから生まれる好印象というものも存在します。そのため、上手な説明ができるだけでなく、相手との良い関係を作れるコミュニケーション能力を身に着けるようにしましょう。

交渉力

お客様はより良い製品を、より安く求めるものです。こちらとしては、できるだけ利益を出したいと考えます。そのため、その擦り合わせを上手にしていくための交渉力も営業には欠かせない能力となります。特に見積もり請求がなされた時には、ある程度購買意欲を持っているわけですから、後は価格の設定で成否が変わってきます。バランスを取りつつ、お客様が納得できる話に持っていける力とスキルを身に着けたいものです。

分析・課題発見能力

顧客の課題、ニーズといったものを発見できればアプローチはしやすくなります。そのためには、相手企業の情報から、ポイントとなる点を洗い出し分析するスキルが重要となってきます。様々なデータをまずは挙げていき比較していくことで、注目すべきポイントを見つけられるようになります。

タイムマネジメント力

スピーディーな商談と最終案の提示、クロージング、発注・納品というのが現代ビジネスでは求められています。いくら良いものでも、すぐに提供できなければ他のサービスに目移りにしてしまうリスクがあるからです。そのため、事前に商談や必要書類の提出、契約、発注などにかかる時間を見極め、最短で提示できるような組織力を身に着けましょう。

クロージング力

契約締結まで行かなければ、良い反応を引き出せても無駄な努力に終わってしまいます。料金の妥当さやアフターフォローの万全さなどを理解してもらい、スムーズにクロージングできるように、ロールプレイをしておきましょう。また、この面で秀でた先輩社員のやり方を真似てみるのも良いでしょう。

トップセールスへのインタビューを読みたい方はこちらへどうぞ。

新規開拓営業のスキルをアップさせる方法

個人として営業組織全体として、どのように営業力を高められるかを知っておくことは重要です。それを実践することで、商材や相手が変わってもコンスタントに売上げを出せるようになるからです。

自己分析を正確にする

自分の強みを知っておくようにします。熱意のあるプッシュが得意なのか、データを使って相手を説得することがうまいのかを知っておくことで、それを活かした営業ができるようになります。自分の弱点も知るようにして、そこを重点的に改善していく目標とすることもできるでしょう。

社内ナレッジを共有する

自社製品・サービスやターゲットに関係する情報など、営業に役立つ情報を共有しておくべきです。これは営業部署内だけのことではなく、マーケティングや商品開発といったところから上がってくる情報も含まれます。誰でも気軽に見やすいようにクラウドシステムを使うなど、システム面での改善が必要なこともあるでしょう。

セミナーや勉強会に参加する

営業スキルの向上には、実際に成功している人や企業から体系的に学ぶのがとても有効です。時代によって効果の出る営業手法は異なるものですから、最新の考え方や手法を学ぶためにも役立ちます。自分が足りないところに気付いたり、すぐにでも取り入れられる手法に気付いたりしたら、自分なりに消化して適用してみましょう。重要なのは、体系的に学ぶことで再現性につなげられるようにすることです。

目標設定を的確に行う

闇雲に仕事を続けていても、自分が成長しているのか分からないものです。そこで、短期的な目標と長期的な目標を定めておきましょう。売上件数などの大まかなものだけでなく、商談時間や見積提出回数などの細かな設定をしておくと、自分が得意な点と改善が必要な点がはっきりしていきます。それにより、営業効率を上げるための具体的な努力ポイントを見つけられるようになります。

アドバイスをもらう

自己分析も大事ですが、やはり客観的に他人から分析してもらい率直にアドバイスしてもらうことも大事です。それにより、自分では気づけないところが分かるからです。また、経験や能力のある先輩や上司にアドバイスを求めることで、成功している人が大事にしているコツを知ることもできます。さらに、アドバイスを求めるという行為によって、良いコミュニケーションが生まれて、同僚や上司とやっていきやすくなることもあります。

新規開拓がうまくいかない場合の対処法

新規開拓営業は、必ずしもすぐに結果が出るものではありません。しかし、うまくいかない場合でも、その原因を分析し、戦略を見直すことが重要です。以下に、新規開拓がうまくいかない場合の対処法について詳しく説明します。

ターゲットの再評価

新規開拓がうまくいかない場合、最初に確認すべきはターゲットの適切性です。ターゲットが適切でない場合、どれだけ努力しても成果は期待できません。ターゲットが本当に自社の商品やサービスを必要としているのか、再評価することが重要です。

顧客管理の強化

顧客とのコミュニケーションを管理することは、新規開拓営業において重要な要素です。CRMツールを活用して顧客情報を一元管理し、それぞれの顧客とのコミュニケーション履歴を把握することで、次回のアプローチに生かすことができます。

営業戦略の見直し

新規開拓がうまくいかない場合、営業戦略の見直しが必要かもしれません。商品やサービスの特長を再確認し、それが顧客の課題を解決することができるかどうかを考え直すことが重要です。

フィードバックの活用

顧客からのフィードバックは、新規開拓営業の改善に非常に有用です。顧客がなぜ商品やサービスを購入しなかったのか、その理由を詳しく聞くことで、次回に向けての改善点を見つけることができます。

以上の対処法を踏まえ、新規開拓営業がうまくいかない場合でも、その原因を分析し、改善策を立てることで、次回に向けての成功につなげることができます。

主要なBtoB営業の新規開拓営業の手法

新規開拓営業には、さまざまな手法が存在します。本記事以外でも、「プッシュ型営業」と「プル型営業」に分けて理解を深めることができます。プッシュ型営業は、積極的に商品やサービスを顧客に提案するアプローチです。一方、プル型営業は、顧客が自発的に商品やサービスを求める状況を作り出すアプローチです。これらの手法は、ターゲットとする顧客や市場の状況によって使い分けることが重要です。詳しくは別の記事でご紹介していますので参考にしてください。


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【まとめ】事前準備の徹底と自社製品の理解+クロージング手法がカギ

営業では、見込み顧客に当たる前の事前準備が非常に重要です。そこでは、自社製品・サービスについて強みと弱みをよく理解しておくこと、無駄のないターゲティングをしておくことがポイントです。それに合わせて、課題の解説となる提案を行いスムーズにクロージングをしていくことで営業効率を高められるのです。

BtoB営業スキルの体系を知りたい方はこちらからご参照ください。