2024.04.23 (更新日:2024.05.27)
やりっぱなし研修は危険!営業研修を成功させるアセスメントと伴走支援の重要性
企業において、研修を実施した後、受講者がその研修で学んだことを現場で実践し、成果を出せているかの評価が必要ですが、その評価がされず、改善しようにもその方法もわからないまま「やりっぱなし」状態になっている場合も少なくありません。ある研究機関による調査では、研修直後は約半数が学習した内容を現場で実践しているものの、1年後には約1割しか実践しなくなるという結果が出ています。
本記事では、「やりっぱなし」研修の問題点と、研修をやりっぱなしにしないための対策についてまとめてみました。
目次
やりっぱなし研修の問題点と対策
やりっぱなしの研修には、以下のような問題点が挙げられます。
学習の定着率が低い
研修後のフォローアップがないと、学習した内容が定着しづらいものです。研修の内容を日常業務に活かすためには、定期的な復習や実践の機会が必要です。
モチベーションの低下
研修が一方通行の情報提供だけで終わると、受講者の学習意欲やモチベーションが低下する可能性があります。受講者が主体的に学ぶ機会を設けることで、学習の質を高めることができます。
個々のニーズに対応できない
一斉研修では、受講者一人ひとりの学習ニーズや理解度に合わせた指導が難しいです。個々のニーズに対応した研修プログラムの設計や、小規模なグループでの研修が効果的です。
成果の測定が難しい
研修が終わった後に成果を測定する仕組みがないと、研修の効果を評価することが難しくなります。定量的・定性的な評価指標を設定し、研修の成果を測定することが重要です。
これらの問題を解決するためには、研修の設計段階から実施、評価までを一貫して計画し、受講者の学習の進捗や成果を確認しながら改善を重ねることが求められます。また、研修だけでなく、その後のフォローアップも重要な要素となります。これにより、研修が受講者のスキルアップや組織の成長につながるようになります。
やりっぱなし研修のリスク
やりっぱなしの研修には、以下のようなリスクが存在します。
リソースの無駄遣い
研修の内容が受講者のスキルや知識の向上に寄与しない場合、時間と費用の両方が無駄になる可能性があります。これは組織のリソースを効率的に活用できないというリスクにつながります。
組織の成長の阻害
研修が効果的でないと、組織全体のスキルレベルや生産性が向上しない可能性があります。これは組織の成長を阻害するリスクになります。
従業員の満足度低下
研修が受講者の期待に応えられない場合、従業員の満足度やモチベーションが低下する可能性があります。これは離職率の上昇や従業員のパフォーマンス低下といったリスクにつながります。
ブランドイメージの損傷
研修の質が低いと、外部に対する組織のブランドイメージに悪影響を及ぼす可能性があります。これは採用活動やビジネスパートナーシップに影響を及ぼすリスクになります。
これらのリスクを回避するためには、研修の設計、実施、評価の各段階で受講者のニーズと組織の目標を考慮することが重要です。また、研修の効果を定期的に評価し、必要に応じて改善を行うことも重要です。これにより、研修が組織の成長と従業員のスキルアップに寄与するようになります。
従業員のモチベーション低下の原因
ここで、特に従業員のモチベーション低下がなぜ起こってしまうのかを詳しくみていきます。紐解いていくと、主に以下のようなものが挙がります。
学習の成果が見えない
研修後にその成果が具体的に見えないと、従業員は自分が成長していると感じにくくなります。これはモチベーションを低下させる大きな要因です。
関連性の欠如
研修内容が従業員の日常業務やキャリア目標と関連性がないと感じられる場合、モチベーションは低下します。従業員は自分にとって意味のある学習を求めています。
継続的なサポートの欠如
研修後のフォローアップやサポートがないと、従業員は孤立感を感じるかもしれません。新たに学んだスキルや知識をどのように活用すればよいか、具体的な指導がないと、モチベーションは低下します。
これらの問題を解決するためには、研修の設計段階から受講者のニーズと期待を考慮に入れ、研修内容をその人の仕事やキャリア目標に関連付けることが重要です。また、研修中に双方向のコミュニケーションを取り入れ、研修後も継続的なサポートを提供することで、従業員のモチベーションを維持することができます。これにより、研修が従業員のスキルアップや組織の成長につながるようになります。
外部研修依頼の際、効果を高めるポイントを以下にまとめております。
関連記事:営業研修が必要な理由とは?効果を高める方法や外部研修を依頼する際の重要ポイントをご紹介
結果に対する責任の所在
結果に対する責任の所在が不明瞭になることも問題の一つです。結果に対する責任の所在が明確でないと、以下のような問題が生じる可能性があります。
アカウンタビリティの欠如
研修の結果に対する責任が明確でないと、その成果を誰が評価し、どのように改善すべきかが不明確になります。これは組織全体のアカウンタビリティ(責任追求)の欠如を生む可能性があります。
改善の遅延
責任の所在が不明確だと、問題が発生した際にその解決が遅れる可能性があります。具体的な改善策を立案し、実行するためには、誰がその責任を負うのかが明確である必要があります。
従業員の混乱
研修の結果に対する責任が明確でないと、従業員は何を期待されているのか、自分の役割は何なのかがわからなくなる可能性があります。これは従業員の混乱やストレスを引き起こす可能性があります。
信頼の損失
責任の所在が不明確だと、組織内部だけでなく、外部の関係者からも信頼を失う可能性があります。これは組織のブランドイメージやビジネスパートナーシップに影響を及ぼすリスクになります。
これらの問題を解決するためには、研修の設計段階から結果に対する責任の所在を明確にすることが重要です。また、研修の目標設定、実施、評価の各段階で責任者を設定し、その人が結果に対する責任を持つことで、研修の効果を最大化することができます。これにより、研修が組織の成長と従業員のスキルアップに寄与するようになります。
研修がやりっぱなしになる要因とは?
では、そもそもなぜ研修がやりっぱなしになってしまうのでしょうか。その要因は、以下のようなものが考えられます。
リソースの不足
研修の設計、実施、評価、そしてフォローアップには時間と人的リソースが必要です。しかし、これらのリソースが不足している場合、研修が一度きりのものになってしまう可能性があります。
研修の目的の不明確さ
研修の目的が明確でないと、その成果をどのように評価し、どのように改善すべきかがわからないため、研修がやりっぱなしになる可能性があります。
組織文化
研修の後のフォローアップや改善が組織文化として根付いていない場合、研修が一度きりのものになってしまう可能性があります。
評価の難しさ
研修の成果を評価することは容易ではありません。そのため、評価が難しいと感じると、研修後のフォローアップや改善が行われない可能性があります。
これらの問題を解決するためには、研修の設計段階から結果に対する責任の所在を明確にし、研修の目標を明確に設定することが重要です。また、研修の効果を定期的に評価し、必要に応じて改善を行うことも重要です。これにより、研修が組織の成長と従業員のスキルアップに寄与するようになります。これにより、研修が組織の成長と従業員のスキルアップに寄与するようになります。また、組織全体で研修の重要性を理解し、研修後のフォローアップや改善を組織文化として根付けることも重要です。これにより、研修が組織の成長と従業員のスキルアップに寄与するようになります。
人事部門と実務部門の連携不足
人事部門は研修プログラムを計画し、実施しますが、その内容が実務部門の現場で必要とされるスキルや知識と一致していない場合があります。また、研修後のフォローアップが不十分であると、研修で学んだことを実務に活かす機会が失われ、結果的に研修の効果が薄れてしまいます。
解決策としては、主に3点が挙がります。
研修プログラムの見直し
人事部門と実務部門が連携し、研修プログラムが現場のニーズに合致するように内容を見直すことが重要です。具体的な業務内容や必要なスキルを把握するために、実務部門からのフィードバックを積極的に取り入れましょう。
研修後のフォローアップ強化
研修後も定期的にフォローアップを行い、新たに学んだスキルや知識が実務で適切に活用されているか確認することが必要です。これには、定期的なミーティングやフィードバックセッションの設定が有効です。
メンターシッププログラムの導入
新入社員や新役職の社員に対して、経験豊富な社員をメンターとして割り当て、日々の業務での学びを深める機会を提供します。これにより、研修で学んだことを実務に活かす橋渡しの役割を果たします。
以上のような取り組みにより、やりっぱなし研修の問題を解決し、人事部門と実務部門の連携を強化することが可能です。これにより、社員一人ひとりが自身の能力を最大限に発揮し、組織全体の生産性向上に寄与することが期待できます。
現場のマネージャーの問題意識を研修の中心に
現場のマネージャーは、日々の業務を通じて直面する課題や問題を深く理解しています。これらの問題意識は、組織の生産性や効率性を向上させるための重要な視点を提供します。
研修の中心に問題意識を置く理由として、研修プログラムが現場の問題意識に基づいていると、その内容は具体的で実践的になります。これにより、研修受講者は自分たちが直面する可能性のある実際の問題に対する解決策を学ぶことができます。また、現場のマネージャーが研修の計画と実施に関与することで、研修が現場のニーズにより密接に連動するようになります。
研修プログラムの改善策として、以下のような点に意識を置くと良いでしょう。
問題意識の共有
現場のマネージャーから直接問題意識を聞き出し、それを研修プログラムの設計に反映させることが重要です。これにより、研修が現場の実際のニーズに対応するようになります。
現場参加型の研修
現場のマネージャーが研修の一部を担当し、自身の経験や知識を共有することで、研修受講者は現場の現実に直結した学びを得ることができます。
問題解決型の研修
研修の中で具体的な問題を提示し、それを解決するためのアプローチや手法を学ぶことで、研修受講者は問題解決能力を鍛えることができます。
以上のような取り組みにより、現場のマネジャーの問題意識を研修の中心に置くことで、研修の効果を最大化し、組織全体の生産性向上に寄与することが期待できます。これにより、研修が単なる「やりっぱなし」ではなく、現場の実際の課題解決につながる有意義なものとなります。
現場マネジャーの問題意識や、マネジメント力を高める人材育成やスキルについていかにまとめております。
関連記事: マネジメント力を高める人材育成とは?必要なスキルや手法までくわしく解説!
成功のカギ、研修のアセスメントとは
研修のアセスメントは、研修の効果を評価し、改善するための重要な手段です。これは、研修の成功を確保し、組織のパフォーマンスを向上させるためのカギとなります。
研修の効果測定の重要性
研修の効果を測定することは、研修が目標を達成しているかどうかを確認するために不可欠です。これにより、研修が効果的であるか、または改善が必要であるかを判断することができます。効果測定は、研修のROI(投資回収率)を計算するための基礎となります。
研修前の目標設定の重要性
研修を開始する前に明確な目標を設定することは、研修の成功にとって重要です。目標設定は、研修の方向性を示し、参加者が何を達成すべきかを理解するのに役立ちます。また、目標は研修の効果を測定する基準となり、研修の改善点を特定するのに役立ちます。
以上の要素を考慮に入れることで、研修はより効果的で、組織の成長と成功に寄与することができます。研修のアセスメントは、研修の価値を最大化するための重要なツールです。このプロセスを通じて、組織は研修の投資から最大の利益を得ることができます。このため、研修のアセスメントは、研修の成功を確保するためのカギとなります。
継続的な伴走支援の意義
継続的な伴走支援は、個々の成長と組織の成功にとって重要な要素です。これも前段同様に、個々の能力を最大限に引き出し、組織全体のパフォーマンスを向上させるためのカギとなります。
客観的なフィードバックを受ける重要性
伴走支援を通じて、個々は客観的なフィードバックを受けることができます。これにより、自己認識を深め、自己改善のための具体的なステップを特定することができます。客観的なフィードバックは、個々の強みと弱点を明らかにし、個々が自己改善のための具体的な行動をとるのを助けます。
高みを目指せば次の課題が見えてくる
伴走支援は、個々が自己の可能性を最大限に引き出すための支援を提供します。高みを目指すことで、次の課題やチャンスが見えてきます。これにより、個々は自己の成長と学習を継続的に促進することができます。
人材育成には終わりがない
人材育成は、中小企業から大企業に至るまで、どの時代にもテーマとして挙がる事業成長のキーワードです。ここで、研修アセスメントの選び方と伴走支援プログラムの構築について説明していきます。
研修アセスメントの選び方
研修アセスメントを選ぶ際には、以下の要素を考慮することが重要です。
目標との整合性
アセスメントは研修の目標と整合性があるべきです。これにより、研修が目標を達成しているかどうかを評価することができます。
信頼性と妥当性
アセスメントは信頼性と妥当性があるべきです。これにより、アセスメントの結果が信頼できるものであることを確認することができます。
フィードバックの提供
アセスメントは、参加者に対するフィードバックの提供を可能にするべきです。これにより、参加者は自己改善のための具体的なステップを特定することができます。
伴走支援プログラムの構築
伴走支援プログラムを構築する際には、以下の要素を考慮することが重要です。
目標設定
プログラムの目標を明確に設定することが重要です。これにより、プログラムの方向性を示し、参加者が何を達成すべきかを理解するのに役立ちます。
フィードバックの提供
プログラムは、参加者に対する定期的なフィードバックの提供を可能にするべきです。これにより、参加者は自己改善のための具体的なステップを特定することができます。
継続的な支援
プログラムは、参加者に対する継続的な支援を提供するべきです。これにより、参加者は自己の成長と学習を継続的に促進することができます。
共通しているのは、目的と目標を明確に定める必要性、そしてフィードバックを提供し、研修前後でどの地点からどの地点までマイルストーンを進められたのか、次の課題を明確にすることにあります。
関連記事:営業マネジメント研修で習得すべきスキル8選!メリット&ポイントを徹底解説!
事例紹介:研修アセスメントと伴走支援の成功例
研修アセスメントに成功した事例として以下の5つの企業を挙げます。
ブリヂストン
ブリヂストンは、「技能伝承システム」を開発しました。これは、航空機用タイヤや鉱山・建設車両用タイヤを製造する熟練技能員の高度な技術をカメラやセンサーで計測・可視化し、新人の技能習得に活かす仕組みです。
味の素
味の素は、教育・採用によるDX人財増強計画を掲げ、人員増強数を重点KPI(重点業績評価指標)にしています。
結論:研修後のフォローアップに注力する重要性
研修は、従業員のスキルを向上させ、組織のパフォーマンスを高めるための重要な手段です。しかし、研修だけでは十分ではありません。研修後のフォローアップが、その効果を最大限に引き出すための鍵となります。
研修後のフォローアップは、従業員が研修で学んだことを実際の業務に適用するための支援を提供します。これにより、新たな知識やスキルが定着し、組織全体の生産性や効率が向上します。
また、フォローアップは、従業員のモチベーションを維持し、継続的な学習と成長を促進します。従業員が自分の進歩を認識し、自信を持つことができれば、その結果として組織のパフォーマンスも向上します。
さらに、研修後のフォローアップは、研修の効果を評価し、改善のためのフィードバックを提供する機会を提供します。これにより、組織は研修プログラムを継続的に改善し、従業員のニーズと組織の目標に最適に合わせることができます。
したがって、研修後のフォローアップは、組織の成功にとって不可欠な要素であり、その重要性は決して過小評価されるべきではありません。
従業員が、企業が、常に前を向いて進み続けられるように取り組んでいきたいですね。