2022.04.15 (更新日:2022.07.06)
BtoBマーケティングとは?BtoCとの違いや基本概念とフレームワーク、戦略や手法を解説
BtoBマーケティングとは、企業が企業に商品やサービスを提供するためのマーケティングです。顧客となる企業のニーズを満たし最適なタイミングで自社のサービスや製品を提供するためには、BtoBビジネスの基本的な構造を知るとともに、どのように戦略を立て、どのような活動をしていけばよいか理解する必要があります。
目次
BtoBマーケティングとは
まずは基本概念として、BtoBマーケティングがどのようなものか、また、BtoCマーケティングとの違いなどを確認しておきましょう。
BtoBマーケティングの基本概念
BtoBマーケティングとは、「Business to Business(企業間取引)」に関して顧客である企業のニーズや課題を探り、さらには必要とされるタイミングで適切な情報を発信し顧客の需要を喚起する一連の活動のことを指します。企業が企業に対して商品やサービスを提供するため、扱う商品やサービスも一般の人が使用するものとは違い、専門性の高いものが多くなる傾向にあります。
BtoCマーケティングとの違い
BtoBが企業対企業に対して、BtoCとは企業対顧客です。両者の違いは、文字通りターゲットが企業か個人の消費者かというところにあります。それだけでなく、以下のような違いも押さえておきましょう。
まず、動く金額です。BtoCでは、高い買い物といえどもせいぜい住宅や自動車という程度です。一般的には、小売店で販売されているような少額のものが中心でしょう。それに対して、BtoBでは、製品にしてもサービスにしても高額のものが多いのが特徴です。
さらに、BtoCとの大きな違いに、購入の意思決定者があります。BtoCの場合、マーケティングを仕掛けるターゲット当人が最終的に購入意思を決定することがほとんどです。それゆえ、ターゲットである個人の嗜好やニーズを想定し、いかにすれば購買意欲を高めることができるかを考えアピールしていきます。
他方、BtoBマーケティングでは、最終的に購入の決定に至るまでに複数の人間が関わります。購買担当者はあくまで窓口であり、その人がどんなに興味を抱いたとしても即購入となることはまずありません。そこから、決裁権を持つ人に至るまでに介在する複数の人間に納得してもらう必要があるのです。したがって、単に感情に訴えるだけでなく、導入にかかる費用、コストパフォーマンス、導入することによって得られる優位性など、検証可能なデータを提供することも求められます。
BtoBマーケティングのフレームワーク
BtoBマーケティングの参考となる代表的なフレームワークを2つご紹介します。
「3C分析」
「Company(自社)」、「Competitor(競合他社)」、「Customer(お客様)」の3つのCの頭文字を表しており、相互に影響しあう3つの視点から自社の強みや弱みなどを把握し自社のポジションを明確にしたうえで、市場の状況や競合他社の動向を見据えながら顧客にどのように働きかけるのが効果的かを分析します。
「4P分析」
4Pとは、「Product(製品)」、「Price(価格)」、「Place(流通)」、「Promotion(販売促進活動)」のことで、
・Product:何(製品・サービス)を提供するのか
・Price:いくら(価格)で、どのように(課金モデル)販売するのか
・Place(Channel):どうやって(販売方法・ルート)顧客へ提供するのか
・Promotion:どのように(販促方法)認知度を高めるのか
といった視点で活動を計画していきます。
このほかにも、4P分析にP=人の要素を加えた「5P分析」や、顧客視点で価値を検討する「SAVE」というフレームワークなどもあります。フレームワークを活用することで自社のマーケティング戦略を整理することができるため、自社に合ったフレームワークを活用することをおすすめします。
BtoBマーケティング戦略立案において重要な視点
続いて、BtoBマーケティングの戦略を実際に立てるうえで、押さえておくべき視点を確認しておきましょう。
ニーズ調査
BtoB、BtoCを問わず、顧客のニーズは事前に調査しておくべきことですが、BtoBの場合、その重要性がさらに高くなります。BtoBの場合、顧客となる企業全体を納得させるために客観的なデータを収集する必要があるからです。事前のニーズ調査が十分でない場合、製品やサービスの訴求力が弱くなるだけでなく、顧客のニーズを見逃し大きな機会損失となる可能性もあります。市場のニーズを調査するには、市場を細分化してセグメントごとにさらにニーズを検討するようにすることが大切です。
ターゲティング
先の段階で複数のセグメントに顧客を分類したら、次に、自社の製品やサービスとの親近性、親和性、セグメント内の購買力の大きさなどをもとに、ターゲットとして定めるセグメントを検討していきます。
セグメンテーションで分類されたそれぞれのセグメントは、セグメント同士の特性が異なるはずです。したがって、セグメントごとに対応戦略も異なります。分類したすべてのセグメントに最適な対応ができるほど余裕のある企業はそうないですから、多くの場合、ターゲティングで有望なセグメントを定め、それ以外は切り捨てることが必要になるでしょう。しかし、こうすることで、可能性の高いセグメントがターゲットに残ることになります。
差別化
どのセグメントに属する企業をターゲットにするかが決まったら、その企業の考える商品やサービスの持つ重要な選択要素や、それに対して自社の商品やサービスが競合他社も含めてどの位置にあるのかを検討していきます。そうすることで、自社のみが持つ要素が浮かび上がってくるはずです。その点において、競合他社との差別化を図ります。
BtoBマーケティングの3つのステージを理解する
マーケティングにおいて、見込み顧客のことを「リード」と言います。そして見込み顧客(リード)に対する活動には大きく3つのステージがあります。「リードジェネレーション」、「リードナーチャリング」、「リードクオリフィケーション」と呼びます。自社のマーケティング活動の目的や課題に応じてそれぞれのステージごとに最適な施策を立案する必要があります。
リードジェネレーション(見込み顧客獲得)の手法
リードジェネレーションとは、見込み顧客情報をを獲得する活動のことです。
リードジェネレーションの活動としては下記のようなものが該当します。
・展示会の開催や出展
・無料セミナー・ウェビナー
・サイト上でのコンテンツ配信(メルマガやブログ、事例など)
・WEB広告
・SNSによる情報発信
・飛び込み営業
・テレアポ
従来は営業担当者が製品やサービスのカタログを活用して情報提供することが中心でしたが、顧客の購買プロセスが変化し、営業担当者が接触する前に顧客は購入検討に必要な情報収集を終えることも増えてきました。そうした状況においては、まだ接触していない見込み顧客の情報を収集することの重要性は高まっているといえます。また、見込み顧客がどういった関心を抱いているのかを把握し、SEOを意識したコンテンツを配信するなどの施策も必要となります。
リードナーチャリング(見込み顧客育成)
リードナーチャリングは、獲得した見込み顧客に対して有益な情報を発信しながら関心度を高めていく活動のことです。
リードナーチャリングには下記のような活動があります。
・メルマガ
・無償または低額のセミナーやイベント
・DM
見込み顧客の情報を獲得した段階では相手のニーズも明確になっていないケースが多くあります。そのままの状態で営業担当者にリードを渡しても案件化につながる可能性が低く、十分なリードとはいえません。そこでリードナーチャリングの段階では見込み顧客と情報提供を通じてコミュニケーションを図り、相手のニーズを高めていくのです。
リードクオリフィケーション(見込み顧客絞り込み)
リードクオリフィケーションとは、リードナーチャリングによってニーズや関心度が高まった顧客の中から営業担当者がアプローチすべきリストを見極めるための活動になります。
具体的な活動としては下記のようなものがあります。
・インサイドセールス
・有償のセミナーやイベント
見極めるための方法としては下記のようなものがあります。
・具体的な製品やサービスへの問い合わせ
・有償のセミナーへの参加
・製品やサービス資料のダウンロード
・営業担当者との面談希望
この段階では見込み顧客が具体的に購入を検討していると判断できるため、営業担当者への引き渡しを行うこととなります。ここで重要となるのが、見込み顧客がどのような行動をとった場合に営業担当者へ引き継ぐかという定義を明確にしておくことです。そうすることでタイミングを逃さず適切な見込み顧客に効率的にアプローチすることができます。また、こうした見込み顧客の管理にはMA(マーケティングオートメーション)ツールの活用も検討するといいでしょう。
BtoBマーケティングにおいてはBtoCと比較して長期間のリード管理となります。このためリードジェネレーション、リードナーチャリング、リードクオリフィケーションの各ステージごとに適切な活動を検討し、見込み顧客に効果的にアプローチすることが求められています。
インサイドセールスについて、詳細を知りたい方はこちらをどうぞ。
BtoBマーケティング成功のポイント
最後に、BtoBマーケティングを成功させるために覚えておきたいポイントをお伝えします。
顧客(ペルソナ)を明確にする
ペルソナとは「自社の製品やサービスを購入・利用する架空の人物像」です。BtoBにおいては購入時の意思決定者が利用者と異なるケースも多くあるため曖昧にしている企業も多くありますが、BtoBマーケティングにおいては情報を効果的に届けるためにも、自社のペルソナを設定する必要があります。マーケティングでは見込み顧客のニーズを高めて営業担当者に引き継ぎますが、ペルソナを明確にすることで、「具体的にどのような情報を必要としているのか」を理解することができ、相手の状態に合わせて適切なタイミングで最適な情報を提供することができます。
適切なKPIを設定する
目標を達成するために設定する中間指標をKPI(Key Performance Indicator)と言います。マーケティングのステージごとに達成すべきKPIを定めることで、正確に進捗状況が把握できるようになるでしょう。KPIは計測可能であり、かつ、具体的に設定する必要があります。「リードの獲得数を増やす」といったものではなく、「リード獲得件数を〇件」、「問い合わせ件数を〇件」、「メルマガからの資料ダウンロード件数を〇件」といった具体的な数字を掲げることで誰もが進捗状況を正確に測定できるように設定しましょう。
PDCAサイクルで修正を繰り返す
BtoBにおいてはPDCAを短いスパンで回し、状況に合わせて細かく修正することが大切です。計画→実行→評価→改善を早いサイクルで回しながら、変化の激しい市場のニーズに適応させ、マーケティング施策の精度を高めていく必要があります。
営業部門との連携を図る
BtoBマーケティングの成功には営業部門との連携が不可欠です。営業部門は短期、あるいは中長期での販売戦略を掲げており、その中で重点製品や重点顧客を設定します。マーケティングとは顧客に対して必要な情報や体験を提供し自社の製品・サービス購入につなげる一連の活動ですから、営業戦略に合致した施策であることが重要です。マーケティング部門で設定するKPIや施策が営業戦略につながることを確認し、効果的な活動にしましょう。
【まとめ】BtoBマーケティングは見込み顧客とのコミュニケーションプロセス
B to Bマーケティングにおいて、リードを獲得し、絞り込んだ顧客を育成して成約につなげることがマーケティング部門の役割です。そのためには一方的な情報提供ではなく、顧客のニーズに合わせて最適なタイミングで適切な情報を提供するコミュニケーションが求められています。見込み顧客のペルソナを明確にし、MAツールやSEO対策システムの導入なども含め、最適な方法でリードにアプローチできる体制を整えることが重要である。