2023.01.14

営業戦略

クロスセルとは?メリットや手法、意識したいポイントや成功事例まで幅広く解説!

クロスセルとは、ある商品の購入を検討している顧客に対して、関連する別の商品を併せて購入するように提案するセールス方法のことです。このクロスセルを用いて営業活動を行うことで、顧客単価をアップさせて売上向上に大きく貢献するため、様々な場面でこの手法が取り入れられています。

ここでは、クロスセルの概要やクロスセルを導入するメリット、具体的な実施方法について詳しく解説します。また、クロスセルの導入事例もご紹介するので、自社の営業スタイルを確立したいとお考えの方や売上アップを目指したい方はぜひ参考にしてください。

クロスセルとは

クロスセルとは、ある商品やサービスの購入を検討している顧客に対して、その商品に関連する別のアイテムを併せて購入するように促して上乗せ販売を実現させる営業手法のことです。業種や業態を問わず、あらゆるビジネスシーンで活用できる手法として取り入れられています。

クロスセルの具体例として、次のようなケースがあります。

・飲食店でオーダーを受ける際に飲み物やおつまみを薦める
・革製品の購入時に、クリーナーやブラシなどの購入を提案する
・スマートフォンやパソコンなどのデバイスを購入する際に、Wi-Fiのセット契約を薦める
・ECサイトで送料無料になる金額を提示して追加購入を促す
・ECサイトで過去の購入履歴を表示させおすすめ商品として提案する
・美容院やエステなどを利用した際に、トリートメント剤などのオプションメニューを薦める
・アパレルショップで購入するアイテムに合わせたアイテムの同時購入を提案する

クロスセルの営業手法は、新規顧客の集客をすることなく、低コストで顧客単価と営業効率の向上が期待できることから、様々な企業や組織が導入している手法です。

クロスセルの目的

クロスセルの営業手法を取り入れる最大の目的は、顧客一人あたりの売上単価の向上です。クロスセルを達成することで、新規顧客を獲得しなくても総売上額を増やせることから低コストでの営業活動を実現できます。

さらに、既存顧客が求める商品やサービスに関連する情報を提供することによって、顧客満足度を高めることも大きな目的の一つです。

クロスセルとアップセルとの違い

クロスセルと似たような営業手法としてアップセルがあります。

アップセルもクロスセルと同じように、顧客一人あたりの売上単価を上げる営業手法という共通点はあるものの、両者は提案する商品やサービスに大きな違いがあります。

アップセルとは、商談中の一つの商品やサービスに対して販売単価を上げる営業手法のことを指します。例えば、ガラケーユーザーに対してスマートフォンの魅力を伝えて乗り換えてもらったり、家電の購入を検討している顧客に対して、上位モデルを提案して購入してもらったりするのがアップセルに該当する販売手法です。

アップセルは上位モデルの商品やサービスを提案する営業手法なのに対し、クロスセルは購入を検討する商品やサービスに関連するアイテムを提案する営業手法という点が異なります。

関連記事:アップセルに関してはこちらをご参照ください。

ダウンセルとの違い

アップセルに関連する営業手法として「ダウンセル」があります。ダウンセルとは、商談中の商品やサービスに対して、希望よりも安い下位モデルを薦める販売手法です。

顧客単価を考えるよりも「とにかく買っていただくことを最優先」と考え、販売価格を下げてでも購入につなげたい場合に活用します。例えば、競合他社に顧客が流出してしまうことを防ぎたい場合に有効な販売手法です。

その他にも、予算などの兼ね合いで希望商品が購入できない、使用用途や目的が希望商品とマッチしていないなどの理由から当初よりも安い商品やサービスを提案する場合にも活用されます。

クロスセルが注目されている背景

クロスセルがこれほどまで様々な業種や業態から注目されている背景として、少子高齢化による人口減少や競合他社の増加によって、業種や業態を問わず新規顧客の獲得が非常に難しくなっていることが大きな要因として考えられます。

一般的に、企業における売上の80%は有料顧客のリピート購入とも言われているほど、既存顧客による購入が売上に大きく影響を与えるのです。

人口が減少の一途を辿る中、新規顧客を増やそうと営業を続けるよりも、一度購入を決断した顧客に対して関連する別の商品を薦める方が圧倒的に成功率は高くなります。そのため、様々な企業において既存顧客のリピート需要が重要視されているのです。

顧客の満足度を高める有益な商品やサービスを提案することで、既存顧客の満足度を高めることにつながります。そして、結果として企業にとって顧客一人あたりがどの程度の利益をもたらすかを表すLTV(生涯顧客価値)の向上にも大きく寄与するでしょう。

また、クロスセルが注目される背景の一つとして技術の進展によるビジネス環境の変化も挙げられます。ECサイトやSNSなどのWebチャンネルが多様化したことによって、データ収集や蓄積が容易になりました。

このように、クロスセルは商品やサービスのジャンルを問わず、様々な業種や業態で活用されているのです。

クロスセルを行うメリット

クロスセルを導入するメリットとして、次の3つが挙げられます。

顧客単価の向上

クロスセルを導入する最大のメリットは、ズバリ顧客単価の上昇によって企業の経営が安定することです。

購入点数が増えることによって、顧客単価はアップします。新規顧客の獲得競争が激しくなっている中で、新規顧客獲得にコストをかけるよりも、既存顧客との良好な関係を築くことによって「LTV(生涯顧客価値)」を最大化する「クロスセル」を導入する方が高い利益率を見込めることから、多くの企業で採用されています。

LTV(生涯顧客価値)は、一般的に次の計算式で算出できます。

LTV=購入単価×購入回数×継続期間

このように、クロスセルで顧客単価を上げることで、LTVの向上にも大きく影響を与えるのです。

さらに、クロスセルにメリット感じた顧客が新規顧客を紹介してくれるケースも考えられます。紹介顧客は購入率が高いとされる上で、新規顧客獲得コストも大幅に削減できることから、経営の安定化に大きく貢献すると考えられています。

認知度の向上、イメージアップ

2つ目のメリットとして、企業や商品・サービスの認知度の向上やブランドイメージアップが期待できることが挙げられます。

クロスセルを導入することで関連商品がお得に買えたり、複数商品をまとめて購入できたりするなどのメリットを感じたりすることで、商品を単品で購入するよりも高い付加価値を提供できます。その結果、顧客の満足度は高くなるだけでなく、ブランド全体のイメージアップやリピート率も高まり、継続購入につながっていくのです。

顧客による口コミやSNSなどでの拡散によって、企業や商品の認知度向上にもつながるでしょう。

自社のリピーターになりやすい

一度購入した商品やサービスを気に入った顧客は、次回も同じ店舗やECサイトで購入する可能性が非常に高くなります。そのため、クロスセルはリピート顧客を獲得しやすい営業手法と言えます。

顧客からの信頼を獲得できれば、新商品を販売する際も購入を検討してもらえるでしょうし、違うところで購入していた商品やサービスからの乗り換えてもらえる可能性も出てきます。

具体的なクロスセルの実施方法

クロスセルの具体的な施策として、大きく以下3つの手法が挙げられます。

関連商品の提案

クロスセルの実施パターンのひとつに、関連商品の提案があります。顧客が購入を検討する商品やサービスに関連するものを薦める方法です。

革製の高級バッグを購入予定の顧客に対して、オイルなどのセルフケアグッズを提案したり、ECサイト上で関連商品を提案したりすることも、この方法に該当します。

補完的なサービス・商品を提案

もう一つの方法は、購入を検討する商品や既に利用中の商品やサービスに関して、補完的なアイテムやサービスを提案することです。

例えば、クラウドサービスを利用中のユーザーに対してオプションプランを提案したり、保険商品の契約をする顧客に対して、追加の補償プランを提案したりするケースなどが挙げられます。

このように「あったら便利」と感じるようなプラスアルファの商品やサービスを提案することで、顧客満足度は高まり、売上アップに大きく貢献するでしょう。

ついで買いを促す

ついで買いとは、複数の商品を一緒に購入することです。

スーパーなどの実店舗においても、レジ横に買い忘れやすいアイテムを陳列するなども、このついで買いに該当します。その他にも、ECサイト上で「この商品を購入した人はこんな商品も買っています」といったレコメンドページが紹介されることなども、ついで買いの手法です。

顧客データを蓄積・分析をして顧客に最適な商品を提案することで、一度の購買で複数商品の購入につながり、顧客単価アップに大きな影響を与えるでしょう。

クロスセルを成功させるポイント

ここからは、クロスセルを成功させるために知っておくべきポイントをご紹介します。

顧客を分析しニーズを把握する

適切にクロスセルを行うためには、顧客の購買履歴や問い合わせ履歴をなどのデータを蓄積してデータ分析をする必要があります。その結果、どのような商品を薦めるべきか判断できます。

チームや組織全体で顧客データを管理・共有することによって、万が一営業担当者が不在の場合であっても適切な対応が可能です。顧客データの入力や管理、分析には、ITツールであるCRMやSFAを活用することで、より効率よくデータ管理が可能です。

メリットをしっかりと説明し購買意欲を高める

クロスセルをする際は、決して押し売りにならないためにも、商品やサービスに関するメリットをしっかりと説明した上で、顧客に納得してもらう必要があります。顧客の購買意欲を高めた上で効果的なタイミングにクロスセルを仕掛けることが、より成功率を高めるポイントです。

ナーチャリングを実施し見込み客を育てる

ナーチャリングとは「育成する」という意味を持つ言葉で、見込み客の購買意欲を高める手法を指します。クロスセルの効果を最大限に高めるためには、このナーチャリングが必要不可欠です。

ナーチャリングを実施する具体的な方法としては、セミナーやウェビナーを実施したり、ホワイトペーパーを配信したりするなどがあります。それらの活動を通して、自社製品やサービスに対する魅力を発信していきましょう。

アフターフォローまでしっかりと行う

クロスセルを実施する際は販売した終わりではなく、販売後も丁寧なアフターフォローを心がけることが重要です。

例えば、商品やサービスに関する問い合わせ窓口を設置して顧客からの質問に答えたり、顧客に商品やサービスに不具合がないかをヒアリングしたりするなどして、顧客と定期的にコンタクトを取るようにしてください。

しっかりとアフターフォローにより顧客の満足度は高まり、次回の購買へとつながるのです。

クロスセルを行う際に気をつけたいポイント

クロスセルを行う際に気をつけたいポイントをご紹介します。

無茶な営業は行わない

顧客満足度を高める手法であるクロスセルですが、やり方を間違えてしまうと「押し売り」のように感じさせてしまいかねません。顧客の単価をアップさせることばかりに目がいってしまい、強引なアプローチをしてしまうと、かえって顧客離れにつながる可能性があります。

クロスセルを実施する際は、あくまでも顧客に対して他の商品やサービスを薦めるような姿勢を忘れないようにしてください。顧客が気づいていない価値やメリットを見出せるように的確にクロスセルを行っていきましょう。

実施するタイミングは慎重に見極める

クロスセルを成功させるためにも、適したタイミングで実施することが重要です。

一般的にクロスセルに適したタイミングとして、「顧客が購入を決めた直後」と「顧客満足度が高まった時」も2つがあり、これらのタイミングで実施することでより成功率が高まるとされています。

購入を決定した商品やサービスに沿って「あったら便利であること」、そして「併せて必要なのではないか」という仮説のもと、関連商品を提案していくことが重要です。顧客視点に立って提案する姿勢を忘れないようにしてください。

顧客のロイヤルティを意識する

クロスセルを成功させるためには、まず顧客のロイヤルティを高めることが重要です。

顧客ロイヤルティとは、自社の商品やサービスに対して顧客が感じている信頼や愛着度合いを指します。この顧客ロイヤルティが高い顧客の方が、そうでない顧客と比べてクロスセルを有効に実施できるのです。

顧客ロイヤルティを高めるためには、普段から顧客サポートを実施し、自社商品やサービスに対する満足度を高めていかなくてはなりません。顧客ロイヤルティを可視化するためにITツール・NPSの活用をおすすめします。

クロスセルの成功事例

ここからは、クロスセルを実施したことによる成功事例をご紹介します。

マクドナルド

マクドナルドは、対面式のクロスセル施策で成功しました。単品購入の顧客に対して、ポテトやドリンクなどのサイドメニューの購入を促したり、リーズナブルな価格で購入できるセットメニューを提案したりするなど、顧客の注文内容に対してクロスセルの手法を実施しています。

このクロスセル施策によって、2020年に過去最高の売り上げを達成するなど、顧客単価を大幅にアップすることに成功しています。

Amazon

ECサイト大手のAmazonは、補完的なサービス・商品を提案することでクロスセルに成功した企業の一つです。

購入検討時の商品ページやカート、さらには商品購入後のページにおいて、「この商品を買った人は、こんな商品も検討しています」といったようなレコメンド機能は、顧客単価アップに大きく貢献する販促方法と言えるでしょう。

【まとめ】顧客単価や満足度を高めるだけでなく、リピート率アップ

今回は、クロスセルの概要をはじめ、クロスセルを実施するメリットや具体的な実施方法についてご紹介しました。クロスセルを実施することで、顧客単価や顧客満足度を高めるだけでなく、リピート率アップも可能です。今回ご紹介した実施する際のポイントや注意点に留意して効率的、そして効果的に販売促進を行っていくことをおすすめします。