2024.04.10 (更新日:2024.04.15)

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ソリューション営業とは?顧客課題の解決スキルや実践方法ポイントを徹底解説!

ソリューション営業とは、英語の「Solution(解決)」から来た言葉で、文字通り顧客の課題への解決策を提案するという方法です。

変化の激しい現代、従来の営業手法ではもはや大きな成果を上げることが難しくなってきました。そういう時代に注目されているのが「ソリューション営業」です。そこで、他の営業方法との違いや必要なスキルや実践方法等、ソリューション営業についてご紹介しましょう。

ソリューション営業とは

ソリューション営業とは、冒頭にのべたように英語の「Solution(解決)」から来た言葉で、顧客の課題解決策を提案するという方法です。では、従来の営業手法とはどのような点で異なるのでしょうか。

御用聞き営業との違い

従来よくあった営業手法に「御用聞き営業」と呼ばれる方法があります。これは「御用聞き」という言葉からもわかるように、得意先に注文を聞いて回り、注文通りに製品・サービスを提供するというスタイルです。

一方、ソリューション営業では、顧客から注文されるより先に、こちらから提案を行い、解決策を提示するという違いがあります。そのために、まずは顧客がどんな課題を抱えているのかをヒアリングを通して引き出し、その課題に自社の「こんな商品やサービスがおすすめです」と提案するのが基本です。

【図1】御用聞き営業

提案営業との違い

その後、製品やサービスの差別化が進むにつれ、自社製品・サービスの特徴を的確に伝え顧客の信頼を得る「提案営業」というスタイルも多くの企業で採用されました。顧客が自身の課題と解決方法を理解しているものの、具体的にどの製品やサービスを選定するのか悩んでいる場合に、営業担当者が自社製品・サービスの特徴を顧客の課題にカスタマイズして提案するのが提案営業です。

【図2】提案営業

一方、ソリューション営業では、顧客が問題の存在は認識しているものの、どうやって解決するのかについては整理できていない状態でアプローチします。

そのために、まずは顧客がどんな課題を抱えているのかをヒアリングを通して引き出し、その課題に自社の「こんな商品やサービスがおすすめです」と提案するのが基本です。

【図3】ソリューション営業

御用聞き営業には、営業担当者のヒアリングスキルはあまり必要ではありません。一方、ソリューション営業の場合、顧客のニーズや課題を引き出す必要があるため、高いヒアリング力、言い換えればコミュニケーション力が問われます。

しかも、ただ単に顧客の要望に沿うような提案をするだけではなく、コミュニケーションを重ねるなかで、顧客がどのような本質的課題を抱えているかという根源にまで踏み込む必要があるのです。それにより最適な解決策を提示できるようになるため、ソリューション営業は従来の御用聞きよりも高い価値提供が期待できます。

さらに、それまで顕在化していなかった課題を解決してもらったと感じた顧客は、営業担当者に対する信頼感も抱きます。それをきっかけとして、長期に渡る良好な関係が始まることも大いにありえます。

ソリューション営業が求められる背景と課題

では、どのような背景からソリューション営業が求められるようになったのでしょうか。

まず、大きな要因がインターネットの普及です。インターネットにより今では誰もが簡単に必要な情報を得られるようになりました。営業担当者に問い合わせしなくてもよくなったということです。また、ネットで見つけた情報をもとに購入まで完了することも一般的になっています。それによって、従来の御用聞きは必要とされなくなってきました。

一方、簡単に情報が得られる反面、ネット上の情報は膨大なうえ玉石混交です。そのため、情報量は増えたものの「自分が本当に必要としているものは何か?」、「自分の課題を解決するのにベストなものは何か?」といったことがすぐに判断できません。しかも、コモディティ化が進んだ現在、どの製品・サービスを選んでも大きな差はないように映ります。その状況において、必要な製品・サービスを提案してくれるソリューション営業は、時代を取り巻く環境変化に伴い顧客からの期待が高い営業手法と言えるでしょう。

前述したうように、コモディティ化が進む現在、一般的な顧客ニーズに応えるだけの製品・サービスでは他社との差異化が難しくなっています。多くの競合他社のなかから、自社を選んでもらうには、ソリューション営業によって他社との競争優位をアピールする必要があるのです。

ソリューション営業の2大スタイル

ソリューション営業のスタイルを大別すると、プッシュ型営業とプル型営業があります。

プッシュ型営業

プッシュ型営業とは、営業担当者の方から積極的に購入を促すスタイルです。新規開拓営業やルート営業がこれに当たります。営業担当者の方から飛び込みでアポイントを取ったり、もしくは定期的に訪問したりして、顧客の購買行動に働きかけます。

プル型営業

プル型営業とは、プッシュ型営業とは反対に顧客側から働きかけてもらうスタイルです。自社サイトやセミナー、展示会などを通じて自社の製品・サービスを広く紹介し、それに関心を抱いた顧客が問い合わせをするというのがわかりやすい例でしょう。想定した顧客ニーズや課題に合致する製品・サービスをPRすることで、顧客の購買行動を促すというスタイルです。

ソリューション営業に求められるスキルとは?

前項で確認したソリューション営業の各ステップですが、それをしっかり実践していくには、どのようなスキルが必要とされるのでしょうか。

仮説を立てる論理的思考力

顧客が抱える課題を見つけ出すには、仮説を立てる論理的思考力が必要です。

情報を収集し、その分析をもとに仮説を立てるには、現状、顧客が必要としているもの、必要としているものを得られていない原因、その原因を取り除く方法というふうに、論理的に思考していかなければなりません。もちろんそのベースにあるのは、顧客の視点で考えるという姿勢です。

仮説を検証するヒアリング力

仮説を立てるだけでは十分ではありません。その仮説が正しいかどうかは、顧客にヒアリングして潜在的に抱えている課題や要望を見つけ出すことによって検証できます。それには、ヒアリング力が重要になるのは言うまでもないでしょう。

ここでのヒアリング力とは、単にこちらが聞きたい質問を投げかけるのではなく、顧客のニーズや課題を深堀るスキルのことです。表面的な言葉だけでなく、その裏にある潜在的な思いに気づけるように質問によって深掘りする必要があります。

関係を構築するコミュニケーション力

ヒアリング力の前提となる能力ですが、信頼関係を構築するためのコミュニケーション力も非常に重要です。信頼できない相手に潜在的な思いを打ち明ける人などいませんから、まず、こちらを信頼してもらう必要があります。

しかも、ビジネスの場合、単に仲良くなればよいのとは異なり、顧客の課題を引き出したうえで、こちらの提案に価値を感じてもらわなければならないため、自分と相手の頭に同じ絵が描けるよう双方の認識を確認、共有するより高いコミュニケーション力が必要とされるでしょう。



関連記事:ソリューション営業はもう古い!?インサイト営業へ進化するために必要となる新たな課題とスキルを解説


ソリューション営業がもたらす効果やメリット

ソリューション営業の概略がわかったところでソリューション営業がもたらす効果をより詳しく見ていきます。

顧客との関係性向上

ソリューション営業とは、前述したように顧客の持つ潜在的な課題を解決することを目的とした営業手法です。従来のようにこちらが売りたいものを積極的に売りつけようというスタイルとは大きく異なります。

こちらから「こんな商品をぜひ買ってください」とプッシュするのではなく、顧客からのヒアリングを通じて顧客ニーズや

潜在的な課題を見つけ出し、それに対して「こんな方法で解決できます」などとアドバイスを提案するというスタイルです。それには、単に自社の製品・サービスを売るだけではなく、顧客が抱える課題に関連する情報を提供するなどして、より大きな課題を解決するための支援をするという姿勢が大切です。

いずれにせよ、こちらから「買ってください」とお願いするのではなく、顧客のニーズや課題に解決策を提示するスタイルなので、顧客との関係は自然と対等になります。これまでは「お客様は神様です」という態度で、顧客の言うことは何でも聞くべきと考えられることもありましたが、それでは主人と御用聞きのような上下関係でしかありません。ソリューション営業では、顧客と共に課題解決を目指そうという態度で接することになるため、互いに対等かつ信頼に基づいた関係を築けるでしょう。

競合他社との差異化

現在は技術革新のスピードが高まったおかげで、多くの新製品が登場しています。と同時に、新しい機能やサービスもすぐに他社に真似されてしまう時代にもなりました。つまり、従来ほど製品・サービスでの他社との差異化が難しくなっているとも言えるでしょう。このような時代に必要とされる営業スタイルこそ、ソリューション営業です。

誰もがインターネットで情報を入手できる現代、従来の営業手法の存在価値の多くは失われました。顧客がニーズを満たすための解決方法を自ら検索できるようになったからです。ところが一方で、多くの情報の中から最適な解決策を探し出し、効率的にニーズを満たすためには営業担当者の存在が必要となります。つまり、顧客ニーズに対して、顧客の置かれた状況や課題の本質を理解し、そのうえで最適なソリューションを提案する営業です。こうした営業スタイルは結果的に顧客にとってはアドバイザーのような存在となり、競合他社との差別化につながっていきます。

案件受注率の向上

従来の営業手法では、自社製品の良さをアピールして顧客の購買意欲を促すというスタイルを採ります。ところが、受注率を上げるためにさらに力を入れて自社製品のアピールをしても、むしろ逆効果になることもあり得るでしょう。

顧客にとっては、製品・サービスのアピールが必要なのではありません。それが自社にどのようなメリットをもたらしてくれるのかを知りたいのです。その点、ソリューション営業では、まず顧客とのヒアリングを重ねて顧客ニーズを理解することを重視します。そこから顧客の潜在的な課題を探り出し、それを解決するための最適な方策を提示するという手法です。

課題を解決するイメージが描けた顧客は、自ずと営業担当者に対して信頼感を抱くようになります。そのような関係を築くことができれば、自社製品の提案も受け入れやすくなりますし、その後の継続的な契約にも結びつくでしょう。その結果、案件受注率の向上が期待できるのです。

ソリューション営業 5つの実践方法ステップ

ソリューション営業を実践するには、具体的にどのようなステップをたどればよいのでしょうか。

ステップ①顧客分析

顧客と会う前に、顧客についてのさまざまな情報を集め、しっかり分析することが大切です。顧客の事業内容や企業規模といった基本的なことはもちろん、顧客の属する業界動向や顧客の取引先の最新事情までも含めて調査します。

ステップ②顧客ニーズの仮説立案

顧客について情報収集すると次は顧客ニーズや課題について仮説を立てます。あくまでも仮説の段階ですから、顧客について収集した情報や業界状況などから複数の仮説を立てることで、実際の商談では自然なヒアリングができるでしょう。

ステップ③顧客ニーズのヒアリング(仮説検証)

ステップ②で立てた仮説を検証するために顧客とのヒアリングを行います。ヒアリングを通じて顧客ニーズを深掘りし、仮説を検証します。顧客ニーズをどれだけ理解できているかによって提案の納得度が変わるため、商談を複数回重ねることもあります。顧客ニーズのヒアリングこそがソリューション営業の価値を決めることになるため、特にBtoB営業では様々な立場や役割の人からニーズや課題を聞き出すことが重要です。

ステップ④課題の合意

ヒアリングで探り出した課題と予め立ててきた仮説について、顧客との認識の違いを確かめます。そして、解決すべき課題について双方で合意に達するのです。

認識に違いがあるまま、解決策の提案を行っても意味がありません。むしろ的外れな提案をすることで、顧客の信頼を失うことになりかねないでしょう。そうならないためにも、このステップで認識のズレをしっかり解消しておくことが重要です。

ステップ⑤解決策の提案

ステップ④で合意した課題に対して解決策を提案します。その一環として自社の製品・サービスを提案することにもなりますが、ここで注意すべきは自社製品のアピールばかりしないことです。大切なのは、先に確認した顧客の課題をどのように解決するかですから、製品・サービス以外にお役に立つ情報も併せて紹介しましょう。

ソリューション営業力を高めるためのポイント

ソリューション営業に必要なスキルはわかりましたが、ソリューション営業そのものを高めるにはどうすればよいのでしょうか。

顧客の情報収集を徹底する

すべてのベースとなるのが顧客情報です。その情報をもとに仮説を立て、顧客にヒアリングして検証していくわけですから、情報はいくらあっても十分ということはありません。したがって、ソリューション営業力を高めたいのであれば、徹底的に顧客情報を収集しましょう。

顧客の事業課題を把握する

顧客に関する情報を収集するうちに、そこから顧客が現在抱える課題というものが見えてくるはずです。これが後のステップで大切になる仮説立案の礎となります。

ソリューション営業では、顧客がどんな課題を抱えているのか、必要としている解決策は何なのかを正しく把握していることが前提となります。それができていない状態では、自社の製品・サービスをとにかくアピールするというプッシュ型営業になってしまうでしょう。

自社製品への理解を深める

顧客の事業課題を把握するとともに、自社の製品・サービスがどんなニーズを満たすことができるかも把握しておく必要があります。要は、自社製品への理解を深めるということです。

顧客の課題に適切な解決策を提案するのがソリューション営業ですから、そこで提案する自社製品が本当にその課題を解決できるものであることが大前提です。ところが、営業担当者のなかには、業務命令として営業活動をしているだけで、自社製品の真の理解までには至っていない人が少なくありません。そんな状態でいくらソリューション営業をやろうと試みても、的外れな提案になってしまう可能性は高いでしょう。

それを防ぐには、日ごろから自分自身が使用するなどして自社製品への理解を深める努力が必要です。商材によっては個人が使用するものではない場合もありますが、そういう場合でも、実際の使用者の声を聞くなど理解を深めようという意識を忘れないようにしましょう。

仮説検証を繰り返す

収集した情報をもとに仮説を立て、それを顧客からのヒアリングによって検証するというのが、ソリューション営業の基本だというのは前述の通りです。ただ、このプロセスは一回限りのことではありません。何度も仮説を立て、検証の結果違うとわかったら、さらに違う仮説を立て検証する、というように仮説検証サイクルを繰り返すことが大切です。

もちろん顧客に闇雲に聞き回るということではなく、ヒアリングの結果、立てた仮説がどの程度正しかったのか、現実と違う部分がある場合はどのように調整すればよいのかと自ら内省したり、周囲に相談したりして軌道修正を繰り返すことが必要になります。



関連記事:アカウント営業とは?ソリューション営業との違いやアカウント戦略で重点顧客との長期的な関係構築を作るポイントついて解説


ソリューション営業を実践している企業事例(プロダクト含む)

ブリヂストン株式会社:
タイヤ事業を核とし、ソリューション事業を展開しています。具体的な事例としては「技能伝承システム」が挙げられます。熟練技能員の高度な技術をカメラやセンサーで計測・可視化し、新人の技能習得に活かす仕組みです。

味の素株式会社:
社会価値と経済価値の共創を目指す経営基本方針「ASV」を掲げ、食と健康の課題解決企業として、デジタル技術を活用した新事業創出など多くのプロジェクトが進行中です。

ユニ・チャーム株式会社:
不織布・吸収体専門メーカーとして付加価値の高い商品を市場に送り出しています。デジタル技術を活用して開発された新サービスに、紙おむつのサブスクリプションサービス「手ぶら登園」があります。

まとめ:本質的な課題へのアプローチが成功のカギ

顧客が潜在的に抱える本質的課題をヒアリングで引き出し、それに最適な解決策を提示するのがソリューション営業という手法です。本質的な課題にアプローチするには、顧客との信頼関係を築き、ともに課題解決を目指すという姿勢が求められます。それを可能にするには高度なスキルが必要ですが、顧客の成功と自身の成長、さらには組織への貢献のためにチャレンジしてみてはいかがでしょうか。

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