2022.11.01 (更新日:2024.02.26)

組織開発

人材育成とは?目的やポイント、効果的な育成方法まで徹底解説!【人材育成シリーズ①】

いかに経営者が優れていても、経営戦略やビジネスモデルが画期的な物であったとしても、それを実現する人材が不足していては元も子もありません。事業を発展させるためにも「人材育成」に力を入れることが重要です。

そこで本記事では、企業が人材育成を行う目的をはじめ、人材育成をする際に押さえるべきポイントについて詳しくご紹介します。記事の後半には、若手から管理職までの具体的な育成方法についても触れるのでぜひ参考にしてください。

目次

人材育成とは

人材育成とは、在籍する社員を事業の発展や企業の成長に貢献できる人材として育てることを意味します。人材育成というと新入社員教育などの若手社員向けの育成制度をイメージしがちですが、人材育成は様々なステージの社員に対して必要なことです。ここでは、人材育成の目的をはじめ、人材育成における目標について詳しくご紹介します。

人材育成の目的

企業にとって、人材育成とは様々なリソースを活用しながら、企業の人材を育てていくことを意味します。企業の経営資源である人材をより効果的に、そしてより効率的に活用することで、競合他社との競争力を高めて高い利益を上げることが最大の目的です。人材育成を行う目的として、次の3つが挙げられます。

ビジネスマインドの習得

人材育成を行うことで、企業理念はもちろんのこと、組織の一員としての心構え、さらには社会人として身につけておきたいビジネスマナーなど、仕事をする上で基本となる姿勢や考え方を習得できます。

仕事に対する姿勢や考え方をしっかりと教え込むことで、新人社員研修はもちろん、管理職の育成にも高い効果が期待できるのです。

社員のスキルや専門性の向上

担当する事業や所属する部署によって必要なスキルや専門性は大きく異なります。人材育成を通して、それぞれの分野で求められるスキルや知識を身につけることが大切です。専門的な知識をインプットするためには、社員研修はもちろんのこと、隙間時間を有効活用できる「eラーニング」などを活用していきましょう。

そして専門的なスキルを身につけるためには実践あるのみです。実務を通して様々なケースに触れながら試行錯誤を繰り返すことで社員のスキルや専門性は大きく向上します。

帰属意識の向上

人材育成を通して、社員の帰属意識や愛社精神を育む効果も期待できます。帰属意識や愛社精神の高い社員は、自ら高い目標を立てて意欲的に業務に取り組む傾向が強く、高い成果を挙げる確率が高いと言えます。

人材育成シリーズ②

人材育成における目標

人材育成を成功させるためにも重要なのが目標設定です。企業が理想とする人物像に成長させるための指標を掲げることで、企業の方向性を社員に周知できます。明確な目標設定をすることで、社員のモチベーションや生産性の向上にも効果が期待できるのです。

このように、人材育成に力を入れることで離職率の低下や生産性の向上、社員のモチベーションアップに繋がるため「人材育成なくして企業の成長は不可能」と言っても過言ではありません。人材育成は、企業全体において取り組むべき最重要課題です。

組織開発と人材育成の違い

人材育成と似た言葉に「組織開発」があります。しかし組織開発と人材育成は、アプローチの対象はもちろんのこと、アプローチの手法も大きく異なるため、両者の違いをしっかりと理解することが大切です。

違いその1|アプローチの対象

組織開発と人材育成では次のようにアプローチの対象が異なります。

人材育成が社員の知識やスキル、経験や考え方に対してアプローチするのに対し、組織開発は組織全体にアプローチを行います。つまり、上司や同僚、部下と良好な関係を築けるように働きかけて、組織全体を活性化かせる取り組みのことを指すのです。

違いその2|アプローチ方法

人材育成は、社員である個人に何かしらの問題や課題があると捉えてアプローチします。社員それぞれが抱えている課題を解決するための教育や訓練などのプログラムを考案し、提供するのです。

一方で、組織開発では、課題の原因を個人ではなく「人間関係」や「グループ内」、そして「グループ間」にあるものと考えてアプローチしていきます。具体的には、ミーティングやワークショップを設けるなどして、社員全体の共通認識を持たせるよう働きかけていくのです。

関連記事:組織開発(チームビルディング)についてはこちらで解説しています

人材育成における課題

ここからは、人材育成を行う際によく見られる課題や問題点についてご紹介します。ご自分の企業の状況と照らし合わせながら確認していきましょう。

課題その1|人材育成を行うための時間や費用が不足している

人材育成の重要性を理解していてもなかなか進まない原因の一つに、時間や費用が不足していることが挙げられます。どの業界においても人材不足が深刻化する中、それぞれの社員に必要な教育を提供できていない企業が増えているのです。

特に、管理職の業務量が多すぎることが人材育成の優先度が低くなっている大きな要因と言えます。管理職を人材育成に関わらせる場合は、業務の一部を他の社員に依頼するなどの配慮が必要です。最悪の場合、ビジネスモデルを刷新しなければならないことも考えられるのでご注意ください。

課題その2|人材育成に関するスキル・ノウハウ、モチベーションがない

人材育成が効果的に作用しない場合は、育成する側だけでなくされる側のスキルやノウハウが不足していることが考えられます。たとえ社員として優秀な成績を残している人であっても、指導力や育成スキルがあるとは限りません。そのため、指導する側に対する教育も重要です。

さらに、教育される側にも問題があるケースもあります。せっかく時間と手間をかけて育成プログラムを作成したとしても、社員が受け身で意欲が低い場合はうまく作用しません。育成される側が教育の重要性を理解しなければ全く意味がないのです。

人材育成シリーズ④

課題その3|人材育成を評価する制度・体制が整っていない

人材育成を成功させるためには、社内全体の協力体制を整えることはもちろんのこと、人材育成を評価する制度や体制が整えることが重要です。無理のない育成計画を作成した上で実行しなければなりません。

さらに、近年ではコロナ禍による働き方改革によってテレワークや在宅ワークを推進する企業が増えてきています。そのような環境下でも効果の出る人材育成の制度を確立することが人材育成を成功させるカギと言えるのです。

従来のようなセミナー形式による研修をそのままオンラインに置き換えたところでうまく作用しないケースが多いため、オンライン専用の教育プログラムの考案が求められています。

人材育成を成功させるためのポイント

ここからは、人材育成を成功させるために押さえておきたい4つのポイントについてご紹介します。

ポイントその1|人材育成の目的を共有し目標を明確にする

まず重要なポイントが人材育成の目的を明確にすることです。目的が定まったら、その目的を達成するために必要なことも明らかとなり、目標や方向性までもがはっきりとしてきます。

最終的な目標が明確にするだけでなく、段階的な目標やゴールを設定することも大切です。教育を受ける側のモチベーションを維持するためにも、社員の年齢や役職、スキルなどを総合的に考慮した人材育成プランを作成してください。

ポイントその2|社員の自主性を引き出す環境を整備する

どんなに素晴らしい研修や教育プログラムを提供し、社員の仕事に対するマインドやスキルが高まったとしても、それぞれの現場で学んだことを実践できないと意味がありません。

教育プログラムで学んだ内容の業務を任せてみたり、権限を委託してみたりなど、社員一人ひとりが学んだ内容を定着させるためにも社員自身で実践できる機会を用意するよう心がけてください。

そして社員が何かにチャレンジする姿勢を称賛し、たとえ失敗したとしても責めすぎない環境や新しいことを受け入れる風土を整えること、さらにはわかりやすい評価基準や制度を作ることも大切です。社員のモチベーションや自主性を自然に引き出す環境づくりに取り組んでいきましょう。

ポイントその3|会社全体で人材育成に取り組む

人事担当や教育担当のみが人材育成に関わるのではなく、企業全体で人材を育てるという意識を持つことが、人材育成をする上で非常に大切なポイントです。経営陣をはじめ、人事や部門責任者たちと共通認識を持つことで、互いに連携しながら人材育成を推進できます。

社員に対しては、ポスターやメール、社内報などを活用して社内で人材育成に関する周知やPRをすることで、企業として人材育成に力を入れていることをアピールしていきましょう。企業の制度として人材育成に取り組んでいる姿勢を示すことで、社員のモチベーションにもいい影響を与えるはずです。

人材育成を始める前に準備しておくべきこと

ここからは、人材育成を始める前に準備すべき2つのことについてご紹介します。

その1|現状の問題点や課題を把握する

人材育成をする上でまずやるべきなのは、現場の抱えている問題点や課題をすくい上げることです。

まず、人材育成のおけるニーズや課題を把握するために組織全体の仕事内容や役割分担を把握します。どのような部署があって、どのように機能しているか、さらにどのような社員がどの程度の人数が配置されているかについても確認してください。

組織全体の様子を把握できたら、社内のミドル層や現場の若手に対してヒアリングを行い、解消すべき課題や問題点を把握しましょう。それらの課題が教育をすることで解決するかについても考えていきます。

関連記事:WEB診断で組織の課題を把握することができます(営業チーム力診断)

その2|課題に合った解決策を確認し、明確な目標を設定する

課題や問題点が明らかになったら、経営方針など企業にとっての理想像や将来像を照らし合わせながら、「誰を」、「いつまでに」、「どのような人材に育てるか」といったような具体的でかつ明確な目標を設定します。

この目標設定があやふやなまま人材教育を行なってしまうと、人材育成計画が立てられないどころか、目標が設定されていない社員のモチベーションも維持できません。
どのようなスキルを持った人材がいつまでにどの程度の人数必要なのか具体的に設定してください。

人材育成を成功させるためにはスキルマップを活用しよう

「スキルマップ」は人材育成を効果的に推進していくためにおすすめのツールです。ここからは、スキルマップとは一体どのようなツールなのか、そしてスキルマップの有用性や作成方法について詳しくご紹介します。

スキルマップとは

スキルマップとは、業務で必要なスキルを洗い出し、社員一人ひとりの持つスキルや能力をまとめた表のことです。組織内のスキルの現状を簡単に把握できるだけでなく、人材育成を行う際に指標となるツールとして使われています。

例えば、縦軸と横軸にスキルや能力に関する項目、そして社員の名前を記載し、社員一人ひとりのスキルレベルを複数の段階で評価していきます。数字ではなく○や△などの記号を用いるケースもあります。

スキルマップ例

スキルマップを活用する効果

スキルマップを活用することで、次のような効果が期待できます。

能力の可視化

所属する社員数が多くなればなるほど、一人ひとりの社員の能力を把握しづらくなります。しかし、スキルマップを人材育成に利用することで、誰がどのようなスキルを持ち合わせているのかが明確となるのです。得意分野を活かせる部署への配置転換はもちろんのこと、不得意な分野に特化した研修プログラムを作成できます。s

社員のスキル向上

スキルマップを導入することで、職場や役職ごとに求められるスキルも明確になります。求められるレベルを満たしていない項目に特化した教育プログラムを考案することで、効率的に社員を育成できます。

社員一人ひとりのスキルアップはもちろんのこと、社員全体のスキルの底上げにも繋がります。結果として生産性が上がり、企業の業績も拡大にも効果が期待できるのです。

社員のモチベーション向上

スキルマップを活用することで社員の仕事に対するモチベーションアップにも繋がります。社員のスキルアップを公開することで、社員同士に競争心や向上心が芽生え、新しいスキルを習得しようとアクションを起こしていくことになるでしょう。

さらに、スキルマップを活用することで公平公正な人事評価が可能になります。上司は部下のスキルを的確に把握し、部下も自分のスキルをしっかりと評価してもらえていると実感できるはずです。正当な評価をしてもらうことで、仕事に対するモチベーションも自然と高まっていきます。

スキルマップの具体的な作り方

スキルマップは多種多様な業種や業界の人材育成において活用されていますが、基本的に同じ方法で作成していきます。これからスキルマップを導入しようとお考えの企業の方は、次のステップで作成してみてください。

スキルを設定する

まずは、スキルマップに記載するスキルを設定しましょう。この初期設定がうまくできていないと、その後の管理が非常にしづらくなります。どのようなスキルを入れ込むべきかを精査してください。

スキルを設定する際に重要なのが「スキルをどのように分類するのか」、そして「スキル項目をどのように細分化していくか」がとても重要なポイントです。どのような分類をすべきか悩んだ際はスキルマップを作成する目的に立ち戻って検討してください。

スキル項目の細分化は職場の特性に応じて決めるのが鉄則です。あまりに細かく細分化しすぎてもチェック項目が大量に増えてしまい管理しづらくなってしまいますので注意しなければなりません。

スキルの基準を設定する

スキルの設定が完了したら、その後はスキルの達成度をチェックするために基準を決めてください。スキルの有無でシンプルに基準を設定するケースもあれば、スキルのレベルを5段階や10段階で表現するケースもあります。

スキルの評価基準はあまり細かく設定をしてしまうとなかなかレベルを分別しづらくなってしまいますので、3〜6段階で分類するのがおすすめです。それぞれの企業に合った無理のないスタイルで評価基準を設定していきましょう。

社員のスキルレベルを調査、評価する

スキルの評価基準が定まったら、実際に社員一人ひとりのスキルレベルをリサーチし、評価する「棚卸し」を実施していきます。

スキルレベルの調査方法は、「上司が部下のスキルを客観的に観察して評価する」パターンと、「評価対象の社員が自身のスキルレベルを自己評価したものを、上司が再度評価、修正をする」パターンの2タイプに分類されます。多くの企業では、前者の上司が評価をするパターンを採用しているようです。

調査結果を作成したスキルマップに入力すれば、スキルマップが完成します。

スキルマップの作成におけるポイント

スキルマップは人材育成において非常に有効的なツールであることが分かりましたが、作成する際にいくつか注意すべきポイントが存在します。

一つ目のポイントは、人事だけではなく、経営陣や管理職、そして現場の社員がスキルマップの作成に関わるということです。人事スタッフのみでスキルマップを作成してしまうと、把握している内容に偏りが生じてしまいかねません。そのため、人事スタッフは現場と経営陣の間にたって様々な調整を図るポジションとして行動することが大切です。社内全体で協力しながらスキルシートを作成してください。

そしてスキルアップは随時更新することが大切です。事業内容や業務の流れが変わることで、求められるスキルや知識は大きく変化していきます。そのため、定期的にスキルマップをチェックし、変更の必要な場所があれば随時編集や変更を重ねていきましょう。

人材育成のフレームワーク3選

人材育成を成功させるためには、フレームワークの活用は非常に有効的です。フレームワークは、「思考の枠組み」のことで、特定の業務や教育を行う際にとても迅速かつ少ない労力で行えるというメリットがあります。

ここからは、人材育成を行う際におすすめの代表的なフレームワークについてご紹介します。

フレームワークその1|HPI

HPI(Human Performance Improvement)とは、組織が抱える問題や課題を人材の視点から考えていくフレームワークのことです。企業の考える人材の理想像と現状のギャップを洗い出して、そのギャップを埋めるための具体的な施策や対策を考え、実行していきます。

HPIの最大の特徴は、経営計画と人事的な課題を連携して捉えていることです。経営目標をどのようにすれば達成できるかを分析した上で、人材育成や指導に活かしていきます。

フレームワークその2|70:20:10モデル

70:20:10モデルは、アメリカのミロンガー社が提唱したフレームワークのことです。同社が調査した結果、経営幹部などがリーダーシップを発揮するために重要だった要素として、7割が仕事での経験、2割が人を介する学び、そして最後の1割が研修であることが分かりました。

この結果から、リーダーを育てる上で重要なのは現場での実務経験であり、様々な人との関わり合いと研修を通してスキルを身につけていくことが判明したのです。仕事をしながら適研修を行うOJTをメインに行う企業に有効なフレームワークと言えます。

フレームワークその3|カッツ理論

カッツ理論とは、アメリカの経済学者であるロバート・カッツが提唱した考え方で、人材育成に非常に有効的なフレームワークです。

カッツ理論によると、ビジネスマンにとって重要なスキルは「テクニカルスキル(業務遂行能力)」、「ヒューマンスキル(人間関係構築能力)」、そして「コンセプチュアルスキル(概念化能力)」の3つとされています。

さらに、カッツ理論では「ロワーマネジメント(下級管理職)」、「ミドルマネジメント(中間管理職)」、そして「トップマネジメント(経営職層)」の3つのマネジメント層に分類され、それぞれに合った人材育成の指針を立てることが重要と考えられているのです。

関連記事:カッツ理論をベースにした人材育成制度構築を目指す方はこちらを参照してください

人材育成に用いられる具体的手法

ここからは、人材育成の際に頻繁に用いられる手法についてご紹介します。

OJT

OJTとは「On the Job Training」の略称で職場内研修のことです。実際の現場で上司や先輩のトレーナーが実務を通してマンツーマンで教育を行う方法を指します。

OJTを実施する目的は、業務効率のアップや研修者の不安を解消する効果、さらには職場への定着度のアップなどがあり、即戦力を育成できるというメリットがあります。

Off-JT

Off-JTとは、職場外研修や集合研修のことで、実務から引き離した状態で実施される研修を指します。実務を通してスキルや知識を習得するOJTとは異なり、Off-JTでは研修を通して見識や知識を広げるのが特徴です。

多くの場合は、外部講師がトレーナーとして研修を実施していきます。そのため、語学やロジカルシンキングなどのビジネススキルに特化した研修やリーダーシップやグローバル人材育成を目的にした研修、さらにはキャリアプランに合わせた研修など、内容をカスタマイズしやすいのもOff-JTのメリットと言えます。

自己啓発

自己啓発とは、社員がそれぞれ学習する内容を決めて自発的に研修を受けるスタイルを指します。業務や職務上、必要と判断された場合やキャリア形成のための資格取得などを目的にして受講するケースが多いようです。

企業の中には、社員が自由に研修内容を選択できるよう、いくつかのプランやバリエーションを設けているところもあります。

自己啓発の最大のメリットは、時間や場所に捉われることなく、自由な時間を活用して学習に取り組めることです。一方で、強制力がないことで受講する人とそうでない人でばらつきが生じてしまうデメリットもあるため注意してください。

年代別での人材育成のポイント

人材育成を成功させるためのポイントとして重要なのが、若手、中堅、そして管理職など年代別や世代別に効果的な育成プログラムやアプローチ方法を考案し、実践することです。

ここからは、世代別に効果的な人材育成方法についてご紹介します。

新入社員・若手層

新卒から入社3年目までの若手社員に対しては「OJT」や「定期的な面談」、そして「企業が費用を負担する社外教育」などの研修が有効だと考えられています。

若年層の若手社員を育成する際は、教育にかける時間的な余裕がなかったり、人材育成を受ける社員のモチベーションが低かったり、さらには人材育成が計画的に行われなかったりするなど、様々な課題が山積します。

新入社員や若手層の人材育成をする際に大切にしたい2つのポイントは次の通りです。

人材育成の目的や業務の意味を理解させる

若手社員をなるべく早く戦力に加えるためにも、採用時から早めの人材育成をスタートさせることが重要です。育成を行う際には、必ず研修の目的や業務の意味を説明して理解を促してください。

新入社員向けには、社会人としての基本的なマインドはもちろんのこと、基礎的なビジネススキルを身につけるために研修プログラムが必要です。新入社員研修や若手社員向けの研修を効果的に行わずにいると、確実に離職率は高まります。

研修中は社会人としての厳しさを伝えることはもちろんですが、やさしく丁寧なフォローアップをするなど、バランスを保って育成に取り組んでください。

実践機会をしっかりと用意する

若手社員を育成する際は、インプットだけでなくしっかりとアウトプットする実践機会を設けていきましょう。上司から教わった内容や研修から学んだことを実践し、学習した内容を定着させる機会を設けることも上司や研修担当の重要なタスクです。若手社員が学習した内容を活かせる業務内容を提案するなど実践環境を整えてください。

中堅社員

中堅社員は、後輩の指導や育成、若手社員と管理職をつなげる役割、主体性を発揮して現場を動かす機動力や業務スキルの向上など、求められるスキルが多岐にわたります。

任される仕事量や責任も増える世代のため、管理職による手厚いサポートが求められます。ここからは、中堅社員の人材育成を行う際に大切にしたいポイントをご紹介します。

より高度なスキルの習得を促す

中堅社員は、現場の中心に立って人と人を繋ぐという重要な役割を担っています。さらに、現場の指揮を取るためにも、中堅社員としてより高みを目指すための高度なスキル、特にリーダーとしてのスキルアップが求められるのです。

リーダーとして役立つ資格を紹介したり、リーダー性を高めるための研修を実施したりしながら、リーダーシップやコミュニケーションスキル、さらにはチームとしての目標設定方法などの習得を促していきましょう。

キャリアアップへ進む土台を用意する

中堅社員の多くは、その後のキャリアに対して漠然とした不安を抱えています。今後どのようなキャリアプランをもとに仕事をしていくか、どのようなプロセスを経ていくべきか分からなくなってしまい、転職を選択する中堅社員も少なくありません。

そのため、中堅社員の人材育成をする際は、社内にどのようなポジションがあり、どのようなキャリアルートがあるかを提示していくことが重要です。評価基準や評価制度を明確に示すことで、安心して業務に邁進できます。

管理職を目指す社員に対しては、実際に大きな組織を動かす経験をさせるなど、上司自らが積極的にチャンスを提供してください。

管理職

管理職には、自身の業務だけでなく、部下たちの業務をはじめ、部署全体の業務目標を達成させるという責務があります。

コミュニケーション能力だけでなく、問題解決能力や決断力、行動力、そして人材育成能力など、様々なスキルが求められる管理職を育成することはなかなか困難です。難易度の高い管理職の育成を成功させるポイントをご紹介します。

育成環境を整える

経験豊富な管理職とはいえ、育成する際はしっかりとしたサポート体制を築くことが大切です。他の世代の社員よりもより深く研修の目的や企業としての方向性を明確に提示することはもちろん、育成にかける時間をしっかりと確保してください。

管理職向けのオンラインコンテンツやMBA、さらには管理職として必要なコーチングやマネジメントなどの専門性に特化した研修サービスの利用がおすすめです。

マネジメント能力やコミュニケーション力など自身のスキルを見直す

管理職として活躍するためには、様々なスキルや能力が必要です。そこで、管理職の役割についてしっかりと説明し、期待する役割やスキルを明確に伝えてください。

その上で、管理職として欠けていると感じるスキルや能力がないか見直し、不足しているスキルを高めて補う研修を積極的に受けることが大切です。

人材育成シリーズ②

【まとめ】人材育成を行う目的や目標をしっかりと認識する

今回は、企業が人材育成を行う目的をはじめ、人材育成をする際に押さえるべきポイントを解説しました。人材育成を行う目的や目標をしっかりと認識することが非常に重要です。

人材育成は、企業や組織が長きにわたって成長し続けるために重要な基盤づくりです。まずは自社の状況や課題を把握し、今回ご紹介した手法を参考にしながら自社にとって最適な人材育成を実践していきましょう。