2024.02.20 (更新日:2024.06.17)

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営業KPIとは?目標を達成するためのプロセス設計と活用すべき指標を徹底紹介

営業KPIの導入は、組織に明確な目標と方針を提供し、チームのパフォーマンスを向上させます。定量的なデータに基づくKPIは、効果的な意思決定、モチベーション向上、リーダーシップの向上をもたらし、チームのリソースを最適化して組織を成功へと導くためにとても大切なものです。その内容と目的を正しく理解して、設定していきましょう。

営業KPI(Key Performance Indicate/重要業績評価指標)とは?

営業KPIとは、あらかじめ設定した目標について、どの程度達成できたかを可視化する指標のことです。最終的な目標というだけでなく、最終目標に到達するまでのプロセスについてもフェイズごとに設定し、管理していくことが大切です。

営業KPIの目的

営業活動はブラックボックス化しがちです。どんな営業セクションでも、どんな営業組織でも、目標を設定し、それを伝えていくと、チームメンバーは目標に向かって進んでいきます。なので、その目標設定の方法によって、営業担当者の取り組み方や組織としての管理の仕方が変わってくることがあります。効果的な営業KPIの設定は組織の目標達成には必須なのです。営業KPIを活用する目的をこの記事を通して知ることで、より意味のある効果的なKPI設定ができるようになります。

目標達成のための適切な指標

営業KPIは具体的には、最終的な売上高に至るまでのフェイズやプロセスごとの目標を意味します。たとえば、最初のフェイズであればテレアポ獲得件数などが挙げられます。その後、商談件数や資料請求件数、新規契約件数などの目標が実際にKPI指標として設定されることの多い項目です。

この指標は成約の数字だけでなく、パーセンテージでも提示されることがあります。たとえば、資料請求率を10パーセントにする、商談化成功率を3パーセントに設定するといった形です。最終的な目標達成に不可欠となる指標を設定することが適切なKPI設定の鍵となります。

効果的な営業KPIの設定

再現性のある営業活動を行う

プロセスごとに明確な目標を作り、その後分析ができるようにすることも営業KPIの目的の一つです。この方法により、営業活動に再現性を持たせることが可能となります。仮にKPIを設定しない状況だと、「とにかく最終目標を達成すれば過程は問わない」という方針になりがちです。これではプロセスの分析ができませんし、それぞれの営業担当者によって活動内容が大きく変わってしまう=属人化に陥ります。しかし、営業KPIを設定して、細かくプロセスごとに目標を作ると、それぞれのフェイズを意識して、手順通りに活動するよう促されます。

もし、特定のフェイズにおいて数値が悪い場合、そこを改善することで、数字の出やすい営業活動を再現できることになります。営業KPIがあることで再現をするために必要な条件を確認でき、問題があれば早期に発見でき、また全てのメンバーに当てはめられるので、組織として統一感のある、再現性の高い営業ができるわけです。

現状と目標を一元管理する

営業KPIには途中経過における目標を作ることが含まれますが、それにより現状の正確な把握をするという目的を果たせます。全体の中で、どのフェイズでつまずいているのか、どのプロセスでは効果が出ているのか、KPI達成の数字を見れば一目で分かるようにするのです。もし、最終目標しか設定していないとすると、部署としても、個人としても、現状がどこまで進んでいるかを把握するのは困難です。営業KPIを設定することで、途中経過のデータが集まってきますので、進捗状況が可視化できるわけです。

しかも、KPIでは目標達成率がそのまま現状として現れるのが特徴です。いくつものモニタリング項目を設ける必要がなく、それだけで現状と目標達成率を管理できることになります。スムーズな営業管理を目的として、営業KPIを導入することができるのです。

営業KPIのメリット

KPIを現場に導入することには様々なメリットがあります。

指標の可視化で数値が明確になる

営業KPIでは目標に向けた指標を可視化します。テレアポ獲得件数や新規契約件数などです。それぞれのフェイズで部署として、もしくは営業担当者個人としての目標や数字が明確になります。

「とにかくたくさんの商談を獲得しろ」「新規契約を増やそう」といった抽象的な目標ではなく、プロセスごとの目標を数値で可視化します。この方法により、フェイズごとに取り組むべき課題がはっきりとしますので、営業活動の細かな数字の分析や効果的な方法の開発に取り組みやすくなります。

論理的・合理的に数値管理できる

営業KPIでは、「新規契約○○件を獲得するには商談件数は○○以上ないといけない」「新規商談件数○○を得るにはテレアポ獲得件数を○○程度確保しなければならない」という論理的な目標設定ができます。そのため、目標設定が非常に現実的で、数値を達成できれば、高い確率で、次のフェイズに進めるという確証が得られることになります。個人の感覚や経験に頼ることなく、データに基づいた営業活動が可能となるのです。

そして、目標に対する達成を数字で管理できるのもKPIの大きなメリットです。部署全体もしくは個人としての弱点を発見できることになり、具体的にどこを改善すれば業績がアップするかを分析しやすくなるのです。

プロセスマネジメントを実行できる

KPIを設定することでプロセスごとに区分して管理をすることができます。明確な指針に基づいてプロセスマネジメントができるため、確実性が増し、上司としても管理がしやすくなります。チームの案件状況を確認し、あるプロセスで遅れが見られるようなら、そこに対して集中的にサポートすることもできます。改善点の早期発見につながり、すぐに対応できるのもKPIのメリットと言えるでしょう。

プロセスマネジメントの構成要素

生産性が向上し、高い目標設定ができる

フェイズごとのデータが細かく上がってくる分、精度の高い検証ができます。効率の悪いプロセスを見直して修正をすることによって、生産性の向上を図れるというメリットが生まれます。あるフェイズの効率が悪いと、当然その後のフェイズでも数値が落ちていくことになります。分かりやすい数字を設定、分析することで、どのフェイズに問題があるかを突き止めやすくなります。そうすれば、その後のフェイズも、最終的な目標も、より高い数値にできます。

KPIとKGI(Key Goal Indicator/経営目標達成指標)の違い

KPIと似た用語に、KGIがあります。「KGI(Key Goal Indicator)」とは、ビジネスの最終目標を定量的に評価するための指標です。日本語では「重要目標達成指標」と呼びます。最終目標を示す指標ですから、例えば売上高や利益率などがこれに当てはまります。

KPIとKGIの大きな違いは、KPIが中間目標であるのに対し、KGIは「最終目標」であるという点です。つまりKPIが目標を達成するためのプロセスを示し、KGIは最終目標そのものを示しています。

営業KPIの効果的な設定方法

それでは具体的にどのようにKPI数値を設定すれば良いのでしょうか。

KGI(目標数値)を設定する

KPIを設定するためにはKGIを決めることからスタートします。売上〇〇円、粗利率〇〇%といった項目が一般的なKGIとなります。KPIはそれを達成するための指標となるものですから、最終目標であるKGIを設定することが不可欠です。

自社のデータを分析/把握する

現状の自社のデータを把握・分析する必要があります。その際に3つの観点からデータを分析すると効果的です。

定性・定量データ

まずは定性・定量的なデータです。過去データから、契約金額○○万円を獲得するために、「商談を○○件実施した」「テレアポは○○件行った」という分析を行います。こうして数値を逆算することによって、下位フェイズにおける必要件数が見えてきます。この件数を基に、それぞれのフェイズごとのKPI目標値を設定できます。

セグメントデータ

特定のフェイズで急激に達成率が下がる部分がないかをチェックします。たとえば、アプローチ件数は多いのに、次の案件化フェイズで一気に効率が下がるといったケースです。そのフェイズで何が起きているのかの要因の発見と課題解決の方法を探ります。全体の効率を下げているセグメントを切り出して分析することにより、効果の出るKPI目標設定が可能となります。

行動データ

見込み顧客へのアプローチの頻度や間隔を、全体としても、個人としても分析します。見込み顧客の関心が冷めないうちに行動できているか、機会ロスが生じていないかを把握するのに役立ちます。

また、実際に成果を挙げている営業担当者のトーク内容や見込み顧客との関係性などを個別にヒアリングします。特にどの部分に集中して取り組んでいるのか、時間や見込み顧客に関わる頻度などをプロセスごとに分析することが重要です。

お客様の購買プロセスを整理する

自社の現状を把握すると、次にお客様の購買プロセスを整理します。製品・サービス、業界によって、お客様の購買プロセス、もしくは決定のタイミングは変わってきます。たとえば、緊急性が求められる製品・サービスや価格の安いものは、資料請求をした後にすぐに購買に至る傾向が強いです。しかし、企業全体に関わるシステムや高額な製品・サービスの場合、意思決定者が経営陣のレベルまで上がることがあります。つまり、営業KPIを設定するためには、成果につながる(お客様の購買プロセスに合致する)営業活動を把握していなければいけません。

自社の営業プロセスを再デザインする

お客様の購買プロセスが整理できると、次に自社の営業プロセスを再デザインします。現状のデータと照らし合わせながら、正しいタイミングでアプローチできているのかなどの視点で見直します。自社の強みとなるプロセス、課題となるプロセスに注目することで、適切なKGIを設定することができます。それこそが営業KPIを設定する視点となります。

活用する営業指標を再確認する:営業KPI例

営業プロセスが決まると、ここで営業KPIを設定することができます。営業KPIとして利用できる指標はたくさんあります。企業によって、どのKPI指標を選ぶかを決める必要があります。多く設定し過ぎると管理が複雑になりますし、現場の営業担当者も困惑します。逆に少ないと十分なデータが集まりませんし、直近の目標設定が曖昧になります。そのバランスを考慮して決めるために、KPI指標のカテゴリーとKPIの目的を理解することが大事です。

【営業】勝利の方程式

【価格】売上(粗利)、受注単価、顧客単価

売上や粗利は最終的な目標に近いKPI指標となりますが、例えば月単位や半年単位での売上目標を設定することでKPIとなります。その売上を左右する指標として、受注単価があります。1件当たりの新規契約数で、いくらの売上となるかを見るのが受注単価です。いわゆる薄利多売となると受注単価が下がり、より多くの見込み顧客にアプローチする必要があります。顧客単価は、お客様1社当たりの受注金額です。受注単価に直結することもありますが、特にリピートをしてくれているかを見るのに重要なKPI指標となります。

【期間】案件化期間、商談化期間、コールタイム、リード獲得期間

プロセスごとの期間に焦点を合わせたKPI数値もあります。具体的には、アプローチから案件化するまでの期間、商談が始まってからクロージングするまでの期間などがあります。他に、コールタイムや、リード獲得期間もKPIとして設定する企業があり、見込み顧客が成長する期間を測るのに適しています。

【接触】顧客数、見込み顧客数、案件数、商談数、コール数、リード数

既存顧客もしくは見込み顧客への接触を取った数を目標とする視点でも営業KPIを設定することができます。プロセスごとに細かく指標を組むことが多く、コール数から始まり、案件化数や商談数といった形に発展していきます。リード数から実際に契約に至る割合を知ることも、営業効率を測る上で重要なKPI指標となります。

【成約】成約数、成約率、成約転換率、失注数、失注率

営業活動全体を分析するための指標であり、最終目標に近い営業KPIもあります。成約の件数とその割合は、どの企業でも分析しているはずです。それと共に、失注数とその割合も分析して、無駄になっている部分を客観的に知ることも、改善のためには欠かせません。

KPIのロジックツリーを設計する


プロセスごとにKPIが出てきたら、ロジックツリーを設計することで、KGIとのつながりを俯瞰して理解できるようになります。また、営業担当者が理解しやすいというメリットもあります。フローチャートのような形で表にした方が、単なる数値と行動指針の羅列よりも理解しやすくなります。その際には、それぞれのKPIが次のフェイズにどのように活きてくるかを示すことで、KPI達成の重要性を理解しやすくなります。

プロジェクトを成功に導く、営業KPI管理方法

マネージャーは単に営業KPIを設定し実行するだけでなく、メンバーの管理もしなければなりません。そのためには、管理ツールを有効活用することが重要です。

プロセスマネジメントを実行する

マネージャーの重要な役割は、KPIプロセスの管理です。営業ツールを通してリアルタイムの進捗状況を把握できるので、通常より、もしくは他のメンバーよりも、遅れが見られるメンバーにすぐに聞き取りやアドバイスをします。また、すでにKPI数値を達成したプロセスについては、そこで停滞せずに、すぐに次のフェイズに移行するよう促すこともできます。こうすることで、より効率的かつスピーディーな成約獲得につながるのです。

ここでは売上目標(KGI)を達成するための営業KPIマネジメント(=プロセスマネジメント)のステップを紹介します。

ステップ1:KGIと現状のギャップを把握する

最終目標であるKGIと、そこにいたるKPIを設定すると、そのギャップが可視化されます。KGIは、時間軸での数値達成状況を可視化するのに役立ちます。そのため、毎週や毎月などの頻度で、KGIと現状とのギャップを見るべきです。

それにより、順調に達成に向かっているのか、遅れを取っているのかが一目で理解できます。その上で、KPIとの比較をして、どの項目で達成率が悪いかを確認することで、具体的な改善策を見出せるはずです。

ステップ2:ファネルに落とし込む

営業プロセスは通常、進度が進むにつれて案件の数は減っていきます。これを図にすると逆三角形のような形になり、日本語で言うと「漏斗」のようであることからファネルと呼んでいます。
案件の進度を営業プロセスのステージごとに分け、各ステージの案件の量と質を見ていく必要があります。

下のステージに移行するにつれて案件の数が減っていくことを「ステージ移行率」と言いますが、自社のこれまでの実績でフェイズが進む度にどれほど減っていくのかは過去の実績からトレンドの数値として押さえておく必要があります。

ステージごとに移行率を設定すれば、単純に案件量に確度を掛け合わせると見込み額は机上で見えてきます。そのうえで、目標から逆算して各ステージでどのくらい案件が足りていないのかを明確にし、施策に展開していきます。
このファネルごとの案件をどのようにマネジメントしていくかで営業生産性も大きく変わってくるため重要な視点となります。

【一般的BtoB】ファネル全体像

ステップ3:KPI(勝利の方程式)を組み立てる

ファネルが設計できれば、売上目標を達成するための方程式を組み立てます。プロセスマネジメントで先ず見なければならないのは、売上目標に対してギャップがどのくらいあるかです。
その際、方程式を活用しますが、基本的には、量と質の掛け合わせで売上目標達成の構成要素を分解します。

この方程式を活用していけば、必要な受注額を逆算して割り出していくことが可能になります。ただし、「質のマネジメント」は過去から現在のトレンドを見て数値を入れていかなければなりません。そのために、各フェイズの移行率と案件平均単価はマネジメントするうえで重要な指標となりますので、組織として明確にしていきましょう。

進捗状況の正確な把握は、ファネルに落とし込むことによってより理解しやすくなります。それぞれの役割やプロセスの進み具合と全体の目標達成状況を各項目と重ね合わせることで、それぞれの施策の効果性や弱点が見えてくるからです。明らかに進捗が悪い場合は、停滞が見られるファネルに改善の必要があると判断して、速やかにKPIによる分析と改善策を考える必要があります。

ステップ4:全体を可視化する

営業KPIは最終目標(KGI)を達成するための指標です。そのため各KPIを達成することでKGIに近づいているのか、近づいていないとしたらどのプロセスがボトルネックとなっているのか、全体を可視化して検証することです。
こうすることによって、個別のプロセスや行動につながりが見えてきます。ボトルネックも効果的だった施策も発見しやすくなり、次年度の営業活動に役立てることができます。

【まとめ】適切な営業KPI設計とプロセスマネジメントで目標達成がより現実的になる

   この記事を通して、営業KPIを設定すると共に、その項目に従ってプロセスマネジメントをすることの重要性を理解できたはずです。KPIは適切な項目を決める必要があり、そのためには自社の営業活動の分析が必須です。しっかりとした準備を行い、意味のあるKPI設定と、それに基づいたプロセス設計ができるようにしましょう。

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BtoB営業マネジメントシリーズ⑥―プロセスマネジメント―