2022.08.24 (更新日:2022.12.10)
オンライン営業の勝率をあげる10のコツと事例や効果的な実践方法をご紹介
オンライン営業とは、Web会議システムやテレビ会議システムなどを利用した、非対面で行われる営業活動のことです。双方にインターネット回線があれば、場所に関係なく営業できるのが特徴です。
近年、BtoB営業の手法に大きな変化が生まれています。その一つが対面による営業活動からオンラインによる営業活動への変化です。多くの企業でテレワークや働き方改革が進み、オフィスに集まって仕事をする以外にも選択肢が可能となった今では、オンライン営業を採用する企業が増えてきました。そこで、今回はオンライン営業についてメリット・デメリットの両側面を紹介し、オンライン営業で成果をあげるためのコツについて解説します。
この記事を読むことで、オンライン営業で成果を挙げるためのポイントを意識し効果的な営業活動が実践できるようになります。
目次
オンライン営業とは
上記で述べたようにオンライン営業とは、Web会議システムやテレビ会議システムなどを利用した、非対面で行われる営業活動です。双方にインターネット回線があれば、場所に関係なく営業できます。
新型コロナウイルス感染症の対策として取り入れた企業も多く見られますが、元々遠隔地にいる担当者との打ち合わせや、オンラインで完結できる効率的な営業スタイルを採用していた企業で活用されていました。
効果的なオンライン営業
オンライン営業には多くのメリットがありますが、この営業スタイルを導入すれば自動的に様々な益が生まれるわけではありません。オンライン営業の特徴を理解し、メリット・デメリットを踏まえて効果につながるポイントを意識することが大切です。
環境構築も影響を与える要因となります。スムーズに話し合いができるネット環境や見やすく使いやすいツールといった条件を整えることで面談時のストレス軽減につながります。さらに、面談相手への配慮も必要です。オンライン営業に慣れていない相手に対しては商談に集中できるような工夫も必要です。
オフライン営業(訪問型営業)との違い
オンライン営業に対して従来の訪問型営業では、実際に相手と会って対面で商談をしていました。通常、顧客企業を訪問することになります。
訪問型営業の場合、その会社のオフィスに行くまでの時間や手間、交通費などがかかります。そのための日時調整や、移動手段の確保などの事前準備も求められます。
一方、オンライン営業では日時を決めておけば、当日の移動時間は基本的に必要なく、交通費も発生しません。複数の商談をセッティングする際などは効率的に計画することができます。
オフライン営業(訪問型営業)との関係性
従来の訪問型営業ならではのメリットもあります。たとえば、カタログやサンプル、模型などを直接その場で見せられるということです。もちろん、オンラインでも事前にサンプルなどを送ることは可能です。しかし、製品・サービスによってはサンプルなどを実際に動かして見せるなど、デモンストレーションをしないと良さが分かりにくいものもあります。そのため、サンプルを実際に見せたい時には訪問し、それ以外はオンラインで行うといった組み合わせをするのも一つの手です。
また、営業プロセスが長く、成約までに商談を相当回数重ねる場合、オンライン営業とオフライン営業を組み合わせるケースも多く見られます。たとえば、初期の段階では効率よく多くの相手と話せるオンライン営業を実施し、関係性が深まってきたらオフラインにするといった形です。訪問型営業では顔と顔を合わせて話せるので、雰囲気を肌で感じられることや、距離感を縮められるメリットがあるからです。
オフライン営業(訪問型営業)との相乗効果
このように、オンラインとオフラインを上手に組み合わせると相乗効果が生み出されます。オンラインでは、よりコンタクトを取る回数と頻度が増え関係性を親密にするのに役立ちます。そして、成約に直接影響しそうな重要な場面では、直接訪問して対面で話すことで説得力を加えることができます。営業プロセス全体のうち現在のフェーズや相手の反応、状況に合わせて使い分けることで相手の懐により良く入り込み、成約に近づけるわけです。
また、営業の効率化を図るという意味でも相乗効果があります。オンライン営業は移動のための時間がかからないことから、短い時間で複数の相手と商談できるのが特徴です。そのため、離脱率が比較的高いプロセスの最初の段階ではオンラインにします。その後、ある程度営業が軌道に乗ってきたら、確実性を高めるために訪問を織り交ぜるようにします。これにより、商談の件数と質の両方を同時に実現できるようになるのです。
オンライン営業の種類
オンライン営業はその対応の仕方の違いから、2つの種類に分けることができます。インバウンド型とアウトバウンド型です。それぞれにやり方が異なりますし、特徴や向いている商材、ターゲットに差があります。こうした違いを意識して適切に使い分ける、もしくは組み合わせていくことが重要です。
インバウンド型
インバウンド型とは、ターゲットが自分の方に来てくれるのを待つというものです。そのために、ホームページやネット広告、CMなどのマーケティングを通じて自社製品・サービスの宣伝を行います。その宣伝の中にサイトのURLやコンタクト用のSNS、メールアドレスなどを入れて反応が来るのを待ちます。他にも、メールマガジンを会員に定期配信することや、オンラインでのセミナーを開催するなどの入り口もあります。やはりコンタクトを取れるサイトなどの情報を提供して、そこにアクセスしてくるように促します。そして、資料請求や商談申し込みがあったユーザーに対して、オンライン商談をするように働きかけて話し合いをしていくのです。
このインバウンド型では、関心と一定程度の購買意欲を持っている見込み顧客が集まってきます。逆に言うと、関心と可能性のないターゲットへのアプローチをする必要がありません。そのため、いわゆる無駄撃ちが少なくなり、成果率の高い営業ができます。一方で、待つことが求められる営業スタイルですので、ターゲット層からの反応が薄ければ商談件数を上げるのが難しいです。そのため、いかにしてマーケティング戦略を練って、自社サイトなどに誘導できるかがカギとなってきます。営業部門とマーケティング部門の緊密な協力があってこそ可能となる手法です。
アウトバウンド型
アウトバウンド型は、こちらから積極的にアプローチをしかける手法です。具体的にはテレアポなどによって情報提供をしていくことからスタートします。もしくは、ターゲットのメールリストを入手してメール配信をするといったやり方もあります。
インバウンド型と違って、最初の情報提供は不特定多数ではなく、自分たちでターゲットを決めて行えますので層を絞り込みやすいのがメリットです。また、ある程度テレアポの獲得率が見えてきますので、成果を予測しやすいという点もあります。一方で、最初のアプローチに大きな時間と手間がかかる傾向にありますので、営業プロセス全体が長くなったり作業負担が大きくなったりします。
新規開拓営業のコツを解説した記事はこちら:新規開拓営業の事前準備と成功させる5つのコツをご紹介。BtoBに必要な営業能力とスキルアップ方法とは?
オンライン営業のメリット
多くの企業がオンライン営業を導入しているのは、そこに様々なメリットがあるからです。どの企業においても通じるメリットもあれば、特定の企業により強いメリットとなるものもあります。自社で導入した場合、どんなメリットが生まれるのかを考えながら導入を検討してみましょう。
コストの削減ができる
企業を訪問して商談をするスタイルだと、商談場所までの移動コストがかかります。営業エリアによっては新幹線や飛行機で移動する必要が出てくる相手先もあります。宿泊費用も含めたら一件あたりの経費は相当なものとなります。その点オンライン営業であれば、ほぼコストはかかりません。移動費はゼロになります。また、広大なエリアをカバーするために複数の人員を配置していた場合でも、遠隔地からオンラインで対応できるようになり、より効率的に営業活動を行うことができます。
セールスの稼働負荷を低減できる
「営業は足で歩く」という言葉がよく使われていました。訪問型の営業であれば、確かにたくさん歩いて体力を削りながら営業をしなければなりませんでした。しかし、オンライン営業にすれば、自社オフィスに留まったままでできます。体力的にかなりの負担軽減となりますし、慣れた環境で商談を進められますので心理的な負担も低減します。
営業のリモートワークを可能にする
新しい働き方としてテレワークの推進がなされています。企業としても多彩な人材の採用や場所に捉われない業務、社員の負担軽減といった理由で積極的にリモートワークを進めるところが増えています。その一つの策としてオンライン営業を取り入れることができるでしょう。
営業担当者は自宅にいながらにして、お客様との商談をすることができるわけです。子育てや介護などの家族の事情があって、通常の営業スタイルだと休職しなければならない人でもリモートワークなら継続できるという人も多いはずです。また、社員の出勤に伴う交通費や体力を削減したりするメリットもあります。オンライン営業は見込み顧客の所在地に影響されないのが特徴ですが、それに加えて営業担当者の勤務場所という意味でも自由な営業ができるようになるのです。
ゴールまでの商談期間を短縮できる
オンライン営業は時間短縮に役立ちます。その理由としては、まず短い時間でも高い頻度で商談を重ねられるからです。移動のために時間と費用をかけて行く訪問型だと、どうしても訪問できる回数が減り、その分1回当たりの商談時間が長くなります。しかし、オンラインであれば双方の予定さえあれば、すぐにいつでもできますので、必要に応じて細かく商談を重ねられます。その結果、相手の疑問点に回答したり、課題についての提案をすぐに示したりできるわけです。
そもそもオンライン営業に応じてくれる企業は、スピーディーな解決を望む傾向が強いというのもポイントです。課題解決法をできるだけ早く見つけられるよう、ネットなどでリサーチしているケースが多いですし、効率の良い商談の方法を選ぶ企業はスピード感を大事にしているものです。オンライン営業というスタイルを選ぶことで、ターゲットの選別がある程度できるというわけです。
ノウハウの蓄積・社内で応用が容易にできる
オンライン営業ツールには、商談の録画機能や分析機能があります。分析機能としては商談時間をどのくらいかけているのか、誰がどのくらいの割合で話しているのかといったデータを取り出せるものです。こうしたデータを収集することで、成果を出している営業担当者の特徴をつかみ、それを共有しやすくなります。失敗例も含めて社内で検討・分析するのにたくさんの材料が生まれてきますので、ノウハウをはっきりと分かる仕方で共有できるのです。営業スキルというのは属人化しやすく、それを見える化するのは難しいですが、オンライン営業であればやりやすくなります。
また、オンライン営業だと社内の別の人を参加させやすいです。訪問型だとわざわざ別の人が付いていくことになり、それぞれの予定がマッチしないと同行しづらいこともあります。しかし、移動の手間がなく、たとえ離れたところで仕事をしている営業担当者であっても同じツールにアクセスするだけで良いので、簡単に同行できます。こうすることで、先輩の商談に後輩が参加し、その商談から学ぶことも簡単にできるようになります。こうして社内のノウハウ共有を実地でもできるのです。
オンライン営業のデメリット
もちろん、オンライン営業にもデメリットがあります。そこをよく理解して、環境つくりや商談の際の注意点としましょう。
回線状況に影響される
インターネット回線が遅いと、ビデオ会議システムの動きが悪くなり、画面がカクカクしたり音声が途切れたりします。双方にフラストレーションが溜まる状況となりますし、説明や熱意が伝わりづらいので商談の成功率が下がってしまうのです。特にテレワークをしている場合は、回線状況には気を配る必要があります。
ITスキルで差が開く
オンラインツールを上手に使える人と、あまり上手に使えない人がいて、そのITスキルの差がダイレクトに営業のしやすさに影響してしまいます。操作に不慣れだと、オンライン会議の進行に手間取りますし、上手に資料を画面共有できないなど情報提供に問題が出てくることもあるでしょう。そのため、システム導入の際にはしっかりとした研修を実施することが欠かせません。
顧客側の心理的ハードルがある
見込み顧客がオンラインツールを導入していない場合、商談を始めるに当たってこちらが利用しているツールをダウンロードしてもらったり、商談用ページにアクセスしてもらったりしないといけません。初めての商談スタイルを試すのは、やはり心理的なハードルが高いので、受け入れてもらうのに苦労する可能性があります。また、直接会って話さないので、関係作りが難しく感じて、その意味でも心理的な溝を埋められずに苦労することも考えられます。
オンライン営業の勝率をあげる10のコツ
オンライン営業を成功させるために、どんな点に注意したら良いかを考えていきます。自社として改善すべきところがないかを確認して、勝率アップの方法を探ってみましょう。
通信環境を十分に整える
それぞれのビデオ会議システムによって、必要とされる回線速度が異なります。商談中にもサイトで情報収集をしたり、クラウドからファイルをダウンロードしたりすることが多いです。そのため、余裕のある通信環境を整えておくことで、画面や音声の不具合を起こすことなくストレスのない状態で商談を進められます。特に外出先で商談をする場合には、通信が安定しているところを選びましょう。同時に、自分だけでなく相手の通信環境にも問題がないか、事前に確認しておくと良いでしょう。
ツールの機能を使いこなす
ほとんどのツールはミュート機能やビデオのオンオフなどがあり、操作性がツールによって異なります。慣れていないとミュートがかかったままで話し始めてしまったり、画面が映らなかったりすることがあります。他にも資料を見せるための画面共有の機能など、話を魅力的なものとするための役立つ機能もあります。上手に機能を使うことができれば、オンライン営業ならではのメリットを生かした商談ができるはずです。
時間配分に気を付ける
対面のように、その場の雰囲気というものが画面越しだとつかみにくいものです。そのため、沈黙がないようにと一方的に自分がしゃべってしまうことがあります。そうではなく、相手が話す時間が長くなるように気を付けます。同時に、いくつかのポイントを取り扱うのであれば、決まった時間内にバランスよく取り上げて終えられるように、それぞれの点の時間配分を考えておくことも大事です。ポイントごとに何分ずつ用いるかを事前にメモしておくと良いでしょう。
事前にアジェンダを共有する
対面での商談よりもビデオ会議システムだと、疲れやすく飽きやすいものです。また、対面に比べて説明に付いていくのが難しいと感じる人もいます。そのため、商談の流れを理解して、話し合っている点がどの部分に当たるのかを知ってもらうためにも、アジェンダを事前に共有しておくのは良い方法です。途中で資料やサンプルを使って説明するのであれば、それらを使うタイミングも記しておくと当日分かりやすいでしょう。
顧客との十分なコミュニケーションをとる
上手に質問をして相手の意見や見方、疑問に思っている点を引き出せるようにします。どうしても一方的な説明になってしまう傾向がありますし、対面の時よりも沈黙の気まずさが強くなるからです。営業担当者としても、上手に説明するスキルだけでなく質問する技術を身に着けておくことは大事です。また、分かりづらいポイントでは、必ず説明に付いていけているかを質問するようにします。どこでどんな質問をするかも準備して、トークスクリプトに含めておくのも良いでしょう。
顧客との関係性を深めるための仮説立案について解説した記事はこちら:仮説立案と仮説検証の手順とは?提案力に差をつける2大スキルについて解説
ビジュアル資料を効果的に活用する
ビデオ会議システムだと、お互いの顔が大きく画面に映り、それをずっと眺めていると飽きやすいです。また、対面よりも話に付いていきづらいと思う方が多い傾向にあります。そのため、説明を補足するためのビジュアル資料を複数用意して、画面共有で映すようにしましょう。もちろん、重要でもない点について資料を見せると気をそらすだけですし、使い過ぎると逆に疲れてしまうものです。重要なポイントを強調するため、バランスよく用いましょう。
終了後、録画で振り返り整理する
商談内容を録画しておき、トークがうまく行っていたのか、相手の反応がどんな感じだったのかと振り返ってみましょう。商談スキルについての成長につながりますし、確実に商談の内容を把握するのにも役立つからです。
社内で共有し、フィードバックをもらう
ツールによっては会話の内容を文字起こしできるものがあります。商談の進め方や進捗状況について、こうした文字起こししたものを社内共有すると良いです。もしくは、録画したものを見てもらうだけでも構いません。こうすることで、先輩や指導役などからフィードバックをもらうことができますし、契約内容に不備が生じないように商談のポイントをチェックしてもらうことにもつながります。
ノウハウを蓄積し、次の営業時に取り入れる
オンライン商談を分析して、効果的だった点や改善点をまとめていきましょう。また、他の営業担当者とも情報交換して、より良い方法を聞いてみることも大事です。こうしてオンライン営業ならではのコツやノウハウを蓄積していくことで、勝率をぐっと上げられるはずです。そして、毎回の営業の度にそのノウハウを適用するという目標を立て、実際にうまくできるかを確かめます。こうして、常に成長していくための良いチャンスを得られるのです。
オフライン(訪問型営業)との連動でより成果に近づける
上記でも触れたように、オンライン営業は訪問型営業と組み合わせることで相乗効果を生み出します。もちろん、すべてのお客様について、所在地などの事情で会社訪問ができるわけではありません。それでも、可能な範囲でオフラインと連動できるように予定を組んでみると良いです。関係構築がスムーズになり、成約を渋っているような見込み顧客でも、話を進める助けになるかもしれません。オンラインでは難しさを感じたら、訪問型に切り替えたり差し込んだりして、上手にそれぞれの良さを使えるようにしましょう。
オンライン営業を成功させた事例
オンライン営業を効果的に取り込んだ事例をご紹介します。
背景
美容系の決済システムの導入やサポートを行っている会社が、オンライン営業を導入した事例です。この会社では、営業担当者と営業推進部、業務部との連携がうまく取れず、情報共有が遅れたり行き違いが生じたりすることがよくありました。たとえば、顧客情報を個人のメモにしておくだけだったり、見込み顧客との商談で決まったことが伝わっていなかったりすることがあったのです。
導入結果
そこで、顧客管理も含めた総合的なオンライン営業ツールを導入することにしました。その際には、それぞれの部署や担当者からの意見や、今までの営業手法について不満に思っている点などを挙げてもらっていました。その上で、効率よく情報共有でき、オンライン商談をスムーズに行えるツールを選定し導入したのです。
それにより情報のアップデートがしやすくなると共に、商談の効率が大幅に上がりました。件数、成果率ともに2割から3割の向上が見られたのです。担当者の体力的かつ心理的な負担も軽減されたとのコメントが多く寄せられています。
【まとめ】オンライン営業の勝率をあげるために
多くの企業がオンライン営業を導入するようになっています。そのため、単にツールを使えば良いということではなく、より効率を求めていかないと他社との競争には勝てません。勝率を上げるためのコツをしっかり意識し、常に分析と検証を続け改善を図っていきましょう。そうすることで、より成果の出る営業ができるはずです。
変化する環境の中で顧客との関係性を強化する手法については、下記関連資料をご参照ください↓