2024.05.24 (更新日:2024.05.31)

人材育成

人材育成を成功させる!フレームワーク、スキルマップなど具体例をご紹介【人材育成シリーズ③】

企業を成長させる上で重要なのが「人材」であり、いかに優秀な人材を確保・育成していくかが大きな課題です。しかし、「人材育成って何をすればいいのか」と不安を感じている人も多いのではないでしょうか。ここでは、人材育成のプログラムを考える際の具体的な手順、使えるフレームワークについて例を挙げて解説します。人材育成の効果をより高める方法もご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

課題の確認

人材育成シリーズ①で詳しく説明した通り、人材育成のプログラムを考える上で大事なのは、現状の問題点や課題を把握することです。現場の抱えている問題点や課題をすくい上げ、これをベースに必要な教育を組み立てていきます。「どのようなスキルを持った人材が」「いつまでにどの程度の人数」必要なのかを具体的に設定することができたら、「スキルマップを活用して人材をマネジメントしていくことをお勧めします。

人材育成を成功させるためにはスキルマップを活用しよう

「スキルマップ」は人材育成を効果的に推進していくためにおすすめのツールです。ここからは、スキルマップとは一体どのようなツールなのか、そしてスキルマップの有用性や作成方法について詳しくご紹介します。

スキルマップとは

スキルマップとは、業務で必要なスキルを洗い出し、社員一人ひとりの持つスキルや能力をまとめた表のことです。組織内のスキルの現状を簡単に把握できるだけでなく、人材育成を行う際に指標となるツールとして使われています。

例えば、縦軸と横軸にスキルや能力に関する項目、そして社員の名前を記載し、社員一人ひとりのスキルレベルを複数の段階で評価していきます。数字ではなく○や△などの記号を用いるケースもあります。

スキルマップを活用する効果

スキルマップを活用することで、次のような効果が期待できます。

人材育成を成功させる4つのポイント

企業を成長させるために非常に有効な人材育成。多くの時間と労力が必要になるため、せっかく行うのであれば絶対に成功させたいところです。ここでは、人材育成を成功させるために意識したい4つのポイントについて解説します。

社員のモチベーション向上

スキルマップを活用することで社員の仕事に対するモチベーションアップにも繋がります。社員のスキルアップを公開することで、社員同士に競争心や向上心が芽生え、新しいスキルを習得しようとアクションを起こしていくことになるでしょう。

さらに、スキルマップを活用することで公平公正な人事評価が可能になります。上司は部下のスキルを的確に把握し、部下も自分のスキルをしっかりと評価してもらえていると実感できるはずです。正当な評価をしてもらうことで、仕事に対するモチベーションも自然と高まっていきます。

スキルマップの具体的な作り方

スキルマップは多種多様な業種や業界の人材育成において活用されていますが、基本的に同じ方法で作成していきます。これからスキルマップを導入しようとお考えの企業の方は、次のステップで作成してみてください。

スキルを設定する

まずは、スキルマップに記載するスキルを設定しましょう。この初期設定がうまくできていないと、その後の管理が非常にしづらくなります。どのようなスキルを入れ込むべきかを精査してください。

スキルを設定する際に重要なのが「スキルをどのように分類するのか」、そして「スキル項目をどのように細分化していくか」がとても重要なポイントです。どのような分類をすべきか悩んだ際はスキルマップを作成する目的に立ち戻って検討してください。

スキル項目の細分化は職場の特性に応じて決めるのが鉄則です。あまりに細かく細分化しすぎてもチェック項目が大量に増えてしまい管理しづらくなってしまいますので注意しなければなりません。

関連記事:PDCAサイクルルを回すための営業KPIの設定方法についてはこちら

スキルの基準を設定する

スキルの設定が完了したら、その後はスキルの達成度をチェックするために基準を決めてください。スキルの有無でシンプルに基準を設定するケースもあれば、スキルのレベルを5段階や10段階で表現するケースもあります。

スキルの評価基準はあまり細かく設定をしてしまうとなかなかレベルを分別しづらくなってしまいますので、3〜6段階で分類するのがおすすめです。それぞれの企業に合った無理のないスタイルで評価基準を設定していきましょう。

社員のスキルレベルを調査、評価する

スキルの評価基準が定まったら、実際に社員一人ひとりのスキルレベルをリサーチし、評価する「棚卸し」を実施していきます。

スキルレベルの調査方法は、「上司が部下のスキルを客観的に観察して評価する」パターンと、「評価対象の社員が自身のスキルレベルを自己評価したものを、上司が再度評価、修正をする」パターンの2タイプに分類されます。多くの企業では、前者の上司が評価をするパターンを採用しているようです。

調査結果を作成したスキルマップに入力すれば、スキルマップが完成します。

スキルマップの作成におけるポイント

スキルマップは人材育成において非常に有効的なツールであることが分かりましたが、作成する際にいくつか注意すべきポイントが存在します。

一つ目のポイントは、人事だけではなく、経営陣や管理職、そして現場の社員がスキルマップの作成に関わるということです。人事スタッフのみでスキルマップを作成してしまうと、把握している内容に偏りが生じてしまいかねません。そのため、人事スタッフは現場と経営陣の間にたって様々な調整を図るポジションとして行動することが大切です。社内全体で協力しながらスキルシートを作成してください。

そしてスキルアップは随時更新することが大切です。事業内容や業務の流れが変わることで、求められるスキルや知識は大きく変化していきます。そのため、定期的にスキルマップをチェックし、変更の必要な場所があれば随時編集や変更を重ねていきましょう。

人材育成のフレームワーク3選

人材育成を成功させるためには、フレームワークの活用は非常に有効的です。フレームワークは、「思考の枠組み」のことで、特定の業務や教育を行う際にとても迅速かつ少ない労力で行えるというメリットがあります。

ここからは、人材育成を行う際におすすめの代表的なフレームワークについてご紹介します。

フレームワークその1|HPI

HPI(Human Performance Improvement)とは、組織が抱える問題や課題を人材の視点から考えていくフレームワークのことです。企業の考える人材の理想像と現状のギャップを洗い出して、そのギャップを埋めるための具体的な施策や対策を考え、実行していきます。

HPIの最大の特徴は、経営計画と人事的な課題を連携して捉えていることです。経営目標をどのようにすれば達成できるかを分析した上で、人材育成や指導に活かしていきます。

フレームワークその2|70:20:10モデル

70:20:10モデルは、アメリカのミロンガー社が提唱したフレームワークのことです。同社が調査した結果、経営幹部などがリーダーシップを発揮するために重要だった要素として、7割が仕事での経験、2割が人を介する学び、そして最後の1割が研修であることが分かりました。

この結果から、リーダーを育てる上で重要なのは現場での実務経験であり、様々な人との関わり合いと研修を通してスキルを身につけていくことが判明したのです。仕事をしながら適研修を行うOJTをメインに行う企業に有効なフレームワークと言えます。

フレームワークその3|カッツ理論

カッツ理論とは、アメリカの経済学者であるロバート・カッツが提唱した考え方で、人材育成に非常に有効的なフレームワークです。

カッツ理論によると、ビジネスマンにとって重要なスキルは「テクニカルスキル(業務遂行能力)」、「ヒューマンスキル(人間関係構築能力)」、そして「コンセプチュアルスキル(概念化能力)」の3つとされています。

さらに、カッツ理論では「ロワーマネジメント(下級管理職)」、「ミドルマネジメント(中間管理職)」、そして「トップマネジメント(経営職層)」の3つのマネジメント層に分類され、それぞれに合った人材育成の指針を立てることが重要と考えられているのです。

リンク:カッツ理論をベースにした人材育成制度構築を目指す方はこちらを参照ください

【まとめ

ここでは人材育成のプログラムを考える際の具体的な手順、スキルマップの活用、使えるフレームワークについて解説しました。正しく社員の能力、スキルを伸ばし、評価し、管理することができれば、組織力の強化に直結します。これらのフレームワークを利用して、社員がモチベーションを高く保ち、成長し続ける環境を作っていきましょう。

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