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2021/04/12

お客様と課題を共有するために
仮説立案というけれど

営業現場でよく聞くのが、『仮説立案』という言葉です。
クライアント先の営業現場インタビューにおいて、営業マネジャーにセールスの重要な成功要因は何かを質問すると「営業はお客様の課題について事前に仮説を立てて、実際の面談に臨むことが非常に重要だ」という回答がしばしば返ってきます。
ところが、どのように仮説を立てるように指導しているのかを質問すると、「それは状況対応なので一概に言えない」という回答になり、さらに突っ込んで質問すると、あまり具体的な方法論までは出てこないケースがよく見受けられます。

 

このような営業マネジャーは、メンバーに対して「お客様の課題について仮説を立ててから面談に臨むように」という指示は出しているものの、そのやり方はメンバー任せになっていることが多いものです。

一方で、メンバー側に仮説立案に基づいて面談に臨んでいるかどうかを質問すると、「その重要性は認識しているものの、うまくできないので苦労している」という回答が返ってきます。

もちろん、こと細かに指導することはメンバーの成長にはつながらないという意識でOJTしている営業マネジャーが多いのも事実で、それはそれで理に適っていると思います。
ただし、仮説立案というのは営業活動において重要度が高いうえに難易度も高いために、営業マネジャーが具体的にやり方を指導しなければメンバーにもなかなか浸透しないという傾向があります。

そこで、今回はBtoBの営業活動における『仮説立案』についてみていきたいと思います。

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営業現場で必要な仮説立案


仮説立案というけれど、セールスは何について仮説を立案すればよいでしょう?

もちろん、お客様のニーズについて、ということになります。ニーズとは、「何かを改善、あるいは達成したいというお客様の要望」のことです。ニーズはお客様の心の中に存在し、目に見えません。そこで、お客様のニーズについて仮説を立案し、その仮説に基づいてお客様と対話をしながら本当にお客様の心の中に存在するニーズを把握してくことが求められます。このお客様との対話が、立案した仮説を検証する作業となります。それによって、お客様が求めていることに対して自社の製品やサービスがどのように役に立つのかを提案し、その内容に理解・納得していただくことで導入を意思決定してもらうことが営業活動の重要な流れとなります。

ところが、このニーズという捉え方が人によって認識がズレていることもあります。ニーズ、ウォンツや課題など様々な表現が営業現場で取り交わされているため、ここでしっかりと整理しておきましょう。

お客様の「あるべき姿」と「現在の状態」の間にギャップが生じている状態のことを「問題」と言います。この「問題」に対して、何とか解決しようと意志を持ったものを「課題」といいます。したがって、お客様の現状とあるべき姿を把握すれば、論理的にお客様の課題に関する仮説は導き出すことができます。

次に、その「課題」を実現するための対策を検討し、その対策の手段として様々な方法論をお客様は検討していきます。つまり、お客様のニーズとは、課題と対策の方法論のどちらも指すということになります。

BtoB営業の場合、お客様は企業組織のため、(顕在化しているかどうかは別として)基本的に何らかの組織課題を抱えています。この組織課題について仮説を立案するためには、上記の枠組みから検討していくとわかりやすいでしょう。

 

仮説立案の留意点


仮説を立案する際に、営業現場でよく見受けられるのが下記のような事例です。

 

自社製品・サービスへの誘導型

自社製品のもたらす利点から逆算して仮説を立てるパターンです。これは一つの考えでもありますが、仮説を立てる際の入り口を自社製品にしてしまうと、どうしてもお客様との仮説検証の対話が誘導的になってしまいがちです。

シェルパワークスでは、多くのこれまでに数多くの顧客インタビューを実施してますが、お客様から嫌がられるセールスの特徴としてよくあげられるのが、この誘導型パターンです。お客様は言います「セールスが自社の製品・サービスに誘導しているなということはすぐにわかる。誘導されていると感じると、一気に話を聞く耳を持たなくなる」と。

 

お客様に関する情報がない

最も多いのが、お客様に関する情報が少なすぎて仮説が立案できない(と思いこんでいる)パターンです。

お客様に関する情報には、下記のように「静態情報」と「動態情報」があります。

そもそも、仮説を立案するという行為は、お客様からニーズに繋がる情報を聴きだせていない状態に行うものですから、先ずはしっかりと静態情報を調べていくことが重要です。このお客様の事業について詳しい状況や業界における位置づけ、エンドユーザーからの評判、競合先の動向などを調べていますか?

これらの動向把握は、現代ではインターネットにより様々な情報を仕入れることが可能となっており、お客様がどういった状況に置かれているのかについての理解を促進します。

情報がないことを嘆いていては、いつまでたっても情報は埋まらず仮説は立案できません。どの情報を、どの情報源から、いつまでには収集するか明確な意思を持つことが必要です。そのうえで、それ以上わからないことは動態情報として把握していくという流れになります。

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仮説立案の手順


先程のニーズの構造で説明した通り、お客様の「ありたい姿」と「現在の状態」からニーズに繋がる仮説を導き出していきますが、そのために「3C」というフレームワークを活用するとわかりやすいでしょう。

この「3C」とは、お客様を起点としてCompany(対象企業)、Customer(お客様の顧客)、Competitor(お客様の競合)の頭文字を取ったものになります。

ここでわかりやすく、架空の事例で見ていきましょう。

 

➊Company(対象企業)の提供価値

ここでいう対象企業とは、営業担当者が担当するお客様のことを指します。提供価値とは、お客様が現在どのような価値を市場に提供しているか、市場に対して重点的に取り組んでいるかを調べると見えてきます。つまり、お客様が販売・サービスしているものや、独自性のことをです。Webサイトから主要な商品・サービスを読み取り、その概要をこの欄に整理していきましょう。

 

❷環境変化

お客様を取り巻く外部環境をマクロ的視点でとらえたとき、大きな潮流が見えてきます。マクロ的視点を整理する際には、代表的なフレームワークであるPEST分析〔P=Politics(政治)、E=Economy(経済)、S=Society(社会)、T=Technology(技術)〕を使うとわかりやすいでしょう。これら4つの項目からからお客様に将来どのような影響を与えるのかを把握するとわかりやすいでしょう。

 

❸Customer(お客様)の変化とニーズ

ここでいうお客様とは、営業担当者が担当するお客様のさらにその先にあるお客様の事を指します。お客様の顧客を把握することで、対象企業に求められることがどういったものなのかが見えてきます。
ここで重要なのは、お客様の顧客は誰なのかということです。お客様が重点としているセグメント(共通のニーズを持つ集団)を特定し、そのセグメントの動向を探ります。お客様の事業形態によっては、お客様の顧客のその先にエンドユーザーが存在するかもしれません。例えば、大手ゼネコンがお客様の場合は、その先に大手ディベロッパーが存在し、その先にはビルに入るテナント企業が存在し、その先にはテナント企業のお客様が存在します。それらのお客様の構造を明確にし、影響が大きい顧客の変化について把握する必要があります。

 

❹Competitor(競合)の取り組み

ここでいう競合とは、自社ではなく対象企業の競合になります。対象企業であるお客様は、競合と日々しのぎを削っていますので、お客様と面談していても競合の話題にのぼることはよくあると思います。つまり、お客様が常に意識している競合の動向を探ることで、お客様の今後の課題が見えてくる可能性が高まります。

 

❺Company(対象企業)の競争優位性

お客様の提供価値(➊)とお客様の競合(❹)を把握することで、現在のお客様の競争優位性が見えてきます。この優位性が今後も続いていくのか、環境変化と競合の動向から放っておくとすぐに優位性が失われるのか、どうすれば優位性を継続できるのか、などの視点からお客様の課題が見えてきます。

 

❻Company(対象企業)の取り組みテーマ

最終的に、上記➊~❺までの情報整理からお客様の「あるべき姿と現状のギャップ」を捉えます。例えば「お客様を取り巻く状況が今後このように変化していこうとしているが、現在の提供価値ではこういったことが不足している」などです。

これまで見てきた仮説立案の作業過程を経て、キーマンとの面談に臨むことで、実際にお客様側が課題をどのように捉えているのかを理解するのに役立ちます。

 

仮説検証の対話


お客様との面談を実施して、仮に立案した仮説が外れていたとしても、事前にインターネットなどの静態情報を通じて得たこれらの情報はキーマンと対話をする話材として営業担当の面談の質を高めることは間違いないでしょう。

仮説を立案した後は、実際のお客様との面談でどのように仮説を検証してくのか質問シナリオを構築する必要があります。質問シナリオの流れは下記のように進めます。

 

➊ 状況質問

お客様が無関心のときには、ニーズそのものを探るプロービングをしてもお客様は答えるべきニーズを持っていないため、話は進みません。ですから、私たちは最初に、お客様の状況の中に私たちがお手伝いできる可能性があるかどうかについて探る必要があります。そのために、先ずはお客様を取り巻く状況から探っていきます。質問の例は以下のようなものになります。

  • 「この業界は、3年前と比べて10%成長しているようですが、●●様のところはいかがですか?」
  • 「お客様からよく聞くご要望は、どういったものでしょうか?」
  • 「競合会社が新たなソリューションサービスを開発しましたが、それについてはどのような印象でしょうか?」

 

❷ 問題質問

私たちの製品や会社の特徴と利点によって、改善のお手伝いができる問題や状態にはいろいろなものがありますが、特定のお客様にすべてが当てはまるわけではありません。そこで、そのお客様の状況の中に、改善のお手伝いができる問題や状態があるかどうかを探ります。質問の例は以下のようなものになります。

  • 「営業担当者が紹介する製品の内容をなかなか受け入れてくれないエンドユーザーはいらっしゃいますか?」
  • 「そのようなお客様にはどうされていますか?」
  • 「その際、ご苦労されている点があるとするならば、どのようなことですか? 」

 

❸ 影響質問

お客様の状況の中にオポチュニティがあると判断できたら、今度は現状の問題や状態をそのまま放置したとき、どのような影響がお客様に及ぶかを明らかにします。影響は現在だけでなく、将来予測されることも含みます。質問の例は以下のようなものになります。

  • 「その状況をどのようにお感じになりますか?」
  • 「長い目で見た場合、エンドユーザーにどのような影響が出てくるのでしょうか?」
  • 「それは、どれぐらい深刻な問題なんでしょうか?」

 

ニーズ質問

お客様に改善しなかったときの影響に気づいていただいても、そのことに関して「なんとかしたい」「行動を起こしたい」と思っていただかなければ、ニーズを持っていることにはなりません。そこで、ニーズの存在を確認する必要があります。質問の例は以下のようなものになります。

  • 「それに関してなんらかの手を打つ必要がありますか?」「それは改善したいと思われることですか?」
  • 「ということは、○○については今後改善していくお考えと理解してよろしいでしょうか?」

 

これらの仮説立案から仮説検証の一連の流れを経ていけば、お客様との関係性が深く、長く関係構築していけるでしょう。

営業担当は日常業務に忙殺されていることが多いため、担当顧客先すべてに対して仮説を立てる時間がないので、なかなかここまでのことは実施しようと思いません。

その際には、営業マネジャーが、自社にとってポテンシャルが高い難攻先に対してだけは、しっかりと仮説立案に基づく戦略的営業活動に時間をかけるように指導していかれることをお勧めします。

 

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