2022.04.02 (更新日:2023.07.27)

インサイドセールス

【徹底解説】インサイト営業とは?ソリューション営業との違いや顧客の潜在課題解決に必要な6つのスキルとステップをご紹介

インサイト営業とは、お客様自身もまだ気付いていない潜在的課題について発見・提議し、その解決策を提示する営業スタイルです。

一方でソリューション営業は、お客様との対話を通して、お客様の中ですでに顕在化している問題やニーズをつかみ取り、解決策を提供する営業スタイルを指します。

営業で最大効率を得るためには、闇雲にターゲットにぶつかるのではなく、商材やマーケット、ターゲット層に最も適した手法を選ぶことが重要です。そこで、これからの時代に求められている「インサイト営業」という手法を考えてみましょう。

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インサイト営業とは

顧客自身もまだ気付いていない潜在的課題について先回りし、その解決策を提示する理想的な営業のスタイルであるインサイト営業。優秀な営業担当者は、見込み客が今まで気づかなかった問題に目をむけさせます。また、顧客企業の変革のキーマンを見つけ、彼らが求める期待を上回る大胆なインサイト示します。そして購買プロセス全体をサポートし、円滑な価値提供につなげるのです。

営業スタイルの歴史

営業にはいくつかのスタイルがあり、いわゆる「御用聞き営業」と呼ばれるものが主流だった時代もありました。顧客が、これが欲しいと言われた商品をその要望通りにお届けするというやり方です。ここから進んで、「商品提案営業」というスタイルも用いられています。新商品をアピールしたり、ターゲット層に当てはまる商材を提案したりするという営業手法です。

それぞれに良さはありますが、新たな顧客の開拓をするのは難しい営業スタイルでもあります。そこで、「ソリューション営業」というスタイルが盛んに採用されるようになります。顧客に質問し、話し合っていく中で抱えている課題や問題を見極め、それを解決する手段として製品・サービスを提供するというものです。個々の顧客ニーズに合わせる形で、より個別具体化された営業をするわけです。顧客の懐に入り込みやすいことから、多くの企業が採用する営業スタイルとなっています。

【図】営業スタイルの変化

顧客の購買プロセスの変化

営業スタイルは時代の変化、つまり顧客の製品・サービスの探し方や商材についての意識の変化に合わせていく必要があります。この点で、近年は非常に大きな変化が購買プロセスに現れるようになっています。その背景には、インターネットの普及により情報を簡単に集められる環境があります。顧客は自分たちが抱えている問題や課題を発見すると、それを解決できるような製品やサービスを、すぐにネット検索で見つけられるようになっているのです。

これにより、単に目的に合致した製品・サービスがあれば買うということではなく、メーカーや商品の選択肢を複数見つけて、そこから比較して決定するという購買プロセスを取るところが多くなっているのです。また、情報収集から比較検討、購買確定までのスピードが速いというのも現代の特徴です。インターネットでリサーチするのも簡単にできますし、多くの製品・サービスはネットで注文して数日後、場合によってはその日に届くことさえあります。それだけに、時間がかかる営業担当者との丁寧な話し合いというのも、面倒に感じる人が増えています

【グラフ】営業スタイルの変化

ソリューション営業の限界

こうした顧客の変化によって、今まで主流であり高い効果を上げてきたソリューション営業にも限界が出てきています。そもそもソリューション営業は、営業担当者側がお客様の問題解決につながる提案をすることで信頼を得て、結果として自社の製品・サービスを売っていくという構図でした。しかし、その検討と提案をすでに顧客側で済ませてしまっていますので、ソリューション営業の良さが活かされないわけです。

そこで、この時代に合わせたインサイト営業という新しい営業スタイルが求められるようになっています。インサイトというのは「洞察」「知見」という意味合いがあり、物事の奥深くにあるものを探る能力を指します。この能力を用いたスタイルがインサイト営業です。つまり、顧客が把握できていない本質的な課題や問題、もしくは問題の原因を探り出します

ソリューション営業との違い

このインサイト営業もやはり、何かしらの提案を顧客にすることには変わりがありません。そうすると、時代から取り残されつつあるソリューション営業と何が違うのか?という点が気になるところです。この2つの営業スタイルを比較することで、インサイト営業の特徴とメリットを知ることができます。

顕在課題と潜在課題

ソリューション営業が提案できるのは、お客様が抱える顕在化した課題です。つまり、顧客がすでにどこにどのような問題があるのかに気付いていて、その解決策を探っている状態でアプローチをするわけです。そのため、情報社会にあっては顧客自身が解決策自体も見つけられる可能性が高くなっています。

【表】インサイト営業とソリューション営業の違い

一方で、インサイト営業では、潜在的な課題に注目します。つまり、お客様自身もまだどこに問題があるのか分からない、もしくはそもそも問題が生じていることすら気付いていない状態にあるケースです。そこで、提案する商材を用いることで、企業の根本的な業務構造を向上させ効果・効率を高めるための解決策を得られると提示するのです。

対話を通じて目指す目的

どちらも対話を重視するのが特徴ですが、その目的は違います。ソリューション営業では、お客様が抱えている課題を聞き取ることで終わります。そして、必要な解決策にどれだけの資金をかけられるか、いつまでに欲しいかといった要望を確認して、それに合った商材を提案します。あくまでもお客様の話す内容に対応するというスタイルなのです。

しかし、インサイト営業ではお客様が教えてくれる業務プロセスや、現場での苦労を聞き取り、そこから問題点を定義し直します。たとえお客様が、「ここに問題がある」と言っていても、さらに深掘りをして課題を洗い出す作業から行うのです。その上で、営業担当者が分析と、その根本的な課題の内容と解決策を提示します。

必要となる営業スキル

このように、インサイト営業ではさらに踏み込んだ提案活動営業を行いますので、営業担当者にも高度なスキルが求められます。まず、この営業スタイルの定義にあるように、洞察力が非常に重要な要素となります。顧客がどのようなビジネスをしていて、どのような商習慣があるのかを理解したうえで、個々の企業にどんな課題があるのかを見極めることが求められます。その上で、表面上の問題だけでなく、その本質にある成長を阻んでいる要素を見つけ出す必要があるのです。

そして、会話もしくは議論するスキルも求められます。インサイト営業では、顧客と営業担当者の双方のコミュニケーションが欠かせないからです。聴く能力と共に、提案し意見を伝える説得力もないといけません

営業組織においてインサイト営業を実践するメリット

営業組織において営業担当者がこのスタイルに習熟して、取り組んでいけるように方向性を設定することは重要です。難易度の高い営業スタイルではありますが、その分メリットも大きいからです。具体的にどんなメリットがあるのかを押さえておきましょう。

顧客との関係強化

顧客から業務プロセスや問題が生じている場面などを聞き取り、率直に分析内容や解決策を提示するわけですから、双方の心を開かないとこの営業手法は成り立ちません。逆に言うと、インサイト営業を取り入れることができれば、お客様と率直に対話できる関係性ができ上がるというわけです。単に求められる製品・サービスを紹介するだけでなく、自社について真剣に考えて、利益になる提案とそのための商材を持ってきてくれるという意識を持ってもらえます。それだけ関係が緊密なものとなり、結果として信頼を勝ち得ることができるのです。

受注率の向上

こうして生まれた強固な関係は、受注率の向上をもたらします。アプローチをして納得してもらえる割合が高くなりますので、それだけ購買につながる可能性が強まるからです。そして、深く長い関係を持てるので、一度のみの付き合いに留まらず良きビジネスパートナーとしての地位を獲得できます。これはリピート案件の確保にもつながり、効率よく同じ顧客からの受注を得られるようになるのです。

リピート案件の確保というのは、受注率向上には欠かせないポイントです。新規顧客獲得にかかる時間や手間、商談失敗などのロスを省けるからです。一般的に新規顧客の獲得には既存顧客の5倍のコストがかかるといわれていますので、その点で、インサイト営業はリピート案件の獲得に優れた手法でもありますので企業として取り組むメリットが大きいのです。

関連記事:「営業生産性」の高め方についてはコチラの記事で詳しく解説しています

自社の価値向上

単に商材をアピールするだけでなく、それが顧客にとって業務効率の向上や、潜在的問題の解決につながるという、他社にはない優位性を出せるのがインサイト営業です。同じような商材を扱っているとしても、付加価値を付けられるからです。「あの会社に頼めば、課題の洗い出しをして解決までしてくれる」という評判が立てば、自社の価値は非常に高いものとなります

さらに、インサイト営業では多くの人や企業が気付いていない課題にアプローチしていくものです。そのため、新しい市場を開拓できる手段でもあります。他にはないサービスや商材を開発することにもつながりますので、自社の価値を高めるためにも効果的な営業手法なのです。

インサイト営業を習得するための6つのスキル

インサイト営業がどのようなものか分かったとしても、それをすぐに実践できるわけではありません。いくつかの能力を磨いていく必要があります。営業担当者のスキル強化をするにあたって、どのような点を重視したら良いのかを考えみましょう。

質問力

顧客がどのような問題を抱えているかについて質問して、話を聞くだけではインサイト営業は成立しません。無理です。そこから、さらに業務プロセスや現場で起きていること、顧客へのリーチがどうなっているかなど、深いところまでを明確に把握する必要があります。そのためには、相手が気付いていないところまで、巧みに質問していく能力が求められるのです。

関連記事:「質問力」をどう高めていけばいいかはコチラの記事で詳しく解説しています

仮説立案力

相手に関心を持ってもらうため、「こんな問題が出ていないか?」とか、「こうしたら改善されないか?」といった仮説を立てる力も必要です。この力があれば、話す価値があると感じてもらえて、さらに踏み込んだ提案を受け入れてもらえるようになります。

関連記事:「仮説立案力」の鍛え方はコチラの記事で詳しく解説しています

論理的思考力

問題を洗い出し、そこから解決策を提示するには論理的に分析し考える力がないといけません。さらに、顧客の事業課題に適した提案を実行すれば解決できるという思いを持ってもらえるよう、分かりやすく筋の通った説明をする力も必要です。

情報収集力

業界全体の動向や商習慣や、見込み客の状況、ターゲットなどについて知っていないと深い話し合いをするのは難しいです。そして、課題解決のために使えるサービスや商材を、幅広い選択肢の中から探し当てる力も求められます。こうした深さと幅のある情報を集められる営業担当者を育成することがカギとなります。

内省力

自分がしたこと、考えたことについて振り返って分析する力は重要です。それにより、毎回の現場での実践から営業スキルをより向上させるためのポイントを学べるからです。より良い営業人材となるための力となるものですので、内省の習慣を付けられるようにしましょう。

フィードバック力

お客様の語ったことを提案内容にしっかりと反映できる力は、受注率に直接影響します。そして完結した営業から、良い点や改善点を見つけ出し、それを次回以降の営業に生かしていくという習慣も、より効率的な営業をしていくために大きな助けとなります。

関連記事:こちらの記事では「効果的なフィードバック」について詳しく解説しています

組織にインサイト営業を落とし込むためには(進め方6つのステップ)

インサイト営業は、営業組織全体で取り組むべきことです。そのためには、すべての営業担当者が知識と能力を身に着ける必要があります。そのために何をすべきかをチェックしてみましょう。

【図】インサイト営業を進める6つのステップ

営業担当者のマインドセット

営業スタイルそのものを転換するわけですから、マインドセット、つまり意識改革をしないといけません。お客様の話を聞いて、表面上の要望だけで提案するといった従来の意識から、さらに深掘りして顧客の企業を分析し指導するという、より積極的でプロ意識の強いマインドを持たなければなりません。そのためには、お客様の成功を心から支援するという考えがとても重要になります。

営業担当者に裁量を与え自由な提案を促進

インサイト営業では、それぞれの担当者が能力と知識を活用することが成功のカギです。そのためにも、高いレベルの自由を与え、それぞれの分析結果や提案内容といったものを重視することが求められます。こうすることで担当者の能力が向上しますし、意思決定を早く行えるようになります。

コーチングによる育成スタイル

一方的な指導ではなく、相手の考えていることを引き出すコーチングというスタイルの育成は、インサイト営業ととても相性が良いです。なぜかというと、そもそもインサイト営業では、お客様に対してそのようなアプローチをするからです。そして営業担当者が自発的に動き、考える習慣を身に着けるのに役立つのです。

関連記事:「効果的なコーチング」を実現させる方法はコチラの記事で詳しく解説しています

【まとめ】BtoB企業こそインサイト営業を

顧客が自分で様々な情報を簡単に集められる時代になっているため、インサイト営業にシフトしたアプローチをしていくことは重要ですBtoBで特に効果の出やすい営業スタイルでもありますので、積極的に取り組みたいものです。確かに営業担当者の育成など、難度の高いものではありますが、企業にとってそれだけの価値が十分にあるものだからです。そして何よりも営業担当者自身にとって、営業は「おもしろい!」と感じることにつながるでしょう。

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