2023.02.13 (更新日:2024.03.28)

営業戦略

売り込み型営業から脱却!提案型営業に移行するメリットと実践のポイントをご紹介!

昔ながらの御用聞き営業でこれまで成果を出してきた企業や営業担当者も多いかもしれません。しかし、近年ではインターネット技術が発達・普及し、様々な商品やサービスをインターネット経由で購入できるようになった時代に突入したことによって、従来のような売り込み型営業だけでは新規顧客を獲得しにくくなってきました。

そこで注目されているのが「提案型営業」です。提案型営業は、顧客の抱える問題を解決できることから充実感ややりがいを感じやすい営業スタイルでもあります。

ここでは、売り込み型営業と提案型営業の特徴を説明した上で、提案型営業の具体的な流れについて詳しくご紹介します。売り込み型営業のスタイルから脱却したいと考える組織やマネジメント層の方はぜひ参考にしてください。

売り込み型営業とは

売り込み型営業とは、営業担当者が顧客先を定期的に訪問して、顧客の注文を受けて商品を納品する営業スタイルです。

別名「御用聞き型営業」とも呼ばれており、顧客の要望を聞いた上で、その要望に応えるといった受け身の営業スタイルと言えます。顧客に言われたことをそのまま叶える営業とイメージしてください。売り込み型営業では、顧客の要望を叶える商品のスペックや料金などを説明するのがメインです。

提案型営業との違い

提案型営業は、顧客の抱える課題や問題を見つけ出し、それらの解決法を提案する営業スタイルのことです。

提案型営業では、売り込み型営業のように顧客からの注文にそのまま応えるのではなく、顧客の課題を本質まで掘り下げ、それに対する解決策を提案することによって顧客満足度の向上を最大の目的としています。

ソリューション型営業との違い

ソリューション型営業とは、顧客の抱える課題に対して自社の商品やサービスなどの商材を解決策に含んだ上で提案する営業スタイルのことです。広い意味では、ソリューション型営業も提案型営業に含まれるケースもありますが、ソリューション型営業では解決策に自社の商品を前提とした解決策を提案しているのが大きな違いです。提案型営業とソリューション型営業は課題解決のプロセスに違いがあると覚えておきましょう。

関連記事:ソリューション営業について詳しく解説した記事はこちら

売り込み型営業が廃れてきている背景

従来の営業スタイルの基本であった「売り込み型営業」が廃れてきた主な理由について詳しくご紹介します。

ITの普及による情報収集の容易化

現代のようにインターネットが普及していなかった時代は、世の中にどのような商品やサービスが存在するかを調べる手立てがなく、顧客はすでに知っている商品やサービスや昔から使用し続けている商品を購入するケースが一般的でした。

しかし、現在はインターネット技術が進化し、いつでも誰もが必要な情報を調べられるため、必要な商品やサービスについての情報収集もできるようになりました。自分自身で様々な商品やサービスを比較検討した上で、必要な商品を自分で注文・購入できるようになったことから、御用聞きスタイルの営業に頼る必要がなくなったと言えるでしょう。

ニーズの多様化

現代では、消費者のニーズの変化はもちろん、ニーズの多様化も加速しています。インターネットの普及によって、豊富な選択肢の中から商品やサービスを選択できるようになりましたが、顧客のニーズに最適な選択をするのは非常に困難を極めているのです。

ニーズが多様化する現代において、企業や営業担当者は顧客のニーズは正確に把握した上で課題解決をする提案力が求められています。

商品自体の差別化が難しくなった

目まぐるしく変化する消費者のニーズに応えるべく、商品開発のスピードも格段に速くなっています。新しい商品を開発したとしても、競合他社も同じような類似商品をリリースしてくるため、商品の差別化が非常に難しくなっているのです。

他社商品やサービスとの差別化を図る上でも、課題解決のための提案力が求められています。顧客の潜在ニーズやインサイトを探り、課題解決のための最適な提案することが営業活動において非常に大切なポイントと言えます。

売り込み型営業のデメリット

ここからは売り込み型営業を行う上で生じるデメリットをご紹介します。

価格競争に陥りやすい

売り込み型営業が主流だった時代は、特定のエリアに対し一つの企業が独占的に商品を販売できていました。しかし、現在はインターネットが普及したこともあり、遠方にある企業や海外企業でも容易に販路を拡大できるようになりました。その結果、激しい価格競争の波に巻き込まれてしまうリスクが高まります。

競合他社との価格競争に負けてしまった場合は、簡単に他社に乗り換えられてしまいかねません。

関係性が浅く、乗り換えられるリスクがある

売り込み型営業は、顧客側のメリットを伝えきれないケースが多いため、どうしても顧客との信頼関係を築きにくいというデメリットがあります。一度商品が売れたとしても、その顧客が継続的に商品やサービスを使い続けてくれるとは限りません。関係性が浅いことから、他社に流れてしまうリスクも高いと言えるでしょう。

提案型営業のメリット

ここからは、提案型営業を導入するメリットについてご紹介します。

満足度を向上させ信頼関係を構築しやすい

提案型営業を実践する最大のメリットは、顧客の信頼を獲得できることです。提案型営業では、商品やサービスを売りつけるのではなく、顧客が抱える問題や課題の解決策を提案します。自社の売上のみを考える従来の営業スタイルでは、必ずしも顧客が納得や満足をするとは限りません。

しかし、提案型営業では必要のない商品やサービスの売り付けを行わないため、営業担当者に対してポジティブな印象を持ってもらいやすく、より信頼関係を築きやすい営業スタイルと言えます。

何度か提案をすることで顧客からの信頼度は自然と上がり、頼れる存在として認識してもらえます。このように、顧客との建設的な関係性を構築できるのが提案型営業を行う大きなメリットなのです。

幅広い提案を行うことが出来る

提案型営業に切り替えることで、顧客が抱える課題や潜在的ニーズを的確に把握できるようになります。その結果、今まで提案していた商品とは異なるジャンルの商品やサービスを提案できるようになるのも大きなメリットです。

さらに、営業担当者にとって特定の商品を売り込まなければならないという精神的なストレスが軽減することによって、総合的な提案力が身につきます。その結果、幅広い提案を行えるようになり、顧客の信頼度や満足度も自然と高まっていくでしょう。

長期的な関係構築を期待できる

提案型営業を導入して顧客との信頼関係を築くことで、LTVの向上に大きく貢献します。

LTV(Life Time Value)とは、顧客生涯価値のことで、一人、もしくは一社の顧客が自社との取引を開始してから終了するまでの期間にどれだけの利益をもたらすかを表した数値のことです。

提案型営業によって顧客の成功をサポートすることで、顧客満足度やエンゲージメントが向上し、継続して利用し続けたいという動機に繋がります。継続的に取引をすることで、自然とLTVも増加し、長期的な利益をもたらすでしょう。

関連記事:顧客と長期的な関係を構築するポイントについて解説

売り込み型営業から脱却し提案型営業を進めていこう

従来のような売り込み型営業のままでは時代の変化に取り残されてしまい、ビジネスの存続が危ぶまれる事態に陥りかねません。しかし、次のようなケースは売り込み型営業が適していることもあるので、一概に売り込み型営業がいけないというわけではないのです。

・自社が顧客の得意先である場合

・顧客のニーズが変わりにくい場合

・顧客にとって取引先の選択肢が少ない場合

ただし、上記のようなケースは稀であり、競合他社が出現した場合はすぐに乗り換えられてしまうリスクがあると覚えておきましょう。上記に該当しない場合は、なるべく早い段階で御用聞きをする売り込み型営業のスタイルから脱却し、提案型営業にシフトしていくことをおすすめします。

提案型営業の流れについて

案型営業では、顧客に対して「どのように」プレゼンをするかではなく、顧客に「何を」プレゼンするかが大切なポイントと言われています。

提案型営業では、顧客に提案をする前に契約の可否はほぼ決まっているとも言われるほど、事前準備が重要です。ここからは、提案型営業へ移行するステップについて詳しくご紹介します。

事前準備(情報収集)

提案型営業を行う際に最も重要なのが「事前準備」です。まずは、顧客に関する情報を収集することから始めてください。

提案型営業では、受け身のスタイルである売り込み型営業と比較して、顧客との密なコミュニケーションが求められます。さらには、きめ細やかな対応も必要ですので、どうしても営業活動の手数も必然的に増えるでしょう。

そのため、顧客情報を各部署でバラバラに管理していたり、紙ベースで管理していたりすると、どうしても作業効率が低下してしまいます。まずは、散在している顧客情報を一元管理するような仕組みを作りましょう。

タイミングを逃さずに顧客にアプローチするためにも、顧客情報は、常に新しいものにアップデートしなければなりません。新たな顧客情報を得られたら、その都度更新するように努めてください。

ヒアリングの実施

顧客情報を整理したら、実際に顧客に対してヒアリングを行っていきましょう。ヒアリングは、営業プロセスの中でも最も重要と言われています。ヒアリングを通して、顧客の抱える問題や課題、さらには潜在的ニーズを見つけ出し、結果として顧客にとって最適な提案ができるようになるからです。

ヒアリングする際のポイントは、顧客が理想とする状況やなりたい姿を知ることです。売上が伸び悩んでいたり、従業員の働きやすさに関して課題を抱えていたりなど、顧客の抱える課題や問題は多岐に渡ります。顧客の悩みに寄り添うようにヒアリングを行い、より深い情報を見つけていきましょう。

関連記事:ニーズを深堀する質問力のポイントを解説した記事はこちら

課題分析・仮説立案

顧客からヒアリングした情報を元に、顧客の抱える課題や問題について分析し、仮説を立てていきましょう。顧客の悩みに対して仮説を立てることによって、提案内容に説得力が生まれます。

仮説を立てる際はデータベース上の情報のみを使うのではなく、実際にヒアリングした情報をはじめ、顧客を取り巻く環境や社会情勢など様々な要素を踏まえて行うことが重要です。顧客が抱える課題を具体的に把握するように努めてください。

関連記事:仮説思考を高めるコツを知りたい方はこちら

課題解決への提案

課題の分析や仮説の立案できたら、問題解決に向けた提案をしましょう。提案の際は、あくまでも問題解決をするために商品が役立つと伝えることに重きを置いて話を展開してください。

自社の商品やサービスが顧客の問題解決に役立つかを具体的に、そしてわかりやすく説明することが重要です。商品やサービスの特徴を伝えるだけでなく、ノウハウや具体的な活用方法も併せて伝えるようにすると、より信頼度が高まります。

クロージング

営業における最終段階であるクロージングは、成約を結ぶ重要なフェーズです。クロージングをするタイミングや話し方、話す内容などによって成約の成功率を大きく左右するとも言われています。商談が始まってから終わるまで、顧客にクロージングを意識させることが大切です。

クロージングが無事に終わって成約したらおしまいではありません。顧客との長期的な信頼関係を築くためにも、商品をうまく使いこなせているか、そして課題解決に役立てているかなどを定期的にヒアリングし続けましょう。充実したアフターフォローを行うことで、顧客情報がさらに充実しますし、関係性もより深まります。

提案型営業を行う上でのポイント

提案型営業を導入する際に知っておきたいポイントをご紹介します。

顧客視点で考える

売り込み型営業の場合は、自社の利益や都合のために営業活動している様子が色濃く出てしまうため、いくら素晴らしい商品を提案されても心が動くことはありません。

提案型営業では、顧客の抱える問題や解決策、予算など、すべて顧客視点に立って営業活動を展開します。このような顧客視点に立って考える姿勢を続けることで、顧客からの信頼を獲得でき、自社商品の売上アップに貢献するのです。

営業活動をする上で「顧客視点に立って考える」姿勢を忘れないようにしてください。

ウォンツの奥にある“真のニーズ”を汲み取る

ウォンツとは、顧客の欲求を意味し、問題解決をするための手段のことです。しかし、私たちの欲求の先には必ず目的である「ニーズ」が存在します。

ヒアリングを繰り返す中で、課題を解決したいウォンツ(手段)の先にどのようなニーズ(目的)があるかを、汲み取るよう努めていくことで、より説得力のある提案ができるでしょう。

まとめ】自社の営業スタイルを確立しよう

売り込み型営業から脱却し、提案型営業にシフトすべき理由について詳しくご紹介しました。顧客の選択肢が豊富な現代において、これから先も売り込み型営業では立ち行かなくなる場面が増えていくことが予想されます。提案型営業のメリットや基本的な手順を理解した上で、自社の営業スタイルを確立していきましょう。

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