2024.04.12 (更新日:2024.04.24)
仮説思考とは?高いアウトプットを出す5つのコツとトレーニング方法を徹底解説!
仮説思考とは、完全に情報や分析が完了していない状態に対して仮の答えを持ち、実際に動きながらそれを検証していくことで目指す状態を実現しようとする思考パターンです。ビジネスにおいて、適切に物事を判断し決定するのは仕事の質と効率に影響する大事な能力です。そのために、短時間で高いアウトプットを実現するために役に立つのが仮説思考です。
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目次
仮説思考とは
前述したとおり仮説思考とは、完全に情報や分析が完了していない状態で仮説に対して仮の答えを持ち、実際に動きながらそれを検証していくことで、目指す状態を実現しようとする思考パターンを指します。普段、十分に情報が揃っていない状態で準備をする、あるいは何かを判断するケースは日常生活でも多くあります。たとえば、出勤前に電車事故が起こったというニュースを聞いたら、混雑や遅れが予想されるため、いつもより早く家を出た方が良いと考えます。無意識にではありますが、このようにして仮説を立てることによりリスクが少ない、もしくはメリットが多い選択肢を選んで行動するのは普段からよく行っていることなのですが、ビジネスにおいても常に仮の答えを持ち、動きながら検証することでスピード感をもったレベルの高い仕事ができるでしょう。
仮説思考の意義と重要性
ビジネスの世界では、常に激しい競争が行われています。同じ事業をしているライバルに勝つためには、質と共にスピード感と斬新なアイディアが求められています。そのため、効率よくデータを分析し生かしていくためには、完全な情報が出るまで待つのではなく、ある程度の段階で新たなビジネスに役立つ結論を出し実行することが成功の鍵となるのです。また、論理的な思考も必須となりますので、様々なシーンで素早い決断ができるようになる効果にも注目が集まっているのです。
関連記事:仮説立案と仮説検証の手順とは?提案力に差をつける2大スキルについて解説
仮説思考のメリット
仮説思考を高めることで、検証の効率化を期待できるなどのメリットがあります。
課題を俯瞰的に把握できるようになる
仮説思考においては、様々な可能性を俎上に出して理想と現実、良い点と悪い点などをすべて考えます。そのため、課題を一つの方面だけでなくあらゆる観点から分析するようになります。これは、課題を俯瞰的に見る習慣を身に着けるということでもあります。全体の大枠を捉えられるようになりますので、長期的なメリットを意識したビジネスの進め方ができますし、効率的なフローを作り出す原動力ともなります。こうした考え方はコンサルタントが行う思考パターンで、より高度な分析や解決策を見つけるスキルを磨くことにもなります。全体を俯瞰することで全体のバランスを考えつつプロセスを進められるようになり、組織にとって有用な人材となれます。
問題解決のスピードが向上する
多くのデータが揃っていない状態でも想定し得る仮説を検証し判断するため問題解決までのスピードが速くなります。ビジネスにおいては判断した後で状況が変化することも多く、計画・実行・検証・改善を繰り返すことでより精度の高い解決策が見いだせるといわれています。その場合、計画に時間をかけるのではなく、仮説の状態で実行し、そこから得られる結果を検証し有効な解決策を考えることが、結果的に問題解決のスピードを高めることにつながっていきます。
組織の意思決定が高速化する
組織が意思決定するプロセスでは多くの関係者がかかわります。立場や役割の違いから意見が対立することもあり、それらをまとめて合意を得るためには時間と労力がかかります。長期的に検討する議題であればそれでも構いませんが、ビジネスにおいては決断スピードの遅れは会社の損害となるケースも少なくありません。そうした場合に説得力のある仮説を立てることができれば、関係者内での合意が得やすくなり、結果的に組織の意思決定スピードを速めることができます。ベンチャー企業やスタートアップ企業では、仮説を立てて実行・検証を繰り返しながら成果につなげる組織風土があり、他社よりも多く経験を重ねることが他社より早い成長を実現することにつながっています。
間違った仮説でも役に立つ
仮説だけで結論を下すと、間違った時にかえって時間をロスしてしまうのではないかと不安になるかもしれません。しかし、実際にはそうではありません。というのも、たとえ間違った仮説を採用したとしても、実行している中でそれを覆す情報が出てきたり、やっている中でうまく行かない状況が出たりして、早く気付けることが多いからです。そして、いくつもの仮説を出していますので、より正しいと思える仮説にシフトするだけで良く、素早い方向転換ができます。
結果的に、多くのデータが出るまで待つよりも時間はかからないのです。しかも、たとえ間違っていても仮説の誤りを実践で確かめられますので、実証データが出るというメリットもあります。さらに、ほとんどの場合、どの仮説でも100パーセント間違っているということはなく、一定の部分はどの仮説も共通するポイントがあるはずです。そのため、間違った結論を出して実行しても、すべてを変える必要はなく一部の修正だけで済むことが多いのです。このように、仮説思考を成功させる方法は、失敗を恐れずに下した結論を実行してみることです。その上で、結果を見ながら逐次修正をかけていくという柔軟な考え方です。
仮説思考の例
問題: 特定の製品の販売が低迷している
仮説1: 製品の価格が競合他社の類似製品より高いのではないか
従来の考え方: 顧客調査や市場調査を実施して、他社製品との価格比較を行ってから価格変更を検討しよう。
仮説思考: 価格を下げれば売り上げがあがるという「仮の答え」のもと、期間限定価格を行ってインパクトを検証する。合わせて、価格優位でなくとも競争力が維持できるようブランド力強化の施策を打つ。
仮説2: 製品のデザインや機能が消費者のニーズや嗜好に合わないのではないか
従来の考え方: ユーザーインタビューやフィードバックを集めて、製品の利用体験や不満点を明らかにしよう。
仮説思考: 日頃から製品のデザインや機能が消費者のニーズや嗜好とズレてきているせいかもしれないという「仮の答え」を持ち、日々目にする情報でこれを検証し、軌道修正を続ける。
仮説3: 製品のマーケティング戦略や販売チャネルが効果的ではないのではないか
従来の考え方: 広告やプロモーションの効果測定を行い、集まったデータで顧客の購買行動や反応を分析する。また、販売チャネルや流通経路の最適化を検討しよう。
仮説思考: 顧客の購買行動や情報入手経路が変化しているためではないかという仮の答えを持ち、新たなチャネル開拓やプロモーション手法を取り入れ、そこで出た実証データをもとに最適化、調整を続けていく。
このように、常日頃から仮説思考で問題に対しての「仮の答え」を持ってビジネスに取り組むことで、大掛かりな調査を行わなくても、施策の結果や日々の情報でその答えを検証し、精度を高め、細かく軌道修正をしていくことができるのです。
仮説思考をビジネスで活用するための5つのコツ
仮説思考はビジネスでは多くのメリットがあるものの、効果的に活用するためには押さえておきた5つのコツがあります。
お客様の静態・動態情報を詳しく調査する
例えばコンサルタントのような職業では仮説を立てることが日常的に行われますが、精度の高い仮説を立てるためには対象となるお客様の情報を十分に精査することが必要です。静態情報とはインターネットなどを通じて取得できる情報のことで、動態情報とは相手と対話する、企業を訪問するなどの行動を通じて得られる情報のことです。何も情報がないまま仮説を立てても効率が悪く検証と改善に時間がかかってしまいます。十分なリサーチをすることで良い仮説を立てることができます。
あるべき姿と現状のギャップをしっかり捉える
仮説の立案においてとても重要なのが、何を持って課題解決もしくは成功、理想とするのかを知ることです。その目標や目的を知っていないと、適切な解決先を選べなかったり表面上の解決に終わってしまったりするのです。そして、現状を知ることで、その理想とのギャップがどのくらいあるのかを確認します。これにより、どの程度の変化や改善を加えないといけないか、その深刻度を測ることができます。
ビジネスフレームワークで正しい仮説を発見する
ビジネスフレームワークは、業務プロセスや事業展開戦略において標準となる考え、指針となるものです。仮説を立てる際に注意しなければいけないことは、仮説に至る分析や情報収集に漏れがないか、または正しいプロセスがとられているかという点です。仮説を立てる上で有効なフレームワーク(3C分析、SWOT分析など)をうまく活用し、正しい仮説を立てることが重要です。
仮説をとことん掘り下げる
仮説が正しいかどうかを判断するため、また原因の本質に近づいているかを確認するために仮説を掘り下げることが重要です。仮説に沿って実行した場合にどのような結果が想定されるのか。その結果は問題の本質を解決するものか。また、仮説が成功するために必要な前提や条件は何か。このように仮説を掘り下げることで、実行に移す前に一定程度の検証が可能となります。実行して気付くことはありますが、少なくとも仮説の時点で成果につながるシナリオが成立していなければ、それは仮説とは呼べません。
仮説を構造化し、絞り込む
仮説を立てて、ある程度その正しさが見えてきたら、今度は構造化をしていきます。お客様の背景や現状と照らし合わせながら、問題が発生した原因やそれが拡大した事情などと、仮説の内容を突き合わせていくのです。そうすることで、仮説の論理と現実が合っているかを確かめやすくなります。いくつかの仮説でこうした突き合わせをすることによって、より現実とマッチしているものを正しい仮説として絞り込んでいけるのです。
行動に結びつく仮説を考える
原因についての仮説検証ができたら、今度は改善策についての仮説、つまり行動するための仮説を立てる必要があります。上記の構造化がきちんとできていれば、課題発生の根本原因や過程が分かりますし、そこからどのように発展してきたかの流れも分かります。そこから、さらにどんな行動を取れば問題の根本を断ち切れるのか、生じたダメージを回復できるのかを考えやすくなるわけです。課題の発生過程から大きく逸れるような解決方法を選ぶことがなくなり、確実性の高い仮説を生み出せるようになります。
関連記事:仮説検証の考え方や手順について!ポイント・注意点まで詳しく解説
仮説思考の効果的な実施方法
仮説思考は一つのスキルですので、効果的に実施していくには自分で努力して磨いていく必要があります。そのためにできるトレーニング方法があります。
ロジカルシンキングを取り入れる
仮説思考を活用する土台として、ロジカルシンキングのやり方を身につけましょう。課題発生や問題拡大、問題解決の流れは自然発生的に生まれるのではなく、明確なロジックに基づいてできていくものです。その一連の流れを可視化できるよう体系立ててまとめるようにしてみます。また、ビジネスフレームワーク等の標準的な論理やフローを覚えておくことで、ロジックパターンに課題を当てはめていけるようになります。
目の前にあるものに対して疑問をもつ
コンサルタントのような職業は「どうしてこうしたことが起きたのか?」「そもそも採用した施策や予算配分などが正しかったのか?」といった、目の前にあることに疑問を持つ訓練を行います。そして、それぞれの点についてデータ収集と分析をすることで、疑問を解消していきます。疑問を持つことが仮説思考のヒントとなります。
異なる立場、視点から考える
例えば商品がなかなか売れないということであれば、販売者としてではなく、消費者の観点で考えることが重要です。それにより、どうして買ってもらえないのか、商品そのものなのかプロモーションなのかといった点が見えてきます。立場や視点を変えてとらえることで幅広い仮説を立てられるようになります。
両極端に考える
仮説を立てる際には、両極端の仮説を持つことが効果的なケースもあります。営業で成果が出ていないので、いっそのことすべてをオンライン営業にするとどうなるのか、逆に訪問営業のみにしたら成果はどうなるのかといった形です。こうすることで、どちらの状況でもメリットとデメリットがあることに気付き、両方から学びを得られるはずです。
ゼロから考える
先入観があると決まった枠から抜け出せなくなってしまいます。そうした状況では良い仮説は生まれません。ゼロから考えることで問題を解決するためのプロセスを整理することができ、その中で仮説思考力が磨かれていきます。
仮説思考研修に参加する
自分一人ではどうしても論理的な思考パターンを身に着けられないことがあります。もしくは、努力して仮説思考に取り組んでも、実際の業務では成功できないという結果になることもあります。そこで、仮説思考研修に参加してプロから指導してもらうのも一つの方法です。事例を取り上げて一緒に思考パターンを組み立てて行きますので、正しい思考方法を身に着けるのに大きな助けとなるはずです。
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【まとめ】仮説思考を身に着け、短時間で質の高いアウトプットを出すためには
仮説思考はビジネスにおいて業務やプロジェクトなどを効率よく進めるためにとても役立つスタイルです。日頃から意識して取り組むことで短時間で質の良いアウトプットができるようにるはずです。
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