2024.07.12 (更新日:2024.09.02)
リーダーシップとは?メンバーの能力を最大限に引き出し、チーム目標達成の為のリーダースキルを徹底紹介!
リーダーシップとは、「統率力」や「指導力」とも言われ、組織内のチームやグループをまとめ上げる能力やより高い目標を達成できるように個々の社員、部署を成長、発展させる役割を指しています。
企業は一つの組織ですので、リーダーシップを的確に発揮できるかどうかは職場の意思統一、そして業務効率にも影響を及ぼす大事な点です。一口にリーダーシップと言っても様々な種類がありますので、自社や自身に合うスタイルを見定める必要があります。そこでリーダーシップの種類や習得するポイントについてご紹介します。
目次
リーダーシップとは?
リーダーシップを日本語に直訳すると「統率力」や「指導力」といった言葉に訳されます。多くの社員が働く企業では必要なものとなりますが、そもそもリーダーシップとは具体的にどのようなものでしょうか。
リーダーシップの定義
統率力=リーダーシップという言葉から分かるように、複数の人から成るグループをまとめ上げる能力をリーダーシップと呼びます。企業は経営方針や収益目標を掲げて活動をしますので、それぞれの社員がそれを理解して同じ方向を向く必要があります。
また、具体的な営業施策の実践など、現場における業務プロセスについても統一することで、より効率的な活動ができます。当然、複数のメンバーから構成される組織では、それぞれの考えや意見が出てきますが、それらを取りまとめて組織として一貫した業務ができるようにするために役立つのがリーダーシップというわけです。
また、リーダシップ=指導力という定義にも注目できます。単に決められた業務を分担して行うだけでなく、より高い目標を達成できるように個々の社員、部署を成長、発展させるのもリーダーの役割です。
そのためには、リーダー自らが模範を示したり率先したりします。さらに、現場教育や集合研修などを通して、個々の経験値やスキルを高めていくサポートをすることも含まれます。このように組織の成長を導くことがリーダーシップというわけです。
リーダーシップとマネジメントの違い
似ている言葉ではありますが、リーダーシップとマネジメントには違いがあります。
リーダーシップでは、目標に向かって進むためにチームをけん引することを重視します。つまり、方向付けをすると共に行動を始める推進力となり、自動車で言うところのエンジンに相当します。
一方のマネジメントは、すでに始まっている行動についての管理や方向修正を行います。自動車で言うとハンドルであり、時にブレーキの役割を果たすことさえあります。
こうした役割によって視点の違いも生み出します。リーダーはどちらかというと、将来に目を向けて考えて行動します。一方でマネジャーは、現在の取り組みや生じている問題点などに注目することが多いという違いがあります。
リーダーシップで影響力を発揮する4つの目的
リーダーシップを発揮する目的はどのようものがあるでしょうか。その目的を理解しておくことが重要です。主な4つの目的を解説していきます。
目的1. チームの目標を達成するため
社員が個人で達成できる目標であれば、それぞれに任せれば良いので、特にリーダーによる介入は必要ではありません。しかし、チームとして一つの目標を掲げている場合、個々の社員が同じ方向をめざし、互いに協力し合って業務を進めていく必要があります。
チームの目標というのは、個人では成し遂げられない大きなものだったり、それぞれの社員の能力を協働させる必要があったりするからです。そこで、チームをまとめ、同じ方向に引っ張るという目的でリーダーシップの発揮が求められるのです。
目的2. チームの一体感を作り出すため
より効率の良いチームとなるためには、チームの士気が高いことが一つの条件となります。そこでリーダーが雰囲気作りをしたり、ビジョンや目標を掲げて浸透させるなど、チームの一体感を作り出す必要があります。
また、チーム内のコミュニケーションを活性化させることによっても一体感を高め、協力して働く体制を作り上げることができるのです。こうしてそれぞれが持つ能力や経験を分かち合い、相乗効果を生み出せるのです。
目的3. メンバー(部下)の能力を高めるため
リーダーは、チームの能率を上げるだけでなく、部下一人ひとりの能力向上のためにも働きます。業務のやり方を教えると共に、自分で問題の分析や解決策の発見などをさせて、考える機会を与えます。それにより思考力や自発的な行動を取る習慣が身についていきます。
各自の能力や経験を見極めた上で、多少ストレッチした業務を段階的に割り当てることで、実戦から学ぶ機会を得られるという取り組みもします。こうして個々の能力が高まり、チームや組織全体のスキルが底上げされていくのです。
目的4. 環境の変化に対応するため
チームとして一つの目標を掲げ、統一された戦略にもとづいて業務を行っていても、顧客や競合、社会環境の動向により状況が変化することがあります。こうした変化に柔軟かつスピーディーに対応する際にもリーダーシップが必要です。メンバーは環境が変化すると戸惑いや不安を感じます。リーダーは都度、メンバーが進むべき方向性を示し、メンバーが正しく活動できるよう働きかけていきます。
また、メンバーへの情報共有や変化対応の必要性について説明したり、モチベーションを高めるための取り組みも行います。チーム全体の雰囲気を保ち、新たな目標や業務にチャレンジするように気持ちを高めていくためにリーダーが率先して行動することになります。
関連記事:<チームビルディング>営業組織における実践方法とマネジャーの役割
リーダーシップ論
リーダーシップについてはこれまでにも多くの定義や議論がされてきました。ここではリーダーシップが常に議論されてきた理由を解説するとともに、代表的なリーダーシップ論を取り上げます。
ピーター・F・ドラッカーのリーダーシップ論
経営学者として世界的に有名なピーター・F・ドラッカー氏は、特に企業の中でのリーダーがどのように振る舞い、どんな責任と役割を果たすのかを説明しています。それによると、少なくても企業におけるリーダーというのは自然発生的に生まれるカリスマとしての存在ではなく、一つの職務として任じられるものであるとしています。
仕事としてリーダーシップを発揮して、チームにおける目標や優先順位、業務上の基準などを決める権限を持ちます。そして、それが正しく実行されるように率先し、チームを見守るという役割を果たすのがリーダーなのです。
そして、リーダーは単に指示をするだけでなく、チーム全体と個々のメンバーについて責任を負います。そのためにも、メンバーからの信頼を得るための姿勢と行動を示す必要があります。こうすることで、チームがリーダーにしっかりと従い、チームとしてのまとまりを持てるようになるわけです。
こうした一連の考え方や姿勢が、的確なリーダーシップを取るために必要だというのが、ピーター・F・ドラッカー氏のリーダーシップ論です。
PM理論
三隅二不二氏という心理学者が提唱したのがPM理論です。これは、リーダーが取るべき行動に着目した行動理論の1つで、リーダーシップ行動を、「P:目標達成機能」(Performance)と、「M:集団維持機能」(Maintenance)の2軸で定義するものです。(図1)
「P」というのはチームとしての効率を重視した観点で、方向性や目標を決めて、具体的なプランや手法をリーダーが指示するスキルや機能を意味します。実務的な点で明確で分かりやすい指示を出すことで、リーダーに付き従いやすくなりますし、チームとしてもスムーズに動けるようになります。
一方「M」については、チーム内の人間関係を重視した考え方と言えます。メンバー同士でコミュニケーションを取り合い、緊密な関係を作り維持できるようにする能力と機能を意味します。チームのまとまりやモチベーションを保つことで、最大効果を出せるようになることを理想としています。
代表的な6種類のリーダーシップ
リーダーシップといっても、状況や組織によってその発揮の仕方は異なります。代表的な6つの種類を理解することで、自社の状況に合った能力を知り、的確な指導ができるようにしたいものです。
1.ビジョン型
大きな目標や理念を掲げて、それに向かって突き進むよう推進するタイプのリーダーです。細かな点にこだわるというよりも、全体の方向性を定めて、それに向かうようメンバーのモチベーションを高めることを重視します。
経営者などの組織の上位者に求められる能力と言えます。もしくは、実務者として小さなグループを指導するよりも、大人数のグループをまとめるためのスキルであるとも言えます。リーダーに対するメンバーの信頼が強い時により効果を発揮します。
2.コーチ型
メンバー個人に焦点を合わせて話を聞いたり、それぞれの得意分野を生かした仕事の割り当てをしたりするタイプです。また、それぞれの能力を伸ばすために、丁寧な指導と教育を施していきます。
コーチ型は少人数グループに適したタイプのリーダーです。5人から10人くらいのチームで発揮されることが多いです。きめ細かなケアができるため、チームの士気が高まりますし、個々の能力向上が目に見えやすいというメリットがあります。逆にメンバーが増えてくると個人への対応がおろそかになり、リーダーの対応力によっては効果が低下してしまうリスクがあります。
3.関係重視型
リーダーとすでに良好な関係を作っているメンバーを集めたり、チーム発足後に親しくなったりして、お互いの関係を重視したチーム作りをするタイプのリーダーです。同時に、メンバー同士の関係も強める努力をして、人と人との結びつきによってモチベーションを高める努力を払います。「あの人がリーダーだから頑張れる」とか、「チームのあの人に頼まれたから」といった理由で頑張る力を得る関係とも言えるでしょう。
チームの雰囲気が良い状態で働けることや、協力関係が強くなるので個人の能力以上の成果を出しやすいといったメリットがあります。他方、人によって関係性を作るのが難しく、チームになじめない人が出てくるリスクもあります。
4.民主型
リーダーシップというと、上意下達なイメージを持つことも多いですが、民主型ではメンバーの意見を聞いて調整するやり方を重視します。もちろん、方向性や大まかな軸についてはリーダーが決定しますが、それ以外の詳細は広く個々の意見を取り入れます。
リーダーが考えつかないような柔軟なアイディアを生み出すことができたり、自分たちで決めたという自分事化を期待できる点がメリットです。また、みんなの意見に従う傾向が強い日本では、たとえ違う意見を持っている人がいるとしても、素直に従いやすくなるというメリットもあります。
関連記事:フォロワーシップとは?リーダーシップとの違いや相乗効果を発揮する方法
5.強制型
リーダーがすべてを決めて、それを部下たちに実行させるトップダウン型です。全くスキルも経験もない新入社員などのグループや、新しい事業の立ち上げなどにおいては、短期間で教育と業務始動ができるのがメリットです。もしくは、旧態依然としたやり方をドラスティックに改革したい時などには、必要な手段となることもあります。
その一方で、社員の心情を考慮しないとついていけない人が出てきたり、リーダーシップの表現の仕方によってはパワハラと捉えられたりするリスクもあります。
6.ペースセッター型
リーダーはある程度の指針を示しますが、具体的な行動についてはチームの総意もしくはメンバーに任せるタイプのリーダーシップです。全体の雰囲気や士気を高めるために目標を設定します。その上で、リーダーが率先して具体的な行動を取ったり熱意を示したりします。こうすることで、チームの推進力を作りペースを良い状態に保つようにします。民主型と強制型の中間位置にあるタイプと言えるでしょう。
サーバントリーダーシップへの注目
リーダーシップの形にはいろいろなものがありますが、最近では「サーバントリーダーシップ」という考え方が注目されています。時代の流れと共に、人との付き合い方が変化していて、従来のリーダー像や価値観などが多様化してきているという状況も関係しています。サーバントリーダーシップとはどういうものなのか、細かくチェックしてみましょう。
サーバントリーダーシップとは?
ロバート・グリーンリーフが示した考えで、イエス・キリストが述べた「仕えられるために来たのではなく、仕えるために来た」という表現から生まれたものです。部下を上から押さえつけて統率するのではなく、まずは自分がチームとメンバーに仕え、その状態からチームを引っ張っていくという形を採ります。
サーバントリーダーシップによって、メンバーは「やらされている感」で仕事をするのではなく、自らやりたいというモチベーションが高まります。また、指示されたことだけでなく、自分なりの工夫を加える努力を払えるようになります。
こうしたメリットは、リーダーが明示するビジョンを成功させたいという強い気持ちを持てることや、仲間とリーダーと一緒に働いているというポジティブな感覚を強く持てることによって生まれます。そして、お互いへの信頼感が生まれ、強い人間関係を持てることも成功のカギとなります。
サーバントリーダーシップが注目される背景
サーバントリーダーシップが注目されている理由は、上からの押しつけや強権的な態度に不快感を持つ人が増えていることが背景にあります。また、どの業界でも競争が激しくなっているため、新たな価値を生み出す力が求められていることが挙げられます。個々の斬新な発想やアイディアを促すためには、それぞれの能力を発揮できる環境を作ることが重要になってきます。そのようなことから、サーバントリーダーシップという手法は柔軟で自由な雰囲気を生み出すのに役立つのです。
サーバントリーダーの役割
メンバーの意見や心情をよく聞き、皆のために何ができるのかを考えます。そして、メンバーの感情や置かれている状況に理解を示して、心理的な安全性や安心感を与えることも重要な役割です。
チームで働いていると、自分の意見が通らなかったり指摘を受けたりして感情的な負担を抱えることがありますが、リーダーがそれを察知して心理的なケアを行うことが求められます。こうしたサポートが相手に仕えるということにつながります。
関連記事:より詳しく「サーバントリーダー」を知りたい方はこちらの記事をどうぞ
リーダーシップ発揮に必要なスキル
ここまで代表的なリーダーシップについて取り上げてきましたが、実際にリーダーシップを発揮するためには、具体的なスキルが求められます。
ビジョンや目標の設定
チームとして進むべき方向性を示すのがリーダーの役割です。そのため、目標を明確にして、メンバーが理解しやすい形に言語化、数値化して示す能力がないといけません。その上で、目標を達成するまでのプロセスを描きます。
主体的な行動
手本を示し、すべきことを自ら実践することでチームを動かします。口だけではなく、自ら動けるというのもリーダーに必要なスキルです。チームの中での関係作りにおいても、日々の声がけや褒めるなどの行動を実践していきます。メンバーに意見を聞くことは大事ですが、すべてを人任せにすることがないようにします。
意思決定
チームとして統一した決定をするのはリーダーです。全員の意見を聞くとしても、最終判断をしてその責任を負うことでチームがまとまり、メンバーからの信頼を得られます。最もバランスの取れた決定ができる決断力が必要なのです。そのためにも、選択肢のそれぞれのメリットやデメリットを分析・評価して、チームや会社にとってベストな選択肢がどれかを見極められる力を身につけることが大事です。
巻き込み型コミュニケーション
すべきことや理想とすることを自分の中だけに留めることなく、チームに共有します。しかし、その際には一方的に話すのではなく、メンバーの意見を積極的に引き出したり、感想を聞いたりします。分かりやすく説明する能力、そして巧みな質問力が求められるというわけです。同時に傾聴力や共感力といった、メンバーに寄り添う姿勢と能力も欠かせません。
関連記事:リーダーに求められる8つの行動と、さらに高めるポイントを解説
リーダーシップ能力を高める4つの方法
人はいきなりリーダーとして活躍できるわけではありません。そのためのスキルを高めるための努力と習慣を続ける必要があります。具体的にどんなことができるのかを確認しておきましょう。
1.自ら意思決定する習慣をつける
意思決定ができない人にリーダーは務まりません。そのため、たとえ自分の権限にない問題でも、訓練として自分ならどう判断するかと考える癖をつけましょう。他の人が下した決定と自分のものでは何が違うのか、結果はどうだったのかを検証することで、より良い決定の仕方を鍛えます。
2.周囲との人間関係を築く
信頼される人、コミュニケーションが取りやすい人とならなければいけません。単に仕事ができるというだけでなく、日々の会話やちょっとした態度や気遣いといったことが重要です。周りを観察することや、褒め言葉や承認するメッセージをきちんと伝えるように意識しましょう。
3.問題や課題を深掘りする
問題があった時に軽く受け流すのではなく、どこに問題の本質があるのか、その根本的な解決策は何かをじっくりと考えるようにします。そのためには、日頃から業務プロセスの見直しや個々のメンバーの行動観察、システム自体のチェックといった活動が必要です。
単に起きたトラブルだけに目を向けるのではなく、なぜ起きたのか?という疑問に答えられるようにする能力を身につけましょう。その上で、いくつかの解決策となる選択肢を用意できるようにします。
4.率先垂範で行動する
リーダーが自ら動くことで、信頼を勝ち得ることができますし、モチベーションを高めてチームを動かせます。また、模範的な行動を示すことで、それに倣ってもらうこともできます。
多くの場合、言葉よりも手本を示す方がチームをまとめるのに効果的なのです。特に新しい課題に直面したり、大きな環境変化があったりした時には、まず自分が率先して行動することで、チームを先導できます。
【まとめ】自身にあったリーダーシップのスタイルを見つける
組織をまとめてありたい姿の実現に向かって進んでいくために、リーダーシップは不可欠です。様々な形でこの能力を発揮することができますので、自身の特性、メンバーの状況やチーム構成などを考え、的確なスタイルを見つけて実践することが重要です。それによりチームに活気が生まれ、業務目標と人材育成の同時達成が果たせるようになるでしょう。
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