営業目標の立て方とは?

2024.01.23 (更新日:2024.04.02)

マネジメントノウハウ

営業目標の立て方とは?適切なゴール設定でチームを活性化!すぐに使えるフレームワークや押さえるべきポイントを徹底解説!

企業の利益を上げるためには、個人やチーム全体の営業目標を適切に立てることが重要です。しかし、営業パーソンとして仕事を進めていく上で「どのように営業目標を立てればいいかわからない」と感じている方も多いのではないでしょうか。

本記事では、営業目標の立て方や具体的な設定方法、活用すべきフレームワークについて詳しく解説します。営業目標を立てる上で押さえるべきポイントについても触れますので、ぜひ参考にしてください。

営業目標とは

営業目標とは、自社商品やサービスの販売数量や販売金額などの数値のことです。1年、もしくは半年、四半期など一定期間において課されたノルマを達成するための具体的な目標を指します。営業目標のKPIは、売上高や新規顧客の獲得数、リードの獲得数などです。

営業目標には、大きく分けて「個人目標」と「チーム目標」があります。どのような仕事においても、ゴールを設定しなければ進むべき方向があやふやになりかねません。明確な営業目標を立てることで、営業活動を効果的に、かつ円滑に進められるのです。

つまり、営業目標は、会社の掲げるゴールに向けて、それぞれの営業メンバーやチームが達成すべき数値と言えるでしょう。

営業目標の目的

営業目標を立てる目的は、営業メンバーの動きを明確にするためです。マネージャー陣は、設定した目標を基準に、メンバーやチーム全体の進捗状況を把握しながら、指示を行います。個々の営業成績から適切な評価もできるため、会社として成長するためにも欠かせない数値と言えるでしょう。

営業目標と似た言葉として「営業戦略」や「販売計画」があります。ここからは、営業目標とそれらのキーワードの違いについて見ていきましょう。

営業戦略の定義と比較

営業戦略とは、売上向上や事業エリア拡大などの目標を達成するための長期的な計画のことです。

「どのような市場で」「どの程度の期間で」「どのような商材を」「どのようなターゲットに対して」営業をかけるかという作戦を指し、営業目標を達成するための大きな枠組みのようなものと考えてください。営業戦略は、営業目標や販売計画を立てる上での基礎となるため、企業における全体的なビジネス戦略との一貫性が求められます。

営業戦略の策定は、チームで決めるものではなく、経営陣やチームの責任者が決定するケースが少なくありません。後述するフレームワークを活用することで、各自がどのように動くべきかが明確になるため、活動の方向性も決まりやすくなります。

販売計画の定義と比較

販売計画とは、営業目標を達成するための具体的な行動計画のことです。英語では「セールスプラン」と称されており、経営状態を判断する上の大きな基準になっています。

目標市場へのアプローチ方法をはじめ、販売チャネルの選択やプロモーション戦略、価格設定や販売個数など、売上予算を達成するために販売方法に関する詳細な計画を立案するのが特徴です。

この販売計画には、大きく分けて「短期」と「長期」の2タイプがあります。短期の場合は、1年以下の販売計画、長期の場合は3〜5年の期間における販売計画を指すのが一般的です。

なぜ営業目標が必要なのか

営業目標が重要な理由は、営業活動の方向性やゴールを明確にできるからです。営業メンバーの中には、営業目標を「こなさなければならないこと」や「やらなければならないこと」など義務のように捉えてしまう方も少なくありません。

しかし、営業目標の本質は、達成するためにどのように行動すべきかを考えることにあります。営業目標があれば、どのようにすれば目標を達成できるかを自分なりに考えることにつながり、それぞれの営業パーソンが工夫をしながら取り組めるはずです。やるべきタスクが明確になることで、個々のモチベーションも自然と向上します。

このように、営業目標は営業メンバーにとって重要な要素の一つと言えるでしょう。

適切な営業目標は営業チーム全体の活性化につながる

チームや営業メンバーにとって適切な営業目標を設定できれば、それぞれのメンバーが目標達成に対して意欲的になり、チーム全体の活性化が期待できるでしょう。

現状維持では達成できないような目標であっても、工夫やアイデア次第で達成できると考えることで、メンバー自身が何をすべきか、そしてどのようなアクションプランを立てるべきかなど、主体的に考えて行動できるようになるでしょう。

それぞれのメンバーが意欲的になることで、チームとして互いにサポートし合うようになるため、チーム全体、そして企業全体が活性化します。そのため、営業目標を設定する際は、ある程度難しい目標でありながらも、達成できる見込みのラインで設定することが重要です。

営業目標が適切に設定されない要因

正しい目標設定は、営業メンバーのモチベーションを高めるだけでなく、チーム内の営業活動の活性化を促します。ただし、営業目標の重要性を理解していても誤った目標設定がなされてしまい、かえって現場に混乱をもたらすケースも少なくありません。

こちらでは、営業目標が適切に設定されない3つの要因について解説します。

根拠のない目標を設定してしまう

不適切な営業目標が設定されるケースでありがちなのが、現場経験が乏しい管理職や経営陣により、一方的に営業目標を押し付けられてしまうことです。

理想論や思いつきのみで目標を立ててしまうと、チームや営業メンバーたちは、現実離れした数字に頭を悩ますことになります。達成できない目標を設定してしまうことで、やりがいや達成感を得にくくなり、営業活動に対するモチベーションが低下してしまい、結果として目標からどんどん遠のいてしまいかねません。

トップダウンによる営業目標の設定は、チームや会社全体の士気を高める効果が期待できるケースももちろんあります。ただし、営業目標を設定する際は、正しいデータに基づいて客観的に裏付けられたケースに限ると覚えておきましょう。

営業目標が営業戦略に紐づかず設定されている

営業目標は、会社のビジョンを実現するために設定されるものです。そのため、会社の掲げる営業戦略や経営戦略に紐づけた上で設定する必要があります。

営業活動を通して実現したいビジョンから逆算をせずに営業目標を設定してしまうと、事業拡大はもちろんのこと、社員に還元する利益も作れずに本末転倒に終わってしまうでしょう。

ビジョンを実現するための一つの手段として営業目標を位置付けることで、チームや会社全体における目標設定の重要性を理解できるはずです。

営業における課題を明確にできていない

営業活動における課題が明確ではないことも、誤った営業目標を設定してしまう原因になります。現場の現状を正しく把握し、問題点を探りながら明らかにすることが大切です。目まぐるしいスピードで日々変化し続ける社会情勢や消費者ニーズにも柔軟に対応できるよう、様々な視点から自社の現状と置かれた環境を把握することで、自社の抱える課題や問題が明確になります。

市場の変化に順応できていない場合は、マーケティング戦略の練り直しが必要です。また、アポイントの獲得率に伸び悩んでいる場合は、さらなる人員拡大や営業方法の見直しも検討してください。

課題を明確に把握することで、現場のメンバーにも受け入れられ、さらには実現可能な営業目標を立てられるはずです。

営業目標を設定する際に活用したいフレームワーク

ここからは、営業目標を設定する際にぜひ活用したいフレームワークを厳選してご紹介します。既存のフレームワークを当てはめることで、適切な営業目標を設定できるでしょう。

ベーシック法

ベーシック法とは、その名の通り目標設定の基本となる考え方で、次の4つのステップで構成されています。

1. 目標項目:売上などの具体的な目標数値を設定する
2. 達成基準:何をもって目標達成と言えるかを設定する
3. 期限設定:達成期限を設定する
4. 達成計画:達成までの具体的なプランを設定する

目標を一度にまとめて考えるのではなく、細分化しながら順序立てて考えることによって、適切な目標を設定できます。さらに、より緻密でかつ具体的な目標を設定できるようになるでしょう。

目標項目においては、チームとしての強みや弱み、さらには課題などを明確にした上で、達成すべき目標を検討してください。設定した目標を細分化し、具体的なアクションや必要なツール、さらにはどのようなアプローチ方法をとるべきかなどを明確にすることが大切です。

ベンチマーク法

ベンチマーク法とは、ライバルや競合他社を指標(=ベンチマーク)にして目標を設定するフレームワークです。競合他社の優れている点を分析することで、自社の問題を明らかにし、問題点か課題点の改善を目指します。より質の高い目標設定をしたい場合に適しているフレームワークと言えるでしょう。

ベンチマーク法は、次の4つのステップで構成されています。

1. 計画:チームや会社全体の現状を把握し、近しい競合他社をベンチマークに設定する
2. 情報収集:自社とベンチマークの競合他社の違いを明確にする
3. 統合:可視化した差を埋めるための改善策を立案する
4. 実施検証:改善策を実施し、目標設定が適切だったかを検証する

ベンチマーク法で目標を立てる際は、規模が近しい企業をベンチマークに設定することが重要です。その上で、自社とベンチマークとのギャップを抽出し、改善策を模索していきましょう。改善策を実施したら検証をし、施策が適したものであったかを確認してください。

SMARTの法則

SMARTの法則とは、ベーシック法における「目標項目」に比重を置いたフレームワークです。目標設定の要素を次の5つの項目に細分化し、最適な目標を設定していきます。

・Specific(明確性):具体的であること
・Measurable(計量性):測定可能であること
・Achievable(達成可能性):達成可能であること
・Relevant(関連性):ビジョンなどの上位目標に紐づいていること
・Time related(期限設定):期限が設定されていること

上記5つの要素を満たしているかを確認しながら目標設定をすることで、達成しやすい良い目標を掲げられます。

SMARTの法則に関して詳しく知りたい方は、以下のページを参考にしてください。

FASTの法則

FASTの法則とは、次の4つの要素とするフレームワークで、目標設定に非常に有効とされています。

・Frequent(頻繁に)
・Ambitions(野心的な)
・Specific(具体的な)
・Transparent(透明性のある)

SMARTの法則が、比較的実現しやすい目標を効果的に設定する手段として活用されているのに対し、FASTの法則は、より野心的で、かつ挑戦的な目標を設定する場合に効果的であるのが大きな違いです。

実際にアクションを起こす際は、本当に目標に近づいているのか都度確認し、目標達成に向けて効率的に活動できるように意識してください。

三点セット法

三点セット法とは、次の3つの要素で構成されるフレームワークのことです。

・テーマ:達成したい目標を決定する
・達成基準:設定したテーマを具体的にしたもの
・達成手段:具体的な目標を達成するためのアクション

これらは、最初にご紹介したベーシック法の4項目をより深掘りしたものであり、テーマから達成手段を考える上で自然と目標が具体的になっていきます。目標達成のモチベーションを維持しつつ、挑戦的な目標にも取り組めるのが大きなメリットです。

営業目標を立てる上で意識したいポイント

営業目標を設定する際に意識したい5つのポイントを解説します。

1日単位まで細分化して設定する

設定した目標から逆算をして、1日単位にタスクを細分化することが大切です。長期的な目標を達成するためには、1日というとても短い期間の目標を設定し、それを着実にこなしていく必要があります。

長期の目標を1日単位で細分化することで、それぞれの営業パーソンの活動内容を日々検証できるようになります。毎日の行動指標に目標を落とし込みながら、数値を日々検証し、必要に応じて行動指標を修正してください。

具体的な行動まで落とし込む

営業目標を達成するためには、設定した目標を具体的な行動に落とし込むことが重要です。明確な目標であればあるほど、何をしなければならないかを把握しやすくなります。やるべきタスクを明確にし、実行に移すことで営業目標を達成できるでしょう。

過去のデータや個人の能力も踏まえ設定する

営業目標を設定する際は、過去のデータや営業メンバーそれぞれの能力も踏まえることが大切です。過去のデータを基にすることで、現実的で達成可能な目標を設定できます。

また、営業メンバーのスキルや経験などを考慮に入れることで、それぞれの能力に見合った目標を提示できるでしょう。

見える化できるよう徹底する

営業目標を立てるためには、営業プロセスを見える化することも重要です。営業プロセスの見える化とは、見込み客であるリードの獲得からクロージングに至るまでの一連の業務を可視化することを意味します。

営業メンバーがそれぞれで営業活動を行う場合、どのメンバーがどのような案件をどの程度進めているかを把握するのは非常に困難を極めます。ITツールなどを用いて業務を見える化することで、目標達成に向けたモチベーションを高めることにつながるでしょう。

達成可能な目標を設定する

営業目標は、あくまでも達成可能なものにすることが大切です。適切な方法で行った目標設定は、営業メンバーのモチベーションを高めるだけでなく、成績管理にも大きく役立ちます。営業成績に基づいて適切に人事評価を行う助けにもなるでしょう。

さらに!営業目標を達成するために意識したいポイント

目標達成の進捗を常に確認しておく

目標達成に向けて常に進捗管理を確認することも大切なポイントです。進捗状況を管理しなければ、方向性がずれてしまうリスクが高まります。常に営業活動の進捗状況を確認、把握することで、週単位・月単位の目標に対しても対処しやすくなるでしょう。週に1度、半月に1度のペースで営業目標が達成されているかどうかをチェックし、振り返ることが重要です。

フォーキャスト管理についても、理解することでより営業目標達成への進捗管理に影響していくため、参考リンクを掲載しています。

売上予測のポイントとギャップへの対策について解説しています。

チーム全体、部署や会社の状況を把握しておく

営業目標は、会社の売上目標から逆算して設定されることから、営業目標を達成するためには、チーム や会社全体の状況を把握することが大切です。

前年度の実績をはじめ、市場の動向や企業としての成長率などを総合的に踏まえて営業目標は決定されるため、自社をはじめ競合他社の現状も把握しなければなりません。

さらに、営業メンバーそれぞれのスキルやポジションなどを総合的に加味した上で、最適な営業目標であるかを俯瞰することが重要です。現実的な目標を掲げるためにも、自社や競合他社を調査しながら設定してください。

FBを実施し、改善を図っていく

営業目標を達成するためには、上司による定期的なフィードバックを実施し、業務内容の改善を図ることも忘れてはなりません。フィードバックをすることで、目標達成のために必要なアクションが明確となるため、改善策を自然と見出せるでしょう。

また、適切な頻度でフィードバックを実施することで、チームとしてはもちろん、営業パーソンそれぞれのモチベーションアップや営業成績の向上も期待できます。

高圧的な言動でフィードバックを実施してしまうと、部下が萎縮してしまい、パフォーマンスの低下も懸念されます。フィードバックを実施する際は、部下の心理的負担を考慮した上で行うことが重要です。

効果を高めていくためにITツールの活用も考えてみて

営業目標を達成するためには、タスク管理をはじめ、業務の進捗状況の可視化、スケジュール管理など、多くの情報を管理しなければなりません。そこでおすすめなのが、ITツールの活用です。ITツールと一言でいっても、目標管理ツールやチャットツールなど様々なタイプがあります。

中でも、営業支援ツール(SFA)は、営業活動の可視化や効率化に最適なツールです。エクセルと比べて管理の手間が大幅に軽減できるだけでなく、受注率の向上や業務の効率化、さらに営業プロセスの可視化など様々なメリットがあります。

チーム全体の営業力の底上げを目指したい場合は、SFAをはじめとしたITツールの導入を検討してみてください。

まとめ】営業目標を立てて、成果アップにつなげよう!

営業目標を立てることで、業務に対するモチベーションが上がり成果アップにつながります。そして、目標を達成するためにはどのようにアクションを起こすべきか検討することが、営業メンバーとして仕事をする上で非常に大切です。

本記事でご紹介した営業目標の立て方に関する概要を理解し、個人としてはもちろん、チームや会社全体で営業活動の精度を高めていきましょう。

営業目標の立て方についてのトレーニングは営業マネジメントトレーニングで学ぶことができます。