営業戦略 フレームワーク

2024.02.08 (更新日:2024.03.10)

営業戦略

効果的な営業戦略の作り方とは?手順を徹底解説!【2024年最新版】戦略トレンドも!

営業戦略とは、企業の中長期的な目標を達成する上で欠かせない指針であり、企業の将来を左右する重要な施策の一つです。営業戦略の策定は、多くの企業や経営者、そしてマネジャー陣にとって重要な業務であるものの、なかなか売上につながらずに頭を悩ませている方も多いのではないでしょうか。

営業戦略はただ漠然と立てるのではなく、具体的な施策を立案することが重要です。本記事では営業戦略の基本的な考えをはじめ、立案の手順や意識すべきポイントについて詳しく解説します。自社の営業戦略の策定に苦戦している方はぜひ参考にしてください。

営業戦略とはなにか

営業戦略とは、特定の営業目的を達成するための中長期的な基礎計画のことを指します。「特定の営業目的」とは、売上増大や顧客数の増加、さらにはシェア率拡大など企業によって様々です。それら企業の目標を達成するために立てられる基本方針となるのが「営業戦略」と考えてください。

一般的に、営業戦略は企業方針や企業ブランディングと密接に関連することから、営業戦略の立案は、経営層やマネジャー層にとって重要な業務です。

営業戦略の目的

営業戦略の目的は、企業の目標を達成するための具体的な手段や方法を策定することをですが、その他にも次のような目的があります。

▽営業戦略の目的

・営業目標の達成
・市場シェアの獲得
・顧客関係の強化
・ビジネスの持続可能性を高める

営業戦略は、企業が設定した売上目標を達成するための道筋ともいえます。そのため、的確な営業戦略を立案することによって、新規顧客の獲得、既存顧客との取引の拡大、または特定の製品やサービスの販売増加を目指します。

また、企業は特定の市場での競争力を高めて市場シェアを増やすために営業戦略を立案します。競合他社と差別化できるだけでなく、製品やサービスの価値の強調や特定の顧客層にアプローチできるようになります。

そして、営業戦略は、顧客との長期的な関係を構築し、顧客満足度を高めるためにも有効的です。顧客のニーズを的確に理解し、ニーズに応じた製品やサービスを提供できるようになるでしょう。

営業戦略は、企業が長期的に成功し、成長を続けるためのフレームワークです。企業が新しい市場に進出したり、新製品の開発や新規ビジネスモデルを採用したりする際にも役立ちます。


関連記事:営業戦略のフレームワーク厳選6選と営業戦術やマーケティング戦略との違い、実行ステップを徹底解説!


営業戦術との違いについて

営業戦略と似たような言葉として「営業戦術」があります。営業戦術とは、営業戦略を達成するために実施される具体的な施策や手法のことで、営業戦略を具体的に実現するための日々の行動や手段を指します。

営業戦略:収益や市場シェアの拡大などを目的とした中長期的な計画のこと

営業戦術:営業戦略を達成するための具体的な施策や手法のこと

大きな目標とそれを達成するための基礎計画が「営業戦略」であり、営業戦略で立てた計画をそのとおりに遂行するための手段が「営業戦術」です。そのため、両者は似ているようで異なる概念であると理解しましょう。

良い営業戦略とは

良い営業戦略は、企業のビジョンと目標を達成するための道筋を示し、リソースを最適に活用するためになくてはならないものです。ここからは、効果の高い営業戦略がどのようなものか理解するために、効果的な経営戦略と効率の悪い経営戦略の特徴についてご紹介します。

効果的な営業戦略の特徴

良い営業戦略は、市場動向についてしっかりと理解し、顧客のニーズに対応した製品やサービスの提供を目指すものであり、企業の全体的なビジネス戦略と連携しています。

効果的な営業戦略には次のような特徴があります。

▽効果的な営業戦略の特徴
・競合分析により自社の位置付けを明確にしている
・戦略的なプロモーション活動とリンクしていkい
・常に営業戦略について評価、改善を繰り返している

これらの要素は、企業が特定の市場で成功を収め、競争優位性を維持するために必要不可欠だといえるでしょう。


関連記事:営業とマーケティングの違いとは?営業力を底上げするポイントを解説


新しい営業戦略のトレンド

2024年、新しい営業戦略のトレンドからいくつかトピックをご紹介します。

デジタル営業の強化: テクノロジーの進化により、デジタル営業がますます重要になっています。オンラインでのプレゼンスの向上、ソーシャルメディアの活用、データ分析の活用などが、新しい営業戦略においてますます重視されています。

顧客エクスペリエンスの重視: 顧客エクスペリエンスの向上が営業活動の焦点となっています。パーソナライズされたサービス、迅速な対応、シームレスな購買体験の提供が求められています。人工知能(AI)や機械学習を活用して、顧客との関係を深める取り組みも進んでいます。

サステナビリティと社会的責任の考慮: 企業の社会的責任やサステナビリティへの取り組みが顧客にとって重要視されており、これを営業戦略に組み込む動きが広がっています。環境への配慮や社会的な影響を考慮した製品やサービスが注目されています。

データドリブン営業: ビッグデータとデータ分析を活用して、顧客の行動や傾向を理解し、より効果的なセールスアプローチを構築することが求められています。AIや機械学習を使った予測分析を提供するサービスも増えてきています。

リモートワークとバーチャル営業: リモートワークが一般的になり、バーチャル営業が一層発展しています。ビデオ会議やオンラインでのセミナーやプレゼンテーション、デジタルツールを使って営業活動を行うことがベースとなり、幅広い企業が取り入れています。

営業戦略の立て方と手順について

成功する営業戦略を立案するためには、次の手順を踏むことが大切です。

▽営業戦略の立て方

1. 目標を設定する
2. 現状の課題を把握し、方向性を設定する
3. 市場調査を行う
4. 自社分析を行う
5. 顧客分析を行い、顧客理解を深める
6. 営業施策の策定
7. 施策の実行
8. 効果検証を行い、次回施策を立案する

上記8つのステップについて詳しく解説していきましょう。

目標を設定する

営業戦略の最初のステップは、明確な目標と方針を設定することです。営業戦略は目標を達成するために策定するものですので、目標を定めない限り戦略は立てられません。

掲げる目標は、具体的で達成可能なものであること、そして企業全体のビジネス目標と一致していることが重要です。中長期的な目標を具体的な数値とともに設定していきましょう。

現状の課題を把握し、方向性を設定する

目標が設定できたら、どのように目標を達成するかという方針や方向性を設定します。目標を達成するまでの具体的な道筋を描く作業であり、営業戦略立案の中核となる部分と言えるでしょう。

そこで、方向性を策定するために重要なのが自社の現状を分析し、課題を洗い出す作業です

現状の営業活動の課題や問題点を把握し、営業戦略の方向性について検討してください。

市場調査を行う

市場調査とは、商品やサービスの販路や需要の動向を把握するための情報調査のことです。調査項目には、市場の状況や他社の動向、ターゲットを取り巻く環境などが挙げられます。

自社の製品やサービスが存在する市場を理解するためには、「環境分析」「競合分析」を実施し、市場の大きさ、成長性、顧客のニーズ、競合他社の戦略などを調査します。

環境分析」とは、企業がビジネスを行う外部環境を評価するプロセスのことです。市場のトレンド、規制、消費者の行動など、企業のビジネスに影響を与える可能性のある要素を理解するために行われます。

一方、「競合分析」とは、企業が自身の競争状況を理解するために行うプロセスのことを指し、競合他社の製品やサービス、価格設定、マーケティング戦略、強みと弱みなどの調査が含まれます。競合分析を通じて、企業は自社の製品やサービスが市場でどのように位置付けられているかを理解し、競争優位性を獲得または維持するための戦略を策定できるでしょう。

自社分析を行う

自社分析では、商品・サービスの特徴をはじめ、売上や顧客数、顧客単価、市場シェア、リソース、資金力、開発力、技術力など、様々な側面から自社の強み・弱みを分析していきます。

自社分析をする際は、希望的観測という偏った結果になりやすく、客観的な分析ができなくなりがちですので注意が必要です。そのため、自社分析では、「SWOT分析」や「3C分析」といったフレームワークを活用することで、スムーズに客観的な分析を進められるでしょう。


関連記事:バリュープロポジションとは?作り方のコツや失敗例、フレームワークを徹底解説!

顧客分析を行い顧客理解を深める

顧客のニーズや行動を理解するために重要なのが顧客分析です。顧客分析では、消費者のニーズや価値観、消費行動や購買行動、消費人口、購買プロセスなどが分析の対象となり、営業戦略の策定に役立てられるでしょう。

顧客に対する理解が深まることで、顧客と良好な関係が構築され、結果として顧客満足度を高めることにつながります。客観的な分析を進めるためには「セグメンテーション分析」や「デシル分析」などが有効です。

営業施策の策定

設定した目標を達成するために、分析結果などの情報を元に具体的な営業施策を策定します。製品やサービスの価格設定、プロモーション戦略、販売チャネルの選択など、様々な営業施策を考えなくてはなりません。

戦術には数多くの方法があり、目標を達成できる方法は一つに限られている訳ではありません。どのような方向性で注力するかを定めた上で、より具体的なアクションプランに落とし込んでいきましょう。

施策の実行

策定した施策を実行します。計画通りに施策を実行するためには、営業チーム全体のトレーニングや支援が必要です。

効果検証を行い、次回施策を立案する

戦略に基づいて策定した戦術を実行したとしても、必ずしも期待通りの結果が得られる訳ではありません。そのため、施策の成果や進捗状況を常にモニターし、効果を検証する必要があります。実施した施策の効果を評価し、次回の営業戦略の策定に反映してください。

営業戦略を立てる際に意識したい4つのポイント

営業戦略を立てる際は次の4つのポイントを意識することが大切です。

・実行可能な戦略に落とし込む
・KPIを定めて、適宜チェックを行う
・立てる戦略が複雑になりすぎないように注意
・過去のデータを有効活用する

それぞれのポイントについて詳しく解説します。

実行可能な戦略に落とし込む

営業戦略を立てる際には、その戦略が実行可能であるかを確認する必要があります。具体的なアクションプランを作成し、それが現実的に達成可能なものであることを確認してください。

また、戦略の実行可能性を高めるためには、営業チームと密接に連携し、適宜フィードバックを取り入れることが重要です。

営業チーム全体のトレーニングは、施策の成功に向けた共通の理解を築くための重要なステップです。チーム全体が一貫したアプローチで施策を実行でき、結果的により高いパフォーマンスを達成できるでしょう。

また、トレーニングだけでなく、チームメンバーに対する継続的なサポートも重要です。新しい施策を実行する際の問題や課題を解決し、チームが目標に向けて前進し続けることにつながります。

KPIを定めて、適宜チェックを行う

営業戦略が成功しているかを測るためには、KPI(Key Performance Indicator)を設定することが重要です。

KPIとは、戦略が目標に向かって進んでいるかを定量的に評価するための指標のことです。KPIを定期的にチェックすることで目標達成に向けた進行状況を確認できるだけでなく、戦略の修正や改善が必要な時に素早く対応できます。

ただデータを追うだけでなく、計画通りに施策が成果を出しているかどうか、しっかりと把握するよう努めましょう。

関連記事:適切な営業KPIの設定手順についてはコチラの記事で解説しています

戦略が複雑になりすぎないように注意

営業戦略は、複雑になりすぎると実行できない可能性が高まります。また、戦略が複雑になりすぎると、チームメンバーが混乱する可能性もあるでしょう。そのため、戦略はシンプルで明確なものであり、かつ誰もが容易に理解でき、実行できるものでなければなりません

シンプルかつ明瞭な戦略であれば、営業チーム全体の理解度を高め、同じ方向を向いて進んでいけるでしょう。

過去のデータを有効活用する

過去の営業データは、新たな営業戦略を立てる際の重要な参考資料の一つです。過去の成功や失敗から学び、それを新たな戦略に反映させることで、より効果的な戦略を作成できます。

また、過去のデータを分析することで、市場のトレンドや顧客の行動パターンなど、ビジネスに有用な情報も収集できるでしょう。

さらに!営業戦略をより良くしていくためのコツ

営業戦略をより良くするために覚えておきたいコツは次の2つです。

・SFAなどのツールを有効活用
・PDCAを確実に回していく

これらのコツを実践することでより効果的な営業戦略を策定できます。

SFAなどのツールを有効活用

ITツールを活用することで、営業活動の効率化や、データの分析・管理を助け、よりスムーズに戦略の立案や実行ができるでしょう。

特にSFA(Sales Force Automation)は、顧客情報の一元管理、営業活動の履歴の記録、営業パフォーマンスの分析など、多岐にわたる機能を提供するおすすめのITツールです。SFAを導入することにより、営業活動の進捗報告やデータ入力などの営業外業務から解放され、営業業務に時間を割けるようになります

このように、SFAをはじめとしたITツールの活用は、営業戦略の策定と実行を支援するだけでなく、組織全体の営業力の向上にも寄与するのです。

PDCAを確実に回していく

PDCAサイクルは、プロジェクトや業務の改善を目指すためのフレームワークで、Plan(計画)、Do(実行)、Check(評価)、Act(改善)の4つのステップから構成されています。戦略の立案、実行、評価、改善を繰り返し、戦略に反映させていくことで、戦略を継続的に最適化できるでしょう。その結果、組織は効率的に業績を向上させ、企業としての競争力を維持できるのです。

営業戦略立案に活用!フレームワーク4選

ここからは、営業戦略立案に活用できるおすすめのフレームワークを厳選してご紹介します。

ランチェスター戦略

ランチェスター戦略は、マーケティングを「弱者」「強者」の2つの視点から分析をし、経営戦略や販売方針を立案する手法のことです。

この戦略理論は、市場の支配的なプレーヤーがその規模を利用して競争優位を維持できるという考え方に基づいています。つまり、大規模企業は、その規模を活用して市場での地位を強化し、競争相手を圧倒することができるという考え方です。この理論は、ビジネス戦略の策定や市場分析において重要な役割を果たします。

パレートの法則

パレートの法則は、別名「80/20の法則」とも呼ばれており、ビジネスや経済学、社会科学など、様々な分野で応用されています。この法則は、「全体の数値の8割は、全体を構成する要素のうち、2割の要素が生み出している」という経験則のことです。

リソースやコストの配分の効率化、最適化、そしてとるべきマーケティング、営業施策を計画できるのが大きなメリットです。顧客のセグメント化やリソースの最適な配分を考える際に有効的なフレームワークといえるでしょう。

AIDMA

AIDMAは、消費者の購買決定プロセスを説明するモデルの1つで、Attention(注意)、Interest(興味)、Desire(欲求)、Memory(記憶)、Action(行動)の頭文字を取って名付けられました。

このモデルは、消費者が商品やサービスに対して行動を起こすまでの5つの過程を表しており、顧客の興味から購入に至るまでのプロセスを理解し、それに対する施策を考える際に活用できます。

消費者の購買決定までの心理的プロセスを細分化することで、顧客がどのフェーズにいるかを把握できるのが特徴です。顧客のいるフェーズごとに戦略を練ることによって、マーケティングを効率的に進められるでしょう。

MECE

MECEとは「ミーシー」または「ミッシー」と呼ばれています。MECEはロジカルシンキングの基本であること、そして論理的な問題解決に必要な手法であることから、ビジネスシーンで重要視されているフレームワークです。

・Mutually(お互いに)
・Exclusive(重複せずに)
・Collectively(全体的に)
・Exhaustive(漏れがない)

戦略を策定するために正確な答えを見出す際、必要な要素を網羅しながらもそれぞれの要素が重複しないようにする考え方です。総合的な視点から必要な情報や事実を分類して、問題や課題に対する正しいアプローチを導き出せるでしょう。

まとめ】将来を見据えた営業戦略を作り上げ、さらなる成長を!

企業として成長し続けるためには、営業戦略の策定が必要不可欠です。より効果的な営業戦略を立てるためには、市場や顧客の変化を敏感に察知すること、そして企業や営業チームの現状や課題を把握する必要があります。

本記事でご紹介した戦略立案の流れや成功事例、フレームワークを参考にしながら、自社の将来を見据えた営業戦略を作り上げ、今以上の成長を目指していきましょう。