2023.07.18 (更新日:2024.06.03)
営業生産性を高めるために!営業生産性の定義や落ちてしまう原因、高め方まで解説!
営業生産性を高めることは、企業や営業チームにとって重要な課題です。営業生産性の定義や低下の原因、具体的な高め方を理解することで、ビジネスを成功に導いていきましょう。
本記事では、営業生産性の定義をはじめ、具体的な計算方法、そして営業生産性が重要とされる理由について詳しく解説し、営業生産性の低下原因と具体的な解決策、効果的な高め方についてもご紹介します。営業活動の効率化と成果の最大化を目指す組織や営業担当者の方は、ぜひ参考にしてください。
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目次
そもそも営業生産性とは
生産性とは、あるモノを作り上げるために、設備や原材料、人などのリソースがどの程度効果的に使われたかを意味する言葉です。ここでは、営業活動をする上で意識したい「営業生産性」の定義や計算方法についてご紹介します。
営業生産性の定義
営業生産性とは、営業活動に費やされる時間やリソースに対して、どれだけの成果を生み出すかを示す指標であり、売上や利益などの結果を最大化するための効率性を測るものです。営業チームや個々の営業担当者が、与えられた時間やリソースを最大限に活用し、効率的に成果を上げることができるかどうかを示します。
時代の変化とともに企業が人材投資費用を捻出する動きが活発になる中で、社員一人ひとりがいかにパフォーマンスを上げられるかが重要です。特に、先進国の中でも日本企業は営業生産性が低いとされており、企業として成長するための大きな課題として考えられています。
営業生産性の計算方法
営業生産性は、式を用いて計算することができます。
「業績÷コスト」、そして「アウトプット÷インプット」とも表現され、具体的な数値の測定や比較する際に使われていますが、営業生産性を求める計算式をより具体的に表現すると、次のとおりです。
▽営業生産性の計算方法
営業生産性=売上÷総労働時間
営業生産性におけるアウトプットとは、業績や売上成果を指し、インプットはアウトプットを生み出すために費やした費用や時間を指します。より小さなインプットでより大きなアウトプットを生み出すことが、生産性が高いと判断されます。
営業生産性がなぜ重要なのか
営業生産性が重要と考えられる理由には、主に次の2つが挙げられます。
・働き方改革が進んできた
・営業利益の最大化
これら2つの理由について詳しくご紹介します。
働き方改革が進んできた
2017年に実施された働き方改革推進会議によって、企業への営業生産性を向上させる指令が出されました。具体的には、長時間労働の改善と従業員一人あたりの賃金の引き上げです。これまで残業が慣習化していた企業も定時勤務を義務付けることや時間あたりの生産性を見直す動きが活発になりました。
この出来事を皮切りに、近年働き方改革が注目されており、効率的な働き方やワークライフバランスの実現が求められています。
営業生産性の向上は、限られた時間やリソースの中で成果を最大化することにつながり、効率的な働き方を実現するためにますます重要視されてきています。
営業利益の最大化
営業活動の目的は、売上や利益の最大化です。営業生産性の向上により、同じ時間やリソースを活用してより多くの成果を上げられます。
企業の利益は、大まかに「売上-コスト」で求められます。コストが削減されるほど、売上に対する利益率が高まり、売上や利益の増加につながるでしょう。さらに、効率的な営業活動によって、営業担当者一人ひとりの売上アップも期待されます。このように、営業生産性を高めることで、営業利益の最大化につながるのです。
営業生産性が落ちてしまう原因
営業生産性が落ちてしまうのには、次のような原因が考えられます。
・営業活動の見える化ができていない
・営業における行動管理ができていない
・場当たり的な打ち合わせや行動が多い
・ノウハウがメンバー内で共有できていない
・目標が不明確で定まっていない
ここからは、これら5つの原因について詳しくご紹介します。
営業活動の見える化ができていない
営業活動の見える化ができていないと、営業担当者やマネージャーは現状把握や課題解決に難しさを感じることがあります。営業活動の進捗や成果、顧客情報などを正確に把握するためには、CRM(顧客関係管理)システムや営業支援ツールの活用を検討してください。
営業活動の管理体制を整備するのはもちろん、新しい方法やツールが定着するよう支援し、働きかけることもとても重要です。
関連記事:営業活動の「見える化」できていますか?
営業における行動管理ができていない
営業活動で成果を出すためには、効果的な行動計画とタスク管理が必要です。しかし、タスクの優先順位が明確でなかったり、行動計画が不十分だったりすると、営業生産性は大きく低下します。営業担当者は、自身の行動を管理し、効率的な営業活動を実践することが必要です。
場当たり的な打ち合わせや行動が多い
営業生産性が低い原因として、書類作成などの事務作業や会議にかける時間が多いことも挙げられます。場当たり的な打ち合わせや会議は、時間やリソースを浪費する原因となるでしょう。
計画的な営業活動を行うためには、戦略的に打ち合わせや業務にあたる必要があります。営業担当者は、事前に営業活動における目標や戦略を明確にし、資料やアジェンダを事前に準備をし、効果的な打ち合わせや行動を計画することが大切です。
その他にも、会議進行役のファシリテーターを選出したり、会議の目的以外の話をしないようにしたりするのも、効率的な話し合いをするために重要なポイントです。会議や打ち合わせの数を減らせないかも含めて、無駄な業務を減らすように意識してください。
ノウハウがメンバー内で共有できていない
営業チーム内でのノウハウの共有は、生産性向上に重要な要素です。チーム内で情報共有や知識の伝達が不十分な場合、それぞれのメンバーが同じミスを繰り返したり、効果的な手法を活用できなかったりするリスクが高まります。
定期的に情報やノウハウを共有する機会を設けるなどして、営業チーム全体の生産性を高めるよう努めていきましょう。
記事リンク:ノウハウを共有するポイントについてはコチラの記事で解説しています
目標が不明確で定まっていない
営業生産性が低い原因の一つに、目標が不明確で定まっていないケースもあります。
明確な目標設定は、営業活動の方向性を示し、行動を統制する重要な要素です。しかし、目標が曖昧で定まっていない場合、営業担当者は具体的なアクションプランを立てにくくなり、生産性が低下する可能性があります。明確な目標を設定し、それに向けて取り組むことで、営業生産性を高めることが可能です。
営業生産性を高める方法
営業生産性を高めるために実践したい5つの方法は次のとおりです。
・営業外の業務を効率化
・営業プロセスの見直し
・目標とゴールを明確化し設定
・ターゲティングの精度を高める
・SFAなどのITツールの導入
これら5つの方法について具体的にご紹介します。
営業外の業務を効率化
営業担当者の業務は、顧客との商談や電話営業など、売上に直結する「営業業務」、そして報告書作成やデータ分析、会議やデータ入力などの「営業外業務」に分けられます。
営業生産性を高めるためには、営業外業務にかける時間をなるべく削減し、営業業務に割り当てることが求められます。
タスク管理やデータ入力など、自動化できる業務は積極的に自動化することで、営業外の業務の効率化を図るのも一つの方法です。さらに営業生産性を高めるためには、業務の効率化をサポートする体制も整備してください。例えば書類作成など周辺業務を請け負う支援組織があれば、営業担当者は顧客への営業活動に注力できます。
営業担当者が顧客と直接向き合う時間を増やすことで、顧客にとっての付加価値を提供する活動に集中して取り組めるようになります。
営業プロセスの見直し
ターゲティングや案件管理をいくら工夫しても、なかなか営業生産性が高まらない場合は、営業プロセス自体の見直しが必要なケースも考えられます。
まずは、現状の営業活動について個々の営業担当者にヒアリングを行い、営業活動を段階的に整理します。細分化した営業ROIと照合しながら課題整理に努めてください。
また、見込み顧客の検討段階を引き上げ、受注確度が高まった時点で営業担当者(フィールドセールス)へパスするインサイドセールスの設置も生産性を高めるために有効です。それぞれの組織が最高のパフォーマンスを発揮できるよう、業務遂行の基準となる営業計画や営業プロセスの整備も併せて進めましょう。
さらに、営業担当者が適切にアクションを実行できるよう、営業プロセスの見える化も併せて進めてください。トップセールスのノウハウをチーム内で共有・反映することで、全営業担当者のパフォーマンスの向上につながります。
目標とゴールを明確化し設定
明確な目標とゴールを設定することは、営業生産性を高めるために重要です。目標を明確化すると、理由なく行動することがなくなり、目標達成に向けて高い意識やモチベーションを維持しながら業務に取り組めます。
営業活動における目標とゴールを設定する際には、目標設定の手法である「SMARTの法則」を意識することが大切です。
▽SMARTの法則で意識すべきポイント
・Specific(具体性)|具体的な内容であるかどうか
・Measurable(計量性)|数値化して把握できるかどうか
・Achievable(達成可能性)|達成できる現実的な内容であるか
・Relevant(関連性)|目標設定によって何が得られるか
・Time-related(期限性)|いつまでに達成するか
これら5つのポイントを意識して目標を設定したら、個人の目標や達成度をチーム全体に共有することも重要なポイントです。売上も新規顧客獲得数などの「定量的な目標」と、顧客満足度向上やクロージング率の向上などの「定性的な目標」に分けて設定し、営業チーム全体で目指す方向性を共有しましょう。
関連記事:「SMART」の視点で目標を設定するコツについてはこちらの記事で解説しています
目標を共有することで、チームのメンバー同士が協力しながら目標達成に向けて取り組めるため、結果として営業生産の向上につながります。
ターゲティングの精度を高める
効率的な営業活動のためには、適切なターゲットを設定することが重要です。自社の商品やサービスを売り込むターゲット顧客を決める行為をターゲティングと呼びます。ターゲティングは、営業活動において重要な要素ですが、営業経験や過去の実績が増えれば増えるほど軽視されがちなポイントです。
例えば、企業が保有する顧客データの絞り込みをせずに手当たり次第営業をかけることは、ターゲティングを無視した営業といえます。ターゲティングが不十分な状態で営業をかけると、アポイント獲得率は低く、商談につながったとしても成約につながりにくいでしょう。
効果的なターゲティングを実施するためにも、顧客セグメンテーションやアカウントプランニングを行い、最も効果的なターゲット顧客を特定してください。ターゲットの明確化により、営業活動の効率性が向上し、成果を最大化できるはずです。
関連資料:「営業マネジャーのためのターゲティング手順」を体系的に把握できます
SFAなどのITツールの導入
営業支援ツールやCRMシステムなどのITツールを導入することで、営業生産性の向上につながります。営業戦生産性を高めるためには、次のようなツールが有効です。
▽営業生産性を高めるためにおすすめのITツール
・顧客リスト作成ツール
・テレアポ対応ツール
・オンライン商談ツール
・MA
・CRM
・SFA
・RPA
これらのツールは、営業活動の見える化や効率化を実現し、顧客情報の管理やタスクの追跡、営業プロセスの自動化などをサポートします。営業担当者はタスクの優先順位を把握し、効果的なフォローアップや顧客対応に時間を割けるようになるでしょう。
上記のツールの中でも、特に導入をおすすめするのがSFA(Sales Force Automation:営業支援ツール)です。SFAツールでは、顧客情報はもちろん、案件の進捗状況など、営業に関する様々な記録を管理できます。報告業務やデータ入力の負荷を最小限に抑えられるため、業務負担を大幅に軽減できるでしょう。
せっかくITツールを導入しても、入力事項が多かったり、操作性が悪かったり、機能が複雑すぎたりなど様々な理由から使いこなせないケースも少なくありません。
そのため、SFAなどのITツールを導入する際は、現場の営業担当者にヒアリングをした上で、次のポイントに留意して選ぶことが大切です。
▽SFAなどのITツールを選ぶ3つのポイント
・シンプルで誰でも使える機能であるか
・スムーズに操作できるか
・入力が自動化されているか
特に対面での営業機会が減少した現在は、上記のようなツールを活用してリモート営業に対応すること、そして定型業務を自動化して効率を上げることが重要です。特に、エクセルなど表計算ツールを活用して案件管理を進めているという企業は、営業データの入力や共有がスムーズなSFAの導入を検討してください。
【まとめ】営業活動の見える化、営業外業務の効率化を促進しよう!
本記事では、営業生産性の定義や計算方法、その重要性について解説しました。営業生産性の向上は、営業活動の効率化と成果最大化するための重要な要素です。リモートワークや働き方改革によって生産性向上が注目されているものの、世界各国と比べると日本の労働生産性は非常に低い水準のまま推移しています。
営業生産性が低下する原因として、営業活動の見える化不足や行動管理の欠如などが挙げられます。営業外業務の効率化や営業プロセスの見直しなどに取り組むこと、そして目標設定やターゲティングの精度向上、SFAなどのITツールを活用することによって改善が期待できるでしょう。
営業チームや営業担当者は、営業生産性とその高め方について基本を理解し、これらのアプローチを総合的に取り入れることで、営業生産性の向上につなげられます。営業成功に向けて、営業生産性の最適化を意識し、自社の営業活動を促進していってください。
関連資料:営業マネジャーに習得してほしい「営業プロセスマネジメント」