2024.02.26 (更新日:2024.03.10)
営業クロージングとは?実践的なテクニックや成功事例を紹介!
BtoB営業活動にはいくつものプロセスがあり、それぞれに異なるテクニックや有効な手法を用いることが重要です。その中でも、契約締結へつなげるクロージングのプロセスは特に重要性が高いと言えます。そこで、クロージングの基本的な流れと効果的なテクニックについて押さえておきましょう。
目次
営業活動におけるクロージングとは
そもそも営業活動全体の中で、クロージングとはどんなプロセスで、どんな役割を果たしているのでしょうか。営業活動においてクロージングの結果は、クロージングに至るプロセスが大きく影響しています。全体の流れの中で役割と重要性を理解するのが良いでしょう。
クロージングとは何か?
通常、初回面談から契約に至るまでの営業活動は以下の流れとなります。
・アポイント獲得
・お客様へのヒアリング
・課題の洗い出しと共有
・解決策の提案
・具体的な製品
・サービスの提示
・クロージング
・契約締結
クロージングはお客様に対して、最終目標である契約締結の判断を促すプロセスです。それまでのプロセスでは、お客様の関心を高めたり、お客様にとって最善の自社製品・サービスを探したりする段階です。そのまとめとしてクロージングを行い、購買へと促すのがクロージングの目的です。
クロージングでは、具体的に提供する製品・サービスの詳細を伝え、金額や納入プランなどを説明します。それだけでなく、お客様が契約にあたり感じている不安や疑問を取り除くことが必要となります。
BtoB営業においては一般的に購買決定者が複数人存在しているため、窓口担当者だけでなく、意思決定者や意思決定に影響を与えるキーパーソンに対する働きかけも重要なアクションとなります。
また、クロージングを成功させるためには、購買を決意させるための動機づけを与える過程も重要になります。購入することで得られるメリット、以前との違い、価格の良さ、解決できる課題などを認識してもらい、決断を求めます。
成功への鍵を握るポイントは?
– ヒアリングで顧客の要望や課題を把握
– 自社のサービスや商品の強みを適切に説明
– タイミングや流れを読み、顧客の意思を尊重した提案を行う
このように、クロージングは顧客との関係構築や信頼の醸成だけでなく、営業成果にも大きく寄与するため、成功への鍵となる重要な営業活動のひとつなのです。
BtoB営業におけるクロージングの重要性
クロージングはビジネス機会を逃さないという点で重要なプロセスです。BtoB営業において、営業担当者が提案する場合、お客様の課題を解決することが前提となります。お客様は様々な企業の製品やサービスを検討することで、あるいは自社の業務改善を行うことで課題の解決を図ります。
営業担当者が適切なタイミングでクロージングを行わない場合、商談案件の契約時期が遅れるだけでなく、場合によってはお客様が他の企業や手法によって課題を解決してしまい、商談自体を失ってしまう可能性もあります。
また、BtoB営業は初回面談から契約までの期間が比較的長くなります。製品やサービスによっては営業部門だけでなく他部門の協力を得ながら提案することもあり、適切なタイミングでクロージングを実施しないことで、それまでの社内の工数を無駄にしてしまうことにもつながります。
クロージングの適切なタイミングを見極める方法
クロージングの適切なタイミングを見極めるためには、顧客の反応や状況を注意深く観察し、適切な瞬間にアプローチすることが重要です。具体的な方法としては、ヒアリングを通じて顧客の課題や要望を把握し、それにマッチする提案を行います。
また、商談中に顧客が積極的に質問を投げかけている場合や、自社のサービスや製品に関心を持っていることを感じた場合は、クロージングに適したタイミングであると言えます。さらに、顧客が自身の課題解決に向けた行動をとっている時期も、クロージングのチャンスとなります。
BtoB営業におけるクロージングの流れと代表的なテクニック
お客様が製品やサービスの価値を感じているにも関わらず契約に至らない場合、クロージングが適切に実施されていないケースが見られます。そこで、標準的なクロージングの流れと代表的な手法を取り上げてみましょう。
クロージングの流れ
クロージングまでの過程で、すでに製品・サービスの仕様や特徴、お客様にとっての利点は説明してあるはずです。そこでクロージングでは、窓口担当者に対して今までの商談の中で解消されていない疑問や不安な点がないか確認し、お客様が購入を決断できない要素を除きます。
納入する製品・サービスの価格や付属品、メンテナンスについての詳細説明も必要です。BtoB営業の場合は購入後のサポート期間が長くなるケースも多く、契約後の不安についても対応が必要です。
担当者への対応に続いて、意思決定プロセスへの働きかけを行います。最終的には社内の意思決定プロセスを経て契約可否が判断されるため、意思決定にかかわる関係者が同意しているのか、同意していなければ何が障害となっているのか、営業担当者が積極的にサポートすることが求められます。
最終的に提案内容に納得が得られれば、契約のタイミングや内容について確認します。ここでは「いつ決定しますか?」、「何を選択されますか?」といった具合に明確に確認します。
クロージングの代表的なテクニック
クロージングを成功させるためには、単に流れに沿って行うだけでなく、相手の購入意欲を高め、効果的な誘導を行うことが重要です。クロージングで効果的なスキルについてご紹介します。
テストクロージング
テストクロージングとは、契約までのプロセスの中で質問をしながらお客様の本気度を確認する手法です。
例えば以下のような質問を投げかけることでどれだけ購買意欲が高まっているのかを確認します。
「お客様の事業に一番メリットを与える弊社の製品・サービスはどちらでしょうか?」
「これまでのご提案でお客様の課題解決に役立つのは具体的にどの部分でしょうか?」
「導入するとした場合、いつ頃を希望されているでしょうか?」
テストクロージングをすることによって、お客様の心の中に購入のイメージ、もしくは購入後に利用しているイメージができます。さらにお客様の購入意欲を高めることができますし、契約を現実のものとして考えるよう、無意識に促すことができます。相手にプレッシャーをかけることなく、さりげなく購入に当たっての希望を確認できることにもつながりますので、とても効果的な方法と言えるでしょう。
イエスセット(yes set)話法
多くの場合、話を肯定し続けると、次の質問についても「イエス」と言う可能性が高くなります。その傾向を活用したのが「イエスセット話法」です。購入を直接勧める前の会話の中で、相手に「イエス」と言ってもらえる質問を繰り返していきます。
例えば、すでに会話の中で確認してきた情報に基づいて、「お客様が抱えている課題は、こちらということでよろしいでしょうか?」と聞き、肯定の返事を引き出します。その後、「その解決策として弊社のこの○○は役立ちそうでしょうか?」と聞き、「イエス」と言ってもらえるようにします。そのままの流れで、「では、お役に立てるようであれば、購入を検討していただけるでしょうか?」と聞きます。話の中で「イエス」と言う流れを作り、それを最終的な購入確認まで導いていきます。
ドア・イン・ザ・フェイス
ドア・イン・ザ・フェイスは心理的な傾向を活用したテクニックです。人は通常、相手の依頼を断ると、申し訳ないという気持ちが働き、次の依頼に応じやすくなるという傾向があります。特に、最初に大きな提案や要望を出されて断った後に、最初よりも小さく簡単な提案をされると受け入れやすくなります。
例えば、IT関連のサービスを提供している企業が、いくつかの金額の異なるプランを提案するとします。最初に、最も機能が高く、料金も高いプランを勧めます。仮に断られた場合、続いて下位プランの安価なものを提案します。こうすることで、2番目の提案を受け入れてもらいやすくなります。
ここでのポイントは、「お客様の課題解決」という視点を外さないことです。お客様にとって利点と感じない機能やオプションを付けて提案する場合、お客様の信用を失うことにもつながります。特にBtoB営業ではお客様と長期的な関係構築を目指すことが多く、あくまでもお客様の課題を解決するための提案であることを忘れてはいけません。
BtoB営業担当者がクロージングを成功させるためのポイント
上記のような営業テクニックと共に、クロージングの成功率を高めるためには営業担当者が心がけるポイントがあります。
ポイント1:BANT-C情報を共有する
相手を納得させたり、購入の判断を促したりするためには、必要な情報を的確に得ておくことが求められます。その情報を整理したものが「BANT-C」と呼ばれるものです。
・「B」Budget:予算
・「A」Authority:意思決定者
・「N」Needs:企業としてのニーズ
・「T」Timeframe:導入する時期
・「C」Compelling point:導入する必然性
クロージングまでの過程でこれらの情報を得ることによって、お客様が必要とするタイミングで、適切な契約を進めることができます。
ポイント2:顧客視点で考える
自分たちの製品・サービスを販売することばかり考えると、お客様を置いてきぼりにしてしまいます。自分たちの製品・サービスの良さをアピールするだけで、相手のメリットのことを考えない、独りよがりの営業となってしまうのです。売りたいという気持ちが出過ぎてしまい、意見の押し付けをしてしまう原因ともなります。
こうした事態に陥らないように、何がお客様にとってメリットとなり、どんな条件なら購入しやすいのかを考えて、提案をすることを心がけましょう。同時に、お客様が購入を渋る要因となっているものは何かを真摯に考えて、それをなくす努力をすることです。そうすることによって、お客様が気持ちよく購入を決断できるように、気持ちを動かすことができます。
ポイント3:利点の整理とアクションの確約を忘れない
クロージングは、今まで行ってきた全ての商談のまとめのようなものです。今までにお客様が述べてくださった課題、その解決策、製品・サービス導入による利点などを、分かりやすく簡潔に説明します。利点とはお客様にとってのメリットであり、製品・サービスの特徴とは異なることを理解しておきましょう。クロージングでは新しい論点を持ち出して説得するのではなく、今までの話をまとめる作業をすることで、決断を促しやすくなります。
その上で、明快に購入をするかどうかを尋ねて、アクションを起こすように誘導します。そして、その確約を得ることが重要です。あいまいな返事ではなく、金額や数量、契約締結や納入の日付などを示して、返事をもらいます。
ポイント4:表面的なテクニックよりも信頼関係構築
クロージングのテクニックをいくつか紹介しましたが、それらが有効なのは、お客様との信頼関係が土台にある場合です。単に製品・サービスについての説明をするだけでなく、お客様の会社の話、時には可能な限り、担当者個人のニーズについての話をして、お客様のために提案していることを理解してもらう必要があります。信頼関係ができればクロージング時に障害となっている要因を聞きやすくなり、決断を促す誘導にも良い印象を持ってもらいやすくなります。
オンライン営業におけるクロージングのポイント
最近ではビデオ会議システムを使った商談も増えています。そこで、対面の商談とは違う、オンライン面談におけるクロージングのポイントを押さえておきましょう。
事前準備をしっかりと行う
オンライン営業だと対面よりも話が盛り上がらず、いわゆるビジネスライクな会話に終始することが多い傾向にあります。要点を押さえた説明を求め、結論を急ぐ傾向もあります。そこで、事前にしっかりと確認事項やそれまでの商談経緯、担当者の要望などを整理して準備しておきましょう。場合によっては資料や議題を面談前に共有しておくことで、担当者が準備できるようにすることも効果的です。
双方向の対話を
オンライン営業では対面営業と比較して、お互いの温度感を把握しにくいという点があります。営業担当者が一方的に説明をするだけで、相手から反応がない場合、疑問や不安がないのか、それとも契約に消極的なのか判断が難しくなります。そこで、オンライン営業では、「ここまでの説明で不安に感じていることはありませんか?」や「提案について御社の課題解決に貢献するという認識で合っていますか?」など質問を意識し、“相手と双方向の対話”をするよう心がけましょう。
オンラインでのコミュニケーションを意識する
オンライン営業ならではのコミュニケーションを意識することも大切です。たとえば、パソコンのカメラを見て視線を相手に合わせるようにします。また、音声が聞き取りづらいこともあるので、対面よりも少しゆっくり、はっきり話すことも大事です。さらに、うなずきや身振り手振りが伝わるよう大きく動作するなどです。クロージングに至るプロセスで関係構築することが前提ですが、契約の決断を促す場面でも好印象を与えることは大切な要素です。
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クロージング成功事例:理論を現場で活用する
クロージング成功事例として、理論を現場で活用する方法を紹介します。
顧客の企業理解を深め、彼らの課題やニーズを把握しましょう。
次に、適切なタイミングで提案を行い、顧客の興味を引く内容を織り交ぜることが重要です。
また、実際の商談中には、質問を用いて顧客の考えを引き出し、自社サービスや製品のメリットを具体的に説明しましょう。そして、テストクロージングやサポート体制の説明を行い、顧客の不安を解消して信頼関係を築くことが大切です。
最後に、価格や契約内容の確認を行い、丁寧なお礼を述べることで、営業成果を上げることができます。理論を現場で活用し、クロージングの成功事例を増やすことが、営業活動において最も重要なポイントです。
【まとめ】効果的なクロージングで成約率の向上を
営業活動においてクロージングは、直接契約につながる重要なプロセスです。それだけに、基本的な流れを押さえ、効果的なテクニックを習得することが効果的であることは間違いありませんが、同時に、お客様との信頼関係を作り、クロージングに至るプロセスで適切な情報を収集することが重要です。クロージングだけを意識するのではなく、事前の商談でお客様の購買意欲を高め、不安を解消することで成約率を高めてください。
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