2024.05.25 (更新日:2024.05.28)

育成体系

これからの時代に必要とされるスキルとは?ポイントをしっかり解説!【人材育成シリーズ④】

企業において円滑な経営活動をするためには、優秀な人材を育成していくことが必要不可欠です。従業員の人材育成を通して社内全体の生産性を高めることで、企業が継続して成長し続けるために大切な取り組みの一つと言えるでしょう。



組織が成長し続けるために 「人を育てることができる」人材を育成

企業価値を高めるためには、経営資源が必要です。経営資源には、主に「人材」、「資金」、そして「オフィスを豊かにするモノ」の3つがあります。この重要な経営資源の一つである「人材」を育成することは、企業の存続や成長に大きく関連してくるとご説明してきました。


では、育成されたメンバー達が最大のパフォーマンスを発揮できるようになったとして、その世代の誰もが次世代を育成することに長けていなかったら、どうなるでしょうか?また次の世代にトレーニングを行っていったとしても、日々の仕事で伝えられるはずのノウハウが抜け落ち、人が育つ豊かな土壌をつくることは難しいでしょう。「組織が持続的に成長していくために」という視点で考えると、個人がパフォーマンスをあげられるようになることと同時に、「人を育てることができる人材を育成」し、人材育成の連鎖を起こすことが欠かせないのです。


企業経営を永続的なものにするためにも、あらゆる部門で、人材育成ができる次世代リーダー人材の育成、スキルアップに常に力を入れていくことが大切なのです。

組織開発とは?フレームワーク解説

人材育成に必要なスキル

人材育成に関わる上で求められるスキルは様々です。ここからは、人材育成に必要なスキルについてご紹介します。

現状や課題を明確に把握する力

チーム内や社内の課題を発見するためには、現状を的確に把握する力が必要です。課題を把握した上で、どのような人材がどの程度必要かを知ることで、どのような人材育成プランを策定すべきかを理解できます。

現状や課題を把握するためには、観察力や洞察力が必要なことはもちろんのこと、社内の組織の成り立ちやポジションごとにどのような業務がされているか把握しなければなりません。

さらに、現状を正確に把握するためには現場のリーダーやメンバーに対するヒアリングを行うことが非常に大切です。客観的な観察だけでなく、現場の生の声を知ることで、どのような課題があるかがより明確になるでしょう。

目標や計画を管理する力

企業やチームが抱える課題の洗い出しができたら、人材教育の目標や計画を立てていきましょう。どのようなスキルを持ち合わせた人材を、いつまでに、どのくらいの人数必要であるかという具体的なプランを設定することが大切です。

人材育成を効果的に行うためにも、企業理念や経営戦略、そして現場の抱える課題を総合的に判断した上で、どのようなゴールを設定すべきかを考える必要があります。

人材育成の対象者の実力とかけ離れすぎた目標を掲げてしまうと、社員のモチベーションを維持することは難しいかもしれません。そのため、実現可能でかつ無理のない範囲の目標設定をするスキルが求められます。スモールステップで達成できるような目標を掲げることでより効果的な人材育成が可能です。

コミュニケーション力

人材育成の業務の大半は、他者とのコミュニケーションで成り立っています。人とのやり取りを頻繁に行う特性上、コミュニケーション能力は必須スキルです。

コミュニケーションスキルと聞くと、自分の考え方や思いを相手にわかりやすく伝える能力であると思われがちですが、実はそれだけではありません。相手が意図することを正確に把握する力も含めてコミュニケーションスキルなのです。

そのため、人材育成におけるコミュニケーションスキルは、わかりやすく説明する力はもちろんのこと、相手の話を聞く力、さらには相手の能力やモチベーションを引き出すコーチングスキルなど、様々なスキルが求められます。

リーダーシップ

人材育成の指導者や担当者は、部下の目標達成を促す役割があります。部下のモチベーションを維持するためにも、そして効率的に教育を進めていくためにも、人材育成の指導者や担当者はリーダーシップを持って育成にあたることが大切です。

適切なタイミングで部下をフォローし、リーダーシップを発揮することで部下との信頼関係が構築され、より効果的な教育の機会を提供できるのです。

ロジカルシンキング

ロジカルシンキングとは「論理的思考」のことで、物事の原因と結果を正確に把握し、それぞれがどのような繋がりを持っているかを考える思考方法です。

ロジカルシンキングを用いて人材育成における課題や問題点を浮き彫りにすることで、どのような対策を講じるべきかを的確に判断できます。

クリティカルシンキング

クリティカルシンキングとは、日本語に直訳すると「批判的思考」となり、物事の粗探しするための思考と捉えられがちです。しかし、決して欠点を指摘するための思考ではありません。

クリティカルシンキングの本来の目的は、物事の本質を見極め、改善点やリスク回避に繋げることです。人材育成の現場においても「従来のやり方が本当にベストか」、さらに「より効率的で効果的な方法はないか」などを考えることで、より良い結果に導けます。

抜本的に教育システムを変えていきたい企業や何か新しいアイデアを取り入れたいと考えている企業にとって重要なスキルです。

人材育成に関する知識や経験

人材育成を効果的に実践するためには、人材育成に関する知識や経験が必要です。

たとえば、人材育成に適切な人材を選抜することも重要なスキルの一つです。管理職育成に取り組もうと人選をしたとしても、その社員が管理職を希望していないケースも考えられます。その場合は、企業にとって無駄な育成コストがかかってしまうので注意が必要です。

そして、社員の希望にマッチしていない教育プログラムを組むことで、従業員に精神的ストレスを与えてしまうことも考えられます。企業にとっても、そして社員にとってもマイナスにしかならない人材教育は絶対に避けなければなりません。

このように人材教育に携わる者は、人材育成に関する正しい知識を習得し、実際に人材育成に携わる経験を積み重ねることが重要なのです。

年代別での人材育成のポイント

人材育成と一口に言っても、階層や年代別にアプローチ方法や重視すべきポイントが大きく異なることに注意が必要です。ここからは、新入社員、中堅社員、そして管理職の3つのカテゴリーに分けて、階層別に大切にすべきポイントについて詳しくご紹介します。

新入社員・若手社員に対して

新入社員や若手社員にとって、「ビジネスマナーの習得」や「業務スキルの習得」など、社会人として身につけるべき基本的なマナーの基礎を理解させたり、スキルを習得したりすることが最重要課題です。

そして、離職率を低い値に抑えるためにも、「企業理念」や「経営理念」など企業に対する帰属意識を高めるようなアプローチも重要なポイントだと言えます。

中堅社員に対して

第二新卒のカテゴリーから外される入社4年目以降の中堅社員はある程度業務にも慣れ、部下や後輩の面倒を見る立場になる時期です。

中堅社員にとっての課題は「キャリアプラン」や「後輩の育成担当者としてのスキルアップやマネジメントスキルの向上」、「さらには組織の中核を担うという意識付け」が挙げられます。

中堅社員は、今後のキャリアプランに対して漠然とした不安を抱えがちです。そのため、社内でのキャリアを考えるための研修会や面談を定期的に実施することでそのような不安から解放することができます。

後輩や部下ができる立場の中堅社員は、人事育成担当者としてふさわしいスキルを身につける必要があります。研修会やeラーニングの受講をすることによって教育担当者として必要な知識を身につけることはもちろん、OJTトレーナーなど経験させるなどして実務経験を積ませることも大切です。

業務にも少しずつ慣れてきた中堅社員は、仕事に対するモチベーションが維持しにくかったり、効率が悪くなってしまったりするなど、中弛みしやすい階層です。中堅社員がいかに企業にとって重要な存在であるかを伝えていくことでそのような事態を回避することが可能です。

管理職に対して

管理職の人材育成は最も難易度が高いと言われています。企業は、管理職が組織でしっかりと機能するように働きかけていくことが重要です。

まずは、管理職の職務や目指すべきスキルを明確にすることから始めてください。管理職と一口に言っても、役職や所属する部署によって役割や求められるスキルは異なります。企業として必要なスキルを定義することで、管理職育成のプログラムの設計にも役立つでしょう。

ただし、経験豊富な管理職や管理職候補とはいえ、しっかりとしたサポート体制を設けることは非常に大切です。管理職向けのオンラインコンテンツをはじめ、専門スキルに応じた外部の研修サービスを利用するなどして、管理職としてスキルアップできる環境を整えておく必要があります。

人材育成スキルを高めるためのおすすめツール

人材育成を効果的に実践するためにおすすめのツールについてご紹介します。

スキルマップの導入

スキルマップとは従業員のスキルを管理するためのツールのことで、多くの企業で使われているおすすめツールです。

スキルマップには、大まかなスキル分類と詳細なスキルの内容、そして社員の氏名を入力し、それぞれの社員のスキルレベルを数値化したものを記入、管理します。

スキルマップを活用することで、チーム内や組織に所属する社員のスキルを可視化できるため、管理職やチームリーダーは組織内にどのようなスキルを持った人材がどの程度いるかを一目瞭然で把握できます。さらに社員一人ひとりに対する教育計画を立てることで、組織全体のスキルの底上げに繋がります。

チーム内で業務内容の変更があった場合などは、適宜スキルシートを改定することが大切です。環境や状況の変化に合わせてスキルマップもバージョンアップしてください。

スキルマップ例

まとめ】

シリーズ最終回の今回は、人材育成において必要なスキルについて詳しくご紹介しました。永続的な成長のためには「人を育てることができる人材」が必要であるということ。この次世代リーダー人材をあらゆる部門で育成し、スキルアップしていくこと。

このときに重要なのは「コミュニケーションスキル」や「リーダーシップ」、そして「ロジカルシンキングやクリティカルシンキング」など、様々なスキルを複合的に習得することです。

ご自身や各部門の次世代リーダーが強化すべきスキルは何かをしっかり把握し、スキルアップするためにどのような手段を取るべきかを全社的な体制で検討してください。

人材育成を通して社員一人ひとりのスキルアップはもちろんのこと、企業としても大きく成長、発展していきましょう。

関連記事:自社に合わせた人材育成制度を体系的に構築したい方はこちらを参照してください


人材育成シリーズの関連記事もあわせてご覧ください。