2022.11.01 (更新日:2022.11.27)

育成体系

人材育成に必要なスキルについて!育成のポイントや必要なスキルまでしっかり解説! 【人材育成シリーズ④】

企業において円滑な経営活動をするためには、優秀な人材を育成していくことが必要不可欠です。従業員の人材育成を通して社内全体の生産性を高めることで、企業が継続して成長し続けるために大切な取り組みの一つと言えるでしょう。

しかし、人材育成に対する取り組みが不十分だったり、人材育成する人材が不足していたりするなど、企業によって様々な課題を抱えているのも現状です。

ここでは、人材育成において必要なスキルについてご紹介します。人材育成を行う際に押さえるべきポイントや必要なスキルについても解説しますので、ぜひ参考にしてください。

人材育成シリーズ①

人材育成の目的

企業価値を高めるためには、経営資源が必要です。経営資源には、主に「人材」、「資金」、そして「オフィスを豊かにするモノ」の3つがあります。この重要な経営資源の一つである「人材」を育成することは、企業の存続や成長に大きく関連してくるのです。

ここでは、人材育成の目的や必要性について詳しくご紹介します。

生産性向上

人材育成に力を入れることで社員のパフォーマンス性が高まり、結果として生産性の向上が期待できます。すなわち、人材の成長は企業の成長に直結するということです。

近年は、どの業界や業種においても人材不足が深刻な問題となっています。総務省が発表した国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口(平成24年1月推計)」の調査結果によると、2030年には2020年の労働人口よりも1,000万人近く減少するとも言われているため、社内人材の能力やスキル向上は必要不可欠です。

企業の即戦力として活躍してもらうためにも、新入社員をはじめ、様々な世代やポジションに応じた教育プログラムを策定していきましょう。

従業員の定着率

人材育成は離職率の低下にも効果を発揮すると考えられています。

離職率が高まる大きな要因は、仕事に対してやりがいを感じられないことです。そのような事態を解決するためにも、従業員に対する研修プログラムを充実させることが急務になります。研修を受けることによって、スキルアップができたり、さらには仕事に対する価値観やマインドセットができたりするなどの効果が期待できます。

離職率を下げることで、働きやすい風土の整った企業であるというイメージを持ってもらえたり、企業全体の生産性が向上したり、さらには人材採用や育成にかかるコストを最小限に抑えられたりするなど、企業にとって様々なメリットがあります。

終身雇用制度が崩壊しつつある中、優秀な人材を外部に逃さないためにも社員の年代や階層に合わせた育成プランを策定し、実行してください。

次世代のリーダー育成

多くの企業において大きな課題となっているのが、管理職などの次世代のリーダー育成です。リーダーが育たない大きな原因として、企業内での教育体制が整っていないことが考えられます。

人材育成を行う際はしっかりとした教育プログラムはもちろんのこと、教育にかける時間も捻出しなければならないため、手間とコストがかかってしまいます。そのため、経営が軌道に乗っていない企業や経営資産が十分でない企業の場合、リーダー育成に力を入れられないケースが少なくありません。

企業経営を永続的なものにするためにも、次世代リーダーの育成に力を入れていくことが大切です。

組織力の向上

それぞれの従業員のスキルや能力が高かったとしても、チーム一丸となり同じ目標に向かうことができなければ組織としてうまく機能しません。チームとしての組織力がなければ自ずと生産性は低下する一方です。

人材育成では個人のスキルアップだけでなく、組織としての価値観や経営戦略などを共有することで組織に馴染むための教育も行います。チーム全体や企業全体の様子を確認しながら教育プログラムを組むことで、事業のパフォーマンス性は飛躍的に高める事が可能です。

組織開発とは?フレームワーク解説

人材育成で大切にすること

効果的に人材育成を行うためには必要なスキルがありますが、スキルを習得する前に知っておくべき心構えや押さえておくべきポイントがあるので知っておきましょう。ここからは、人材育成で大切にすべき3つのポイントについてご紹介します。

目標をしっかりと設定する

人材育成を行う上でまず考えなければならないのが「人材育成の目的と目標」です。人材育成の目標は「従業員のモチベーションアップやスキルアップ」、「離職率の軽減」など、それぞれの企業によって異なります。しかしどの企業においても共通して言えることは「企業が理想とする人物像に向けて成長させること」です。

何も目標設定をしないまま、ただなんとなく人材育成を始めてしまうと求めている人材に育たない可能性があります。人材育成の効果を出すためにも、事前に目的や目標を明確に設定することが大切です。

リンク:効果的な営業研修の設計方法についてはこちらの記事を参照(営業研修が必要な理由とは?効果を高める方法や外部研修を依頼する際の重要ポイントをご紹介)

モチベーションを管理する

人材育成を効果的に行うためには、教育を受ける対象者のモチベーションをいかに維持していくかが重要なポイントです。研修や勉強会に対してやる気のない状態で参加しても、何も得ることがないまま終わってしまうからです。

教育の対象者のモチベーションを管理するためには、モチベーションを維持することの重要性を伝えていきましょう。教育を受けることによってどのようなメリットがあるのか、そしてどのような教育を受けることでどのように変わっていきたいかなどを確認することで、教育対象者もより高い意識で教育を受けられるはずです。

会社一丸となって取り組む

人材育成は所属する部署や人事担当の社員のみに任せるのではなく、社内全体で取り組むべきタスクとして周知していくことが大切です。社内全体として取り組むことで、人材育成に関する制度を抜本的に見直すことができます。

人材育成と一言で言っても、その種類は様々です。例えば、OJT制度やOff-JT制度、ジョブローテーションや人事評価制度などがあります。どの手法を取り入れることでより効果的に教育を推進できるかを社内全体で検証、検討してください。

特に「人事評価制度」と人材育成をうまくリンクさせることによって、教育対象者は目標の達成度と実際の人事評価を相対的に確認できるため、評価内容に対する納得度合いも高まりやすいと言えます。

人材育成における課題とは

人材育成は、どの企業や組織においても非常に大切な任務ですが、人材育成の制度が整っていない企業や組織が少なくありません。ここからは、多くの企業が抱える人材育成における課題について詳しくご紹介します。

人材育成にかける時間が不足している

多くの企業で抱えている人事課題に関する課題は、人材育成にかける時間やコストが不足していることです。人材を育成するためには、時間だけでなくマンパワーも必要です。さらに教育対象者が教育で得た知識やスキルを自分のものにするまでにも一定の時間を要します。

人材育成は一度実施したら終了ではなく、継続的に、そして定期的に取り入れていく必要があるのも特徴です。日々の業務に追われてしまっている現場において、効果的な人材育成に取り組むことは困難を極めます。

企業内で教育プログラムの策定が難しい場合、外部から学習プログラムを受注することもできますが、その場合もまとまったコストがかかります。このように、人材育成を行う場合はマンパワーと予算の確保が必要不可欠なのです。

育成するスキルを持った人材がいない

経験やスキル不足の指導者が人材育成に携わっても高い効果は期待でません。知識が乏しいことで誤った情報を発信してしまうなど、質の低い指導が行われる可能性があるので注意が必要です。

さらに、現場ではとても優秀な人材であっても、指導力や育成スキルがあるとも限りません。そのため、教育指導者に対する教育やフォローアップについてもしっかりと検討する必要があります。

人材を育成しても評価されない

管理職や上司などが人材育成に注力したとしても、正当に評価されなければ育成に関わりたいと考える社員は減ってしまいます。高い評価を得るために、自分の身の回りの業務のみに注力する可能性もあります。

このように人材育成を疎かにしないためにも、人材育成に関わる社員に対する明確な評価基準を策定してください。

関連記事:人材育成に関する基本的な知識はこちらで徹底解説しております

人材育成に必要なスキル

人材育成に関わる上で求められるスキルは様々です。ここからは、人材育成に必要なスキルについてご紹介します。

現状や課題を明確に把握する力

チーム内や社内の課題を発見するためには、現状を的確に把握する力が必要です。課題を把握した上で、どのような人材がどの程度必要かを知ることで、どのような人材育成プランを策定すべきかを理解できます。

現状や課題を把握するためには、観察力や洞察力が必要なことはもちろんのこと、社内の組織の成り立ちやポジションごとにどのような業務がされているか把握しなければなりません。

さらに、現状を正確に把握するためには現場のリーダーやメンバーに対するヒアリングを行うことが非常に大切です。客観的な観察だけでなく、現場の生の声を知ることで、どのような課題があるかがより明確になるでしょう。

目標や計画を管理する力

企業やチームが抱える課題の洗い出しができたら、人材教育の目標や計画を立てていきましょう。どのようなスキルを持ち合わせた人材を、いつまでに、どのくらいの人数必要であるかという具体的なプランを設定することが大切です。

人材育成を効果的に行うためにも、企業理念や経営戦略、そして現場の抱える課題を総合的に判断した上で、どのようなゴールを設定すべきかを考える必要があります。

人材育成の対象者の実力とかけ離れすぎた目標を掲げてしまうと、社員のモチベーションを維持することは難しいかもしれません。そのため、実現可能でかつ無理のない範囲の目標設定をするスキルが求められます。スモールステップで達成できるような目標を掲げることでより効果的な人材育成が可能です。

コミュニケーション力

人材育成の業務の大半は、他者とのコミュニケーションで成り立っています。人とのやり取りを頻繁に行う特性上、コミュニケーション能力は必須スキルです。

コミュニケーションスキルと聞くと、自分の考え方や思いを相手にわかりやすく伝える能力であると思われがちですが、実はそれだけではありません。相手が意図することを正確に把握する力も含めてコミュニケーションスキルなのです。

そのため、人材育成におけるコミュニケーションスキルは、わかりやすく説明する力はもちろんのこと、相手の話を聞く力、さらには相手の能力やモチベーションを引き出すコーチングスキルなど、様々なスキルが求められます。

リーダーシップ

人材育成の指導者や担当者は、部下の目標達成を促す役割があります。部下のモチベーションを維持するためにも、そして効率的に教育を進めていくためにも、人材育成の指導者や担当者はリーダーシップを持って育成にあたることが大切です。

適切なタイミングで部下をフォローし、リーダーシップを発揮することで部下との信頼関係が構築され、より効果的な教育の機会を提供できるのです。

ロジカルシンキング

ロジカルシンキングとは「論理的思考」のことで、物事の原因と結果を正確に把握し、それぞれがどのような繋がりを持っているかを考える思考方法です。

ロジカルシンキングを用いて人材育成における課題や問題点を浮き彫りにすることで、どのような対策を講じるべきかを的確に判断できます。

クリティカルシンキング

クリティカルシンキングとは、日本語に直訳すると「批判的思考」となり、物事の粗探しするための思考と捉えられがちです。しかし、決して欠点を指摘するための思考ではありません。

クリティカルシンキングの本来の目的は、物事の本質を見極め、改善点やリスク回避に繋げることです。人材育成の現場においても「従来のやり方が本当にベストか」、さらに「より効率的で効果的な方法はないか」などを考えることで、より良い結果に導けます。

抜本的に教育システムを変えていきたい企業や何か新しいアイデアを取り入れたいと考えている企業にとって重要なスキルです。

人材育成に関する知識や経験

人材育成を効果的に実践するためには、人材育成に関する知識や経験が必要です。

たとえば、人材育成に適切な人材を選抜することも重要なスキルの一つです。管理職育成に取り組もうと人選をしたとしても、その社員が管理職を希望していないケースも考えられます。その場合は、企業にとって無駄な育成コストがかかってしまうので注意が必要です。

そして、社員の希望にマッチしていない教育プログラムを組むことで、従業員に精神的ストレスを与えてしまうことも考えられます。企業にとっても、そして社員にとってもマイナスにしかならない人材教育は絶対に避けなければなりません。

このように人材教育に携わる者は、人材育成に関する正しい知識を習得し、実際に人材育成に携わる経験を積み重ねることが重要なのです。

年代別での人材育成のポイント

人材育成と一口に言っても、階層や年代別にアプローチ方法や重視すべきポイントが大きく異なることに注意が必要です。ここからは、新入社員、中堅社員、そして管理職の3つのカテゴリーに分けて、階層別に大切にすべきポイントについて詳しくご紹介します。

新入社員・若手社員に対して

新入社員や若手社員にとって、「ビジネスマナーの習得」や「業務スキルの習得」など、社会人として身につけるべき基本的なマナーの基礎を理解させたり、スキルを習得したりすることが最重要課題です。

そして、離職率を低い値に抑えるためにも、「企業理念」や「経営理念」など企業に対する帰属意識を高めるようなアプローチも重要なポイントだと言えます。

中堅社員に対して

第二新卒のカテゴリーから外される入社4年目以降の中堅社員はある程度業務にも慣れ、部下や後輩の面倒を見る立場になる時期です。

中堅社員にとっての課題は「キャリアプラン」や「後輩の育成担当者としてのスキルアップやマネジメントスキルの向上」、「さらには組織の中核を担うという意識付け」が挙げられます。

中堅社員は、今後のキャリアプランに対して漠然とした不安を抱えがちです。そのため、社内でのキャリアを考えるための研修会や面談を定期的に実施することでそのような不安から解放することができます。

後輩や部下ができる立場の中堅社員は、人事育成担当者としてふさわしいスキルを身につける必要があります。研修会やeラーニングの受講をすることによって教育担当者として必要な知識を身につけることはもちろん、OJTトレーナーなど経験させるなどして実務経験を積ませることも大切です。

業務にも少しずつ慣れてきた中堅社員は、仕事に対するモチベーションが維持しにくかったり、効率が悪くなってしまったりするなど、中弛みしやすい階層です。中堅社員がいかに企業にとって重要な存在であるかを伝えていくことでそのような事態を回避することが可能です。

管理職に対して

管理職の人材育成は最も難易度が高いと言われています。企業は、管理職が組織でしっかりと機能するように働きかけていくことが重要です。

まずは、管理職の職務や目指すべきスキルを明確にすることから始めてください。管理職と一口に言っても、役職や所属する部署によって役割や求められるスキルは異なります。企業として必要なスキルを定義することで、管理職育成のプログラムの設計にも役立つでしょう。

ただし、経験豊富な管理職や管理職候補とはいえ、しっかりとしたサポート体制を設けることは非常に大切です。管理職向けのオンラインコンテンツをはじめ、専門スキルに応じた外部の研修サービスを利用するなどして、管理職としてスキルアップできる環境を整えておく必要があります。

人材育成を高めるためのおすすめツール

人材育成を効果的に実践するためにおすすめのツールについてご紹介します。

スキルマップの導入

スキルマップとは従業員のスキルを管理するためのツールのことで、多くの企業で使われているおすすめツールです。

スキルマップには、大まかなスキル分類と詳細なスキルの内容、そして社員の氏名を入力し、それぞれの社員のスキルレベルを数値化したものを記入、管理します。

スキルマップを活用することで、チーム内や組織に所属する社員のスキルを可視化できるため、管理職やチームリーダーは組織内にどのようなスキルを持った人材がどの程度いるかを一目瞭然で把握できます。さらに社員一人ひとりに対する教育計画を立てることで、組織全体のスキルの底上げに繋がります。

チーム内で業務内容の変更があった場合などは、適宜スキルシートを改定することが大切です。環境や状況の変化に合わせてスキルマップもバージョンアップしてください。

スキルマップ例

まとめ】人材育成においての重要課題

今回は、人材育成において必要なスキルについて詳しくご紹介しました。人材育成において大切なのは、「人材育成における目標を設定すること」、「人材育成に関わる人材のモチベーションを管理すること」、そして「人材育成を行う際は、会社全体で取り組むこと」です。

さらに、人材育成を効果的に実践するためには「コミュニケーションスキル」や「リーダーシップ」、そして「ロジカルシンキングやクリティカルシンキング」など様々なスキルを複合的に習得することが大切です。ご自身や所属するチームにとって不足するスキルは何かしっかり把握し、スキルアップするためにどのような手段を取るべきかを社内で検討してください。

精度の高い人材育成を実施するためには、まず育成スキルの高い指導者を養成することが最重要課題です。人材育成を通して社員一人ひとりのスキルアップはもちろんのこと、企業としても大きく成長、発展していきましょう。

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