2024.03.08 (更新日:2024.03.15)

マネジメントノウハウ

営業組織のあるべき姿とは?立ち上げ方や改革の仕方まで幅広く解説!

企業は様々な組織で成り立っていますが、その中でも「営業部門」は企業の存続にとって重要な売上を立てる、そして利益を生み出す役割を担う部署です。

一般的に、営業部門は個人で動くものというイメージがありますが、組織として存在する以上、個人の勝手な判断や思考で行動してしまうと思うような成果を上げにくいのが現実です。営業目標を達成するためには、強い営業組織を作り、チーム全体で力を発揮する体制を構築していく必要があります。

ここでは、営業組織の立ち上げ方や組織を強化するポイントについて詳しく解説し、理想的な営業組織を作っていくための具体的な施策もご紹介するので、ぜひ参考にしてください。

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営業組織とはそもそもなにか

強い営業組織を構築するためには営業組織に関する理解を深めることが大切です。まずは、営業組織の定義と概要について詳しくご紹介します。

営業組織の定義と概要

営業組織とは、営業活動を行う組織のことで、営業担当者個人だけでなく、チームとして売上や利益の最大化を目指す組織を指します。

営業活動には、見込み客のアポイントメントや商談、契約後のアフターフォローなど様々なフェーズで構成されます。営業組織では、それぞれのフェーズを個人で取り組むのではなく、フェーズごとに担当を振り分けてチームとして営業活動を実施するのが特徴です。

また、チーム全体でコミュニケーションを取りながら目標達成のために連携できるため、効率的に売上や利益を上げられることも営業組織の大きなメリットです。


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営業組織の目的とは

営業組織に求められているのは、継続的に売上や営業利益を生み出すこと、そしてメンバー間のコミュニケーションを活性化させることです。

より多くの営業利益を出すためには、個人プレーで営業活動するのではなく、チーム全体が共通した目標に向かって営業活動に取り組まなければなりません。同じ目標に向かって行動するためには、日頃からメンバー同士の活発にコミュニケーションを図ることが求められます。

また、営業利益を出すためにどうすべきか検討するにあたっては、経営者だけでなく営業担当も含めた働き手の意識改革が重要です。経営者などのマネジメント層が従業員一人ひとりの動きを把握することで、風通しの良い組織づくりにつなげられるでしょう。

営業組織を改革すべき理由

営業組織を立ち上げることには、効率的に売上や営業利益を上げられるなどのメリットがありますが、営業組織改革をしなければならない外的要因も存在します。

ここからは、営業組織を改革すべき3つの理由を詳しく見ていきましょう。

市場競争が激しくなった

近年は、新型コロナウイルス感染症の流行や自然災害、戦争や紛争などの影響から先行きが見通しづらく、業種や業界を問わず、すべての企業において臨機応変に市場の変化に対応するスキルが求められています。

競合企業との差別化に注力することで、市場競争を勝ち抜こうと努力している企業がほとんどです。そのため、市場競争の激化が年々顕著となっています。業種によっては、他業種の商品やサービス領域に進出する企業も現れており、今後もさらに市場競争が激しくなるでしょう。

このような厳しい市場競争に勝ち残るためには、より強固な営業組織が必要不可欠です。他者との競争に打ち勝つためには、質の高い営業力や組織力が求められます。

人手不足

日本は少子高齢化が年々深刻化しています。2025年には国民の4人に1人が75歳以上の高齢者となり、労働人口がどんどん減少の一途を辿っている状況です。そのため、貴重な労働力の確保は、すべての企業において最重要課題として捉えられています。

また、個人営業に依存してしまうと、万が一従業員が退職した場合に立ち行かなくなるというデメリットもあります。終身雇用制度が崩壊しつつある現代において、より労働条件や待遇の良い企業への転職を希望するのはごく普通のことです。より強い営業組織を構築することで、優秀な営業担当者へのしわ寄せも軽減され、結果として従業員エンゲージメントの向上にもつながります。

働き方改革が進んできた

深刻な働き手不足が叫ばれている中、営業組織全体の労働時間を下げつつ、売上や営業利益を維持することが求められています。そこで重要なのが、政府が推奨する働き方改革の推進です。

貴重な人的リソースを最大限活用しながら生産性を上げるために、情報やナレッジの積極的な共有や、効率的な営業活動の実施が求められています。

関連資料:営業組織の未来とは?

営業組織のあるべき姿とは

営業組織のあるべき姿とは、従来の営業担当者の力量に頼り切った個人営業のスタイルではなく、すべての営業担当者が共通の目標に向かって推進できる組織だと言えるでしょう。

それぞれの営業担当者が、組織としての共通認識や目標をしっかりと認識し、目標を達成するために他のメンバーと密なコミュニケーションを取りながら協力して活動できる組織へとシフトチェンジしなければなりません。

より強い営業組織を構成するためには、次の課題をクリアすることが求められます。

・営業組織としての明確な目標を、すべての営業担当者が認識すること
・すべての営業担当者がお互いに協力し合う風土を作ること
・営業組織としてのコミュニケーションを活発化すること

つまり、トップ営業に依存し切った組織から脱却し、組織のすべてのメンバーが積極的にコミュニケーションを取りながら、共通の目標を達成するために行動することが重要です。

特定の従業員の負担が大きくならないよう工夫しながら営業組織としてあるべき姿へと導くことで、従業員のモチベーションや生産性が向上します。その結果、目標売上の達成につながるでしょう。

強い営業組織の特徴

どんなに高い売上を上げている営業組織であったとしても、過去には何かしらの課題や問題を抱えていたケースがほとんどです。ここからは、課題や問題を乗り越えた強い営業組織に共通する特徴をご紹介します。

営業プロセスに対しての理解が深い

営業プロセスは、アポイントの獲得からクロージング、契約後のアフターフォローまで様々なフェーズがあります。強い営業組織では、この営業プロセスがわかりやすく明確なのが特徴です。

営業プロセスを明確にすることで、すべての営業担当者たちの理解度を高めることにつながります。その結果、特定の営業担当者のみに依存する営業の属人化を防ぎ、営業活動の再現性を持たせられるのです。

また、営業プロセスを明確にすることで、それぞれのフェーズにおける情報共有がしやすくなり、より効率的なアプローチが可能です。

マネジメント層は、営業プロセスの策定に注力し、現場の営業担当者は営業プロセスに対する理解度を高めることが強い営業組織に近づくカギと言えるでしょう。



関連記事:意外と難しい?営業プロセスをマネジメントするコツ

営業組織における目標共有ができている

営業組織は、明確な目標を設定し、それに向けて一丸となって取り組む必要があります。目標は、具体的、測定可能、達成可能、関連性があり、時間制限がある(SMART)であるべきです。 つまり、強い営業組織においては、営業プロセスだけでなく、明確なゴール設定がされているのも特徴です。すべてのメンバーが目標に向かって取り組める体制が整っています。

営業組織として掲げるべき目標例は次の通りです。

・見込み顧客数
・新規顧客数
・受注成約率
・アポイント件数
・受注件数や受注額

目標を明確にし、すべてのメンバーに共有することで、目標達成というゴールに向かって自発的に行動できるようになるでしょう。



関連記事:適切な営業KPI設定ができていますか?

継続的なトレーニングと開発営業

強い営業組織にするためには、チームとしての営業力の底上げが求められます。そのため、営業担当者の高度な育成ができることも強い営業組織の特徴です。強い営業組織の場合は、営業ナレッジや必要な情報をスムーズに共有できているケースがほとんどで、高い水準の教育体制が構築されています。

営業担当者として身につけるべきスキルは多岐にわたるものの、次の3つの項目に関するスキルアップが求められます。

・ヒアリング力
・分析スキル
・トークスキル

営業スキルは、継続的なトレーニングと開発によって向上します。営業組織は、新しい営業戦略や技術を学ぶための機会を提供し、営業チームが常に最新の知識とスキルを持つようにする必要があります。

強い営業組織を立ち上げるためのプロセス

営業組織を立ち上げる際は、強い営業組織が共通して採用している仕組みを積極的に導入することが欠かせません。ここからは、営業組織の立ち上げを進めるためのプロセスをご紹介します。

組織としての目的・目標の設定

まずは営業組織の現状を把握し、組織としての目的や目標を設定する必要があります。

現状を把握するためには、次のようなポイントをチェックしてください。

・顧客の管理状況
・案件の管理状況
・営業プロセスのフロー
・情報共有の仕組みや手法
・評価体制

自社組織に最適なチェックリストを作成し、現状把握に努めていきましょう。

営業プロセスの明確化

組織の現状把握ができたら、その次は営業プロセスを明確にしてください。営業活動を可視化することで、成功事例や失敗事例だけでなく、営業ノウハウの共有が盛んとなり、組織全体の生産性や営業力向上に大きく貢献します。

可視化すべき営業プロセスの一例は次の通りです。

・顧客情報
・案件の進捗状況
・成功事例における受注までのプロセス

受注までの営業プロセスを可視化することで、組織に営業ノウハウがどんどん蓄積されていきます。営業経験の少ない担当者であっても、様々な成功事例を知ることで似た事例を担当する際に参考になるでしょう。

組織としての営業戦略・計画の策定

組織的な営業を行っていくためには、売上予算などの数字のみにフォーカスするのではなく、それぞれの営業担当者の行動に注目すべきです。

予算達成すればいいという訳ではなく、組織として予算達成できる仕組みづくりをしていく必要があります。そのためには、営業組織としての営業戦略や計画を策定しなければなりません。

営業戦略や計画を策定する際に重要なのは、具体的なKPIを策定し、それを実行していくことです。KPIとは、目標設定する上で、その達成度合いを計測・監視するための定量的な指標のことを指します。KPIを実行することで、チームとしての一体感が生まれ、より強い営業組織構築につながります。

関連資料:営業チームの戦略を立案し浸透させるポイントについて解説

PDCAの実施

組織全体で営業活動を進めていくためには、PDCAサイクルを活用することも大切です。策定したKPIに対して行動し、その結果としてリーダーやマネジャー層が想定している結果となっているか、都度確認していきます。

万が一、想定していた結果ではなかった場合はKPIの見直しや修正が必要です。一度の取り組みでうまくいくケースはほとんどありません。何度もPDCAサイクルを繰り返しながら営業組織を強化していくことが重要です。また、具体的な事例やアドバイスも役立ちます。例えば、明確な目標を設定するためには、年間の売上目標やクオータを設定し、それを月、週、日に分解することが有効です。また、効果的なリーダーシップを確立するためには、リーダーが定期的にチームメンバーと1on1のミーティングを行い、フィードバックを提供し、支援を提供することが重要です。さらに、継続的なトレーニングと開発を実施するためには、定期的なスキルアップトレーニングや業界の最新トレンドに関するセミナーを提供することが有効です。

営業組織の改革において意識したい取り組み

ここからは、営業組織をより強化するために意識したい取り組みについてご紹介します。

組織メンバーの意識改革

いくら企業が強い営業組織を掲げていても、従業員がその目的を理解していなければ意味がありません。また、強制的にやらされているのではなく、従業員たちが自発的に目標達成のために行動することも重要です。

より高い営業成果を上げるためには、営業組織に属する社員の意識改革を行う必要があります。「なぜ組織として営業活動を行うべきか」という理由をしっかりと理解してもらい、協力してもらうことが大切です。

意識を変えようとするよりも、メンバーの行動を変える仕組みづくりが重要です。ここからは、行動変革のために必要な具体的な取り組みについて解説しますので、ぜひ参考にしてください。

業務効率の改善

営業組織を強化するためには、非効率な業務を減らすことが重要です。業務効率を改善することで、本来集中すべき商談などの営業プロセスに注力でき、結果として成約率アップにつながるでしょう。

非効率な業務とは、具体的に次のようなものが挙げられます。

・紙ベースのデータ管理
・朝礼や夕礼などの会議
・勤怠管理のためだけの出勤

これらの業務は、直接営業成果につながりにくく、なるべく省略・簡略化したい業務です。営業活動のプロセスを洗い出し、無駄な業務が行われていないかチェックしてください。

営業活動の見える化を徹底

営業組織を強くするためには、営業活動の可視化を徹底する必要があります。そのためには、定期的なミーティングの開催が必要です。営業組織ではチームでの活動が中心となるため、チームワークを向上させるためにもミーティングを通した進捗状況の確認や情報交換は欠かせません。

チームとしてではなく、部署や部門を越えた連携のためにもミーティングの開催は有効です。共通認識を持って営業活動を進めるためにも、積極的な情報交換を行ってください。

マーケティング部署との連携

営業活動でより成果を上げるためには、他部署との連携が必要不可欠です。特に、マーケティング部門との連携は非常に重要と言えるでしょう。

マーケティング部門は、市場動向や市場変化に合わせて、顧客ニーズに対応した施策を実行しなくてはなりません。顧客ニーズに把握は、直接顧客と関わりを持つ営業部門が得意とする分野であるため、営業が収集した顧客情報をマーケティング部門に随時伝えることでより効果的な施策を実行しやすくなります。

営業ノウハウやナレッジの共有

営業組織を強化するためには、営業ノウハウやナレッジを共有する教育プロセスをある程度システム化することも必要です。教育システムを構築することで、鍛えるべき営業スキルを平準化し、営業部門全体の成果向上が期待できます。

具体的には、次のような項目についてシステム化することをおすすめします。

・セールストークのリスト化(成功事例と失敗事例)
・商談状況ごとの提案資料データ整理
・成約率の高い商談の流れをマニュアル化

営業活動におけるナレッジや教育プロセスをシステム化することで、教育にかける時間や手間を大幅に短縮でき、効率的なスキルアップが期待できるでしょう。

関連記事:営業組織力を高めるためにはナレッジマネジメントが不可欠

ITツールの導入

営業組織の体制を整備する際、いくらスケジュールを立てて計画的に実行したとしても、やはり限界はあります。少しでも効率よく、体制整備をスムーズに進めるためには、ITツールの導入・活用も大切です。

営業活動に活用できるITツールには、SFAやCRMなど様々なタイプがあります。例えば、複数のルーツを連動させて、ルーティーンワークの自動化を行うRPAの導入は、営業効率アップに大きく貢献するでしょう。

自社の目的や用途、課題に合わせたものを選ぶことが大切です。営業活動における課題を明確にした上で、課題解決につながる機能のあるツールを導入してください。

ITツールを導入したとしても、知識やノウハウのある担当者がいなければ有効活用できません。ITツールを導入するだけでなく、担当者を設置して組織全体で活用できるような環境を整えることが大切です。

関連記事:営業の生産性を高めるSFAについて役割や失敗例を解説

【まとめ】継続的に利益を上げられる強い組織づくりを実現しよう

従来の営業スタイルでは、どうしても売上や成約率などの数字ばかりに目がいってしまい、組織力よりも個人の営業スキルを重視しがちでした。しかし、強い営業組織として営業担当者すべての力を集約することで、組織として掲げる共通のゴールを目指して、効率よく営業活動を推進できます。

理想的な営業組織を構築するためには、明確な目標の設定、効果的なリーダーシップの確立、そして継続的なトレーニングと開発の実施が必要です。これらの要素を組み合わせることで、営業組織は成功へと導かれます。

営業組織としての体制を見直すことは、結果として企業全体の体制整備につながり、変化の激しい市場においても継続的に利益を上げられる強い組織づくりを実現できるでしょう。今回ご紹介した営業組織の立ち上げ方や強い営業組織に必要な取り組みを実践し、自社の営業活動における生産性を高めていくことをおすすめします。

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