2022.11.09 (更新日:2024.02.28)
フィールドセールスとは?役割やメリット、インサイドセールスとの連携のコツを徹底解説!
新型コロナウイルス感染症拡大の影響もあり、営業のスタイルは多様化してきました。特に非対面での営業活動が増えるなか、注目されているのが「フィールドセールス」のあり方です。
ここでは、営業手法の一つである「フィールドセールス」の役割や業務内容を詳しくご紹介します。フィールドセールスと混同されがちなインサイドセールスとの違いや求められるスキル、営業効果を高めるおすすめの方法についても詳しく解説しますので、フィールドセールスの基礎知識を押さえたい方はぜひ参考にしてください。
目次
フィールドセールスとは
フィールドセールスは、見込み客(リード)へと直接足を運び、顧客と対面での商談を行う営業方法のことです。フィールドセールスは、基本的に社外で活動することが多いことから別名「外勤型営業」とも呼ばれています。
自社のサービスや商品の提案など顧客と直接会って営業をする昔ながらの営業スタイルとして、多くの企業でフィールドセールスが採用されてきました。
しかし、近年では新型コロナウイルスの流行や多くの業界における人材不足などの影響からリモートワークが推奨されるようになったことによって、非対面で営業活動を行う「インサイドセールス」に注目が集まっています。このことから、フィールドセールスの役割や存在価値に大きな変化が生まれているのです。
フィールドセールスの業務内容
フィールドセールスの業務内容は大きく分けて次の2つがあります。
商談から成約までのクロージング業務
社内にマーケティング部がある場合のフィールドセールスは、マーケティング部が発掘した見込み客(リード)に対して商談や成約までのクロージング業務を担当します。「ホットリード」とも呼ばれ、ある程度成約の見込みがあると判断した状態でフィールドセールスに回ってくるため、売上に直結する重要な役割を担っているのです。
見込み客(リード)の育成
社内にマーケティング部がない場合や人員が少ない場合は、見込み客の発掘から育成までの新規開拓の工程を担当することになります。飛び込み営業をはじめ、テレアポや定期訪問を繰り返すことで成約に繋げていくスタイルです。
多くの方がフィールドセールスとしてイメージするのは、この業務を含んだ役割であることが多いかもしれません。
フィールドセールスとインサイドセールスとの違い
フィールドセールスと関連した営業方法の一つに「インサイドセールス」があります。ここでは、それぞれの営業スタイルの決定的な違いについてご紹介しますので、それぞれの役割を比較しながら考えていきましょう。
インサイドセールスの役割
インサイドセールスとは、別名「内勤型営業」とも呼ばれ、基本的に顧客先に足を運ぶことなく、電話やメール、DMなどを活用した非対面によるコミュニケーションによって、見込み客にアプローチする営業スタイルのことです。
インサイドセールスの役割は、ずばりマーケティング部とフィールドセールスの橋渡しをすることです。マーケティング部が発掘した見込み客を「ホットリード」へと育成する重要な役割を担っています。
企業によっては、フィールドセールスが存在しないケースもあるため、インサイドセールスがクロージング業務までを担うこともありますが、購買意欲が確認できた時点でフィールドセールスに引き継ぎを行うのが基本です。
以下にて、インサイドセールスを詳しく紹介しています
フィールドセールスの役割
インサイドセールスが見込み客をホットリードまで育て上げた状態で引き継ぎ、商品やサービスへの成約へと結びつけるのがフィールドセールスの役割です。受注意欲が高まった顧客にアポイントを取って、訪問をして直接商談を進めていきます。
直接顔を合わせて商談を行うことで、顧客の抱えている潜在ニーズも引き出すことも求められています。
インサイドセールスを設置いる企業はまだまだ少数派ですので、フィールドセールスがインサイドセールスの役割を兼ねている企業も少なくありません。そのため、営業マンに高度なポテンシャルやスキルが求められているのです。
フィールドセールスのメリット
フィールドセールスがどのような営業スタイルであるかが理解できたところで、ここからはフィールドセールスに取り組むメリットについてご紹介します。
メリット① 商品の魅力をより伝えることができる
フィールドセールスでは対面で商談を行うため、商品の魅力をより伝えることが可能です。
商品サンプルなどがある場合は、実際に手に取ってもらって商品の特徴や使用感をチェックしてもらえますし、無形商品やサービスの場合は、デモやプレゼンテーションを見せることもできます。このように、インサイドセールスよりもより多くの情報量を伝えられるのが大きなメリットです。
製品やサービスに対する理解度を深めてもらいやすいので、商談が成約する可能性も高まるでしょう。
メリット② 信頼感が生まれやすい
非接触で営業活動ができるインサイドセールスは、不特定多数の見込み客に対して効率的にアプローチするためにとても有効的な手段ではあります。しかし、直接顔を合わせないためどうしても信頼関係を構築しにくいのがデメリットです。
しかし、フィールドセールスであれば、実際に直接会った状態で商談を進めていくので、顧客からの信頼を得やすい営業スタイルと言えます。
メリット③ 柔軟に対応ができる
フィールドセールスはインサイドセールスに比べて、柔軟に対応できるのもメリットです。顧客の表情やリアクションの変化を確認しながら対応できるのが大きなポイントです。状況に合わせて提案内容を変更したり、微調整したりするなど、顧客の意向に沿った提案がしやすいでしょう。
フィールドセールスのデメリット
様々なメリットのあるフィールドセールスですが、いくつかデメリットも存在します。フィールドセールスの分野で活躍するためにも、これからご紹介するデメリットについても合わせて確認してください。
デメリット① 時間やコストがかかる
フィールドセールスの最大のデメリットは、時間やコストがかかってしまうことです。対面形式での営業スタイルですので、どうしても顧客先を訪問するための交通費や移動時間がかかってしまうため、インサイドセールスに比べて非効率な営業スタイルだと言えます。
さらに顧客数に応じた人員を確保する必要があるため、インサイドセールスに比べて人件費もかさんでしまいがちです。訪問の移動に時間が取られてしまうと、他の顧客の対応が不十分になってしまう可能性も出てきます。
顧客との信頼関係を構築するためには一度だけではなく、何度も足を運ぶ必要がありますので、まとまった時間と人的コストが発生してしまうのです。
デメリット② アプローチできる件数に限りがある
フィールドセールスは一日あたりに一人の営業マンが担当できる件数にどうしても限界があります。インサイドセールスと比較すると非効率なスタイルで営業活動を行いますので、アプローチできる件数が限られてしまうのです。じっくりと商談を行う場合は、どんなにうまく商談が進んだとしても1日あたり3〜5件ほどで限界と言えるでしょう。
フィールドセールスでアプローチする件数を増やすためには、営業部門の人員を増やす、もしくは見込み客を厳選して効率的にアプローチしていくことが求められます。
リンク:営業活動の効率と成果を高めるオンライン営業のコツについてはこちらの記事で紹介しています(オンライン営業とは?勝率をあげるコツやメリット&事例など効果的な実践方法をご紹介)
デメリット③ コミュニケーション不足による認識のズレが起こる
フィールドセールスは、メールや書面とは異なり文面や資料が手元に残らないため、コミュニケーション不足による認識のズレが生じやすいのもデメリットです。伝えたはずのことが顧客に伝わっておらず、後々大きなトラブルに発展してしまうことも考えられます。
そのため対面による商談の場合は、大切な情報を伝え漏れることがないように資料を用いながら話を進めていきましょう。さらに、顧客が伝えた内容をしっかりと理解できているかも適宜確認をしながら商談を進めていくことも大切です。
フィールドセールスに必要なスキル
ここからは、フィールドセールスを行う上で身につけるべき5つのスキルについて解説します。ご紹介するスキルは、フィールドセールスに限らずビジネスマンとして必要なものばかりですので、不足していると感じるスキルがある場合は、この機会にぜひスキルアップに力を入れていきましょう。
コミュニケーション能力
フィールドセールスで成功するためには、顧客との信頼関係をいかに構築するかがポイントです。そのため、コミュニケーション能力は必要不可欠なスキルです。顧客と会話をしながら商品の魅力を伝えることはもちろん、顧客のニーズも引き出す必要がありますので、トーク力はもちろん聞く力も求められます。
相手が興味のありそうな話題を的確に察知して、話題を投げかけるなど、その場の雰囲気を読みながらトークの内容やアプローチ方法を臨機応変に変える柔軟性も必要です。
信頼関係構築力
信頼関係構築力とは、心を開いて相手に歩み寄って、相手の気持ちや立場、状況を理解しようとするスキルのことで、コミュニケーション能力の一つです。
フィールドセールスでは、顧客の想いを尊重して理解しようとすることが求められます。自分の意見や商品の良さをアピールするだけでは、どんなにいい商品やサービスであったとしても顧客の気持ちはどんどん離れてしまうので注意しなければなりません。
顧客とのコミュニケーションを重ねていくうちに自然と身に付くスキルではありますが、聞く姿勢に徹することでより効率的に習得できます。
プレゼン力・提案力
どんなに魅力的で素晴らしい商品やサービスがあったとしても、営業力がなければ受注を獲得できません。継続して利用してもらうためにも、顧客の抱える課題や問題をしっかりと把握して長期的な視点に立った提案ができるかが非常に大切なポイントです。
自社の商品やサービスを利用することでどのようなメリットがもたらせるかを具体的に顧客にイメージしてもらうためにも、商品の魅力を伝えられるプレゼン力や提案力が求められます。
マーケティング能力
商品やサービスを販売する際は、その商材を必要とするターゲット層に対して的確にアプローチすることが重要です。そのため自社の商材の最適なマーケットを見つけ出す「マーケティング力」が求められます。
マーケティングとは非常に広い意味を持つ言葉ですが、要するに「商材を売れる仕組みを作る業務」のことです。そのため、営業活動と非常に共通する点が多い分野と考えてください。
営業担当者が身につけるべきマーケティングスキルとして、「企画力」や「情報収集力」、「データ分析力」や「提案資料の作成スキル」などがあります。
行動力や決断力
フィールドセールスは、営業担当者の行動力次第でいくらでも売り上げを向上させ、成果を出せる職種です。そのため、行動力と顧客の状況をしっかりと理解して顧客の立場に立った提案をするなど、顧客ファーストで行動する「行動力」が求められます。
顧客に自らアポイントメントを取ったり、顧客への理解を深めるためにリサーチをしたりするなど、自発的に行動できる人が向いていると言えます。
そのほかにも、マニュアルや形式にこだわることなく、スピード感を持って商談を進めていく「決断力」も大切です。状況に応じて対応を柔軟に変えながら必要なタイミングで適切な決断を下せる人は、フィールドセールスの分野で大いに活躍できる可能性があります。
営業スキルを高めるポイントについては下記のリンクからご覧ください
フィールドセールスが向いている業種
フィールドセールスは様々な業種や業界で取り入れられている営業方法ですが、特に向いているのは顧客が自分で調べたとしても商品の特徴や性能などを正しく理解しにくい製品やサービスを取り扱う業種や企業です。
例えば、金融・証券、保険商品を取り扱う業種や最先技術を扱う業種、そして特注商品や高額商品を取り扱う業種などがフィールドセールスに向いています。
これらの業種は専門性が非常に高く対応のマニュアル化がしにくいため、専門的な知見を交えて製品やサービスの魅力をわかりやすく解説をすることで契約成約につなげられるでしょう。
フィールドセールスの成果を高めるには
フィールドセールスで効率的な営業活動を推進するために大切なポイントは多々ありますが、特に3つのポイントをしっかりと押さえておきましょう。
フローやプロセスを明確にする
より効果的に営業活動を進めるためには、インサイドセールスとの連携が必要不可欠です。それぞれの営業方法の強みや特徴を確認した上で、営業フローやプロセスを明確にしてください。
効率的に顧客にアプローチしてより多くの受注数を獲得するためには、インサイドセールスで育成された購買意欲の高い顧客を選別していくことが重要です。定期的に組織体制を見直し、体制1を強化していきましょう。
部署間での情報共有を徹底する
社内にある顧客情報やパーソナルデータは、担当者のみで管理するのではなく、部署内や企業全体に情報共有することが大切です。
フィールドセールスでは担当する顧客の情報を抱え込みやすいという特徴があります。そのため、部署内や他部署と連携して情報共有することで必要な資料を共有でき、営業担当者の負担の軽減にも繋がるでしょう。
そして、インサイドセールスやマーケティングなどの他セクションにも必要な情報を提供することで、組織的な営業活動を推進できるはずです。
SFAなどのツールを有効活用する
効率的に営業活動を進めるためにはツールを活用することも重要です。SFAやCRM、MAなどの営業支援システムが代表的で、正しく活用することで営業効率アップが期待できます。
顧客のプロフィールやパーソナルデータをはじめ、顧客育成の進捗状況、行動記録やパフォーマンスの算出などをまとめて一括管理するので、チーム内での情報共有や自社評価の定量化にも役立ちます。
もちろん導入するためには初期コストやランニングコストがかかってしまいますが、安定的に利益を生み出すためにも、そしてさらなる業績アップのためにも、これらのツールを有効活用したいところです。
インサイドセールスとの連携するポイント
フィールドセールスを成功させるためにはインサイドセールスとの連携が必要不可欠です。ここからは、具体的な連携方法についてご紹介します。
ポイントその1|見込み客を受け取るタイミングを見極める
フィールドセールスでスムーズな商談を進めるためには、見込み客を受け取るタイミングが非常に大切です。インサイドセールスでアプローチする際に顧客の興味や関心を高め、ある程度関係性を構築した段階でフィールドセールスに受け渡すことで、フィールドセールスの担当者はより効率的に営業活動ができるでしょう。
フィールドセールが受注できるかが曖昧な段階の見込み客を受け取ってしまうと、受注までに多くのコストと時間を費やすことになりかねません。フィールドセールスが、受注に向けた営業活動に専念するためにもベストなタイミングで見込み客を受け取ることが大切です。
ポイントその2|見込み客の取りこぼしを防ぐ
フィールドセールスとインサイドセールスが連携することで、見込み客の取りこぼしを防げます。
フィールドセールスが新規見込み客の発掘から商談までをまとめて担当する場合、見込み客が増えれば増えるほどすべての顧客に対して必要なアプローチができない可能性が出てきます。受注率の高い見込み客にアプローチするタイミングを逃してしまうことで大きな損失を招いてしまうことも考えられます。
このようにインサイドセールスとうまく分業してそれぞれの役割を全うすることで、結果的に見込み客の取りこぼしを防ぐことに繋がるのです。
効率的な営業を徹底する
インサイドセールスにとっての目標は、効率よく多くの見込み客へのアプローチとアポイントの獲得なのに対し、フィールドセールスとっては案件の受注です。それぞれの業務に邁進することで、効率的な営業活動を進められます。大きな成果を出すためにも、両者の連携が成功するための絶対条件と言えるでしょう。
【まとめ】フィールドセールスの特性や必要なスキルで営業効果を高めていく
営業スタイルの一つである「フィールドセールス」の特性や役割について詳しくご紹介しました。フィールドセールスは、商品やサービスの受注を獲得するための最後のプロセスを担う重要なポジションです。フィールドセールスに取り組むメリットとして、商品の魅力をより伝えられること、顧客との信頼関係が築きやすいこと、そして状況に応じた柔軟に対応ができることが挙げられます。
新型コロナウイルスの影響もあり、対面での営業の機会が減少しつつある中、限られたチャンスを確実に獲得するためにも、フィールドセールスに携わる社員のコミュニケーション能力やプレゼン能力・提案力、行動力や決断力などが求められます。そして、オフラインでの営業活動が難しくなっている中でより効率的に営業活動を行うためにはインサイドセールスとの連携を強化することが必要不可欠です。
フィールドセールスの分野で高い成果を出すためにも、今一度フィールドセールスの特性や必要なスキルをあらためて確認し、営業効果を高めていくことをおすすめします。
セールスがこれから目指すべき役割については、下記画像を含むの文末の関連記事にてダウンロードしてください(全19ページで解説)