2024.05.23 (更新日:2024.06.03)

マネジメントノウハウ

人材育成に不可欠なマネジメント体制とは?失敗しない人材育成【人材育成シリーズ②】

ここまで、「人材育成シリーズ」として、人材育成をする上で、会社のビジョンを体現する「求める社員の姿」を設定し、必要となる要素を定義することが大切、教育制度と評価制度もそれとリンクして整備するべきと説明してきました。人材育成を成功させるためには、この人材マネジメントを行う体制を全社的に構築することが必須なのです。それがなぜなのか、人材育成がうまくいかない理由としてよくあるケースも含めて説明していきます。


人材育成を成功させるマネジメント体制

人材育成体制の望ましい形は企業の規模や業種によって異なる場合がありますが、以下のような要素が必要です。

1. 明確なビジョンと目標設定

人材育成を成功させるには、企業理念を体現する「求める社員の姿」が明確になっていること、社員自身がそれを業務内容にまで落とし込んだ形で組織と個人の達成目標を理解できていることが重要です。
ビジョンの理解が不十分だと、「どこを向いて進めばよいのか」と、社員のモチベーションの低下にもつながりかねません。また、浸透が充分でなく社員と経営層、組織間で業務に対する理解に大きなギャップがあると、社員の不満が高まり離職率が高まる危険性もあります。
正しい育成体制が設定されていると、それを通じて、企業のミッションやバリューを常に浸透させることができます。これにより、社員が共通の目標に向かって協力し合う文化が形成され、一体感のある職場環境が生まれます。このような好循環を作ることは、組織が拡大して新しい社員が入ってくる段階にある企業には特に重要でしょう。

2. 継続的なスキルアップの機会

業務で必要な知識を社員自ら学習できる機会を準備してあげることが重要です。終業後に自由に参加できる勉強会を実施するのも有効です。勉強会では、知識やスキルを習得できるだけでなく、他の社員との交流の場にもなり社員のモチベーションアップの効果が期待できます。

また、知識をしっかりと実践する場を用意してあげることで、勉強会への積極的な参加を促すことも可能です。自社で勉強会を開催するのが難しい場合は、外部の講座を受講できるよう支援する企業もあります。

資格取得を奨励する制度を導入するのも効果的です。資格によっては受験費用が高く、それがハードルとなり受験を諦めてしまう社員がいるため、受験費用をサポートする制度を導入している企業も少なくありません。資格の種類や獲得数に応じて一時金を支給している企業もあります。

社員が進んで学習に取り組めるように支援すれば、会社にとっても大きなメリットになるのは間違いありません。市場の変化や新しい課題に迅速に対応できる柔軟な組織を作るためには、社員が新しいスキルや知識を学び続けることが重要です。継続的な教育と研修を提供する体制は、このような変化への対応力を強化します。

3. パフォーマンス評価とフィードバック

昇給や昇格など成果が形としては反映される環境を整えることも必要です。社員がどれだけ頑張っても、待遇に反映されないのであればモチベーションは著しく低下します。そればかりか、自分のことをしっかりと評価してくれる他企業へ転職してしまう危険性も否定できません。 社員が努力を重ね、自社の求める人材、あるいは貢献度の高い人材になった際には、しっかりと待遇に反映させることが重要です。社員も「しっかりと頑張れば評価してもらえる!」と感じ、さらなるモチベーションアップに繋げられるのです。

4. キャリアパスと成長機会の提供

各社員に対して、長期的なキャリアパスを示し、目標達成に向けたステップを明確にする。透明性のある昇進基準を設け、実績に応じた昇進の機会を提供することが大切です。

5. メンター制度とコーチング

企業ビジョンや個人目標を理解し、向上心を持って進んでいても、何か疑問が浮かんだり困難に直面したときに、相談したり、意見をもらったり、一緒に考えてくれる人物がいないと、前向きな気持ちを保ち続けることが難しい場面もあると思います。経験豊富な社員が新入社員や若手社員をサポートし、実務のノウハウを伝えるメンター制度を用意したり、中堅社員にコーチングやマネジメントプログラムを実施することで、成長しようとする社員を支え、チームを強くすることができます。

6. コミュニケーションとエンゲージメント

様々な切り口でのミーティングやセミナー、ワークショップ、また社内SNSを通じて、組織横断的なコミュニケーションを促進したり、経営陣やマネジメント層と社員が直接対話できる場を設けることも、社員のモチベーションアップにつながります。社員の満足度調査を定期的に実施することでエンゲージメントをはかり、フィードバックをもとに職場環境の改善を行うことも有効です。

【まとめ】

ここまで紹介してきたどの仕組みも、社内の一部門の力では構築することはできません。「人材育成は会社を強くすることである」ということを経営層やマネジメント層がしっかりと理解し、社員の成長を後押しする体制を全社一丸となって構築していってほしいと思います。
現在でも多くの企業が人材育成に力を入れ、大きく成長しています。一方、人材育成を行うにあたって不安を感じる人も多いかもしれません。ご紹介した注意点や成功のポイントを参考に、ぜひ人材育成を成功させ、社員と会社の両方が成長できる企業を目指していくことをおすすめします。

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このあとの記事では、人材育成のための実際のフレームワークや、段階ごとの育成すべきスキルなどについて詳細に解説します。合わせてご覧ください。